「不文律」、まさに、そんなブログの引っ越し作業の結果、
100を超える記事の画像が表示できなくなり、非公開としました。
記憶を呼び起こしつつ、漸次、復活・再生させるつもりですが、
正直、皆目見当のつかない画像も多々あります。
上記のように、連続性を維持することは、このシリーズの
重要なファクターですので、時間がかかっても復活・再生を
果たさなければならないのですが、漸くこれで52作目です。
さてと、それでは、ここからが、
『ダ・ヴィンチの罠 不文律(改)』
の記事になります。
(以下、本文)
奇跡であれ 何であれ 結果(出来事)には
必ず原因があるもので、処女懐胎という
およそ起こり得ない現象をもって「神の子」
などと申すは笑止千万と切り捨てるつもり
で描いたダ・ヴィンチのデビュー作品が、
『受胎告知』hatenablog.com
『受胎告知』(1472年-75年)である
『受胎告知』部分 amazing-trip.xyz
と小生は睨んでいるのですが ・・・
『受胎告知』部分(マリアの表情)hatenablog.com
御使いガブリエルが携える白百合の花も、
おしべが花粉を出して、
めしべが花粉を受ける。
それが受粉(受精)であり、
人間においては受胎となる。
天邪鬼のダ・ヴィンチが逆説的に選んだ
『受胎告知』部分(ガブリエルの目)hatenablog.com
画題がそこにあって、そのサインとして
皮肉を込めて、隠喩的に、表象した
イメージが、これらの「謎」に満ちた
『犬など爪のある肢の習作』1485年
(Studies of a dogs paw,about)
ダ・ヴィンチの素描(動物の肢)
状況証拠たる「罠」の数々なのです。
『龍とライオンの戦い』(聖母子が三方向に描かれている)
それらの具体的な意味合いについては、
これまでの記事に分散されていますので、
そのさわりとなる解説として、取り敢えず、
『ダ・ヴィンチの罠 サイン』
『ダ・ヴィンチの罠 謎の肢』
などを参照してみてください。
さて、
一口にユダヤ人というと、宗教的民族集団
(ユダヤ教を信奉する人で人種は問わない)
を指しますので、ちょっと違いますが、
一般的にイタリア人やギリシャ人と言えば、
「日本人」と同じ民族の呼称になります。
一方で、『聖書』に見られるサドカイ人や
パリサイ人は、「〇〇派」や「〇〇家」 、
要するに、
思想・信条や家系などで纏(まと)められた
集団で、「人(じん)」ではなく、「人(びと)」
と、その呼び方も違います。
さらに、
「〇〇はガリラヤ人」というような場合には、
ガリラヤ地方の出身という意味になります。
『聖書』に 「〇〇人」と表記されていても、
その使われ方は多岐・多様なのです。
そうした意味から言えば、「レビ人」とは、
「レビびと」と読みますが、「派」よりも広範で、
且つ、厳選のうえで、「神」のために聖別
された存在であり、血統で括(くく)られる
贖(あがな)いの一族でもあるのです。
「レビ族」とは ヤコブの三番目の息子で
ある「レビ」を祖とするイスラエルの部族の
ひとつなのですが ・・・
イスラエル12部族 soku30.jp
『民数記』1章、2章によれば、
イスラエルのそれぞれの部族の人口に
関する調査が行なわれ、それぞれが父祖
の家に従って登録されたわけですが、
そのとき、主はモーセに
「あなたは、レビの部族だけは数えては
ならない。またその総数をイスラエルの
人々のうちに数えあげてはならない」
(民数記1:49)
と言われました。
「わたしは、イスラエルの人々のうちの
初めに生まれたすべての初子の代わりに、
レビ人を、イスラエルの人のうちから取る
であろう。 レビ人は、わたしのものと
なるであろう」 (民数記3:12)
「初子はすべてわたしのものだから…」
(民数記3:13)
つまり、
「レビ族だけは、他のイスラエル人と一緒
に登録してはならない」とする理由(わけ)
が、そこにはあったのです。
『モーセ像』と『アロン像』ja.wikipedia.org
「レビ族」は「神」にとっては、
特別な存在であり 「神」のために聖別
された血族が、彼らに他ならないからです。
「主はモーセに言われた」
(出エジプト記13:1)
「イスラエルの人々のうちで、すべての
初子、すなわち、すべて初めに胎を
