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Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

クローン

2016-01-05 11:18:10 | PEDALS

オーバードライブをペダルのメインストリームに押し上げたのはやはりメイドインジャパンといわれています。細かく調べるといろいろ説はありますが、そんな70年代に登場したオーバードライブの基本回路は数種類ありますが王道を行くスタンダードは日本で生まれた数機種。現在入手可能なオーバードライブペダルのほとんどがその数種類のクローンのようなものです。90年代にはその回路が海外のクラフトメーカーでアレンジされたクローンが伝説化してそのクローンがまた生まれるという繰り返しが今日に受け継がれています。その中ではプレミアの付くものから、隠れた名機、名ばかりのモノまで多数。数年に一度は素晴らしいモノや有名ギタリストが使用して話題になるものまでいつもチェックしていないとあっという間に何倍にも価格が高騰するものまであります。

最近では大手メーカーが自社でリリースしていたモノを再度復刻したり、チューンナップ版を出したり、それをクラフトメーカーがまた味付けをしたりと際限がありません。そんな中、90年代に元は日本のオーバードライブの構造をチューンナップして伝説化したケンタウルスが登場します。裏蓋を開けた瞬間、黒い樹脂で覆われた基板を見て驚いた記憶が懐かしいですがその後、ハンドクラフトをうたうメーカーのお約束になりました。ブースターとしても使えるドライブペダルの走りで話題になりましたが2000年代後半に製造中止して以来プレミア価格に。そうなるとそのクローンが数限りなく増殖してオーバードライブペダルの一つのジャンルになっていきます。

そんな熱いケンタウルスクローンを見て見ぬふりはできません。それなりのメーカーモノもいいですがコストより中身で勝負する個人製作家のモノをチェック。メーカーモノにはそのままのクローンだと付加価値が付かないので何がしか基板や本体にミニsw等をつけているものが多く見れます。それも多様なトーンを演出できて楽しいのですがクローンというのにオリジナルと音が違った時の言い訳のように感じるのは多少シビア過ぎますが。

そこでオリジナルに近いスタイルのモノがこの個体。一回り小型のキャビネットで丁寧なPTP配線、特殊な渋い塗装。同時期にホットケーキ3ノブのクローンも入手です。全く同じパーツを使ってもパーツの配置やキャビネット、配線材が違えば必ずトーンの違いが出るので仕方ないのですがこのホットケーキクローンは素晴らしい。ノブの歪み始める位置などは違いますがホットケーキのクランチの可変幅が大きくとられてグラッシーでゲインが高く高品質なパーツで組まれている雰囲気がよく味わえます。さて、このケンタウルスクローンはどうかというとかなりクォリティの高いオーバードライブに仕上げられています。これもきれいなPTP配線で配線の取り回しも美しい。中身は製作者の著作物ということでお見せしませんが個人製作の細やかな仕事がうかがわれます。歪の質感もオリジナルとの違いは無くこちらの方がミッドレンジが若干太くクリーンブーストでもストラトの1弦ハイフレットの音が細くならない。PTPのペダルの場合、ミッドレンジやゲインが多少高く出る傾向にあります。それはより音が太めに出力され意図的に抜けを想定したトレブリーなトーンとは別物です。オリジナルのケンタウルスのトレブルノブがミッドブースト的な動きをするのもよくカバーされています。ギター側のボリュームにも反応が早く歪量のコントロールを手元でやるには最高。ここまでくると価格やメーカーや個人製作という枠ではなくどんなアタリに出会うかということです。逆に趣味で製作している個人製作モノは採算度外視的な内容で作ってくるので中にはハズレもありますが当たると大きく、これは大変アタリです。

メーカーモノもここ最近は海外のハイエンドペダルが落ち着き、メイドインジャパンのハイエンドペダルの復興が多いように感じます。オーバードライブは日本製という時代がまた来そうな予感。特にチューブアンプをザラつかせるような渋いハイエンドの多くは日本製が目立ちます。それも意外と渋い海外モノのクローンだったりと。しかし、個人製作のハイエンドチューブアンプが少ないのが残念ですが。


OverDriveの熟成

2015-11-13 14:19:06 | PEDALS

歪系のペダルの良さを瞬時に判断するのは意外と難しいものです。楽器店のJCで小さい音での試奏やyoutubeでのデモ演奏では尚更です。半世紀近く前に開発された真空管アンプの音を忠実に再現しようとしているモノなんて今の時代の工業製品にはこのオーバードライブペダルと真空管アンプくらいしかありません。しかし、その様々なペダルもその時にプレイしているジャンルや機材とのマッチングで弾き手の評価も違ってきます。オーバードライブのコントロールもギターやアンプの調整によって表情の変化が激しいので一概に評価はできません。全てのペダルにはチューブアンプをクリップさせたというフレーズがお約束のようについていますがチューブアンプをクリップさせた音を認識していないギタリストにはまたそれが混迷させるキャッチコピーになってしまいます。

