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Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

hot cake 小話

2015-04-06 14:39:21 | PEDALS

マーシャルクラス5をブーストさせるペダルがBB-2に落ち着いたと思ったらやはりこれが出てきてしまいました。youtubeではどれもファズのように歪きった動画しか上がっていないので一般的には音のイメージが良くないのですがホットケーキは真空管アンプをしっかりドライブさせる名機です。オーバードライブの使用方法は様々で開発者もどんなジャンルでも使えるようにデザインしますが用途方法と中身が一致する製品のマッチングは難しい。

その昔は雑誌や楽器店に行くしか情報はありません。持っていてもみんな黄色のものがお約束でしたが今はなんたってyoutube。素晴らしいプレイと周辺機器で圧倒するのもあればメーカーの動画なのに残念なプレイで幻滅するのもありいろいろ。世界各国から個人製作家からメーカー、ショップオリジナル、別ブランド、改造系と膨大な数のドライブペダルが毎日リリースされています。少し昔ではマーシャルをブーストさせるには世界のbossだとかフェンダーアンプにはTS、ジミはファズだとかパターンがありましたが極端に少ないのはパワーチューブを奮い立たせるブースター。レベルだけを上げるクリーンブースター的なのもありますがそこはやはりオーバードライブのような太さが必要です。クランチ成分がふんだんにある小型チューブアンプにはミッドレンジが太い一般的なオーバードライブはどうしてもピッキングタッチの反応が鈍くアンプ本来のパワーチューブのクリスピーさにオブラートをかけてしまう。クリーンブーストが出来るペダルでもどうしてもミッドレンジが出過ぎてしまいます。

結局オーバードライブ自体がエレクトリックギターのブレークしたオイシイ帯域のミッドからハイにかけてを持ち上げているトーンなのでフラットなトランジスタアンプで特徴を出すようにデザインされています。チューブギターアンプ自体の飽和状態がミッドハイのドライブなのでそこをよける帯域の増幅があればバランスよくなりますがそんなペダルがこのホットケーキです。単体でフラットなアンプに使っても汚い音にしかならないのでマニア向けの高額なドライブに位置づけされています。このドンシャリなトーンを持ったペダルは1チャンネルのA級アンプのグラッシーなクランチとトーンがおいしくリンクしていきます。ギターのボリュームもフルアップでトレブルがカットされていく動きがあり高音弦に余計な倍音がついてきません。アンプが小音量の時は1,2弦が弱く感じますがアンプの音量を上げアンプ自体のドライブと合わさるといいバランスで出力されていきます。しかし、受け側のアンプトーンに反応していくやり方なので判断も難しくなっていきギターのボリュームコントロールにトーンがシビアに反応するのでそこがピンとこないギタリストだとまったく使い物になりません。これと同じニュアンスがケンタウルスにも感じ取れます。ギタリストのほとんどがプラグインした瞬間ピンとこないペダルの典型ですがシンプルなチューブアンプと出会って初めてわかるあの感覚。

ケンドリックアンプのケンフィッシャーがイチオシというだけあって1チャンネルチューブアンプでの使用が前提になっているのも難しい原因です。確かにツイードデラックスに使うとオーバードライブがより太くクリーミーになった記憶が。所有している歪ペダルを全てチェックしてみましたが使うアンプによってそれぞれ力の出し方がみな違います。オペアンプが何だとか、FETだとかハンドワイヤリングだとかつい語ってしまいがちですがギタリストはみな自分の使い方を棚に上げてしまいますからね。

そんなハイエンドに偏ってやっていましたが、久しぶりにBossのOD-1とOD-3を引き比べしましたが新しいOD-3は歪のレンジが広く素晴らしい。製作側の考えられた意図がよくわかります。コストパフォーマンスや総合的な完成度をみるとやっぱり世界のBOSSですね。

 

 

 

 


Hot Cake 考察

2014-07-24 14:31:09 | PEDALS

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DCジャックの無い1995年製のCrowther Audio のHot Cake。マニアックな楽器店で扱い始めたころの製品でしょうね。2000年入ってからのオールドサーキットはずっと使用していますがこれは初期のスタンダードか定かでありません。

いつもの楽器店に1972年製のハンドワイヤリング時期のマーシャル、スーパーリード100が入荷していてそれが素晴らしいのなんのって。マスターボリュームが増設されてキッチリとメンテナンスされています。アンプでナチュラルにオーバードライブを出す音量はマスターボリュームがあってもかなり上げないとなりません。ストラトの太く芯があるみずみずしいクランチがあっさりと出るではありませんか。そのクランチにサスティーンを加えるのにあったのがこのホットケーキ。マーシャル直のレスポンスのままオーバードライブを流し込め、アンプのポテンシャルを150%にしてしまいます。

