gesaku >>>>ON<<<< the blog

 "O"thelloと"N"ikoliのゲサクどんブログ

特集ヴィウ(2)「どんなパズルでしたっけ?」

2007年10月14日 03時23分42秒 | [Ntv]特集ヴィウ
 ヴィウのルールをご紹介します。文字で説明するより例題とそのコタエを見ながらどんなパズルかお話します。
 
 例えばこんな問題、


 ・・・2・
 ・3・・・
 ・・・・・
 ・・・1・
 ・5・・・


 これのコタエはこうなります。


 2・・20
 03201
 2・・3・
 1・312
 05・・・


 「・」は空きマスだと思ってください。各数字からみて、上下左右の方向にまっすぐ見える「・」の数が、その数自身となっています。例えば0の周りには必ず他の数字がくっついていますよね。一番下の行にある5は上に2マス、右に3マス「・」が見えています。
 
 で、それに加えて、同じ数字はタテヨコにとなりあわず、かつ、全体の数字をタテヨコにひとつながり(数字のカタマリが二つ以上に分断されない)にします。タテヨコにタテヨコにうるさいですが、ナナメに同じ数字をくっつけるのはかまいませんし、ナナメにしか接していない二つの数字はつながっているとはいいませんよってことは強調しておかなければならないことなのです。
 
 ルールは以上です。では、どんな風に解けていくのか、この例題を解いていってみましょう。ちょっと長いですが、記事は分けず一気に行きます。


 ・・・2・
 ・3・・・
 ・・・・・
 ・・・1・
 ・5・・・


 0か大きな数字が簡単な入口になります。この問題は0がないので、5にまず着目してみましょう。左に1マス、上に2マス、右に3マス、合わせて6マスしか「・」が見えていません。このうち5マスはこの「5」の位置から見えるようにしなければいけません。

 左1マス上2マスをすべて見えるようにしても3マス。少なくともあと2マスは右方向に見えるはずです。


 ・・・2・
 ・3・・・
 ・・・・・
 ・・・1・
 ・5■■・


 空きマスと確定したマスには黒マスを置いておくことにします。このように右方向に黒マスを2個置いておきます。
 
 同じように考えると、


 ・・・2・
 ・3・・・
 ・・・・・
 ・■・1・
 ・5■■・


 上方向も少なくとも1マスは見えるはずです。
 
 ところで、数字は全体でひとつながりにする必要があるので、5が他の数字とつながることができるように左方向に数字の道を作ってやらなければいけません。


 ・・・2・
 ・3・・・
 □・・・・
 □■・1・
 □5■■・


 こんなふうに。これら「□」のマスは数字マスということは決まったけれど、数字は何が入るかまだわからないマスということをあらわしています。

 これまでにいただいたヴィウに対するコメントを総合すると、この「□」マスに、このパズルを面白く思えるか思えないかの一つめの分岐点があります。数字が後から改めて決まることにワクワクされる方は、このパズルのことを好きになっていただける可能性が高いです。が、そうでもない、むしろめんどくさい、という印象をお持ちでしたら、もうおすすめできません。この先に目を通してもあまり収穫はないのではないかと思います。

 では続き。左下隅のマスに注目。ここは上に数字マス、右に5、左と下は外周なので、すでに空きマスは見えない状況になっています。


 ・・・2・
 ・3・・・
 □・・・・
 □■・1・
 05■■・


 なのでここは0です。今こういう状況になって、もう一度5のマスを見てみると、上に2マス、右に3マスめいいっぱい空きマスをもってこないと、5の役目が果たせません。


 ・・・2・
 ・3・・・
 □■・・・
 □■・1・
 05■■■


 なのでここまで決まります。


 ・・・2・
 □3・・・
 □■・・・
 □■・1・
 05■■■


 数字の道がひとマス伸びますね。

 さて、気づくと右下にある「1」の役目が終わっています。下方向に1マス空きマスが見えていますので。


 ・・・2・
 □3・・・
 □■・□・
 □■□1□
 05■■■


 したがって、1の左右、上方向には数字が入らないといけないことになります。


 ・・・2・
 □3・・・
 □■・□・
 1■□1□
 05■■■


 ここでまた1マス数字が確定しました。左下隅0のマスのすぐ上です。空きマスはこれ以上見えることはありません。
 
 ところで、まだ使ってないルールがあります。同じ数字はタテヨコに隣り合いません。今入った1ですが、その上に隣接する数字マス。現状どうなっているかといいますと、1マス空きマスが見えている状態です。このままでは1が上下に隣接してしまいます。なので少なくとももう1マスは空きマスが見えている状態にしてやる必要があります。