ギタリストはミッドレンジに適度なコンプレッションがありサスティーンがあればシングルノートを弾く場合、それが絶対的な安心感になります。その音がバンドアンサンブルでどう聞こえるかは二の次でこの安心感が大前提。70年代のフェンダーやマーシャルアンプのように大音量を目的としたアンプや当時普及しつつあったトランジスタアンプのドンシャリで抜けたミッドレンジを埋めるのに焦点を絞ったOD-1やTSがオーバードライブの基本系になっていきました。ミッドに独特なコンプレッションを持たせた質感は理由なくギタリストの安心感を増幅させていき、瞬く間にスタンダードに。その後、小型の高品質チューブアンプが出てきてパワーチューブ本来のナチュラルな歪に古典的なオーバードライブペダルのミッドが逆にうるさくなり90年代から焦点の違うハイエンドペダルが出回ります。このピッキングやギターボリュームに反応するブースター系のドライブは癖のあるミッドを落としローエンドとグラッシーなハイエンドを前に出すセッティングにしてあります。このトーンセッティングの違いにギタリストは悩まされ、オカルトが飛び交い、ペダル探しの旅が始まるという逆に作り手には素晴らしい環境を生み出しました。

ホットケーキやBD-2などのナチュラル系のペダルはドライブを12時以上上げていくと鋭く個性的なトーンに変化していきます。サスティーンの効いた安定したミッドのコンプ感を求めるくらい上げると収集つかなくなり評価はいきなり下がります。しかし、下地のアンプサウンドにクリーンなミッドレンジがあればピッキングタッチに反応する大人のブルーストーンに変化していきます。JC的なクリーンやフラットのPA的なアンプには全くもって機能しません。ミッドレンジのコンプが強まればサスティーンが出ますがグラッシーなクランチトレブルが減少します。そこのオイシイバランスをどうとるかが肝になってきて、そこの鍵がアンプ調整ということになるのです。いまだに人気のクロン・ケンタウルスもTS系のようですがさほどミッドレンジのコンプレッションは強くありません。基本はグラッシーなドンシャリトーンですがこれがチューブアンプの周波数にキッチリと咬みついてきます。マッチングの悪いJCの前段にケンタウルスで軽くクリップさせてホットケーキでブーストすれば完璧にチューブアンプのサウンドに変貌します。結局はトータルな調整と機材チョイスのバランスということになります。伝統のBOSSのドライブペダルでこのチューブ系のドライブがBD-2。ブルースを意識したナチュラルなOD系ではなく定番のドンシャリトーン。なのでチューブアンプにはベストマッチでOD系の歪を上乗せしてもミッドの質感がオーバーになりません。ここ最近リリースされているハイエンドペダルもミッドのコンプ感とハイミッドレンジの鋭さがどれだけ調整されるかというところに焦点が絞られてます。歪ゲインを上げると皆同じ音という感じですがギターのボリュームに歪量が反応するところが高品質なパーツの集合体という気がしますね。

個人的な評価もその時期によって変化していきます。なので私自身も含めてですが個人的な主観は意外とあてにならないことが多いですね。ホットケーキの良さ、コントロールの仕方がわかったのも入手してから20年経ってから。楽器と同じでモノを見分けるにはそれだけ時間が必要ということです。ましてやワウ、ファズ等のより古いアイテムは。

最近の新しいハイエンド歪ペダルはより焦点が絞られてどのアンプに合うとかイメージはこの音とかシングルコイル用かハムバッカーなどのより限定的な表現をしています。過去の名機をそのままリファインしたり、改造して別ブランドをつける等大変なことになっています。一昔前のどんなギターやアンプもチューブの歪にとか、拘りのパーツ使用のハンドメイド等のあいまいな表現は今は流行りません。しかし、多少オカルト表現も無いと多様な嗜好のあるギタリスト心をとらえることが出来ないところが面倒くさい点。


BOSS BD-2W

2015-07-09 14:19:31 | PEDALS

発売当初から使用していて数年に1回はメインになるBD-2。これ1台でもいいし、隠し味的に使うのも良しと大人対応型のペダル。それをメーカーのBOSS自身がモディファイした「技WAZA CRAFT BD-2W」なんていうものをリリースしたものですから無視は出来ません。設計過程等はメーカーサイトで確認できますがかなり凝って作りこまれているのがよくわかります。

