3つ目はファンド運営です。上場を目指している企業に
対して、資本政策のアドバイスや財務戦略を立案のうえ、
出資をさせていただきます。また、機関投資家や
個人投資家へのご紹介もさせていただきます。
主な対象企業は東海地区のベンチャー企業、
中小企業、オーナー企業が中心です。
※シンク パートナーズ㈱でファンド運営 また、私たちの業界は事業を行う際にデューデリという
審査を行います。事前に先方企業を調査することです。
これはこの業界ならではの専門的な手法になるのではない
かと思います。
投資やM&Aを行う前に、企業の財政状況などを知り、
投資対象の精査をするわけです。
投資対象の企業や財務、商品の将来性をよく見ておくことです。
これをしっかりやっておくことで、実際に行動に移す際の
リスクが少なくなります。
◆ファンド業界の動向はどうなのですか 業界全体は悪いと言われています。前年(2007年)まで、
160社前後が上場していましたが、今年(2008年)は
50社~60社くらいになりそうです。
理由は日本の新規市場は海外市場と比較して規制が多く、
海外からの魅力が無くなり、海外の投資家が日本の市場に
今までのように投資しなくなったことが挙げられると思います。
◆クライアントをどのように開拓しているのですか 投資先の開拓は飛び込み営業も行っています。最近は持ち
込み案件をいただくことが増え、以前よりも営業は減りました。
一方、コンサルティング事業のクライアントは多くがご紹介です。
◆お仕事の魅力は何ですか 企業を支援させていただく仕事を始めてから、会社について
様々な見方ができるようになったことだと思います。会社と
言うよりは様々な社長とお会いする中で気づいたことと
言った方がいいかもしれません。
2000年頃、この時期は長く続いた不況の最後の時期
でした。この時、起業家の方々は不況を「チャンス」だと
言っていました。楽観的な印象を受けました。話す言葉も
明るく、前向きでした。
一方、もちろん全てではありませんが、大企業の方々は
「危機」と言っていたように思います。「どうせやっても
うまく行きっこない」というネガティブな言葉を多く耳に
しました。
このような考え方の違いがその後の各企業の発展に大きく
関わっていったのではないかと思います。
不況を前向きに「チャンス」と捉えていた会社は、
その後、成長したように思います。しかし「危機」と捉えていた
会社は具体的な施策ができず衰退してしまったのでは無いか
と思います。もちろん全てがそうではないと思いますが。
つまり、考え方の違いが企業の発展や成長、逆に衰退する
ことに大きく関わるのではないかと思うようになりました。
◆会社を見る指標となるものはありますか そうですね、一概に言えることではないと思いますが、
会社の「売上げ」という側面から気づいたことがあります。
まず、1億円からなかなか伸びていかない会社ですと、
社長が講演会や異業種交流会に頻繁に出られている方が
多いように思います。明確な目的を持って名刺交換、
人脈を広げるというよりも、多くの量をこなしている
印象を受けます。
次に、3億止まりの会社の場合は、経営がテクニカルに
なってくるように思います。具体的には、代理店を作った
り、FCを行うようになり、当初、自分が起業した際の思いや
ビジョンを忘れてしまい、他力本願の経営になっている
ことが多いのではないかと思います。
また、売上げにだけ注意を払い、経常利益を把握できて
いない会社が多いのではないかと思います。
10億の会社ですと、かなり売上を作ることに関しては
得意としているのではないかと思います。ですので、
銀行等のファンが多くなってくると思います。
ただ業界によっては10億の壁というものがあるらしく
なかなか思ったように経営できていない会社もある
ように思います。
「売上げ」と「利益」についての考えが経営者の方の
中ではさまざまだという点も面白いと思います。
売上げ志向の会社もありますし、規模を追求せず利益志向
の会社もあります。経営をどの点で、いかに判断するかは
それぞれの経営者の方によって違ってくると思います。
ベンチャー企業ですと、利益よりも売上げを追求している
