ある人気ダンサーが、「とにかく新しいことをしたい」と言ってて、周りのダンサーも賛同してた。「ブラックカルチャーの歴史を研究した上で新しいこと」でもなく、「日本の閉鎖的な状況をくつがえすような新しいこと」でもなく「とにかく新しいこと」だ。新しいというだけでありがたがるという人間の心理を利用するからこそ人気ダンサーになれる。よく、海外ドラマの宣伝で「全く新しいドラマだ」とかいうものがあるが、実際はそんなに画期的な斬新なドラマでもない。「新しいもの」というと人の気をひくことができるし、低俗な人は惑わされる。ダンス界全体でも、学生ダンサーとかが世に出てくると、たいして実力もないのに「新しい世代だ」というだけでありがたがられる。だからメディアとかダンスのビジネスをしてる人も学生ダンサーを使いたがり、彼らが活躍する状況を作る。彼らにあこがれる人がダンス界に入り、ダンス界のレベルは低くなる。この流れを断ち切るためには、学生ダンサーが目を覚まし、「自分は学生なのにこんなに上手いんだぞ」というふうに自己顕示するのをやめ、「自分は今時の若者だ。ダンスに青春をかけてる」と自己陶酔するのをやめなくてはいけない。目を覚まさない人間が活躍するから今のような低俗な状況になる。