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若者の県外流出は悪いこと?

2017-07-12 | 人口減少問題とDIY主義!
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外で学び働くことも奨励すべき
 
 6月25日に行なわれた静岡県知事選挙で、現職の川勝知事が三選を果たしました。川勝知事のこれまでの三度の選挙全てに私は直接関わってきましたが、今回は川勝知事を全面的に応援する県議会会派「ふじのくに県民クラブ」の政策調査会長として、選挙における政策作りやアンケートへの回答、政見放送等の担当という重責を頂きました。何とか無事に責任を果たすことができ安堵した半面、特に旧静岡市内における厳しい結果については真摯に受け止めなければいけないと思っています。県政の一端を担う者として、しっかり肝に銘じて、今後の議員活動を進めていきます。

 今回の県知事選に先立ち、県内では計3回、立候補予定者による公開討論会が行なわれました。そのうちの2回は10代、20代の若者が中心となって企画したものでした。そこで特に議題となったのが若者流出問題。静岡県では10代後半や20代の若者が毎年数多く県外に転出しているということから、若者流出を何とか防ぐべきという意見が多く聞かれました。

 しかし、若者流出は静岡県にとって悪いことばかりなのでしょうか?川勝知事も、ご自身は京都出身ながら東京の大学に進学し、後に英国に留学。その後、県外で働いてきたという自己体験から、「県内の若者が県外や海外で勉強したり就職したりすることが全て良くないとは決して思っていない。実際に私も県外や海外の大学で勉強し仕事をしてきた。県外や海外での勉強や就職も同時に奨励したい」という趣旨の発言を公開討論会でされました。

 私も全く同感です。何故なら、相互依存や国際化・地球化が更に進むこれからの時代には、県外や海外で様々な勉強や経験をした若者がますます必要となるからです。私自身も旧静岡市での生まれながら、神奈川県にキャンパスのある大学に進学し、英国に留学。国会議員政策担当秘書として埼玉県や東京・永田町で12年近く働いてきました。そうした経験からも言えることは、重要なのは、県外や海外で学び働いている方々が、時間が出来たら帰省したい、いつかは戻って仕事をしたい、暮らしたい、と常に思い続けてもらえるような静岡県であり続けること、そのための努力をすることではないでしょうか。

 もちろん、静岡県に残って、ずっと働き続けてもらえる若者の存在も重要です。しかし同時に、若者の皆さんが県外や海外で様々な挑戦をすることも積極的に応援すべきと考えます。


大学新設で若者流出が止まる?

 若者が県外に流出する要因の一つとしてよく挙げられるのが、「県内の高校卒業生が進学できる大学が不足している」というものです。そのため、県内にもっと大学を作るべきという意見も、今回の知事選でも度々聞かれました。また実際に、静岡市議会等でそうした議論がされたこともあります。

 私は、県内高校生の受け皿を増やすことを目的とした公立大学の新設には基本的に反対です。何故なら、日本全体で若者人口の減少が続く昨今、国公立・私立を問わず大学経営は一層厳しくなってきており、そうした状況は当面続くからです。また大学を新設した場合、評価や学生のレベルがより高い大学を目指すことになるでしょうが、より良い大学の実現と若者流出阻止の両立は極めて難しいからです。

 その典型例が、秋田県にある国際教養大学です。経営の悪化により閉校したミネソタ州立大学秋田校の旧校舎を活用して、秋田県が平成16年に開校しました。それから10年余りしか経っていないにも関わらず、4年間全て英語による授業というようなユニークなグローバル教育カリキュラムが極めて高い評価を受けており、入試の難易度は既に東大京大レベルです。また、今年の4月時点で47の国や地域の計185大学と交流提携していることが証明するように、海外からも高評価を得ています。


※国際教養大学を視察(平成27年8月4日)


