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浜松の初盆 準備編2 前日

2013-06-17 14:57:30 | 遠州あたり
皆様ご無沙汰しております!

去年初盆の準備の1を書いてからぐったりし、ここまで放置してしまっておりました!

なんというか、家族を一人亡くすというのは、ある意味力を使い果たしてしまう側面があるようで…。
このごろやっと、押し入れの中や古いタンスを整理したり、を始めたところです。

しかし、どういうわけか皆さんこのブログを見に来てくださっているようで、一年間アクセス数が減りませんでした。
どうしてだろうと思っていたのですが、アクセス解析を見ると皆さん初盆の記事を見に来られているんですね。

浜松の初盆って、それほどすごいテーマだったのかあ…と改めて認識いたしました。

今年も初盆の時期が近づいてまいりましたが、このごろまた一段とアクセスがアップしております。

これは、続きを書けということだと受け止め、去年のことを思い出し思い出ししながら書き足すことにいたします。

まず、前もってご説明しておくこととしては、我が家の家族構成についてですが、主人である家人と、嫁である私と、家人の母親である義母の3人で暮らしていました。

亡くなったのは義母です。

そして、家人の兄弟が男ばかりで3人います。皆結婚して近くに住んでいます。
義母にとっての孫も大勢います。

これは特筆すべきことで、お嫁さん達や孫達にも初盆時にはかなり手伝って貰えるかも、ということです。
その代わり、この方達の関係者も多いので、弔問客も沢山来られます。


初盆も前日になると殆ど準備が整っていきます。

家具は撤去できるものは撤去され、鯨幕が張られ、会場の祭壇も既に飾られ、籠盛も飾られました!

お嫁さんたちに手伝って貰って、「会葬御礼」を自分たちで詰めます。

浜松で初盆の盆ぎりに行くと、各家で必ず配られる会葬御礼。

何か小さな品物(そうめん、タオル、お塩セット、お茶など)と、缶のお茶がビニール袋に入れられて、お参りの帰り際に渡されます。ジュースの時もあります。暑い時期なので、飲めるようにという配慮なのかもしれません。

本当は、お参りしていただいた際にお茶をお出しするべきなんでしょうが、あまりに沢山来られるので、その場ではお出しせず、お渡しするというほどな意味なのかもしれません。

お参りに来られる方は、何軒も盆ぎりに廻りますから、この会葬御礼がどんどん増えていきます。
はっきり言って、お茶缶があるのでどんどん重たくなります。

しかし、それを見越してエコバッグなどを準備するのも気が引けるものです。
(会葬御礼をいただけるのが当たり前…というように見えますから、なんとなく具合が悪いですよね…)

どうしようもないので、皆様そのまま沢山の小さな袋を下げて歩くことになるのです。
暑いわ、重いわで、とても大変!

しかし、浜松の初盆の会葬御礼では、お茶缶を入れるのが決まりです。(だそうです)
決まりから逸脱する気は毛頭ないので、我が家でもそれを詰めます。

まずお礼の品に(我が家ではタオルにしました。お茶だとあまりに普通だし、そうめんでは重いので)会葬御礼のはがきを差し込みます。それと前もって購入してきたお茶缶を小さな白いビニール袋に入れます。

このセットを、盆ぎりに来てくださった方に帰り際に玄関でお渡しします。

このお渡しする係の方も必要です。
大抵身内の一人にやっていただきます。

家人と一緒に挨拶していただく親戚は、亡母に近い方にお願いしますから、こうした品を渡していただく方は、亡くなった方から少し遠い方にということになります。

うちでは、家人の弟のお嫁さんにしていただきました。

弔問客が多いと、この部門も大変なんです。

このお嫁さんの知り合いの方が来られたりしたら彼女自身も挨拶せねばなりませんから、この「会葬御礼」渡し係は、何人か設定しておく必要があるかもしれません。
サブ係を、お嫁さんの息子にお願いしました。

さて、前日の夕方、祭壇に飾る果物などのお供えを購入し、おしょろさんをもう一度作ります。

おしょろさんは、浜松のお盆には絶対に必要なものです。
ご先祖様を乗せてきてくれる牛です。
ご先祖様がお帰りになる時にも、牛に乗って帰られます。

いつもの年なら、茄子で作る牛だけで良いのですが、今年は初盆なので、牛とともに、馬も必要になります。

馬は、今年初盆の故人が早く家に帰ってこられるように、お供えするのです。

馬はきゅうりでスマートに作ります。

初盆よりも前にやった内施餓鬼で、既におしょろさんは作っていましたが、おしょろさんは生ものですから傷みます。
ですから、初盆の時には改めて材料を購入してきて作ることにしました。