 ・・・2・
 □3・・・
 □■■□・
 1■□1□
 05■■■


 こんなふうに。でもこれ以上に空きマスを見える状態にはできません。数字が確定しました。


 ・・・2・
 □3・・・
 2■■□・
 1■□1□
 05■■■


 ここは2ですね。
 
 同じようにして決まる場所がもう1箇所ありました。右下隅のすぐ上の数字マスです。ここは現状空きマスが1つ見えていて、左には数字1があるので、少なくともこの上のマスは空きマスになります。


 ・・・2・
 □3・・・
 2■■□■
 1■□1□
 05■■■


 ここはまだ数字は確定しません。さらに上に空きマスが伸びる可能性があるからです。
 
 ところで、今決まった空きマスで、実は数字が分断されそうになっています。


 ・・・2・
 □3・□・
 2■■□■
 1■□1□
 05■■■


 このように逃がしてやらなければいけません。


 ・・・2・
 □3・□・
 2■■3■
 1■□1□
 05■■■


 また数字がひとつ決まりました。
 
 右上の2について、最初の5の考え方と同様にして、左側に少なくとも1マスは空きマスが見えているはずです。


 ・・■2・
 □3・□・
 2■■3■
 1■□1□
 05■■■


 また数字が分断されそうです。これはちょっと気づきにくいかもしれませんね。


 ・・■2・
 □3□□・
 2■■3■
 1■□1□
 05■■■


 分断されないように数字をつなぎます。


 ・・■2・
 □32□・
 2■■3■
 1■31□
 05■■■


 今の数字マス確定により、数字が2マス確定しました。

 左上の3ですが、役目を果たすためには上方向に1マス空きマスが見えている必要があります。


 ・■■2・
 □32□・
 2■■3■
 1■31□
 05■■■


 右上の2が役目を果たしきったので、それ以上に空きマスが見えないように数字マスを置きます。


 □■■2□
 □32□・
 2■■3■
 1■31□
 05■■■


 左上の「□」マス2マスは数字が決まりますね。
 
 さて、大詰めです。右上隅の「□」マスに注目です。


 2■■2□
 032□・
 2■■3■
 1■31□
 05■■■


 この下のマスがもし空きマスになったら、この右上隅のマスには数字2が入ることになります。左に接しているのは2なので、ここを数字2にすることはできません。
 
 なので、右上隅のマスの下には数字が入ることになります。


 2■■2□
 032□□
 2■■3■
 1■31□
 05■■■


 盤面がすべて埋まりました。あとは数字を入れていって、同じ数字が隣り合わなければOKです。


 2■■20
 03201
 2■■3■
 1■312
 05■■■


 大丈夫でした。数字も全体でひとつながりになり、完成です。
 

 2  20
 03201
 2  3
 1 312
 05


 黒マスを抜いておきましょう。これがヴィウの完成形となります。この完成形も実は好き嫌いの分岐点になっています。こういった数字の抜けた場所のある完成形は美しくないと捉えられることが多いのですが、それでは達成感もあまり感じられないでしょうし、結果として面白かった、ということにはなかなかならないのではないでしょうか。
 
 今の私から見ても、やはり美しいと思うんですがね。
 
 初めてそういうコメントをいただいたとき、全体に数字が埋まっているオモパを別途作って、それよりもヴィウの完成形の方がキレイでしょ?と確認したら、ヴィウよりそっちのオモパの方がいいという回答でした。驚きでしたね。のちのち、他の長所と思っている点についても、自分みたいなのが少数派であることがわかっていき、ヴィウの行く手にある壁は予想以上に大きいことを悟りました。
 
 ところで、そのヴィウと対比させるために作ったオモパが「波及効果」であることはオモパ大全のインタビューでも話したことですが、やはりあなたも波及効果の完成形の方がキレイだと思われますか?