 しかし、そうした「超難関大学」となったために、秋田県立の大学であるにも関わらず、秋田県内の高校卒業生にとっても入学が難しくなってしまったのです。今年の4月現在で、国際教養大学の学部生869名のうち、都道府県別で最も多いのは秋田県出身学生であるものの、計116名、僅か13%程しかいないのです。秋田県に次いで多いのが東京都出身の100名。それに神奈川、千葉、埼玉出身の学生も加えれば計218名にもなり、4人に1人が実は首都圏・関東出身の学生なのです

 因みに、静岡県立大学における静岡県出身学生数(本年5月現在)は、学部生2783名中1762名で約63%にもなります。その割合は上昇傾向にあり、県内の若者の流出を防いでいるという意味では良いことなのかもしれません。しかしそれは、県外の高校生にとって県立大の魅力が低下しつつあることを意味していることも忘れてはいけません。

 また、県外からの学生が多いとしても、卒業後、県内企業にその多くが就職していればむしろ若者獲得に貢献していると言えます。しかし、国際教養大学の場合はそうではありません。1学年の定員は175名で毎年同程度数の学生が卒業していますが、秋田県内の企業に就職したのは大学設置後初めて卒業生を輩出した平成19年度から24年度までで計52名だったそうです。つまり、年に10名にも満たないのです。卒業生の殆どは県外、海外の大学院に進学もしくは企業や組織に就職しているのです。秋田県は10億円ほどの運営費を国際教養大学に毎年交付していますが、その意義については、秋田県議会等でも度々議論になっているようです。

 やはり重要なのは、前述のように、県外や海外で活躍している若者が、いつも誇りに思う故郷として静岡県があり続けることだと考えます。そのために、引き続き努力していきたく思います。


※若者流出については、今月の「すずしんラジオ」でもお話しします。是非お聴き下さい!


 お読み下さり、ありがとうございます。

溝口候補のおかしな主張②「全国ワースト4位」

2017-06-24 | 人口減少問題とDIY主義!
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 静岡県知事選は残り1日ですが、前回に引き続き、溝口紀子候補のおかしな主張について私なりに(つまりあくまでも私個人の見解です)解説したいと思います(時間もありませんので全部で3回シリーズとなります)。

 溝口候補が当初から述べている(溝口候補のホームページ選挙公報、証紙ビラ等でも触れられています)主張の1つが、「人口減少数で全国ワースト4位(2016年度調査)という現状は、バランスを欠いた政策の結果です」(※溝口候補のホームページより引用)というものです。

 この「人口減少数でワースト4位」というのは恐らく総務省統計局が今年の1月31日に公表した「住民基本台帳人口移動報告2016年結果」で、2016年における静岡県での転出超過数が6390人で、北海道、熊本県、兵庫県に次ぐワースト4位になったことを指すものと思われます。

 しかし、まず正確を期するのであれば、その数はあくまでも転出超過数であり、人口減少数では決してありません。なぜなら、人口の増減は、転出・転入のいわゆる社会増減と出生・死亡の自然増減の和であるからです。社会減、つまり転出超過が大きくてもそれを上回る自然増があれば結果として人口は増えることになりますから、2016年の静岡県の人口減少数が全国ワースト4位という表現は不正確です。ちなみに、2015年10月1日から2016年9月30日における静岡県の人口減少数(社会増減+自然増減)は12677人で都道府県の中で7番目に多い人口減少数となっています

 ただそれ以上におかしい点は、転出超過の状況や比較を絶対数だけで考えている点です。この点につきましては川勝候補も公開討論会で指摘をしていますし、私も2年ほど前のブログで書いています(「人口転出問題:冷静で長期的な議論と対策を」)。言うまでもなく、都道府県の人口規模はバラバラです。1300万人を超える東京都から、60万人に満たない(つまり静岡市よりも人口が少ない)鳥取県まであるのですから、そうした規模の違いを考えずに、転出超過数を単純に比較するのはあまり意味がないと考えます。

