サブロー日記

随筆やエッセイを随時発信する

脂取り騒動

2009年01月03日 | Weblog
サブロー日記     2009-1-2
     熱に犯されたか??
 サブローの入院もその後5.6日もすると熱も下がり息もし安くなって来た 先日から入浴を勧めてくれるが自分は入る気にならなかった しかし今日は久しぶり入ってみようと思い係りの人の案内で浴場に….この新築の病棟 なんぼかきれいな浴室になっているだろう ホテルの温泉のようなものになっていると期待は大きい  「はい此処です」どうぞ...と促された サブローにはまだ熱が有ったのだろうか?  おかしい 奥の方を覗き込むと湯煙の中に4.5人の係りの人がうごめいている 良く見えないがどうも西洋人のようにも見える これがあの噂の外国から雇った医者か サブローは池川の町史の中に脂取り掻動の古文書を思い出していた 脂取り掻動とは (明治3年新政府が五台山近くに吸江病院と言うものを建て外国人医師を雇い入れ新しい西洋医学を取り入れた この珍しい病院 これを池川の奥の人が五台山参りの途中立ち寄り中の様子を覗き込んだ おおの吃驚 日本人が裸にされ大きな鉄灸 金網の寝台にのせら腕から針を刺し生き血を吸い取っているではないか やはり噂の通り毛唐が日本人の生き血を飲み鉄灸で脂を焙り出して食らっているとは本当か はよう帰って皆に知らさんと このことが有り池川 大崎 野老山 宗津 岩戸 今の高吾北の群衆がムシロ旗を押し立て一揆を起こし大騒動となった しかし維新の官憲に解散させられ 最後には煽動者4人が今成川原で即刻処刑され 総大将 用居の舟形の住人竹本長十郎は高知に護送されていたが官憲は群衆に取り返へされるのを恐れ伊野の波川の川原で処刑された)
 この事件を思い出したサブローの脳天は更にうつろなものとなって来た これはいかん此処では今も人の脂を取っている よく覗くと湯気の奥には自動で鉄灸が湯に浸かるようになり そこには痩せた男が乗せられ今やその鉄灸を湯に浸けようとしている 入り口には次の裸が鉄製ベットに用意されている さらにその奥に2人準備され 洗われていた これは大変早く帰って長十郎に言わねば………
  サブローは勧められるのを振り切って 我がベットに潜り込んだ…..
3日後早い時刻に1人で気持ちよく入浴させてもらった……….。