足立借地借家人組合

足立区興野一丁目13番22号 石川方
電話 (03)6806-4393

借地権の基本ー借地の一部を駐車場

2014-02-06 15:30:06 | 借地・借家 判例紹介
 借地権の基本ー借地の一部を駐車場
として第三者に貸すのは転貸しかなど


 そもそも借地権とはなにかー東京地方裁判所平成22年3月15日判決
 借地権は、「建物の所有を目的とする」地上権又は上地の賃借権といいます(借地借家法
第二条一頂)。「建物の所有の目的」でなければ、借地借家法の適用がなく、民法の賃貸借
になるので、借地借家法の法定更新等の保護は受けられません。
 事案は、契約書には「鋼材及び駐車場」と書かれていましたが、「プレハブ構造の仮設建
物」がありました。判決は「借地権ではない」として次のように判断をしました。
「被告が設置した仮設建物も、いわゆるプレハブ構造のものであり、徹去も容易である上、
建物の登記を経由しておらず、本件土地の所有権を取得した者に対して対抗要件を備えてい
なかったこと、本件土地の主たる目的は『鋼材置場及び駐車場』であり、仮設建物の敷地の
広さも約1190坪の本件士地に比して僅少であり、本件土地が建物所有目的であるとは認
めるに足りない。したがって、本件賃貸借契約につき借地借家法の適用がないことが明らか
である。」

 借地の一部を駐車場して第三者に貸すのは転貸か(地主の承諾がいるか)
ー東京地方裁判所平成5年3月29日判決
 事案は、駐車場の面積は約15ないし18平万メートル程度で、土地全体の面積125.
48平方メートルの12ないし15パーセント程度でした。駐車場の契約内容は、自動車1
台の駐車場として賃料を月額2万5000円ないし2万6000円と定めるほか、敷金第三
者への賃借権の譲渡転貸の禁止等について詳細な条項を定め、賃貸期問については1年間で
合意による更新可能としています。判例は「地主の承諾は必要」と判断しました。 「民法
612条(賃貸人の承諾なく貸借人が借地権を譲渡し目的物を転貸することを禁じ、これに
反したときは賃貸人が賃貸借契約を解除することができるものと規定)の趣旨に照らせば、
第三者に使用収益をさせた対象が賃貸権の目対物である借地の一部であるからといって民法
612条にいう「転貸」に該当しないということはできない。
 本件においては、契約内容及び利用形態であることに照らせば、本件駐車場部分を駐車場
として使用させたことは転貸に該当する。たしかに、借地上に商店、飲食店、劇場等の、不
特定多数の顧客の来訪を伴う建物を所有ないし管理する場合において、自動車を利用する顧
客の来訪を容易ならしめるために、右建物に付属して不特定多数の顧客を対象とするいわゆ
る特問貸しの駐車場を設置するような場合には、第三者を対象とする駐車場として借地の一
部を使用することが、社会通念上右建物所有ないし管理の目的の範囲内の利用行為と認めら
れ、転貸に該当しないものと認められることもあり得るものといえる。しかし、特定の賃借
人を対象として賃貸期間1年間しかも更新を前提とする駐車場契約を締結しているのであっ
て、本件駐車場部分を第三者に駐車場として使用させたここについては、社会通念上本件建
物所有の目的の範囲内の使用と認めることは到底できないものであり、転貸に当たることは
明らかである。

    (弁護士 黒岩哲彦)

足立借地借家組合
足立区千住1-26-7 棚網方
電話   (03)3882-0055
FAX (03)3882ー0078
定例相談会 毎月第2日曜日午後1時から
通常業務 月から金 午前10:00~午後4:00
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 管理会社従業員の不法な追い... | トップ | 借地契約上の無催告解除特約... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

借地・借家 判例紹介」カテゴリの最新記事