古希行

七十までは歩けたい

檄 三島由紀夫

2012-11-16 17:16:25 | 読書
「檄を飛ばす」の意味を、最近では〝叱咤激励する〟と誤用する話がよくされるが、〝檄文〟の実例がこれだろうか。

「われわれ楯の会は、自衛隊によって育てられ、いはば自衛隊はわれわれの父であり、兄でもある。その恩義に報いるに、このような忘恩的行為に出たのは何故であるか。」
で、始まる。

ここから展開する、日本国に対する現実批判は、〝憲法改正〟とか〝自衛隊国軍化〟とか、なんだか、最近の〝第三極〟の動きによく似ている。
ーーーまかり間違えれば、教育勅語復活論よろしく、〝この三島檄文は正しい。これからのわが国の方向を的確に指し示すものだ〟などとのたまうヤカラが出かねない。

三島由紀夫ら楯の会は軍事クーデターに道を求めたが、今の動きは〝選挙〟という、ヒトラーがとった手法で国家変革をやろうとしているわけだ。


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大阪で生まれた女・18 BORO

2012-11-15 17:04:42 | 読書
ショーケンが歌って大ヒットした曲だが、もともとは長大だったのを、シングル盤に納まるように割愛したんだという。

「放課後のグランドで 待ち合わせて帰る 二人を西陽がつつんでいる」

男と女は大阪の高校生だった。そこから、ドラマが始まる。

男の母が死に、男には愛する女しかいなくなった。

「大阪でぎこちなく生きていても 夢を見れないと思ってた 大阪をでることでそれに変わる 夢を手に入れようと思った」

男は大阪を出る決心をするが、女はためらった。
この4番が、レコードの1番になった。

「大阪で生まれた女やけど 大阪の街を出よう 大阪で生まれた女やけど あなたについて行こうと決めた」

男が出て行って、一人になった女は、男への愛を求めて、大阪を出た。

「立教大学の近くの小さな部屋 何もないけど輝いていた」

学生街に見つけた男と女の〝愛の巣〟だったが、学生でもない二人にとっては違和感に包まれた世界だったのかもしれない。

仙人が霞を食うように、二人は〝愛〟を食って、ビンボーな暮らしを続けていた。

女の親がそんな現状を見かねて、大阪へ帰るように言ってきた。

「なすすべもなく眠る人よ 自分をこわさないでほしい」

女は、男が寝ているうちに部屋を出た。

「二人には好きな人が出来 やがて大人の扉をあけた」

男と女の〝大人としての人生〟は、そこから分かれた。

男はそれなりに功成し夢を遂げたのだろう。
女は新たな男と結ばれ、子供を生んだ。

「ここで愛する子供が遊んでいる あの日の思い出にありがとう」

女の愛は子供に注がれ、そして、大人でなかった時代をすばらしい思い出にしてくれた男に最後の手紙を書いた。

「あなたがくれた日々に乾杯 大阪は今日もあの日のまま あなたの青春が残っている」

「夢をつかんだ人へおめでとう 大阪で生まれた女より」


全編を通して聞くと、決して、世俗的にリッチな歌ではないよね。
愛に飢えた男女が、青春時代の貴重な時間を浪費しただけのことか。
だけど、浪費しなければ得られない〝愛〟を、思い出として讃えるのがこの歌の結論なのだ。

「すべてをつつむ力があれば 愛は終わらない」

「そこに 永久の愛があるかも知れない」


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ウルトラセブン 金城哲夫

2012-11-14 16:54:54 | 読書
神なき知恵は
知恵ある悪魔を
創りだす


悪魔に、〝知恵ある悪魔〟と〝無知な悪魔〟があるのだろうか。

神を離れた〝知恵〟は〝悪魔〟を生み出すのか。

神によりそう〝知恵〟を持たなければならないのか。


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インタビュー 有森裕子

2012-11-14 16:54:03 | 読書
メダルの色は銅かもしれませんけど、
終わってから、
なんでもっとがんばれなかったんだろう
って思うレースはしたくなかったし、
今回は自分でそう思ってないし、
初めて自分で自分をほめたいと思います。


精一杯の努力の結果が三等だった。
その結果を、自分で褒めてやりたい。
いや、褒める自分をわかってください、と言っている。

「一番じゃなきゃいけないんですか?」
今、この言葉はメチャクチャ叩かれているけど、「二番じゃ意味がない」と言い切られるのは、僕は〝ツライ〟ものを感じざるを得ないなあ 😠


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お絵描き唄 作者不詳

2012-11-13 17:16:31 | 読書
ぼうが一本あったとさ
はっぱかな?
はっぱじゃないよ カエルかな?
カエルじゃないよ アヒルだよ
6月6日に雨ふって
三角定規にひびいって
あんぱん二つ豆三つ
コッペパン二つくださいな
あっというまにかわいいコックさん


