Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

ビクター!

2008-07-28 15:50:29 | GUITARS

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家電メーカー「ビクター」で販売していたエレキギターSG-18というモデル。昭和39年(1964年)から数年間だけの販売に終わった短命なギター。この60年代はビートルズの来日、グループサウンズ(GS)旋風で日本製オリジナルエレクトリックギターのリリースラッシュの時期。楽器以外のメーカーも出せば売れるとこぞって売り出した。海外でもメジャーな「テスコ」「グヤトーン」以外にもこのビクターや「トンボ」まで数十社がやっていた。直接メーカー製造は一握りでほとんどが楽器メーカーの委託生産、このビクターも70年代に活躍するマツモク工業製だ。この時代、大卒の初任給が15,000円前後なのに定価21,500円と現在のフェンダーカスタムショップ並みの値段!当時としても大変高価なギターだ。

さてこのギター、ビザールと一言で片付けられない代物だ。入手したときは長年のタバコと脂の汚れでマッドな茶色。ステンレスのピックガードはスリガラス状態。老舗喫茶店の壁にかけられていたような感じ。まともには音が出なかったがネックがフラットでしっかりしている。レストアするには良い素材と思い即購入。まずはパーツやネック外しからだが、ネジが回らない。酸化したネジが切れるという状態から半日がかりで分解した。ボディは磨くというより細かいペーパーで最研磨しコンパウンドで磨く。指板もヤスリで研磨。それだけで1日かかった。

まずボディからみて見ると、きれいなアッシュ風なトップとバックの木目は張り合わせ。中は2ピースのマホガニー風。昔古いグヤトーンをレストアした時には超軽量のラワン材だったがこれはそこそこ重量があるのでマホガニーの代用材か何かの可能性あり。ネックはちょっと違うストラト風ヘッド。ボディと同じようなマホガニー材にローズ指板を張っている。利きが悪いがトラスロッドも入っている。弦を張っても張らなくてもネックの状態が動かないので経年変化で固まった感じもある。ギブソンのファイヤーバードのような極太ネック。フレットは細く低いこの時期ありがちな形状。ヘッドには蓄音機と犬のロゴ入り。デザインはシングルカッタウェイのギブソンレスポールJrにジャガーのアッセンを載せた感じ。

PUはパワーのあるシングルが3個。1ボリューム250kΩ 1トーン1MgΩ。ピアノ風スイッチで全てのPUの組み合わせが可能。これが優れものでMIXはイン・アウトフェイズになっていて全部使える音がうれしい。ポットの抵抗値でフェイズの独特なトレブル感を出している。トレモロはジャガーやムスタングスタイル。オリジナルトレモロアームは無い。フェンダーのアームも合わず。ブリッジの駒が錆びで現高調整ビスが破損・欠落している。このタイプにありがちなテンション不足はネックジョイントにシムを挟んでブリッジを上げ、現高を低く且つテンションを稼ぐ。それをしても緩めなので慣れるしかない。それをストラトやレスポールのタッチに合わせるとトーンも変化するので意味が無くなる。またオリジナルデザインを崩すのを最小にするのがレストアの基本だ。

約2日かかって完成。PUセレクトスイッチに若干ノイズがあるがいい感じ。やっぱり粘るブルースよりサーフしたくなる。これに伴い早速「ベンチャーズ」のCDを入手してみるがいい!たまらない!こんなエレキが美味しいジャンルはそうはないだろう。ギターの音が刺さってる。心地いいトレブルとクランチの連発。このビクターギターのおかげでサーフに目覚めてしまった。あれ!このギターと自分の歳が同じかも。これも何かの縁?


2 コメント

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このギター、おじさんが持っていたような気がします。 (のり)
2008-07-30 22:01:01
このギター、おじさんが持っていたような気がします。
当時はヴァンヘイレンなんかが持つギターが“イカシタギター”だと思ってたんで近寄りませんでしたが、こうやって拝見するとなかなかイカシてますね。
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かなりキテます。最近はほとんどこれです。 (WahWah Jam)
2008-07-31 01:11:39
かなりキテます。最近はほとんどこれです。
多少フレットの高さがバラバラですがそんな細かいところはどうでもよくなります。
いいエレキサウンドとはこれかもしれない!という感じです。
サスティーンなんて無いですが、無いのがまたいい!と思えるトーンです。
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