電子の二重スリット実験を多数回繰り返すと干渉縞ができます。
この干渉縞は、電子の到達位置における波動関数の合成ベクトルの絶対値の2乗にボルンの確率解釈を適用することで説明できます。
この確率解釈は量子力学における公理(仮説)になっています。
しかし、このボルンの確率解釈は単なる解釈ではなく、実験的裏付けがあることが以下のようにしてわかります。
干渉縞は、検出器に到達した電子の個数を検出器ごとに集計した総数の大小により出来るものです。
つまり、干渉縞は各検出器に到達した電子の頻度分布を意味します。
この頻度分布を規格化すれば確率分布になります。
ということは、二重スリット実験における電子検出板における「確率分布」を波動関数と確率解釈を用いて説明できることを意味します。
これらの事実から次の結論が得られます。
ボルンの確率解釈は量子力学の公理(仮説)とされていますが、二重スリット実験は確率解釈を「実験で証明」していることが分かります。
確率解釈は仮説ではないのです!!!
そこで、確率解釈を「ボルンの検出原理」と名付けます。
ボルンが確率解釈を提案した経緯については下記の著書に詳しく出ています。
マックス・ヤンマー(井上健訳)『量子力学の哲学(上)』、pp.49-55、紀伊國屋書店(1991,3)