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聖書のことばを中心に、2019年12月から、あふれる思いをブログにまとめています

ヨナ書

2023-02-04 11:08:05 | 旧約聖書

反抗的な預言者ヨナ

この書は 神が敵を愛することに腹をたてた反抗的な預言者の物語です。旧約聖書の預言書は、預言者を通して語られた神の言葉を集めたものであるのに対し、ヨナ書は 預言者の言葉には焦点を当てていないという点が特徴的です。
これはむしろ預言者の、それも性格の悪い預言者について の物語なのです。

ヨナは旧約聖書の中でほかにもう一 か所だけ登場しています。それはイスラエルの王たちの中でも最悪な王の一人ヤロブアム2世の時代です。ヨナは彼に有利な預言をし彼は戦いに勝ち イスラエルの北の境界線を広げて領地を増やせるだろうと言いました。

ここで重要なのは預言者アモスはヤロブアムと対決し 神はアモスを通してヨナの預言を全部覆し ヤロブアムはその罪深さのために領地を全部失うだろうと言ったことです。つまりヨナ書より前の書にすでに、彼の人格を疑うようなエピソード があるのです

 

構成・登場人物

ヨナ書は対照的な組み合わせを シンメトリーに見せる巧みな構成になっています。
1章と3章はヨナと非イスラエル人の出会いについて記しています。まずは水夫たちそしてヨナが憎むニネベ人たちです。どちらの場面もヨナの自己中心的な姿と 異教徒の謙遜さと悔い改めというコントラストを皮肉に描いています。
2章と4章はヨナの祈りです。一つは悔い改めらしき祈り。もう一つは神は寛容すぎると言って怒っている祈りです。
この工夫をこらした構成は個性的なナレーションとよく合っています。

登場人物
物語には 読者の予想とは反対のことをする人物がたくさん登場します。
・神に反抗し怒りをむき出しにする神の人預言者。
・荒っぽい人々と思われがちな水夫なのに実は柔和で 悔い改めて神に立ち返る謙遜な人たち。
・そして非常に強く凶悪な帝国の王が ヨナの短くそっけない言葉で神の前にへりくだり 王の家畜たちさえそれに倣ったというのです。
現代ではこの種の話を風刺と呼ぶでしょう。風刺とは特殊な状況に置かれた登場人物の愚かさや欠点を ユーモアや皮肉を用いて表す物語のことです。

ではそれぞれのセクションを詳しく見ていきましょう

1.ヨナと水夫たち

物語は神がヨナにメッセージを伝えるよう命じるところから始まります。
相手はイスラエルの宿敵アッシリア帝国の首都で、悪と不正がはびこるニネベの街でした。
ところがヨナはニネベとは反対方向に逃げ出し船を見つけると、できるだけ西に 向かおうとタルシシュを目指しました。

なぜそんなことをしたのでしょうか。
恐れのために逃げ出したのか、あるいはニネベ人が嫌いだったのか、ここではまだわかりません。とにかく神の人は神から逃げだしました。
そして異教徒の水夫だらけの船 に乗り込み、船底に降りると眠りこんでしまいました。
神は預言者の目をさますために 大嵐を起こしましたが、
皮肉なことに、船の上で働いていた水夫たちはしっかりと覚醒し、事態を把握し、これは神の力によるものだと悟りました。

そこでくじを引いてその原因となった人を探すと、それはヨナでした。水夫たちがヨナに訳を尋ねるとヨナは偽善的なたわごとをまく したてました。私はへブル人で海と陸を造った神を礼拝していますと。よくそんなことが言えたものです。ヨナは海と陸を造った神から逃げるため 船に乗っている大馬鹿者だというのに。

水夫たちにどうすればいいかと聞かれたヨナは、自分を海に投げ込んで殺せばいいと答えます。一見立派な答えですが、実はそこに究極の自己中心が潜んでいました。つまりそうすればニネベに行かなくて済むと彼は考え 何の落ち度もない水夫たちに自分を殺す役割を押し付けようとしたのです。
彼らは神に謝りながらやむを得ず、ヨナを海に放り投げました。すると嵐がおさまったので、水夫たちはイスラエルの神を恐れ、ヨナとは違って本当に神を恐れ 礼拝したのです。

 

2.ヨナの一回目の祈り 悔い改めらしき祈り

神はニネベから逃げようとしたヨナの計画をくじきました。海に沈んでいくヨナのために神は 変わった墓を用意していました。巨大な魚の腹です。通常ならこれは当然死を意味するものでし。しかしこの物語においてはすべてが逆さまで ヨナを閉じ込めて死に至らせるはずだった魚は 潜水艦のように彼を生かすための乗り物となったのです。
巨大魚の腹の中でヨナは祈りました。その祈りの中で ちゃんと謝ることはしませんでしたが 自分を見捨てなかった神に感謝をささげ これからは何でも言うことを聞くと約束しました。