開いたものを、人であれ、獣であれ、
みな、わたしのために、聖別しなくては
ならない。それはわたしのものである」
(出エジプト記13:2)
すなわち『出エジプト記』によって、
イスラエル人の初子はすべて「神」
のもの(13:2)となるわけですが、
その初子を「神」に捧げる代わりに
初子一人につき、一人のレビ人によって
贖(あがな)われる(身代わりにさせる)
という意味なのです。
従って、レビ人のレゾンデートルは、
イスラエルの人々の初子の身代わりと
してのもので、贖いの対象物なのです。
ですから、
レビ族は、ヤコブの息子の血筋で
ありながらイスラエル12部族(支族)に
数えられていないのです。
イスラエル12支族(士族・氏族) w.atwiki.jp
このように、
レビ人(レビ族)は「神」に奉仕する
ために聖別された一族で、祭司の家系、
すなわち アロンの系譜の「特別職」と
それを支え補佐する役割の「専門職」を
持つその他のレビ人に分かれます。
「特別職」の最高位である大祭司は
世襲でアロンの長子を通して継承され、
大祭司の装束 12個の宝石を縫い付けたエポデ(胸当て)caramel24c.exblog.jp
専門職のレビ人は祭司の下働きと
いうか チームリーダーとスタッフの関係で
そこからさらに、現代で言う教師や執事の
ような役割を担うようになります。
継承する土地や嗣業を持たないために、
イスラエルの12支族には入りませんが、
イスラエル12支族の紋章 ameblo.jp
血統が重んじられるイスラエルの家系の
なかでも レビ人、それも祭司の家系で
あるアロンの血筋は別格であり、
レビ族(アロンの血筋)www.jw.org
決して、
絶やしてならない血統を守るためには、
暗黙の掟や禁じ手の特別ルールなどが
「不文律」として存在していたのです。
畢竟、
そこに目を付け、マリアの処女懐胎を
推理したダ・ヴィンチのシナリオは 、
こういう筋書きでした。
マリアの受胎の経緯が『福音書』の
記述通りであれ、そうではなかったにせよ、
いずれの場合においても、なお、
疑問点として残るのが、マリアの周辺に
おいて「事の次第」を見聞きしていたナザレ
の人々の対応と『姦通罪』の容疑における
無罪放免の裁決です。
この辺りのことが不明の方は、
『ダ・ヴィンチの罠 姦通罪』
を参考にしてみてください。
そのような判断を下した司祭もナザレの
民衆も黙認せざるを得ない事態とは ・・・
ふむふむ。
画像元:www.pinterest.jp
通常 同族同士の結婚が掟のイスラエル
ですが、後継ぎではない長男長女以外は
他の氏族と結ばれることがままあったよう
に、レビ族の女性の多くが他の氏族に
嫁ぐことはこの時代、一般化していました。
その場合に普段は夫側の氏族、例えば
ユダ族のダビデ家ならばダビデの家の者
として暮らすわけですが、
一旦緩急あれば、レビ族の娘として
「神」に仕えないといけないわけです。
ところで、
マリアの父 ヨアキムは ユダ族で ダビデ
の子孫ですが、母親のアンナはレビ族の
大祭司アロンに繋がる家系の祭司マタン
の娘であり、彼女の姉妹であるゾイアの娘
がエリザベツですから、
出典:www.kyobunkwan.co.jp
マリアとエリザベツとは従姉妹(いとこ)
同士ということになります。
そこで、
ダ・ヴィンチはハタと思ったのです。
糸口となったのはエリザベツの妊娠
を知ったマリアが彼女の暮らすユダの
町に行きザカリヤの家に滞在していた
という記述でした。
エリサベツと聖母マリア Wikipedia
「マリアは、エリザベツのところに
三か月ほど滞在してから家に帰った」
(ルカの福音書1:56)
要するに、
そこそこの期間にわたって、長逗留
(ながとうりゅう)していたという事柄に
真実が隠れていると直感したのです。
祭司のザカリヤとエリザベツは
同族でアロンの傍系ですが、子ども
に恵まれずに老境に入っていました。
出典:www.ids.org
ザカリヤの願いはアロンの血統
を受け継ぐ子どもの誕生でしたが、
ザカリヤと大天使ガブリエル ameblo.jp
願いが「神」に届いたのか、老齢
の妻エリザベツが懐妊します。
ザカリヤと天使ガブリエル(ヨハネ誕生の告知)
出典:www.igmtokyo.com
