僕と空と真っ赤なウソとホント

幅広い志向と視線でクラクラするほど遠くまで見渡す事を試みる美しき日々

Loungin'(Guru)

2006-03-09 15:51:22 | 小説

ん?春かしら?ノドンかしら?
どーも。僕です。




春一番も吹いたし
東京も一年ぶりの春です。


一年なんてあっちゅー間です。


こんな調子であっちゅー間に
夏が来て秋が来て、また春が来る。

冬は来ない。

春が来て、また年をとる。


思い出すことが増えて、思い出せないことが増える。

甘酸っぱいミカン色からしだいに酸味が消え、
甘みも・・・なくなっていくのかな。

年をとるって、あまりいいもんじゃないけど、
近頃は悪くもないように思える。

ん~、確実に「おっさん化」ですか?
いや、大人の深みを順調に手に入れてるとの噂です。



沈丁花の花が開いている。

春を感じる。
強く放つあの甘酸っぱい香りは、
それでもどこかから優しさを連れてくる。

あのビジュアルと香りは、ある意味で魔物だ。

道を歩く僕の意識を突然過去のへと運び去る。

ある時は物心ついてすぐの綺麗な夕暮れだったり、
ある時は一昨年の誕生日の痛い思い出だったり。

ふと気づくと三好鉄生の「涙をふいて」を口ずさんだりしていて
通り過ぎるOLにクスクス笑われて恥ずかしかったり。



春の日差しに中てられて
スキップしたり、意味もなく走りたくなるのは
それが季候によるものなのか、気候によるものなのか。

空気の肌触りも、景色さえも驚くべき変化。

こんな気分になるのは春が春ゆえに起こる二次災害だ。
好む・好まざるに関わらず、少なからず掻き乱される。

こんな気持ち勘弁してくれよ、とも思うけど
まぁ、春だし勘弁してやろう。



チャリに乗ったおっさんが、
その漕ぐ足を止め、ブレーキを掛けて立ち止まる。

沈丁花の花の匂いを(少し恥ずかしそうに)嗅ぐ。

クンクン。

「自分はおっさんだから」という負い目からかな、
それはほんの一瞬だけ。


甘酸っぱい季節へ連れて行かれた、昔は若かったおっさんに
僕は少しほっこりした気分になる。







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