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性同一性障害(その4・言語へ)

2011-02-14 17:00:02 | 性同一性障害の根拠

こんにちは、のほせんです。
このあたりでは午後からぼたん雪が降りつづいていますが、
みなさんのところはいかがでしょうか?

性同一性障害について、
もっとも根源的な場所からお話をすすめていますが、

初回のブログに登場された男性風の人の記憶によれば、
性的な異和を感じだしたのは、
「思春期に入って意識的にオナニーをするようになった頃」 だという。

つまりこの人のばあい、よりつよい快感を求めていくと
<倒錯 > といわれる場所にいきついていたということでした。--

わたしはこのお話をうかがっていて、
意識的なオナニーというものが男性・女性にかかわらず、
異性への何らかの心的な関係性の疎外をかかえて行われる場合、
疎外されたゆえに自己内におしこまれた性的欲動が、
身体の両義性をも容認する方向にむかうことで、
倒錯性への萌芽が形成されうるのではないかとかんがえてみました。

だがそれが現実のなかに表現されるには、
いくつかの関門(タブー)をくぐるだけの、いいかえれば制御を超えてくるだけの、
手に負えないような性的な欲求が日常的にあることが不可欠になるとおもわれる。

するとそこにはやはり、
授乳期にさかのぼった根源的でかつ倒錯的なエロス覚がかかえられていることが
前提とされるほかないようにおもわれる。

しかしそれはまた根源的とは自覚しない分、
『超える』ことに快感をおぼえる反面、
社会的な自己としては、
切実な矛盾を背負っているといえるかもしれない。
ふと、こんなことをかんがえさせられた<彼 > の証言でした。 --

さて前回までに、
吉本隆明氏の『母型論』によって、
乳児が母親から、栄養摂取と同時にエロス覚としても接触する器官である
口腔と鼻腔についての論考(「 原初の生命代謝より体壁系のエロス覚支配 」) を、
おどろきをもってごいっしょにみてきましたが、

氏がさらにつづけていうところを要約すると、-
-「頭蓋や脳の発生的な形は、ヒトの一般的な共通の基盤を語っている。
でもヒトの<心 > とか<精神 > と名づけてきたものの性質や働きは脳の一般的な働きと同一ではない。」

-「<心 > や<精神 > と呼びならわしているものが、
発生的にいえばいままでたどってきた植物性の器官と動物性の器官の運動や律動のうえに、
ヒトの特質といえる肥大した大脳皮質の、いつも自己距離を微分化し、覚醒している運動のうえに、
三つ巴に総合された建物だということはたしかだといえよう。」!!

-「たとえば体温を定常状態に保つために血液の流れは交感神経によって調節されている。

(だが)ヒトが何かショックを受ける事態にぶつかれば、心臓の動機は高鳴ってドキドキする。
ほんらい自然な支配にあるべき血流が、
交感可能な神経の支配をもうけて、
外界のショックに交感し、血流を早めたり乱れさせたりするからだ。

(また)<心 > が恐れたり、喜んだりといった言い方で、<心 > の感情を指したりするが、
(このとき)心臓の植物神経と交感神経の動きの状態から、
<心 > の動きの状態を指すところに跳出しているのだといえる。
この微分的な跳び移り(転移)が
<心 > とか<精神 > とか呼んでいるものの発生の起源だといっていい。

これは実感やもっと無意識のところでは、
感情と心臓の動悸の異変とが対応することを知っていることになる。
では何によってこの状態を知っているのか。

たとえば乳児は言葉をもたないが、
< 内コミュニケーション > が植物神経系や交感神経系をつかって内臓器質的につくり出され、
それが微分的に<心 > や<精神 > を感情の動きとして跳出させる
発生機の状態(ナッセント・ステート)をつくれることが重要なのだ。」 という。・・・

さらに吉本さんは、
呼吸リズムが感覚神経系(優位)にゆだねられ、
共通した刺戟通路を意識的に変動させることによる
前言語的な音声(発声)の長い歴史をもったうえで、
ようやくヒトが共通の規範を手にすることによって、
種族的言語を獲得したと推量している。

わたしたちは次の<大洋論 > の章に入って、
言語の獲得の意味について、また瞠目させられるはずだ。・・


-「三木成夫によれば顔の表情は、腸管の末端があたかも肛門のようにめくれ返って
腸管の内面を露出したものにあたっている。
だから顔の表情は内臓管の視覚的な表象とみなしてよい。

それとおなじように喉頭の発する音声は、内臓管の聴覚的な表情といっていい。」!!

-「わたしたちはここで、種族語の母音の共通性を、
ヒトの類としての共通性に対応するという仮定にたてば、

(母音の拡がりは)、
内臓管の表情が跳びだした心の動きを縦糸に、また
喉頭や口や鼻の形を変化させる体壁系の筋肉の感覚の変化を横糸にして
織物のように拡がる、大洋の波のイメージになぞらえることができる。」!!

「いいかえれば母音とは胎乳児と母親の関わりの、種族を超えた共通性と、
習俗の差異のつみ重なりから生みだされた言語母型の音声にほかならないといえる。」--

というように、あらたな展開をみせて、わたしたちを魅きつけてゆきます。

さらなるヒトの人間的発達について、精神の根源について、
余人をよせつけない構想力と洞察力に圧倒されるばかりです。・・

(次回につづきます。)

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