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性同一性障害(その3・呼吸)

2011-02-07 17:02:01 | 性同一性障害の根拠

こんにちは、のほせんです。
まだまだ寒い気候がつづいていますが、
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

いまアフリカや中近東の国々では支配者が国を追われようとしていますが、
日本でもようやく
既存の政党やメディアがあまりに時代に無感覚なことに業を煮やした市民が、
名古屋から怒りの意志をしめしました。
情けないことに
もはや政党やメディアは市民の怒りの意志さえ理解できかねていて、
まさに左脳の崩壊を露呈しています。・・・

さて今回は性同一性障害(その3)となりますが、
性同一性障害を問題にするとき、

わたしたちはその無意識の倒錯性の「根拠」にまで分け入って考察しなければ、
当該者の恣意的な男性・女性の嫌悪や嗜好の範疇に捨ておかれることになる。

いやもっと下手をすると、
「脳の性分化」などという学者先生たちの無機質な資料にされて終わることになる。

そこで前回のブログでは、
吉本隆明氏の『母型論』の<連環論 > のなかで展開されていたように、

- 母子の授乳行為においては、エロス覚が同調していて、
母親の雄性としての乳頭にたいして、
乳児はその雌雄にかかわらず、つねに雌性として対面させられる  -
という、驚くべき洞察に接して、

わたしたちはそこに、
- 乳児が器質的に男性なら
エロス覚としての<倒錯 > の直接的な動機をみるし、
女性であれば母親のなかに雄性的なエロス覚をおぼえるという、
別の<倒錯 > の素因をみとめられるようにおもえる 。-

というところまで歩をすすめてきました。

吉本さんは、さらに
「母親と乳児との授乳行為を媒介にした栄養摂取の起源の形と、
それに二重化された性的な行為のエロス覚との同致、
その異常の実態に接近」 するために、
ていねいにその世界をおしひろげようとする。

それは発生学的には要約するとつぎのようになるという。
-「まずひとつは口から鼻へ。
動物は上陸して空気呼吸になるとともに鼻窩が口腔のなかへ入りこみ、
それとともに鼻中隔をつくり、この鼻甲介によって鼻腔の表面積が飛躍的に拡大する。

呼吸で吸いこまれた空気はいくつもに分断され、
上の方は鼻腔の天井の嗅覚をつかさどる部分へ、
下部の吸気は鼻甲介で温められて後ろの咽喉部へ流れる。

いいかえれば鼻は感覚門(嗅覚)と呼吸門のふたつの機能にわかれる。

発生時に原型をただせば、
このふたつの機能は、水の流れを感受するものだった。
もともと魚類のように
水流中の酸素を摂取する植物的な宇宙界のリズムのひとつだった呼吸運動を、
個体の体壁系の感覚運動と融着させてしまったことを意味している。

肺が鰓腸の壁から発達し、分かれてきた袋状の内臓だとすると、
肺の呼吸をつかさどってきたのは鰓呼吸をつかさどる延髄である。
これは「鰓脳」ともよばれる発生的な根拠をもって、
肺のリズム、心臓のリズム運動をまもっていく。

だが発生学者にいわせれば本来自然であるはずの呼吸運動が、
体壁系の動物筋肉にゆだねられ、その支配をも受けるようになっていく。

鼻は空気を適温に温め、やわらげて肺に送りこむだけでなく、
嗅覚のよしあしに左右されるようになる。
いいかえれば、
呼吸は感覚の支配によって停止されたり不随意の臭気によってつまったり、
心的な衝撃によって乱れたり、
病的な場合には分裂病者にあるように、
人為的に呼吸を停止して自殺することができるようになる。

正常な場合ヒトは自分で呼吸をつめて自死することはできないとされている。
だが分裂病ではそれがありうる。

このことは呼吸作用本来の姿である植物的な内臓系の律動が意志的に切断できるほど
体壁系の感覚支配が乖離変貌したことを意味している。」 ・・・


ここではヒトが進化をとげてゆく過程で、
心的な要因が優位になってゆく様があかされています。

さらに吉本さんの論述にそっていくと、・・

- 「呼吸は延髄(鰓脳)の呼吸中枢に統御されているのと同時に、
大脳の皮質にも統御されている。

この呼吸過程には嗅覚の過程が対応する。
嗅覚は呼吸に対応する体壁感覚の生命=性の起源(エロス覚)の
いちばん本質的なかたちなのだといっていい。

呼吸器官のどこかで定常状態が破られれば
嗅覚はそれに照応しておどろくほど鋭敏になる。

さらに嗅覚は吸う息の異変を<幻嗅 > として創出することができるようになる。
吐く息と吸う息のリズムがとりもなおさず嗅覚にとって性的なエロスの過程なのだ。」 ・・・

幻嗅という、
「対象がなく自己内のエロス覚なので無目的で浮遊する」心的な病理さえあざやかにとらえていく。 ・・

また、発生学者三木成夫氏の論述にふれて、
「ヒトの行動は身体運動や意志の働きもふくめて、
すべて呼吸の犠牲のうえに成り立っていて、
自然な呼吸を妨げることなしにヒトの身心の行動はありえない」 という。

氏はこの論考のなかでふと思いだしたように、「禅(ZEN)の呼吸法」に言及している。

- 「(禅の呼吸法は)体壁につながる筋肉や神経で統御される感覚部門を遮断し、
植物的な生命代謝だけによって宇宙的なリズムに同値する状態を修練でつくりだすことで、
心身の原初に円環しようとしているといえる。

禅はこの原初の呼吸法を獲得することを自己目的にしているとの指摘を回避するために、
死の超越の可能性といった課題を導入しようと試みてきた。

植物性の内臓呼吸だけの呼吸法は、たしかに
末端を天空と地面に開かせた植物の姿に似ている。

だがそれは自然に宇宙リズムに同化できた<死 > の状態の創出とは、
はるかに隔たったものだといっていい。

それでも
植物性の呼吸だけの状態を人工的につくりあげる修練は、
分裂病や それに類似した呼吸の乖離から由来する精神薄弱の現象を
根底から絶ちきることを意味している。」 ・・・

またしても鋭い洞察に出会って、畏怖するほかない。・・・

(次回につづきます。)
.........................................

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-02-08 18:46:42
余計なことかもしれませんが、ひょっとするとエロス覚→エロス核ではないかと思います。(生育暦は生育歴かと思います)お確かめくださいませ。
恐縮です (のほせん)
2011-02-09 08:55:08
わたしのブログを読んで頂きありがとうございます。

ご指摘の「エロス覚」という言葉は、
吉本さんの母型論にあるものです。
ここでは「性的な行為の感覚」という意味でつかわれています。

あとの生育「暦」はわたしのタイプミスで、正しくは「歴」です。

ご指摘ありがとうございました。

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