玄人の自作オーディオ派の定番、ニッセイ電気のポリプロピレンフィルムコンデンサー。エレクトリックギターやベースに装着するアイテムとしては規格外にされてしまう名品。ビンテージやブランドという迷信が含まれないと許されない分野だがこれは噂通り素晴らしい。これを試すと俗に言われるビンテージ人気ブランドは力がなく何か抜けているような感覚になる。確かにそのいい加減な抜けが味わいになるという人もいるがこれはそんな次元ではない。音がイメージと違ってしまったらいくらビンテージの高額パーツでもその時点で価値は消滅し残るのは経験と思い出とコレクションのみ。
さてこのニッセイAPSの製造元のニッセイ電気は昨年、自己破産申請を行い商品の供給が停止していたが会社は再開され復活しつつあるとのことです。自作オーディオや通信機器ユーザーには絶対的指示がありフィルムコンデンサーの指定ナンバーワンのアイテム。エフェクター製作の中には登場してきますが楽器に搭載するのはあまり耳にしないがコンデンサチェッカーで早速テストしてみた。まずなんたってトーンを絞ったときの音が濃い感じで全ての周波数にトーンが効いてゲイン減少も無い。いたってハイファイだがアタックのクリーミーさもしっかりありシングル用で0.033、ハムバッキング用の0.022もどちらも素晴らしい。定番のオレンジドロップ系だがそれよりかなりいい。ハムバッカー搭載のソリッドギターもフルアコのニュアンスまでいけるような表現力。ストラトのフロントもついトーンを絞りたくなる。製品の安定感がトーンに反映されている。0.047でのPBもこれまた良い。こうなるとメタライズドフィルムも試したくなってくる。
確かに楽器は工業製品と迷信と工芸品が混ざり合っていないと付加価値はついてこない。しかし、ビンテージ崇拝が本来の音の善し悪しを別の方向に向けているのも確か。だから米国老舗メーカーが偽ビンテージ風楽器を高額で販売する。大手老舗メーカーは大量加工しコストを下げるがそこにレリックのような工芸品の味わいを付け付加価値をつける。これが老舗メーカーは長年困っていた偽ビンテージ対策だったとは・・・。
迷信を商売にするのも大賛成だが本当にしっかりしたパーツというのもプロっぽくてまた格別。
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