21世紀の現在においても、高齢出産
にはそれ相応のリスクが伴いますが、
2000年前と現代とは 比ぶべくもない
ほどに、その危険の度合いは半端なく
大きかったと思われます。
もちろん、
ルネサンス時代においても、新生児
の死亡率のみならず母体への危険度
は相当に高かったわけですので、
ダ・ヴィンチにはザカリヤの心配が
手に取るようにわかったはずなのです。
そんな折に、年の離れたうら若き娘で
ある従姉妹のマリアが、エリザベツ
を訪ねてきたのですから、
マリアのエリザベツ訪問 :tomoshibi.or.jp
ザカリヤとしては好都合も好都合の
絶好なる「渡りに船」だったわけです。
マリアも表向きはダビデの家系の
嫁になるとは言っても、相手はうだつの
上がらない大工の、しかも、年を食った
男やもめのヨセフだったのですから、
『聖家族と仔羊』ラファエロ・サンティ1507年
言わずもがな、であったか、あるいは、
事前に、ヨセフとの間で何らかの因果を
含んだ合意があったうえでの訪問だったの
かもしれません
何せ、マリアにはレビ族の大祭司
アロンの末裔としての血が混じって
いたわけですから ・・・
ちなみに、
『ヤコブ原福音書』の記述では、
『受胎告知』『ヤコブ原福音書』16世紀 エチオピア パリ国立図書館蔵
出典:www.kogei-seika.jp
ヨセフにマリアを娶らせた人物は、
祭司ザカリヤであったとしています。
その経緯を大まかに説明すると、
3歳の時に神殿に預けられたマリア
が12歳になって生理(初潮)を迎える前
(主の聖所を汚さぬため)に、男やもめ
(妻に先立たれた男)を集めて、養い人
(婚約者)を募った。そのとき、婚約者と
して選ばれたのがヨセフでした。
しかし、
彼は年を取っていたので、マリアを
引き取ることを拒んだのですが、祭司
ザカリヤから「神」の決定に口答えを
してはいけないと強要されてマリアを
引き取ることにしたのだそうです。
さらに、マリアは馬小屋ではなく
洞窟で出産したとされていますが、
『岩窟の聖母』 ルーブル版
意外と
こうした外典・偽典とされる文書
(ヤコブ原福音書等)に ダ・ヴィンチは
精通していたのかもしれません
確かに、
下級祭司の身分と言えども、アロン
の血統の継承を重んじるザカリヤ
が思い切った行動に移した可能性は
決して少なくはありません。
祭司の任命(胸当てに12部族の宝石) kakounet.com & dailydevotion.jugem.jp
大祭司のみならず祭司においても
厳しい規律が設けられていたのですが、
おそらくザカリヤは、大祭司並みの
戒律を己自身に課していたのでしょう。
ザカリヤとエリサベツとヨハネ
出典:39bible.blog.fc2.com
『旧約聖書』に、初子は「神」に
奉仕する子で、しかも、預言者モーセ
は大祭司に厳しい戒律を求めた。
曰く、
「彼は処女を娶らなければならない」
(レビ記21:13)
「寡婦、出された女、汚れた女、遊女
などを娶ってはならない。
ただ 自分の民のうちの処女を、妻に
娶らなければならない」
(レビ記21:14)
(自分の民のうちの処女とは、
レビ族の生娘の意味です)
当時、正式な婚姻は禁じられていて
も、アロンの血統を維持するために
このようなことも多々おこなわれていて、
黙認されていたと言われています
「メノーラー」meigata-bokushin.secret.jp
洗礼者ヨハネのケースで言えば、
彼もイエスと同様に 聖霊の力により
身ごもった子であるとされていますが、
ヨハネの両親は同じレビ族だった
ため 仮に精霊の力で懐妊したとしても
不義の子とは見做されずに済みます。
ですが、
イエスの場合には、未婚の、しかも、
婚約中の生娘であったマリアの妊娠
に係る事件でしたから問題とならない
わけがありませんでした。
しかしながら、そこはそれ、
特別職での「暗黙の了解」、言わば
血統の維持・継承における動かしよう
のない「不文律」があり、
不文律(暗黙の了解)イメージ mi-ej.com
それ故に、マリアは無罪放免を勝ち得た
ものとダ・ヴィンチは推理したわけです
つまり、彼によれば、
イエスの父親は、祭司ザカリヤで
あり、洗礼者ヨハネとイエスとは
異母兄弟の間柄にあって、
(ホントかよ!)
