
たこ焼き「銀だこ」、鉄板に潜む"強さ"の秘密 店舗網を急拡大!営業利益は2.8倍に
又吉 龍吾 :東洋経済 編集局記者
2015年02月17日
金曜日の夜、東京・八重洲の「銀だこハイボール酒場」は大勢のサラリーマンでごった返していた
2月中旬の金曜日。
冷え込んだ夜にもかかわらず、東京・八重洲の立ち飲み屋は多くのサラリーマンで賑わっていた。店の名は「銀だこハイボール酒場」。
酒のあてに客が食べているのは、一口では入りきらないほどの大きなたこ焼き。それを焼き上げる“鉄板”には、銀だこ急成長の秘密が隠されていた。
たこ焼きチェーン「築地銀だこ」を展開するホットランドは2月10日、2014年12月期決算を発表した。売上高が273億円(前期比33.0%増)、本業の儲けを示す営業利益は前期比2.8倍の17.8億円だった。
オペレーションの標準化がカギ
好調だった最大の要因は、既存店の伸びが続いたことだ。SNSを活用した販売促進や新商品導入によって、銀だこの既存店売上高は前期比5.7%増を達成。
「クロワッサンたい焼」がヒットした、たい焼きチェーン「銀のあん」の既存店も同60.0%増という高い伸びを記録した。
一方で、新規出店も積極的に行った。2014年度末時点で店舗数は銀だこが16店、銀のあんが9店の純増となった。
国内外を合わせたグループ合計では45店の純増となり、合計店舗数は588店まで拡大した(うち、国内の銀だこは416店)。
たこ焼きのような“焼き物”のチェーン展開で難しいのが、店舗ごとのオペレーションの水準をそろえること。
これまでも、外食チェーンが店舗網を急激に拡大した結果、オペレーションの劣後が目立ち始め、常連客からの信頼を失い、既存店の収益が急悪化した例は多くある。
店舗網を急拡大させているホットランドが同じ轍を踏まないために取り組んでいるのが、専用機械の内製化だ。
同社は技術者を雇い、店舗スタッフの意見を踏まえながら、鉄板を含む調理用機器の開発・製造を自前で行っている。
全店舗に同一の機械を導入することで、社員がどの店舗に行ってもアルバイトに対し一定水準の教育が施せ、店舗ごとのオペレーションのバラツキを抑制することができるという。
「外注であれば機械の改良も時間や手間がかかるが、自前でやれば対応も早くなる。独自の機械を作ることで独自性の高い商品を提供し、参入障壁を築くことができる」(佐瀬守男社長)
専用機械の内製化は、直接的な収益の向上にもつながる。2014年度はフランチャイズ(FC)加盟店向けに286台、金額ベースで3.5億円を販売した。
「これからは海外のFC店が拡大していくことで、この機械が世界に向けて輸出されていく。メンテナンス収入の増加も期待できる」(佐瀬社長)。
5年後に銀だこで国内700店

スタンダードなたこ焼きは8個入りで通常550円(税込み)
2015年度は国内の銀だこだけで58店の純増を計画しているが、業態は主力のフードコート型だけではない。
冒頭のハイボール酒場のようなアルコール業態をはじめ、「銀だこカフェ」というカフェ業態、住宅密集地などでは宅配に特化した「宅配銀だこ」など、立地に応じた展開で店舗網を拡大していく構えだ。
同年度は売上高304億円(前期比11.1%増)、営業利益で19億円(同6.6%増)を目標に、アジアを中心とした海外展開も加速させる。
東京五輪が開催される2020年度には、銀だこだけで国内700店体制を築く計画だ(2015年度末で474店の見込み)。
とはいえ、外食市場が成熟している日本国内で加速度的に出店していくリスクは決して小さくない。自社開発の機械でオペレーションの質を一定に保てたとしても、
消費者の飽きが早くなっているため、商品が陳腐化しやすいからだ。継続的な商品改廃や新ブランドの展開が、今後のホットランドの成長を占ううえで重要なポイントになりそうだ。
