ロシアで学ぶ万年学生の越冬生活

日々思った事を、徒然なるままに書いていきます。

第1回日露人文社会フォーラム

2011-12-15 11:00:00 | 学会等

前回のブログの内容の次の日の出来事なのですが、かなり遅れての報告となってしまいました・・・。 

去る、12月8日・9日に「第1回日露人文社会フォーラム」がモスクワ大学構内のФундаментальная библиотекаで開催されました。
メールの案内には本館内に図書館があると記載されていたのですが、実際は本館(Д/К)ではなく、本館から少し歩いた場所(地図)にありました。
この図書館はまだ建設されてそれほど経っておらず、ロシアの最高学府であるモスクワ大学にふさわしい威厳さと近代的な環境が整っていました。

第1日目は所用で拝聴出来なかったのですが、2日目には日照時間が短くなった薄暗いモスクワの朝を感じながら大学に到着しました。

今回は下記の内容で様々な分野の発表がありました。(発表予定表・日本語

会場正面      日程表(表)     日程表(裏)

 

第2日目は「都市交通」、「経済」、「高等教育」の分野の発表でした。

 

「都市交通」の最初の発表者は鳩山紀一郎氏でした。ご存じの方も多いかと思いますが、元日本国首相・鳩山由紀夫氏のご子息です。
鳩山紀一郎氏は現在、東京大学・東北大学で教鞭を取られております。
モスクワの都市交通についての発表は非常に興味深く、ロシア人学者の発表も非常に和やかな雰囲気で体験型のシュミレーションなどもありおもしろいものでした。

 

懇談会の際には、東京大学大学院人文社会系研究科教授の沼野充義教授、鳩山紀一郎氏、北海道大学の所伸一教授とお話する機会がありました。

 (休憩時の雰囲気)

 

休憩を挟んで、「高等教育」についての発表がありました。この日一番ロシア人の関心を集めた発表でした。

<発表風景・スライド>

   

第一発表者の所教授の発表後は質疑応答が殺到し、非常に反響を呼びました。僭越ながら自分も質問させて頂きました。

また、第二発表者のロシア語による発表も非常に興味深いものがありました。大学が果たすべき役割と教育のプロフェッショナル育成のプログラムと支援について。
そしてモスクワ大学が実際に行なっている研修プログラムの内容についての発表でした。

    

   

 

フォーラムを通じて、日露の大変高名な学者だけではなく、モスクワ国立大学アジア・アフリカ諸国大学で日本語を学んでいるロシア人学生や教鞭を取られている方、モスクワ市内の様々な大学で留学している日本人大学院留学生とのご縁ができました。

その中には、大学院で大変お世話になった高橋健一郎教授のお知り合いの方もいらっしゃいました。

高橋健一郎教授のブログ

沼野教授は前のブログでご紹介させて頂いた岩本教授、そして高橋教授の事もよくご存知ですし、両教授とも東京大学大学院で勉強され、自分が今留学しているロシア国立人文大学へ留学されていました。

フォーラム後、自分はモスクワ大学本館で夜遅くまで指導教授との論文打ち合わせをしていました。
モスクワの自宅に戻ったのは、朝自宅を出た時間から数えて14時間後でした。
連日の寝不足や疲れから、さすがにクタクタでその日はいつもの読書の量を減らして早めに寝てしまいました。

 

日本では意味を成す「学歴」ですが、外国に来てほとんど意味を成さない気がします。 
学籍がある大学の名前で相手から評価される時は特に中身があるわけではないのを体験してきました。
あの大学は~~ですね。と言われてもそれは自分個人の評価ではないからです。

外国においてまず評価されるのはその国の言葉がどれほど話せるか、そしてなぜ留学しに来たのか、その目的に向けてどれほど努力を重ねてきたのかだとこちらに来て本当に痛感しています。日本でどこの大学で勉強していようが、海外に出てしまえば一人の日本人留学生にしか過ぎないのです。

日本では普段経験できない貴重な経験・出会いも海外にいる事で享受できるメリットの一つだと思います。
学会やフォーラムに参加して多くの方と知り合うのももちろん素晴らしいことですが、最新の研究内容や動向を知る最も効率的な場でもあります。

今回、日本人学生の姿があまり見えず、大学院生の姿が多かったのは少し残念な気がしました。
ロシアと日本を自分の将来にどの様に役立てて行くのかを考察するいい機会なので、特に若い人達にはもっと積極的に海外にいる恩恵に対して貪欲になってもいいのではないかと思いました。 


素晴らしい先生から手解きを受け、同じ留学環境で勉強できている幸せを感じながら、 高名な学者、一定の研究成果を残している教授でも勉強しているのですから、その後ろ姿を追いかけつつ自分も更に努力を重ねて行かなければならないとフォーラム後に反省しました。