こりゃあ、注目発言だな!
『旧約聖書』における本当のメシア
(救世主)は、兄である洗礼者ヨハネ
だと訴えている絵画が、2種類ある
『岩窟の聖母』というわけです。
それだけではなく、
『東方三博士の礼拝』
『東方三博士の礼拝』では乳香
の入った瓶のふたをヨセフに持たせて
いるのは、なんとも意味深ですし、
『東方三博士の礼拝』修復版(部分)amazing-trip.xyz
その様子を探るようにたたずむ左隅の
僧侶のような老人(ダ・ヴィンチ?)
『東方三博士の礼拝』修復版(部分)amazing-trip.xyz
そして、
『東方三博士の礼拝』修復版
人差し指を天に突き立てる謎のポーズ
さらに、
『最後の晩餐』では斬首された洗礼者
ヨハネのメタファとして、首と手だけの
トマスが「真実を告げろ」と
画像元 レオナルド・ダ・ヴィンチの小部屋
イエスに迫っているように見えるし、
『洗礼者ヨハネの首を受け取るサロメ』ベルナルディーノ・ルイーニ
まだまだ、その他にも、最期まで手もと
に置いていた3枚の油彩画をはじめ、
『聖アンナと聖母子』『モナリザ』『洗礼者聖ヨハネ』
ほとんどすべてのダ・ヴィンチ作品には、
手もとに残した3枚の絵を合成したドラゴンレーダー
何らかのかたちで「罠」が仕組まれて
いるのですが、
それって、
「暗黙のルールよね」
「暗黙の了解」じゃろうな
妙な詮索をしないのが
「わたしの不文律よ !!」
「だ・よ・な !!」
・・・ って、おいおい、
ということで、今日はここまでです。
不文律(暗黙の了解)sanjijukugo.com
あくまでも、ダ・ヴィンチが自分勝手に
そう思っているだけのことですが、
なぜに、
イエスではなく、洗礼者ヨハネが
「救世主」(メシア)だったのか❓
については ・・・
次回以降での探索課題とします。
イタリア・ルネサンスの三大巨匠
出典:www.el.tufs.ac.jp
ダ・ヴィンチの理解者にして、協力者
でもあるルネサンス三大巨匠のひとり
出典:blogs.yahoo.co.jp
ラファエロ・サンティの描くヨセフは、
余りにもヨボヨボで哀れです
『聖家族と仔羊』ラファエロ・サンティ1507年
子羊を人面仕様(洗礼者ヨハネの顔)
で描いているようにも思われますが・・・
気のせいですか?
「ユダヤの王ヘロデの世に、アビヤ組
の者で名をザカリヤという祭司がいた。
彼の妻は、アロン家の娘のひとりで、
その名をエリザベツといった」
(ルカの福音書1:5)
「ところが、エリザベツは不妊の女で
あった為、彼らには子がなく、そして
ふたりともすでに年老いていた」
(ルカの福音書1:7)
出典:www.ids.org
そんなザカリヤもとに 主の御使いが
現れて、彼に言った。
「恐れるなザカリヤよ、あなたの祈り
が聞き入れられたのだ。あなたの妻
エリザベツは男の子を産むであろう。
その子をヨハネと名づけなさい」
(ルカの福音書1:13)
ザカリヤと天使ガブリエル(ヨハネ誕生の告知)
出典:www.igmtokyo.com
御使いであるガブリエルはヨハネが
母の胎内にいる時からすでに 聖霊に
満たされており、主の御前に大いなる
者となって、イスラエルの多くの子らを
主なる彼らの神に立ち帰らせるだろう。
(ルカの福音書1:15-16 要約)
『その名はヨハネ』 出典:ameblo.jp
いやはや、ところで、これは・・・
祭司ザカリヤ、あるいは大祭司イエスの真の姿❓
(ホンマでっか) (んなわけないがな)
じゃあ、これは、いったい誰❓
出典:deskgram.net
『洗礼者聖ヨハネ』1513-1516年
(ゲロゲロ ・・・)
… to be continued !!