スマイル日和+

子育ては「自分育て」。smile流「自分育て」の日々をつづります。

15歳のためのベッドタイムストーリー

2019-05-29 | smile diary
ボランティア活動としての読み聞かせは、
私の中のライフワークとして
今もまだ途切れることなく続いている。

だからというわけではないけれど、
最近15歳の末っ子君に
毎日のように読み聞かせをしている。


読み聞かせは、
子どもの頃から好きだった。

読んでもらうのも、読んであげるのも。

どちらかというと本には恵まれた家庭だったので、
毎日のように何かしら本を読んでもらったり
妹たちに読んであげたりで

そんな環境が影響したのか
国語の時間に一人で音読するのが
とても好きだった。

みんなで声を合わせて読む「群読」や
交代して読む「輪読」は、
正直嫌いだった。

そういう読み方をしても、
読んだ内容が自分の中に入ってくる気はしなかった。

バイト先の学童での読み聞かせが
自分自身の子育ての読み聞かせになり、
子育てサークルの読み聞かせ
そして読み聞かせボランティアの活動へとつながった。

子どもが小さい時は
読み聞かせを一時期夫に任せていたのだが

子ども達がそれぞれ成長するにつれて
夫の読み聞かせもいつの間にかなくなり、

私自身も彼らに読んであげることは
ほぼなくなっていたように思う。

そう考えると、再び私が読むようになったのは
末っ子君の「家にいる時間」が多くなってからだと思う。


中学生の頃はまだ、
本人が読みたい本を選ばせていたのだけれど、
持ってくるのは読んだことのある絵本が多かった。

最近は高校生になったこともあり
内容を少しレベルアップさせて

私が読んであげたい小説を選び
寝る前の約1時間弱に読み聞かせるという習慣が
この1ヶ月ほど毎日続いている。

そして、読み聞かせる本のほとんどは
喜多川泰さんの本だ。

彼の作品に登場する主人公は、
おおかた中高生か20前後の若者。

息子の等身大の登場人物が
様々な困難を周囲の力を借りて乗り越える。

若者たち特有の揺れる心と目まぐるしい毎日を
まるで応援しているかのような作風に
私自身を重ねてしまうのだろうか、
このごろは彼の作品を片っ端から読み漁っている。

それらの本には私から息子への
今しか伝えられない思いも
凝縮されているように感じられるからだろう。

会話の部分なんかは
読みながらついつい熱が入り
演じてしまうこともある。

息子はそれを聞きながら寝入る日もあれば、
私の方がうとうとしながらまともに読めない日もあり

それでもその時間が今は
私たち親子にとって外せない
コミュニケーションの場になっているのだ。

息子自身も穏やかな気持ちで
今日の出来事や自分の考えを語る日もあれば

日々の不安に
ただただ母にへばりつきながら
読み語るのに耳を傾ける日もある。

息子の気持ちのUp&Downに
私自身が振り回されそうになった時でも

この時間のおかげで
私自身が自分を取り戻せている気もする。

高校生という次のステップに
一歩を踏み出しはじめはしたのだけど、

彼の一歩は
それはそれは独特で
彼にしかできない第一歩で、

もしかしたら、
他の人たちはそれを
「前進」とは呼ばないかもしれないのだけど、

それでもやっぱり、
私には前進にしか見えないから
それは前進なんだなと思う。

今日は私の読み聞かせの前に
息子が国語の教科書を自分で音読した。

読み終えてすぐに、
「途中で詰まるんだよなぁ」とつぶやいた。
「お母さんのように読めない」と。

誰だって初めて読む文を
そんなにすらすらと読めはしない。
きみはきちんと読めていたよ。

慣れてくれば、
少し先の文字を目で追いながら
今目を通した言葉を発声できるようになるから。

そう言った後で、
今度は私が「昨日の続き」らしいあたりから
読み聞かせを始めた。

現在読み進めている本は、
『運転者』という本。

喜多川泰さんの最新刊だが、
彼の作品には珍しく
主人公は40代の男性。

自分はアンラッキーな人間だと思って
毎日不機嫌に過ごす彼の前に
突然現れたのは、謎のタクシー。

その運転手は、
「あなたの運を好転させる場所まで連れて行きます」と
主人公を乗せて勝手に車を走らせる。

先が気になる展開と運転手の目から鱗の言葉に
こちらまで主人公と同じように
少しずつ気持ちが上がってくるのを感じる。

息子はどうなのかな。
何か心に残るものがあるのかな。

敢えて感想は聞かずに、
お互いの中でストーリーの余韻を楽しんだ。

「今日はここまで、明日もまた
楽しみにしていてね。」

そう静かに言ってライトを消した。

Good night.
Sleep tight.


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