 仮に、東京都と鳥取県の年間転出超過数が共に千人だった場合、絶対数の順位では同じということになりますが、その影響は当然違います。言うまでもなく、千人転出超過の影響は東京都よりも鳥取県の方が、人口比でいえば20倍以上大きいのですから、都道府県ごとの転出超過の問題は絶対数ではなく転出(もしくは転入)超過率で考えるべきです。ちなみに、転出超過数で北海道に次ぐワースト2位を記録した2014年では、静岡県の転出・転入超過率(つまり社会増減率)はワースト21位でした(2016年分については残念ながらまだ計算していませんが順位は改善されているはずです)。

 更に、前述のように、人口の増減は、社会増減と自然増減の和で決まります。人口減少問題ではどうしても転出超過・社会的流出に焦点が当たりがちですが、第一次ベビーブーマーである団塊の世代の方々が80歳代に突入する2025年に向けて、そしてそれ以降もしばらくは、自然減の増、つまり「死亡増」がどの都道府県も例外なく人口減少の大きな要因となります。つまり「多死時代」の到来です。当面は加速度的に死亡数が増えていきますので、社会増減数ばかりに注目したり一喜一憂することは、人口減少問題の本質から目をそらすことになります。その意味からも転出超過数が全国ワースト4位だったことを声高々に言うのは建設的ではないはずです。

 そして最後に指摘したいのは、溝口候補は川勝県政8年間において人口減少が進んだことを「川勝県政の失敗」だと結論として主張したいようですが、これも明らかに短絡的な議論だということです。2015年に行われた国勢調査の結果によれば、前の調査が行われた2010年から15年にかけて人口が増加したのは47都道府県のうち8都県。ちなみに静岡県は人口増減率は17位(つまり人口減少率でワースト31位)でした。任期中に人口が減少した事実だけをもって県政は失敗したとするなら、全国39の道府県知事は全て失政を行なったことになってしまいます。乱暴な議論であることは言うまでもないでしょう。


※「平成27年国勢調査 人口等基本集計結果概要」より(※赤丸は筆者)


 これは県政に限った話ではなく、国や市町村においても基本的に共通することですが、国立社会保障・人口問題研究所や各自治体が独自に作成した将来人口推計(例えば、静岡県の将来人口推計)が示すように、少なくとも今後数十年間は人口減少を止めることはできません。ですので、私もブログで繰り返し主張してきましたが、小手先の政策による一時的な人口減少抑制策ではなく、人口減少や超高齢化が進むことを前提とした政策や仕組み作りを今から進めることが不可欠なのです。

 今回の知事選に当たり、私も所属する県議会会派「ふじのくに県民クラブ」では、そうした長期的な視点も踏まえた「2017→2022 政策ビジョン」を川勝候補と連名で作成しました。全4ページの簡単な資料ですので、是非一度お目通して頂きたく思います。

 お読み下さり、ありがとうございます。

「服に体を合わせる」ではなく「体に合った服を作る」人口減少対策を!

2016-10-12 | 人口減少問題とDIY主義!
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1.人口減少問題は「体と服の関係」に例えるとわかりやすい

 先月9月25日に放送されたNHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」。豊島区等を始めとする東京都の人口が2020年頃から減少に転じること、10年前に財政破綻した北海道夕張市は、元東京都職員の鈴木直道市長の月給は手取りで16万円足らず、老朽化した保育園の耐震化のための予算すら確保できないくらい厳しい状況にあること、島根県雲南市では、財政難のために市民が少ない予算で行政から水道検診等のサービスを請け負いながら高齢者の自宅を訪問する等の取り組みが行われているが、それすら維持が難しくなりつつあること等々の「衝撃的な」内容であり、インターネット上では、放送を見た人たちが絶望の声を上げているそうです

 これまでも私のラジオ番組「すずきさとるのすずしんラジオ」このブログで何度も申し上げてきた通り、国や地方の少子化対策が功を奏して出生率が例えば現在の1.4程度(静岡県は1.5程度)から2まで上昇し維持できたとしても、人口減少は少なくとも数十年間は止まりません。そして当面は同時に超高齢化も進みます。そのため、人口増加を前提とした現在の社会や経済の仕組みを変えなければ、「縮小ニッポンの衝撃」が伝えようとした絶望的な事態はそう遠くない将来に確かに起こるでしょう。


