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彼はロックが好きで・・・想い出綴り

2019-01-08 14:44:40 | 想い出
『彼はたぶん、おそらくロックが好きだった。
レッド・ツェッペリン 、ディープ・パープル 、クィーン、ドアーズ、ドゥビーブラザーズ、ZZトップ

吉祥寺五日市街道沿いの賃貸住宅は比較的しっかりした造りで、隣室の音もさほど気にならなず
レコードやビデオもほどほどの音で楽しめる環境だった。

ワタシといえばロックが苦手で。
「ライブビデオは一人で楽しんでね」などと
全くもって失礼極まりない言葉を吐きキッチンで何やらゴソゴソやり始めるしまつ。

そのうちに彼は周到な作戦をコツコツ積み重ね苦手なワタシが
ドゥビーブラザーズ来日の折には東京・横浜へ追っかけるまでになっていた。


作戦は実にうまく練られていた
「落とせないオンナはいない」くらいのことをサラリと口にする人だから
自然にスムーズに心地よく引き込まれついつい観てしまったライブビデオ。
ワタシの趣向するジャズフージョン系寄りの曲調でどれも野外で大自然の中で湖前や青空の下。
くぐもった声のマイケル・マクドナルド、Wドラム、スタイリッシュなサウンド
ドゥビーブラザーズってこんなだっけ、ビールやバーボン片手に歌ったり踊ったり、すごく楽しそう
ロックの印象が大きく覆る。
当時のワタシはフージョンジャズ一辺倒、チックコリア、ハービーハンコック、アル・ディメオラ
やっぱりドラムはスティーブガットだなどと。
超絶テクニックギタリスト、ディメオラやジャズヴァイオリン、ジャンリュックポンティのライブでは
一人で来ている唯一の女子でマニアックな男性ファンから好奇の目を向けられていたりしたのです。

ところで彼の作戦は。
真夏の暑い盛り、休日の昼間に窓をしっかり締め切り緩めのエアコン温度設定、
凍るほど冷やしたグラスにキンキンに冷えたビールやワイン
TVの前なのにライブ映像の中に参加しているような錯覚
「いつか行きたいねぇホノルルライブ」思わずそんな言葉が。
そしてこれまで毛嫌いしていたことを後悔してみたりさせるのです。』

ショートストーリー 想い出綴り

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