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「BORN to RUN」から

2010-06-02 22:20:41 | 走るを科学する
この本に人類の進化に関する興味深い説がこめられている。
それは我々のルーツであるホモサピエンスが走る人類ではなかったかという研究である。

ユタ大学の研究者であったディビッドはウサギの解剖から不思議な筋肉のつき方からあるひらめきを得る。我々人類の祖先であるホモサピエンス(新人類)がひ弱な体つきながら石槍や武器も持たず、発生以前20万年も君臨し続けた屈強なネアンデルタール人を押しのけて何故生き残ったのかという謎の解明である。
狩をする動物、逃げる動物の生態から彼らはわずかな差ながら巣穴に逃げ込んだり、獲物を捕らえたりするスピードは持っているが、持久力は向いてないと知る。
弓なりにからだを曲げ、反って跳躍する動作一つに一呼吸するために、体温が上がってしまうと動作が続かないという。口からの排気でしか体温調節ができない。
それに対してホモサピエンスは、体毛が薄く汗腺も多い。体温調節も容易だ。
走るためのお尻の筋肉もついている。
直立で太陽からのエネルギーも受けにくい。さらに項靱帯という頭を安定させる靱帯が歩くチンパンジーや豚などと違って持っている。大きく違うのは一動作に対して一呼吸ではなく二呼吸をすることができる。ここから新人類は走るということで、ネアンデルタール人との違いを鮮明にしたのではないか?

この仮説を実証するために、アフリカのブッシュマンと生活を共にし、狩猟のしかたを検証してみる。ブッシュマンは動物を追跡しながらリレーをしながら動物が弱るまで追い詰める。まさに何時間も持久走を行うにひとしい。
武器も持たないホモサピエンスはひ弱な身体ながら、走り続けることで獲物を得て生き残ることを選択したといえる。あくまで自然に。
このランニングマン説はなるほどと思わせる。

「BORN to RUN」というテーマは私たち市民ランナーが何故走るのかの励ましの言葉ではなく、は人類のルーツまでにさかのぼって生存競争に打ち勝ったDNAから来るものとの賛辞の言葉であるように思える。

作者のクリストファー・マクドゥーガルもランナーであり、このドラマであるCOOPER CANYON(銅渓谷)のウルトラトレイルマラソンの完走者であり、ランナーの視点から書かれたこの作品をより多くのランナーに読んでもらいたいと願わずにはいられない。

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