平成26年12月27日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」17ページより抜粋


 「縮小ニッポンの衝撃」は是非一度見て頂きたい良作です(※NHKオンデマンド(有料)で見ることができます)。しかしながら「だから何とかしなければならない」という、言わば警告を暗に伝える形で番組を終了している点は残念に思います。なぜなら、前述のように、「人口減少が止まる、あるいは、これから人口増加に転じない限り日本の将来は絶望的だ」という印象を恐らく多くの視聴者に与えてしまっているからです。

 人口減少が負の結果しかもたらさないとしたら、確かにこれから暫くの日本の将来は絶望的、悲観的なものとなるでしょう。しかし、これも繰り返しお話してきた通り、決してそんなことはありません。例えば、日本は人口過密と長年言われてきましたが、人口減少は、物理的にゆとりのある街づくりを可能にします。また、人口減少は究極のエコ、環境対策であり、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入とも相まって、人口減少は自然に優しい低炭素社会の実現にも大きく貢献します。また、大変低いとされる日本の食料自給率も、現在の生産量を維持するだけで、人口減少に伴い相対的に上昇させることができるのです。

 人口減少問題の本質は、体(人口)と服(社会の仕組み)の関係に例えると分かりやすくなります。これまでの日本社会は「若く」、成長期にあり、その体は毎年大きくなっていきました。そのため、服もそれに合わせて大きく、そして経済的にゆとりがあったことから立派なものに作り変えてきました。しかし、日本は今や壮年期に入って体の成長は止まり、そして小さくなりだしました。つまり、このままでは現在の服は大き過ぎて合わなくなる可能性が出てきました。ところが「せっかく作ったお気に入りの服なのに着られなくなるのは嫌だ。どうしよう…」と慌てている、これが現在の日本ではないでしょうか。


2.「体に合った服を作る」人口減少対策

 これまでに大きく成長した体が健康なものであれば、その体型は何とかして維持しなければなりません。しかし、1億3千万人近いという人口規模や現在の都市・街づくりそして日本の社会そのものは果たして「健康」なのでしょうか。

 地元静岡から東京に向かう新幹線で都内に入りますと、家やビルが所狭しと建てられた街並みが線路の両脇に広がります。それを見るたびに、日本の人口は多過ぎるように感じるのは私だけでしょうか。また、日本は、かつて世界2位の経済大国になる程にまで経済発展したにもかかわらず、最近こそ減少傾向にはあるものの毎年2万~3万人の方が自死されています。自信や夢を持って生きることが決して簡単ではない国が果たして「健康」だと言えるのでしょうか。むしろ「(やや)太り過ぎの不健康な体」と言うべきではないでしょうか。

 世界に目を転じれば、人口はむしろ増加の一途であり、経済格差や環境破壊、食料や水の不足、地球温暖化等の問題が進行しています。つまり、人口が増え続けなければ維持できないという今の社会や経済の仕組みを変えない限り、人類や地球は極めて深刻な危機に直面する可能性が大きくなっているのです。そうした問題を解決するには、人口減少・超高齢化の最先進国である日本が、人口が大幅に減少しても豊かな社会を築くことができることを世界に示すことが不可欠なのではないでしょうか。


国際連合経済社会局人口部による世界の将来人口推計グラフ(2015年)。中位推計では2100年の人口は約112億人ですが、出生率が中位推計よりも0.5上昇すれば2100年の人口は現在の倍以上の160億人超にもなってしまいます。 


 加えて、そもそも数十年間は人口減少を止めることは不可能ですから、今の「服」を着続けようとするなら、ほぼ唯一の選択肢として今後暫くは毎年数十万人という移民を海外から受け入れる必要があります。しかし、今もなお十分に国際化しているとは言い難い日本がそうした大量の外国人を問題なく受け入れることができるかと言えば、無理だということは想像に難くないでしょう。

