マヤ神官の日記、マルデクの預言

『マヤ神官の日記』、2008年4月30日完結!
『太陽系第5惑星マルデクの預言』2009年2月15日連載開始!

マルデクの預言、その27の7 仮の姿

2012-04-25 22:11:22 | 本編
その27の7 仮の姿
「何か、気になることでも?」
テレパシーの通じる同士でも、読めない内容もある。
「預言が少し・・・」
ヘロン老師が言葉を濁すと、その老師は、
「預言か・・・」
と少し思案して、口を切った。
「やはり、住民たちの地下への避難を進言しておこう。念のためな!」
ヘロン老師は立ち止まって
「ありがとうございます!」
と頭を下げた。
 村人の中から、ヘロン老師や他の老師の濡れた着物を丸めて持ってきた者がいた。
体が大きく力持ちでありながら、意外と俊敏なヤクだ。
「ヘロン老師、お呼びですか?」
無意識に彼を呼び出してしまった。ヤクは、生まれつきヘロン老師の固有振動に対する感応力があるらしい。老師がどこにいようと、たちまち見つけだすことのできる特殊能力があることが最近分かった。

ヤクの顔は、髭の濃い熊のような少々人の良すぎる顔なので、顔を見ている限りは、どこにそんな感応力があるのかと、思う。が、ヘロン老師には家族がなかったので、彼には特に親近感を覚えていた。
 ヤクは濡れた着物をどうしたらいいのか、困っていたが思い切って小脇に抱えると、ヘロン老師の前に跪いた。
 老師が、
「ヤク、立ち上がってくれないか?」
と頼むので、途方に暮れた顔で立ち上がったところで、突然、老師に抱き付かれた。自分の方が背が高いので、老師はヤクの首に手を回し肩に顔をうずめている。心臓が飛び出しそうに高鳴る。老師のハーブティーのような甘い髪の香りが、ヤクを余計に緊張させた。

 ヒーリングにはいろいろな方法があるが、固有振動が感応する者同士というのは、二人の波長で大きなアルファ波となるようだ。かなり落ち着き安心できる。ヤクは、甘い香りの人がぴったりと体を合わせて波長を合わせてくるのに、始めて感じた。いや、官能した。口の中に甘いつばが湧き出てくるような、奮い立ち、融合するような錯覚に陥る。
 
 思わず小脇の着物を落とし、老師を抱きしめた。


今日もここまで。
皆様、長い間、ご無沙汰していました。娘の大学受験にすべてのエネルギーを持っていかれていました。
無事大学生になってくれまして、やっと、書き始めることができました。
全て終わったところで、本人にとって、私たちにとって一番いい大学に決まりました。
第1志望に落ちた時はがっくり来ましたが、本当に今ハッピーなので、そういうことだったんだ、と思います。
ご心配をおかけしました。
今後ともよろしくお願いします!