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お芝居の感想などを

リチャード三世(東京芸術劇場 プレイハウス)

2017年10月28日 | その他舞台
 「リチャード三世」という作品に触れたのは、これが初めて。2回観劇出来たのですが、これはもっと見たかったなあ。大変好みな舞台でありました。

 ほぼ木下順二訳の原作通りではあるのですけど、カットしたり入れ替えたり、連続した物語というよりイメージの連なりと言う感じ? 様々な不気味なものが現れては消えていく。それを繋ぐ縦糸がリチャードでありマーガレットであり、みたいな。

 オープニングがいきなり乱痴気パーティーなの好きー。マイクパフォーマンスも好きー。クラレンス暗殺シーンの生々しさ。幼い王子たちが閉じ込められて戸を叩く絶望。リチャード、ケイツビー、ラトクリフ三人並んだ時の退廃感。女たちの呪い。そしてそうきたか!とびっくりした「この世に望みを絶って死ね」。

 クラレンスやリヴァーズ達を死に至らしめたビニールは「権力」なのでしょうが、リチャードは自らその中に取り込まれにいっちゃうんですよねー。だって妻には目もくれず、ひたすら椅子にハアハアしてたもんね。で、バッキンガムを殺すのはまさにそのビニールだったという。そしてバッキンガムすら切り捨てた結果、まったくの孤独になってしまうのですよ。舞台にひとりだけ。代書人はいるけど。

 リッチモンドがリチャード並の悪党っぽいのも面白いねー。リチャードの幻の中に、リチャードの姿で現れる。

 蔵之介さんは器用な役者さんではないと思うのですけど、佇まいが美しいのですよね。極悪人役には清潔感があり過ぎかもなのですが、この演出で濃ゆい役者が演じたら多分私は胃もたれしちゃうので、今回のバランスが良いです。役者さんは皆良かったですが、特に女優陣は印象に残りました。今井さんのマーガレット格好良いですわ~。



作・演出作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:木下順二
演出・上演台本:シルヴィウ・プルカレーテ

 佐々木蔵之介

 手塚とおる 
 今井朋彦 
 植本純米(植本潤改メ)

 長谷川朝晴 
 山中崇

 山口馬木也
 河内大和 
 土屋佑壱 
 浜田学 
 櫻井章喜

 八十田勇一
 阿南健治
 有薗芳記
 壤晴彦

 渡辺美佐子


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