サウンドはミニSWのスタンダードモードが従来のBD-2という解説ですが明らかに違います。BD-2WのSモードはコンプ感が低めでよりピッキングの反応を鋭くした感じです。その時点で既にハイエンドの雰囲気がありGAINとTONE調整で従来の感じにも作れます。ギターのヴォリュームの反応がシャープになりピッキング強弱の再生能力が上がっています。カスタムのCモードはローエンドがファットになっていますがミッドは滑らかな増幅でかなりおいしいポイント。モディファイモノにありがちなわざとらしくないスマートなチューンが素晴らしい。CモードはGAINの調整でかなりの質感を変えられ、ギター、ジャンル、アンプを選ばない領域までの完成度。恐れ入りましたという感想です。ハンドワイヤードのチューブアンプを倍音豊富にクリップさせるなんていうハイエンドな使い方からトランジスタアンプまでオールラウンドですが大味なところが無くどの部分もツメが効いてます。ツインリバーブやマーシャル、シングルコイルやハムバッカーのどれにも絡んでくる歪はメーカーが本気を出すとこうだというのを少し見せた感じですね。

歪に関しては突き詰めれば詰めるほど本質と全体像を見失うときもあります。とかくギタリストはここぞのリードトーンに焦点を絞りますがバッキングやカッティングと両立させるポイントは盲目になりがち。バンドアンサンブルで存在感を保ちつつも出し引きを自由にできる操作技術、センスが重要になります。その弾き手のダイナミクスに素早く反応するのがいいペダルとなるのですが、ペダルの個性は薄まり販売上のウィークポイントが無くなるという逆転現象も発生しやすい。そのあたりはハンドワイヤードやこだわりのパーツ、有名ギタリストの使用等で付加価値を付けていくしかありません。価格ももちろんスペシャルになっていきます。そのさじ加減をどのあたりでチョイスするかです。

チューブアンプとの相性といってもアンプの仕様は様々。ブログのように個人の意見は責任は全くないし,YouTubeの音もアテにならない。となると自分で柔らかい視点でバンドの生音で試すしかありません。しかし、このBD-2Wは部屋で小音量でも良さが確認できる久々のヒット作です。

リイッシュをしないBOSSなのでやはりトーンの隅々まで改良されています。あえて初代OD-1と比べるとOD-1は平面的でミッドレンジ付近の一部の帯域の歪で懐かしい古いオーバードライブという印象。実際の現場での使用はやはりペダルは新しい方に限ると最近痛感します。ペダルのビンテージ信仰はお金の無駄使いというのもありますが現に一流ギタリストはみんな新しいボードですしね。


BOSS 再設定

2015-06-16 11:50:21 | PEDALS

回りまわってBOSS。OD-1Xがトランジスタアンプのピーターソンとあまりにもマッチングがよかったので最近のBOSSを再チェックしてみました。OD-1Xの電池の消耗が従来のドライブ系ペダルの4倍以上あるのでパワーサプライ関係を見直すことも含めワウペダル以外すべてBOSSで統一です。

空間系のエフェクトは普段使用しませんが今回は特別にセレクトしました。大昔、先輩が使っていたコルグのテープ式「ステージエコー」の太いアナログサウンドに感動した記憶があるくらいでその後、ディレイはラック式のハイエンドの代表格、ヤマハSPXシリーズに流れていきコンパクトエフェクターではBOSSのDD-3の登場まで誰でもというものではありませんでした。そして、DD-3を手にした瞬間ローエンドが少なくトレブリーなサウンドに違和感があり空間系から遠ざかった記憶があります。そんなわけで当時BOSSのDM-2のようなアナログディレイを嗜む時期を逃してしまい今回の技クラフトシリーズのDM-2Wの登場まで30年の月日が過ぎてしまいました。サウンドは自然にかかるディレイトーンが全く違和感無く響きます。カスタムモードはディレイタイムを長く設定出来ますが原音をストレートに出しつつ残響を短くリバーブ的にも使えてオン、オフ時の音量やトーンの質感の違いが全く無いのがほとんどハイエンドの領域。この詰の効いたチューンナップはさすが「技」ですね。ハイエンドにありがちな必要以上に抜けを重視したトーンやゲインアップではない究極の「普通」があります。

