「きみたち、『満天の星』と書いて何と読むか知っているかい?」
つい何年か前に急逝した作家の百瀬博教さんが生前、テレビ番組で2人組のタレントを相手にぶつけた質問だ。
ポカンとしている2人を前に、続けて
「”ドウダン”と読むんだよ。」
瞬間、僕はひとりテレビの前で感激していた・・
子供の頃、祖母の家にはドウダンが植えてあった。
年に一度、白いスズランのような可憐な花々を、枝という枝いっぱいに咲かせる姿はまさに「満天星」であった。
いつの頃からか、その「満天星」は理由もなく枯れてしまい、以来、わざわざドウダンを注意して観ることもなく大人になってしまったが、百瀬さんの答えを聞いた瞬間に、僕の脳裏にはあのころ眺めた「満天星」が鮮やかに蘇ってきたのだった。
なぜこんな事を言うのかといえば、近所の雑木林で見事なドウダンを見つけたのである。
薄暗い中で光を求めてか、かなり高いところで花を咲かせている。
近くで観ると・・
かわいい丸型。星砂のよう。
下から見上げると・・
余計に「満天の星」らしい。
ドウダンは今でも古い家の玄関先や垣根でよく見かけるが、そのほとんどは雪だるまのように地面からコンモリと丸く刈り込まれていて、このように自然に近い姿で見られる事はほとんどない。
良い春を迎えられた。
最後の写真はおまけ。
このブログの第1回で取り上げた桜も、見事な春を迎えていた。