 今回例題を作って、そして解いてみて、やはり私にとってはヴィウはまだまだ楽しめるパズルであることを再認識しました。お蔵入りさせるにはまだ早い。ひょっとしたら10年前とは解き手もだいぶ変わってきてるかもしれない。また新たな理解者が現れることを願って、しばらくこのブログでヴィウを出題していこうと思います。

特集ヴィウ(1)「解くのは問題?ではなく封印」

2007年10月07日 00時08分05秒 | [Ntv]特集ヴィウ
 9月9日の記事で話していた生誕10周年のオモパの特集を始めます。タイトルは「ヴィウ」といいます。同記事で「オモパと呼んでいいのか?」と書いていましたが、あれは、このパズルが実はニコリ本誌に載ったことがないからなのです。でも、オモパ大全集には載ったんですねえ。それはなぜか・・・?
 
 それは、私があまりにも「しつこかった」から。
 
 1997年9月9日、オモパ作家にとって非常に嬉しい瞬間が訪れます。ヴィウのルールが生まれました。打った瞬間、ホームランとわかる当たりでした。締め切り前でもないのに原稿をまとめ、すぐにニコリに送りました。でもこれが、載らなかったんです。ホームランボールは幻と消えました。
 
 私はヴィウのボツが信じられず、その後も何度も何度も投稿を繰り返したのですが、状況が覆ることはありませんでした。そこで、一度他の作家さんの意見を聞いてみようと、作家仲間の方何人かに解いてもらったのですが、特別好感触なコメントはいただけませんでした。このとき初めて、自分だけが良作と思っていることに気づき、一旦ヴィウの問題作成活動を停止することにしました。
 
 しかし当時の私にしてみれば、ヴィウより面白いパズルはひとつもなく、他のパズルを作っていてもまったくテンションが上がらず、作家活動も空回りしてるような感じでした。
 
 その後、パズルに関するメールマガジンを発行するようになり、その中で一度ヴィウを紹介してみたのですが、これもまた読者さんからの反応なく、一度ならず二度までも淡い期待は儚く散るのでした。
 
 しかしその後ヴィウの転機が訪れるのです!
 
 転機が訪れたのは同メールマガジンの中でした。創刊から2年が経過する頃だったかと思います。それくらいになると多少読者さんも増え、特に作家さんの読者が増えていました。三度目の正直、ヴィウの記事を書きました。すると、一人の作家さんから猛烈に熱いコメントをいただけたのです。そこには私がヴィウに出会ったときとまさに同じ印象が書かれていました。嬉しかったですねえ。それまでずっと何年も一人っきりでこういう人が現れることを信じ続けていたんですから。
 
 そしてあと3人、同記事に対する好感触な反応があり、私を含め5人で一斉にニコリに再度投稿することになったのです。しかし、初めに書いたとおり、ヴィウはニコリ本誌には載ったことがありません。5人で一斉投稿しても結果は同じだったのです。上向きに推移していたヴィウの運命も、ここでまた一気に底辺へ、、、。
 
 またさらにそれから1年が経ち、私のところへオモパ大全集発行予定の知らせとインタビューの依頼が飛び込んできました。インタビューは4ページとのこと。私の中でふつふつと最後の野望が頭をもたげてきました。
 
 この4ページのどこかに、ヴィウの問題を載せたい!!絶対に載せたい!!!
 
 でも決して、ヴィウの掲載を条件にインタビューを引き受けるようなヘンな取り引きをしたわけではありませんよ。ヴィウの掲載はインタビュー当日、初めてお会いする編集長にいきなりお願いしました。インタビューが盛り上がったらね、みたいな感じのことを言われたような気がします。気合入りましたとも。でもその分、あの写真からも伺えるように緊張感も一層高まって話したいこともうまく話せなかったですがね。オモパ大全集をお持ちの方はご存知のとおり、あのようなインタビューとなりました。3ページ目には待望の念願のヴィウのコーナーが!

 オモパ大全集にヴィウが載ったことで、私がヴィウに対してするべきことはこれくらいかなと区切りをつけ、その後現在に至るまでの3年半は作ることも解くこともやめてしまっていました。ルールは覚えていますが、手筋も解き味も忘れています。今10周年を迎え、思い出すにはいい機会かなと思い、ちょっとまたいじってみることにしました。今解いても面白いと思えるパズルなのか、それとも私の見方は変わってしまっているか、その検証を一人でやるより、皆様に見てもらいながらの方が面白いかなというのが今回の「特集ヴィウ」です。

 では、次回、例題を実際に解きながら、手筋解き味を思い出してみます。