ピーターソンがヘッドルームの広いトランジスタな為、コンプレッションがほとんどありません。そこがチューブアンプと決定的に違うところなのでクリーントーンでのシングルノートの粒を少しそろえる目的のコンプレッサー「CS-3」も登場です。コンプは以前からMXRのダイナコンプと相場が決まっていましたがあの癖とノイズから脱したいなら結局CS-3になってしまいます。これも古くからあるやつで音は自然でいいですね。軽くコンプをかけてオーバードライブをかけてもノイズがほとんどないのが驚きです。たぶんOD-1Xのデジタル回路が要因としてあるのかもしれませんがゲインを12時以上にしても崩れないのが癖になります。ついでにチューナーもコルグからTU-3に乗り換えです。最近、チューナーをヘッドに装着するのも流行っていますがどうしても足元に置きたい古いタイプなので。

この際、ペダルボードもBCB-60で。電源ケーブルも隠せてペダルもウレタンボードで固定出来て良くできていますが標準装備のパッチケーブルは一応金メッキされていますがその部分はまた別の機会に。ワウペダルの固定位置はどうしてもBOSSのワウを標準にしてあるので一つ上のずれた部分に古くからのワウのゴム足の位置が来ています。なので多少ズレた位置のワウペダルがちょっとしたアクセントになってこれも良し。しかし、見た感じ80年代の高校生の軽音の雰囲気ですがこの歳になっても夜な夜なのペダルボード作りは非常に楽しいですね。一度にこんなに新品のペダルを入手することも無いですし。

いつも思いますがハイエンドペダルはハマると最高ですがイメージから外れるとリスクも大きく、使うアンプやギターによっても左右されます。それだけ焦点を絞ったチューニングということですがそこが魅力でもあり習慣性もあるわけです。しかし、どんな環境でもイメージする音を自由にコントロールするギタリストというのにも憧れます。先日、お亡くなりになった巨匠BB・KINGも世界中どこでもアンプ選ばず常にあのトーンでした。


BOSS OD-1X

2015-05-29 10:53:36 | PEDALS

最近、トランジスタアンプを新調し歪ペダルを見直そうとたどり着いたのがやっぱりBOSS。世界的に最古のオーバードライブ、ODシリーズの昨年出た最新モデルのOD-1X。

ドライブペダルほどTPOに合わせて感じが変化するのも無いですが、いくつも所有してもその時にプレイしている音楽、ギター、アンプによって判断基準が目まぐるしく変わります。ということはどのブランド、モデルでもそれぞれの完成度は皆素晴らしいということですが新モノについつい手を出したくなるのは避けられません。特に最近、トランジスタアンプを新調したものでチューブアンプのクリップを目的としたペダルだとどうもしっくりきません。となれば原点に戻るということでBOSSになってしまいます。アンプのお話はまた後で。

つねに最新技術で伝統を重んじつつ後戻りしなかったBOSSがやってくれたのがODシリーズに禁断のデジタル回路を持ち込んだこと。それだけでビンテージ信仰オジサンたちは離れますが流石にこの歳になると新しいモノに興味がそそります。ずっとODシリーズを嗜んできた者にとって避けては通れないこのOD-1Xはこれまたモダンでショッキングです。ハイエンドペダルになればなるほどジャンルや使用方法を限定して付加価値を高めますがどんなアンプやギターを使ってもオイシイところに絡んでくる商品開発力は世界のBOSSといわれるところ。

ヘッドルームの大きいトランジスタアンプはコンプレッションが無く限りなく澄み切ったクリーントーンを演出しますが少しザックリ感が欲しいときにはこのOD-1Xは素晴らしい効果を生み出します。チューブアンプ使用に焦点を絞ったハイエンドペダルはミッドレンジにコンプ感を持ってくるのでこのトランジスタアンプには中域の癖が強くなり過ぎます。OD-1はミッドレンジに特化していてOD-3,BD-2等もフラットになっていますが中域が幾分持ち上がります。しかし、OD-1Xはどこかのレンジを持ち上げる感じが無く、フラットでもない。EQがギターのいいところに乗ってくるので操作も簡単で歪もデジタル臭くなく違和感全く無いが完全なノン歪のクリーンブーストでもないしギターのボリュームを絞るとトレブルが減少する。そこはブースターではないOD-1からのオーバードライブペダルという領域をしっかり主張しています。でもペダルの個性や癖がBOSSのドライブペダルの中で一番無い無味無臭ペダルですがパンチに欠けるとかいうのも無く不思議なセッティング。ということはギター、アンプ、弾き手も選ばない真のオールラウンドペダルかもしれませんね。癖を出したけりゃ腕で!と言わんばかりのメーカーの自信がうかがわれます。欠点は見当たりませんが強いて言うならデジタル回路特有の電池の消耗が激しいこと。お気に入りのマンガン電池なら数時間というところでしょう。

どんな環境のセッションでもこれ1台あれば何とかなるというペダル。BOSSはリイッシュしないメーカーなのに銀ネジというところがクスッとします