線の細いロングサスティーンの歪がよくYouTubeに上がっていますが生のマーシャルサウンドはミッドもローもワイルドに鳴らして初めてブリティッシュサウンドになるわけです。この音圧でのクリーントーンのコントロールが解らないと結局ペダルのコンプレッションに頼ったギタースタイルになり音のダイナミクスが全くつけられないギタリストになってしまいます。クリーン、クランチ、ディストーションでそれぞれのトータルボリュームというのがアンサンブル上にあってその出し入れがおいしい部分。小さい音で歪を語ると蚊の鳴く音にしかなりません。

話を戻して、普通のオーバードライブの感覚で使用するとホットケーキは難しいペダルです。TS系のように万人が求めるコンプレッション感を得るにはドライブレベルを上げてファズ的歪にしないとリードギタリストは満足できませんのでそこが分かれ道になってしまいます。もう少し歪を得る場合はアンプ自体の音量を上げてアンプのクランチ度合いを上げるという下地になるチューブアンプのトーンが絶対条件になります。

ドライブが12時手前のあたりがA級動作のハイエンドチューブアンプのクランチがイメージにできています。またホットケーキはトゥルーバイパスではありませんが特殊なバッファーか絡むのでオフ時にもきれいなトーンのまま保てます。歪好きな人には理解しにくいクリーンブーストがこのペダルの持ち味でもありクリーントーンに独特のチューブ的なプレゼンスを与えギターのボリュームカーブを滑らかにします。

既に所有しているオールドサーキットと比べてもトーンの違和感や大きな違いがないのが完成度が高い証拠。同じようなペダルを2台持ってもと思いますが、2台でコントロールする使い方もあってその話はまた後日。

 

 


M77 Custom Badass Modified Over Drive

2014-06-19 14:18:53 | PEDALS

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機関銃のようなネーミングのエフェクター。MXRのからの新機種のオーバードライブです。

バンドのベーシストZ氏がブーツィーになりたくてMXRのM82 Bass Envelope Filterを入手。懐かしいMXR!と思いお付き合い程度に購入したら素晴らしくて驚きました。

我々世代からするとMXRの歪ペダルは「ディストーション+」という印象しかありませんがこんな高品質なものがリリースされていたとは知りませんでした。最近のカスタムスタイルのハイエンドペダルはギターやPU、アンプや音楽ジャンルにピンポイントに焦点を絞ったアイテムが多い気がします。ハマると最高ですがイメージから外れると大変な損害に。ハイエンドペダルの評価はあくまでギタリストの主観でしかないのですがいろいろと書かれているのをみますね。私もその一人ですが。

さてこのペダル、デザインがカッコよく価格が安い!衝動買価格。音はyoutubeでチェックしていただくとして、流石MXRと言わせる音が出ます。本当にスタンダードなオーバードライブでどんなギターやジャンルにもマッチングします。アンプによっての歪オンの音ヤセのような時は100HzノブやBUMPスイッチで補正ができ歪成分がすべての周波数に染み込んでいる感じです。よくあるオーバードライブの形容詞、チューブスクリーマー的、マーシャル的、OD-1的、ブースト系のすべての要素が入って普通の感じになっています。クランチからザラ付、クリーミーな歪までこのトーンのスリ合わせはさすがです。だからこれ1台で済んでしまいます。アルミケースで重量もプラスチックボディのように軽く、ヘビーさに欠けますが移動には軽さが一番。

エフェクターもどうしてもビンテージ信仰で昔の復刻モノやリファインが売れ筋ですがこれで十分といわせるスグレモノ。でも何だかMXR、ドライブ系ペダルをたくさんリリースして「安いからいくつも買って!」という大手の商売上手さにもドライブがかかってます。


VOX V846 ハンドワイヤード

2014-03-12 13:18:32 | PEDALS

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メインにずっと使っていた80年代のVOXのV847が不調でライブも近いこともあり気になっていたVOXのハンドワイヤードワウを入手した。後輩ギタリストでかかりつけのI治療院のI医院長が使用していて身体のメンテ後に試奏させていただいたら驚き。往年のVOXサウンドでノイズも無くリーズナブル。プリント基板を使わないハンドワイヤードでこの価格はメイドインチャイナの成せる業。USAメイドなら2倍、国内のコダワリカスタムチューンなら3倍の値段になってしまうのに。

今まではハイエンドモノは欧州メイド、廉価版をアジアという図式だがいいものを安くというモノ作りの基本的考えの代物。最終的に音が良ければいいのだがそのスペックや製造過程も気にしてしまうのがマニアというもの。パーツも高品質で丁寧な作りと音。このクラスでこの価格はワウ好きなら悩まずポチッとしてしまう。ギアの調整はお決まりですがハムバッカーやオーバードライブのストラトには丁度いいくらいのセッティングになっている。シングルコイルでのクリーントーンにはギア2段くらい下げたいところですが許容範囲。トゥルーバイパスで音量減もなく細部にわたってチューンナップが施されている。