又吉 龍吾 :東洋経済 編集局記者
2015年02月17日
金曜日の夜、東京・八重洲の「銀だこハイボール酒場」は大勢のサラリーマンでごった返していた
2月中旬の金曜日。
冷え込んだ夜にもかかわらず、東京・八重洲の立ち飲み屋は多くのサラリーマンで賑わっていた。店の名は「銀だこハイボール酒場」。
酒のあてに客が食べているのは、一口では入りきらないほどの大きなたこ焼き。それを焼き上げる“鉄板”には、銀だこ急成長の秘密が隠されていた。
たこ焼きチェーン「築地銀だこ」を展開するホットランドは2月10日、2014年12月期決算を発表した。売上高が273億円(前期比33.0%増)、本業の儲けを示す営業利益は前期比2.8倍の17.8億円だった。
オペレーションの標準化がカギ
好調だった最大の要因は、既存店の伸びが続いたことだ。SNSを活用した販売促進や新商品導入によって、銀だこの既存店売上高は前期比5.7%増を達成。
「クロワッサンたい焼」がヒットした、たい焼きチェーン「銀のあん」の既存店も同60.0%増という高い伸びを記録した。
一方で、新規出店も積極的に行った。2014年度末時点で店舗数は銀だこが16店、銀のあんが9店の純増となった。
国内外を合わせたグループ合計では45店の純増となり、合計店舗数は588店まで拡大した(うち、国内の銀だこは416店)。
たこ焼きのような“焼き物”のチェーン展開で難しいのが、店舗ごとのオペレーションの水準をそろえること。
これまでも、外食チェーンが店舗網を急激に拡大した結果、オペレーションの劣後が目立ち始め、常連客からの信頼を失い、既存店の収益が急悪化した例は多くある。
店舗網を急拡大させているホットランドが同じ轍を踏まないために取り組んでいるのが、専用機械の内製化だ。
同社は技術者を雇い、店舗スタッフの意見を踏まえながら、鉄板を含む調理用機器の開発・製造を自前で行っている。
全店舗に同一の機械を導入することで、社員がどの店舗に行ってもアルバイトに対し一定水準の教育が施せ、店舗ごとのオペレーションのバラツキを抑制することができるという。
「外注であれば機械の改良も時間や手間がかかるが、自前でやれば対応も早くなる。独自の機械を作ることで独自性の高い商品を提供し、参入障壁を築くことができる」(佐瀬守男社長)
専用機械の内製化は、直接的な収益の向上にもつながる。2014年度はフランチャイズ(FC)加盟店向けに286台、金額ベースで3.5億円を販売した。
「これからは海外のFC店が拡大していくことで、この機械が世界に向けて輸出されていく。メンテナンス収入の増加も期待できる」(佐瀬社長)。
5年後に銀だこで国内700店

スタンダードなたこ焼きは8個入りで通常550円(税込み)
2015年度は国内の銀だこだけで58店の純増を計画しているが、業態は主力のフードコート型だけではない。
冒頭のハイボール酒場のようなアルコール業態をはじめ、「銀だこカフェ」というカフェ業態、住宅密集地などでは宅配に特化した「宅配銀だこ」など、立地に応じた展開で店舗網を拡大していく構えだ。
同年度は売上高304億円(前期比11.1%増)、営業利益で19億円(同6.6%増)を目標に、アジアを中心とした海外展開も加速させる。
東京五輪が開催される2020年度には、銀だこだけで国内700店体制を築く計画だ(2015年度末で474店の見込み)。
とはいえ、外食市場が成熟している日本国内で加速度的に出店していくリスクは決して小さくない。自社開発の機械でオペレーションの質を一定に保てたとしても、
消費者の飽きが早くなっているため、商品が陳腐化しやすいからだ。継続的な商品改廃や新ブランドの展開が、今後のホットランドの成長を占ううえで重要なポイントになりそうだ。
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