 では、「体に服を合わせる人口減少対策」とは何か。一言で言えば、「人口が大幅に減少し高齢化が進行しても対応できる社会の仕組み作り」です。具体的には、人口が大幅に減少する以上、現在の様々な行政サービスやインフラ等はそうした人口減少を見越して縮小する必要があります。つまり、何でも行政に頼るのではなく、近所や地域で解決できることは解決する、住宅地や市街地を適切に縮小することで、道路、上下水道、電気等のインフラの効率化を図る等の政策や仕組みの実行です。縮小と言うとマイナスイメージばかりのように聞こますが、前述の通り、それは環境に優しい社会に近づくことを意味します。また、人口増加が続いていた頃は、不足する住宅地を確保するために山や崖の近く、川沿いや海岸沿いという、自然災害に合う可能性が決して低いとは言えない場所にも家を積極的に建ててきました。しかし人口減少が進めば、そうした場所に住む必然性は小さくなります。つまり、災害に真に強い社会の実現も可能になるのです。

 人口減少・超高齢化社会の到来で特に問題視されるのは、介護、医療、格差・貧困対策等の社会保障制度の持続性です。確かに、現在の医療保険、年金や介護制度等をそのまま維持することは難しいでしょう。しかし、戦後の歴史を振り返ってみれば、社会保障制度や様々な行政サービスが充実したことにより、地域や社会でお互いに助け合うことが少なくなり、その結果、近所や地域のつながり、そしてコミュニティそのものが弱体化してしまいました。今後は、様々なライフステージで困ったことがあれば近所や地域でお互いに助け合うことが当たり前の社会を再び築くことにより、行政サービスに出来る限り依存しないようにすることが不可欠です。言うほど簡単ではないかもしれませんが、地域の絆やコミュニティの再構築、そして「健康で心豊かな」社会の復元のためにも必要なことだと思います。

 何かと注目されることが多い小泉進次郎氏が先日「人口が減ったって、やっていけるという自信が大切。将来に悲観する1億2000万人より将来に自信と楽観を持つ6000万人のほうが強い。いつか人口が下げ止まるときがきて、そこから力強い成長がある。人口減少を強みに変えよう」とある会合で訴えたそうですが、私も基本的に同感です。これまでの考えや仕組みに囚われ「服に体を合わせる」人口減少対策を進める限り、問題は解決せず将来に悲観せざるを得ないでしょう。発想を変え、人口減少を強みに変える「体に合った服を作る」人口減少対策を打ち出し実行することこそが、今の日本社会が将来への自信や楽観を取り戻すには必要なはずです。政治家の端くれとして、そうした政治の役割の一端を少しでも担うことができるよう、私も引き続き努力する所存です。


※「体に服を合わせる人口減少対策を」と題して、2回にわたり10月(14日と28日)の「すずしんラジオ」で同趣旨のお話をします(インターネットでも同時に放送します)。是非お聞き下さい!


 お読み下さりありがとうございます。

産まない選択は無責任?

2016-03-20 | 人口減少問題とDIY主義!
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山口智子さんの選択
 
 俳優・山口智子さんの発言が注目を集めています。今年2月発売の雑誌『FRaU』(講談社)3月号に掲載されたロングインタビューで、山口さんは次のように話しています。

私はずっと、『親』というものになりたくないと思って育ちました。私は『子供のいる人生』とは違う人生を歩みたいなと。だからこそ、血の繋がりはなくとも、伴侶という人生のパートナーを強く求めていました。唐沢さんは、夫であり、家族であり、友であり、恋人であり……。唐沢さんと一緒に生きることは、ほんとうに楽しいです

私はずっと、子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです。人それぞれ、いろんな選択があっていいはず。もちろん、子供を持って初めてわかる感動もあると思います。実際に産んでみないとわからないことだと思うけれど。でも私は、自分の選択に微塵の後悔もないです。夫としっかり向き合って、二人の関係を築いていく人生は、本当に幸せです