 

3.ヨナとニネベ人

神の応答はコミカルでした。巨大魚にヨナを陸地に吐き出させたのです。
そして神はもう一度ニネベで宣教するようにヨナに命じ、ヨナは従いました
ニネベは非常に大きな都だったので 全部巡り歩くには数日かかります。ヨナはまず1日分の道のりを歩きながらメッセージを語りました。あと40日するとニネベは滅びる。これはヘブル語ではたった5つの言葉です。あまりにも短くまた奇妙な説教です。語られるべきことが語られていません。
つまりニネベはどんな悪いことをしたのか、またこれからどうすべきかが語 られていないのです。誰が彼らを滅ぼすのかも また驚くべきことに神についても何も語られていません。
これはどういうことでしょう。ヨナはわざと このように最小限のことしか言わなかったのでしょうか。これではまるで自分が語るメッセージを妨げ ニネベの滅びを招こうとしているようで ヨナは何の努力もしていないようです。

彼の本音が何であれその企みはつぶれました。ヨナの5つの言葉のメッセージを 聞くやいなや、ニネベの王も都全体も家畜さえも、嘆きながら悔い改め灰をかぶったからです。またしても邪悪な異教徒が神の預言者よりも鋭敏に神の呼びかけに反応したのです。そのため神はニネベを赦し破壊することはしませんでした。

またここでは非常に面白いことが起こっています。ヨナの短い説教の最後の言葉は ヘブル語でハファクですが、それはひっくり返すという意味です。これはソドムとゴモラのように滅ぼされたという時にも使われますが 同時に逆のものに生まれ変わるという時にも使われます。 ヨナの言葉はそういう意味で的中したのですが それはヨナの想像とは違う形ででした。 ヨナの敵は悔い改めて神のあわれみを受けて 滅ぼされる代わりに生まれ変わったのです。

 

4.ヨナの二回目の祈り 神が寛容すぎると批判
最後の章ではこれらの出来事がまとめられています。激怒したヨナは2つめの祈りを祈ります。
彼はまずなぜ自分が最初に逃げたかを語ります。怖かったからではありません。神が慈悲深い方だと知っていたからだ、と言います。こともあろうにヨナは 神がご自身について語っておられる出エジプト記の言葉を引用して それを侮辱するかのように神に投げつけているのです。神はあわれみ深いので凶悪なニネベを何とかして赦そう とすることを知っていたとヨナは言います。何という言い草でしょうか。そしてヨナは神との会話を打ち切り 今すぐここで自分を殺してくれと祈ります。自分の敵を赦す神と生きるくらいなら 死んだ方がましだというわけです。幸い神はそれを受け流し、ヨナに その怒りは正当なものかと問いかけました。

ヨナはそれさえ無視して都の外に出ると 丘に野宿してこれから何が起こるか見届けようとしました。 ニネベ人はもとに戻り、結局罰を受けることになるかもしれない と期待したのです。
ここでとても不思議なことが起こります。神はヨナが木陰で涼めるように 木を生えさせヨナを喜ばせました。しかしその後神は虫を送り木を 食べさせて枯らしてしまったので、ヨナは木陰を失いました。
照りつける太陽にさらされたヨナは、また 神に死なせてくださいと願いました。神はもう一度その怒りは正当なのかと問いました。ヨナは当然です。いいから死なせてください、と反論しました。それが本書に記されているヨナの最後の言葉ですが、この書は神の言葉をもって終わっています。

 

木の出来事から知るべきこと
神にはこの木の出来事を通して ヨナになんとかして理解させたかったことがありました。ヨナはたった一日この木の恩恵を被っただけなのに それがなくなると惜しんで腹を立てました。そこで神は、人間はこの木よりも価値があるのではないか。 それなら私が迷える何万人もの人間と家畜がいる偉大な都市ニネべを心に留め惜しんではいけないのだろうか と問いかけます。こうしてヨナの敵たちを憐れませてくれ と神が頼むかのような言葉でこの書が終わるのです。 ヨナの答えは記されていません。それが大事ではないからです。

 

私達への語りかけ

この書の目的は、読者であるあなたの本心を探り出すことです。
ここでの神の質問はあなたに向けられているのです。
神があなたの敵を愛していることを許せますか。
この書は鏡の様に私たちのもっとも醜い部分を映し出します。
そして私たちはそれに対してへりくだり、自身の敵を愛される神が私たちの中にもヨナが宿っているにもかかわらず 見捨てないでいてくださることに感謝するべきです。

この不思議な物語は神の憐みの広さや深さを告げる良い知らせであり、同時に私たちの心を貫き見つめ直させる書です
これがヨナ書です

 

 

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