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今まで聴かなかったことを後悔するアルバムだ。最近、この時期のジャパンビンテージを入手したのでそのお手本となるトーンを捜してこのCDにたどり着いた。「ベンチャーズ」は熱狂的な世代があまりにも強烈なのでそこに絡んでいない世代は距離感を感じてしまっていた。しかし、何だこのパワー!驚いたなんていう次元じゃない。この時期にこんなテンションのバンドはブリティッシュロック勢にもなかった。激しく突っ込むがタイトなメル・テーラーのドラミング。ジャズから派生した匂いのハードなロックドラム。8ビートがこんなにグルーブしているとは。極上な真空管アンプのザックリしたドライブトーンのノーキーエドワーズのスピード感とテクニック。こんなライブを魅せられた当時の日本でブームにならないわけがない。メンバーも30歳前後の脂の乗り切ったパワー全開の時期。70年代の欧米アーティストの「ライブインジャパン」物の先駆けといえる音源。こんな熱い演奏をしているのに同時期のビートルズの来日公演の演奏のなんてユルいことか。
日本だけじゃなく世界各国の歌謡曲まで演奏してしまうプレイに対しての貪欲さとエンターテイメント。こんなバンド、後にも先にもベンチャーズしか見たことがない。世界中にコピーバンドは星の数程あるが、継承しているバンドはない。それだけ強烈なオリジナリティ。かなりフュージョンしたJAMバンドだ。40年以上プレイし続けて今だ現役というのも凄すぎる。
ノーキーエドワーズのギタープレイはギタリスト、レスポールあたりからのモダンジャズギターとカントリー・ロカビリーのルーツにトレモロを駆使したトリッキーなプレイだ。スクイーズするブルースギターではないが今で言うとブライアンセッツァーに近い。ナチュラルに歪んだチューブアンプとモズライト。このアルバムを聴くと欲しくなるセットだ。
往年のヒット曲の目白押しだが全て演奏がハードでドライブしまくりだ。数年前、日本でもサーフロックブームがあったが、これは団塊の世代だけの音楽ではない。インストエレキサウンドは永遠に。
そのくせ、古都京都でも聞けるようなしっとりとした曲も演るってのが、しみます・・・。
だから世界の土着の音楽まで取り込んでしまうパワーがあるんだと思いますね。
あの一連のイメージだけで判断してしまっていた自分のセンスの無さに愕然とします。