 
※(左)『FRaU』2016年3月号136ページ(抜粋)、(右)同138ページ(同)


 こうした発言に対し、インターネット上では「潔い」「よく言ってくれた」という賛成の声が上がる一方、「無責任だ」「わがままだ」という反対の意見も出ています(※ぜひ検索してみて下さい)。反対の理由としては、「社会保障制度や国の存続のために産むべき」「自分の老後の面倒は誰に見てもらうつもりなのか」「子孫を残すのは生物として当然」等があるようです。また、大阪市のある中学校長が「女性にとって最も大切なことは子どもを2人以上産むことだ」と全校生徒の前で発言したことが先日報道されました。山口さんの「産まない選択」は本当に無責任なのでしょうか。


産まない自由があるから産む自由がある

 私は以前から、子どもを産む選択をしようとも産まない選択をしようとも、あるいは、結婚する選択をしようともしない選択をしようとも、何れの選択も尊重され、それなりに安心して生活が出来る、多様性豊かな社会を築くべきと考えています。ですから、山口さんの産まない選択も尊重されて当然だと強く思います。

 そこで、「子どもを産まない選択は無責任だ」という意見に対して、「産まない自由があるからこそ産む自由がある」ことを指摘したく思います。例えば、中国では、昨年末まで、人口増加を抑制するための「一人っ子政策」が取られていました。そのため、2014年には年間1千万人近い女性が子どもを中絶しており、その手術は流れ作業のようだそうです。高額の罰金を払って二人目を認めてもらうことも出来ましたが、罰金や中絶手術代が払えない夫婦は、密かに子どもを産み育てました。その結果、中国には約1300万人もの無戸籍児がいるそうです。戸籍上登録されていないということは、日本で言えば、健康保険や義務教育等の公的サービスが受けられなかったり、パスポートや免許証等を取得する資格がなかったりすることを意味します。そうした無戸籍児が人口の1%近く存在するのですから、大変深刻な問題です。

 もしも日本で、戦後から今に至るまで、結婚して子どもを2人、3人あるいはそれ以上産むことがずっと当たり前だったとしたら、人口は増加し続け、その結果、いずれは「一人っ子政策」のような制限政策が必要になったことでしょう。実際、日本でも、終戦直後の食糧難の中、戦争で失った植民地から大勢の日本人が引き揚げてきたことに加え、ベビーブームが生じたことから、このままでは日本全体が飢餓状態に陥ることが危惧されました。そのため実施されたのが、経済的な理由での妊娠中絶を認めるという「産児制限」でした。その結果、戦後のベビーブームはわずか3年程で終わったのです。

 今の日本では、親としての責任を果たすことが出来る限り、子どもを多く産むことはむしろ称賛されますし、テレビでもよく取り上げられます。そうした子どもを産む自由を享受できるのは、一方で、子どもを産まない選択をする人達もそれなりにいる結果として、人口が増え過ぎる、多過ぎるという問題の心配が日本ではないからです。産まない自由があるからこそ産む自由があることを決して忘れてはいけません。


川勝知事を招いての私の県政報告会でも「産まない選択」を取り上げました。(平成28年2月21日)


企業子宝率ではなくワークライフバランスの推進を

 国や自治体では出生率を上げることを目標に掲げたり、子育て支援に積極的で社員が沢山の子供を産んでいる企業の出生率「企業子宝率」を示して表彰したりしていますが、こうした取り組みは、子どもを産まない選択をした、あるいは、どうしても子供を産むことができない人達にとって、無用の圧力や肩身の狭い思いをさせるものにしかなりません。

 結婚、出産、子育てがしやすい環境整備は当然必要ですし、その結果として出生率は上昇するでしょう。しかし、出生率はあくまでも状態指標の一つとして見るべきです。なぜなら、出生率上昇を目標として全面に掲げることは、国や自治体、経済や社会保障制度を維持するための手段として出生率上昇を目指すことを意味するからです。正に戦前の「産めよ増やせよ」と同様の発想です。そうではなく、何れの選択をしても尊重され安心して生活が出来る社会実現のための政策、例えば、仕事と家庭や余暇の時間をバランスよく持つことを可能にする「ワークライフバランス」の推進等の雇用環境の改善を更に進めるべきではないでしょうか。

 お読み下さり、ありがとうございます。

もはや「人口減少が続くことを前提とした政策」を実行すべき時!