「世代を超えて唄われ、未来の子供たちにも描き続けられるだろう希有なビジュアル付きソングの傑作」と、編者は讃えているが、この15年の時間経過が子どもたちの〝遊びマインド〟を変えてしまったようだ。


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停留場の別れ 斎藤竜鳳

2012-11-13 17:15:29 | 読書
レッドパージによって教職を追われた当時をうたった詩である。

1950年、日本では共産主義者が公職を追われた。
木曽山中の小さな学校にも、その嵐は吹いた。

「石をもて追う者がないかわり 誰もが悲しげなまなざしで ひとことも喋らずに信吉を追った。」

ものを言えない社会っていうのは、大日本帝国であれ、日本国であれ、こわいものだ。

「峠の頂上まで登り切ったとき 二年間暮した村をつま先の下に もう一度見下した。 それから子供達に 口ぐせのように語った言葉を もう一度くり返した。」

この共産主義者は、寒村の子どもたちに、こう教えたのである。

「世の中をよくするにゃ どうしたらいいんだっけな」
「貧乏をなくしゃいい」

富者の〝欲〟と、大多数の〝貧困〟が、世の中を悪くしているーーーという真理。


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ブラジル移民の歌 作者不詳

2012-11-12 17:21:56 | 読書
ブラジルつながりで挙げよう。

それは、

ブラジルよいとこ、だれが言うた
移民会社にだまされて
地球の裏側へ来てみれば
聞いた極楽、見て地獄
こりゃ、こりゃ
錦かざって帰る日は
これじゃまったく夢の夢
すえは蕃地で野たれ死に
オンサ(豹)に食われりゃ
世話がない


明治41年以来、コーヒー栽培で一獲千金を夢見て、多くの日本人がブラジルに渡った。
それは、日本が貧しかったから。
ただ、これからの日本は、また、貧しい国に戻るかもしれない。
そうなると、また、〝移民〟ブームが現れるかもしれないなあ 😢



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ブラジルの子供たちへ アイルトン・セナ

2012-11-12 17:20:54 | 読書
「セナが亡くなる2ヶ月前、姉に語ったこの言葉が、セナが祖国ブラジルに貢献するための財団設立のきっかけとなった」ーーーと。

それは、

裕福な人々が孤島のようにして、
貧窮の大海の中に存在する日々がこれ以上続いてはならない。
僕たちは同じ空気を吸っている。
チャンスも同じように与えられなければならない。
少なくとも教育、食糧、そして医療を受けるチャンスだけは。


島の上に住む権利を有する〝選ばれし者〟は、大海に浮かび沈む者たちに浮き輪を投げ与えることはあっても、島の定員を増やすことも、自らが大海に入ることも考えることはあるまい。
なぜなら人間には〝欲〟があるからだ。大海にいる者は島にあがたいという〝欲〟があり、島にいる者はここに居続けたいという〝欲〟がある。
この〝欲〟がバッティングすると、たいてい、島民の〝欲〟が勝つ。


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ガキが元気になる本 ビートたけし

2012-11-11 17:00:36 | 読書
「にっぽん・あるふぁ企画のパンフレット用に89年、天才たけしが選んだ〝ガキが元気になる〟50冊のリスト」ーーーとある。

実際には66作品が挙げられている。

この中で、僕が所蔵している、もしくは所蔵したことがある、あるいは、借りるなりして読んだ事がある、それか、映像化されたものを見たことがある作品は、

「美味しんぼ」ーーー花咲アキラ
「坊っちゃん」ーーー夏目漱石
「宮沢賢治全集」ーーー宮沢賢治
「谷内六郎展覧会(春・夏・秋・冬・夢)」ーーー谷内六郎
「老人と海」ーーーヘミングウェイ
「アメリカひじき・火垂るの墓」ーーー野坂昭如
「谷川俊太郎詩集」ーーー谷川俊太郎
「異邦人」ーーーカミュ
「羊をめぐる冒険」ーーー村上春樹
「ライ麦畑でつかまえて」ーーーサリンジャー
「たけしくん ハイ!」ーーービートたけし
「一瞬の夏<上・下>」ーーー沢木耕太郎
「なんとなくクリスタル」ーーー田中康夫
「オーパ」ーーー開高健

天才たけしとは2割しか一致しないなあ 😏


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『名もなき詩』

2012-11-11 16:59:41 | 読書
『名もなき詩』という小さな本がある。
1997年11月6日・第1刷とある。
一般的には〝詩〟扱いされない〝詩〟を集めた本である。
編者は〝雑派〟と名乗っているだけあって、集められている〝詩〟は雑多なものである。
長短、清俗、有名無名、右翼左翼、様々である。

それを、少し読んで、考えてみよう。


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