会社が多いようにも思います。
◆公認会計士になったきっかけは何ですか 私の場合は、きっかけは高校生の時だと思います。
2年生の時に文系か理系か選択する時期でした。
当時、進研ゼミを見ると、文系の経済学部の最高資格は
公認会計士と書いてありました。
公認会計士の詳しい仕事内容などは、当時はわからなか
ったのですが、自分に向いているのではないか、と直感的に
思いました。そして、名古屋大学の経済学部に進学しました。
でも、大学時代に会計士の勉強はしませんでした。
会計士を目指している先輩のお話を聞いたら、会計の
話題ばかりだったんです(笑)。
これはちょっと違うな、もっと視野を広げたい、と思い、
会計の勉強は一旦保留にしました。勉強をすぐに
しなかったことには他にも理由がありまして、当時、
野球に精を出していたこともあります。
また、会計士の勉強をする前に、社会を詳しく知りたい
と思い、就職活動をすることにしました。
受けた会社の数は150社ほどでした。とても勉強に
なるので、途中から就職活動が楽しくて仕方がなかった
です(笑)。当時、就職活動で学んだことを書き記したノート
を未だに持っているくらいです。
最終的に、内定を頂いた中で岡三証券に入社しました。
飛び込み営業もさせていただきましたが、これが一番
楽しかったですね。
数年勤務の後、公認会計士の勉強のために退職を決め、
2年間、専門学校に通いました。そして、29歳の時に
資格を取得しました。
それから、トーマツに入社しました。監査から、その他
にも、様々な仕事をさせていただきました。ここで会計士
としての勉強をさせていただき、その後に、32歳の時に
東海ビジネスドットコムというベンチャー支援組織の立ち
上げに関与することになります。
◆東海ビジネスドットコムはどんな組織だったのですか 事業はベンチャー企業の支援でした。大企業の様々な
事業部の方々に私たちの会社のサポート会員になっていただ
きました。サポート企業は200社ほどでした。
ベンチャーの案件を持っていき、ご支援いただく仕組みを
作ったのです。
ベンチャー企業の資金面、技術面、人財面、販路面などの
マッチングの媒介を支援させていただきました。
現在の私の礎をつくった組織と言えます。
◆理想の人生と将来の夢について聞かせてください
50歳になった時に資産を10億円貯めておきたいと思って
います。今の仕事を継続して行っていき、日本だけでは無く、
世界の起業家も知りたいと思っています。
どんなビジネスモデルがあるのか、どんな起業家がいるのかを
自分の目で確かめ、3人の起業家に3億円づつ投資を行いたい
と思っています。
残りの1億円は、いつも私を支えてくれている奥さんにあげ
たいと思っています。
◆夢や目標に向かって頑張っている人に一言お願いします 何事に対しても「できるか」「できないか」で考えるのでは
なく、「やる」か「やらないか」で考えて行動して欲しいと
思います。
会社で投資を検討する場合、対象企業のダメな部分や
理由はたくさん見つかります。でも、ベンチャーキャピタリストの
本当の仕事は、そんな中、一点でもその会社の光るもの
―とんがり―を見つけ、そこを信じて伸ばすことだと思います。
これは、自分がこの仕事を始める時にも強く思いました。
将来自分が投資を行おうと思っている起業家の人たちも
そういう視点で見ていきたいと思っています。
是非、皆さんも頑張っていってください。
◆本日はお忙しい中、本当にありがとうございました ****************************
本日は貴重なお話をありがとうございました。
監査、ファンド、財務支援などの専門性が高いお話から
大変多くのことを勉強させていただきました。
また、企業を「人」と「数字」という両側面から見られている
高村社長は、トップとお仕事をされている方ならではの
見方をお話していただきました。
高村社長のお話を聞かせていただき、今後に向けての
視野が広がり、課題が明確になりました。
本当にありがとうございました。
記事作成 水谷 翔 (起業家育成塾)
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