一時期VOX以外のワウやハイエンドモノも使っていましたが結局ここに戻ってくるスタンダード。特にハイエンドは最高品質のパーツで組み上げていても何かイメージと違ったりスルー時とオンの音量差があったり、ワウのカーブに違う周波数の変化があったりと長続きしないんですよね。I医院長もかなりのワウオタクですが巡り巡ってVOX V-846 HWに戻ったというお墨付きモノ。

ギタリストにとっては歪系エフェクターの次にメジャーなペダルですがジャンルによっては全く登場しないある意味キワモノエフェクターです。ブラック系では定番ですが意外とロックではハードロック以外の8ビートモノにはマッチしないのも事実。4ビートジャズはもちろんですが16ビートを含まずブルースフィールがない音楽ではほとんど効果音的にしか使われません。とはいえ絶滅品種のトーキングモジュレーター(マウスワウ)など70年代はファンキーなワウもたくさんありました。ギタリスト人口の50%は所有している程メジャーなエフェクターですがいまだこのクラシックスタイルから変化がないというのも、デザインが素晴らしいのかギタリストが保守的なのかわかりません。またスイッチをオンにした瞬間ほとんどの人が口や意識の中で「ワウワウ」と言いながら弾くという大変フィジカルなペダルでもありますね。

四六時中、足で体重をかけながら踏んでいるので経年変化でトラブルも多いのも一つ。ジャックまわりやガリなどの接触不良さえ気を付けていればいたってシンプルなペダル。30年近く使用していたV847は数回のポット、配線材、スイッチの交換を経てオリジナルは基板のみ。今回のハンドワイヤードと比べると古いほうがローエンドが出ていてメローな感じでV846はミッドハイの押し出しが豊富。微妙な違いがまたほしくなる要因を作りだします。

そんな中、バンドに新加入のギタリストA氏も同じワウを入手。それを見てキーボードのK氏も久々にVOXを持ち込もうなんていうバンド内で密かにワウブームが起きています。新しいバンドに加入するときに新しいギブソン335を買って勢いをつけるという今は珍しいナイスなギタリストA氏が先日ギブソンメンフィスシリーズとこのVOXを持参しました。この新品メンフィス335がこれまたいいのなんのって。その話はまた別の機会に。

 


Hall Of Fame

2013-05-23 17:27:21 | PEDALS

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ブルーノート東京にロベンフォード先生を見に行き、最前列でコンパクトにまとめ上げられたエフェクターの中で真っ赤に目立つものを発見。ロベンはラックマウントのTCリバーブを長年使っていましたがそれが何とコンパクトに。

ルーツに立ち返った新譜「Bringing It Back Home」のツアー。ギブソンSGとエピフォンリビエラからのシンプルな極上トーンでギターマニアオヤジは全員ヤラれちゃっていました。私も含めスマホでの機材撮影会も微笑ましい絵図らです。VERTEKというアメリカのプロ用機材Modブランドがペダルのデザイン、チューンをやっているらしいですね。お決まりのダンブルアンプのクランチに包まれ至福のひと時。

早速、そのTC electronicの「Hall Of Fame」なるリバーブを入手した。空間系ペダルなんて何十年ぶりでその完成度の高さに驚き。コンパクトのリバーブにありがちなローが痩せ、高音がブーストされて何とも線の細い音のイメージは無し。ラックマウントの銘記リバーブTC2290の美味しいところだけ取り出したような感じでオンオフ時の音圧変化もない。隠し味程度でも、かけっ放しでも品があり実にマニア向けのトーンセッティングでこれはクセになる。コストパフォーマンスも素晴らしく高い。ビンテージモノばかりに目を向けていると何だか馬鹿を見る時代になってきたような。しかし、TonePrintシリーズなるメーカーサイトからダウンロードすると有名ギタリストのトーンセッティングが取り込めるというオヤジには理解するのにワンテンポかかってしまう機能も有り。

気づくと最近、ギター関係の周辺機材は迷信マガイのビンテージ信仰に最新技術が追いついてきたような気がします。レコーディングは完全にデジタルに移行してしまってアナログ時代の質感も再生できるようになりデジタルの違和感を唱えること自体が時代遅れの様相。特にLM分野でも同等のことが言えるようになりました。どちらがいいかというのではなくどこを選択するかのセンスの問題になってきます。ギターはフィジカルな質感とイメージの質感が同居するので弾きやすく音が良くてもカッコが悪いといけません。ギブソンやフェンダー等の匂いが感じとれないとキワモノで終わってしまうので開発するメーカーも大変です。しかし、Hall Of Fameではギタリストの大好きなフットペダルで距離のあったラックマウントの完成度が味わえるなんて全く逆の発想です。なかなか名器を持っているメーカーにしては差別化を図らず、技術を出し惜しみしないところが気持ちいいですね。

そんなことを踏まえつつロベン先生の「Bringing It Back Home」を聴くとまた格別。ハイボールが進む。