おしょろさんのご飯を盛る芋の葉っぱ(ない場合は蓮の葉っぱで)も、この時期になるとスーパーでも出回りますので、作るのも簡単です。

でも、ここで思ったのですが、スーパーなどでは、毎年お盆近くなると比較的早くから材料を売り出しています。
どうしてかなあ、お盆までにはまだ1ヶ月くらいもあるのに…と、常々思っていましたが、早めにやる内施餓鬼のためには、材料を早く売っていてくれないと困るんですね。

こういう事情だったんだなあ~と、得心した次第です。

茄子とキュウリに、「麻がら」をさしこんで足にします。
遠州出身でない方は、「麻がら」って何?と思われるかもしれません。

私も知りませんでしたが、お盆の祭壇の材料として、どこの店でもこの時期売っています。
とても長い棒が沢山袋に入って売っています。
中は空洞で、はさみで簡単に切れます。
おしょろさんの足に使いますが、我が家ではお参りに来てくださるお坊さんが、これにお札を通して仏壇に飾ったりもします。

おしょろさんの目玉はあずき。しっぽはねこじゃらし。耳は南天の葉。
可愛いです。



これは内施餓鬼の時の仏壇の前のおしょろさんですが、初盆の祭壇を撮影しなかったものですから、代わりに載せておきます。

茄子のさいの目がかわらけに載っていますが、この時は蓮の葉や芋の葉を売っていなかったためですね…。
叔母さまから葉っぱをいただいたような気がするんですが、この後変えたのかもしれません。

そして、馬と牛の前に、蓮の葉に一杯盛ったさいの目の茄子を載せて置いておきます。
おしょろさんのご飯だそうなんですが、このほかにもかわらけに毎回ご飯を盛っていきます。

お盆の三日間、かわらけのご飯は、前に盛ったものを捨てずに、その上に載せていくようにします。
どんどんと山盛りになっていき、最後には小バエがたかったりもしますが、それでも構わず載せていきます。

どうしてそんなことするのか今もわかりませんが、そういう風習のようです。

おしょろさんは、お盆の最終日の15日、お寺で焼いてもらいます。

その直前に、かわらけに盛ったご飯の上にキュウリなどの青いものの塩もみの汁をかけます。

これも、何故そんなことをするのか全くわかりません。しかし、そういう決まりだそうです。

ご飯に青汁をかけ、新聞紙におしょろさんとかわらけと、ご飯、お供えのだんごなど、全部一緒に包んでお寺に持って行きます。

包む直前、体にどこか吹き出物など体の不調があったら、おしょろさんで患部を撫でると、それもおしょろさんが持って行ってくれるそうです。不思議なことに、すぐに治っちゃうんだそうです!

私は精霊おさめの時に、吹き出物などができたことがないので、まだ試していませんが、そのうちお願いしてみたいと思っています。


おしょろさんについて書くと長くなってしまいますが、浜松のお盆にはとても大切なものです。

しかし、そうこうして祭壇などを作って、準備を整えている間、どうしたことか弔問のお客様が来られるではないですか!!

準備の途中でも上がっていただき、お参りしていただきました。

こうして前日に来られる方もいくらかおられるんですよね~。

ご自身のお家が初盆というお宅とか、どうしても当日は出かけなければならない、という方などは、前日や初盆当日の早朝とかに来られます!

内心焦りまくっても、慌てず接待をいたします。

まあ、こういうことも考えると、おしょろさんなど祭壇の準備は当日でもいいのかもしれませんが、前日の夕方くらいまでには終える方が無難かもしれませんね…。

蓮の葉などが早くしなびてしまうので、前日に飾るのは内心いやなのですが、仕方がありません。

そして、当日は、同じような理由で朝早くから来られる方も沢山おられます!
これが意外に多いですので気をつけてくださいませ。

そうそう、忘れていましたが、施餓鬼米!

故人のためにお供えするお米なのですが、一升の米をさらしの袋に詰めて、故人に近い人がお供えします。
袋の形が男女ちがって、男性は四角、女性は三角です。

昔はこのさらしの袋は自分たちで作ったそうなのですが、今ではお米やさんやスーパーでも時期になると置いています。
こんな感じのものです。↓

http://kakutyan.hamazo.tv/e3657883.html

その袋に自分の名前を書いて、お供えします。

我が家では主人の兄弟にお願いしましたが、親戚中にお願いする家もあるようです。

そうすると、祭壇の前がもう山のように施餓鬼米が積んであることりになりますが、そういう形で供養の気持ちを表すのでしょう。



これは、前日に取った写真なのですが、もう盆供が上がっています。早々来られた方のものです。

施餓鬼米が祭壇の前の台の上に置いてありますが、ここは盆供を置くところだし…ということになって、横に箱に白い布を巻いて作った台を置き、その上に積みました。
それでいいのか、実際誰もわからなかったりするのですが、葬儀屋さんもそれでいいのではと言っていました。

細かいことは、もはやどうしようもありませんよね。
初盆って、そうそうあることでもないですし…。

つづく