2015-06-12 | 人口減少問題とDIY主義!
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 厚生労働省は6月5日に「平成26年人口動態統計月報年計(概数)の結果」を公表しました。女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が平成26年は1・42で、前年より0.01ポイント減。9年ぶりに減少に転じたということもあり、大きく報道されました。


厚生労働省「平成26年人口動態統計月報年計(概数)の概況」7ページ(平成27年6月5日)



 静岡県も前年比で0.03ポイント減の1.50。静岡県は合計特殊出生率を平成29年までに「2」にすることを目標に掲げており、私は以前から達成は事実上不可能だと指摘してきましたが、今回の調査結果を受け、「達成は極めて困難な状況」と静岡新聞は報じました


※平成27年6月11日静岡新聞記事



 記事にもありますように、全ての団塊ジュニア世代(1971年から74年生まれ)が40代となり、ここ数年間、出生率を上げてきた大きな要因と考えられている「駆け込み出産」が一段落したことが背景にあるようです。ただ、こうした指摘は以前からあり、私も県議会で紹介してきました。つまり、出生率の全国的な低下という今回の調査結果は、本来であれば、想定内のものと言うべきものです。

 県は今後の取り組みとして、同じく記事にありますように、県内で高い出生率を実現している長泉町や裾野市の取り組みを他の市町にも広げようとしています。しかしながら、以前指摘しましたように、両自治体の高出生率の大きな要因には、もともと結婚や出産に積極的な方々が他の市町から流入していることがあると考えられます。そのため、他の自治体が同様の政策を実施したとしても直ちに県全体の出生率の上昇につながるとは限らないのです。

 そもそも、来年以降、出生率を再び上昇させることが出来たとしても、子どもを産む年代の女性人口が今後も大幅に減少し続けることから繰り返し申し上げてきましたように、少なくとも今後数十年間は人口減少が続きます。もはや「人口減少が続くことを前提とした政策」を策定し実行すべき時です。いずれは人口減少を止める必要がありますが、それには「人口が大幅に減少しても豊かな社会」を静岡県そして日本全体に創ることこそ必要だと私は考えます。

 お読み下さり、ありがとうございます。

 
 
 

人口転出問題:冷静で長期的な議論と対策を

2015-02-07 | 人口減少問題とDIY主義!

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 2月5日に総務省が公表した平成26年の「住民基本台帳人口移動報告」によると、静岡県は、転出者が転入者を上回る転出超過が7240人で、2年連続の全国ワースト2位となりました。翌日の新聞やニュースで大きく採り上げられましたが、こうした人口流出や人口減少の問題については、常に冷静かつ長期的な視点からの議論と対策が必要だと改めて指摘したいと思います。


平成27年2月6日静岡新聞1面記事


 流出超過、つまり社会的減少数が北海道に次ぐ7240人、しかも前年よりも超過数が増えていることは確かに憂慮すべき事態です。しかし、絶対数やワースト2という結果ばかりに囚われていると、議論が目先のことだけになってしまうでしょう。

 まず、7240人転出超過の影響を考えるには、その数の大きさだけでなく、県全体の人口との比較も当然ながら必要です。なぜなら、同じ人数でもその影響は人口が少ない県であればあるほど大きくなるからです。

 そこで、今回公表された昨年の転出転入人口と、平成25年10月1日現在の人口との比を都道府県別に計算し、転出人口の割合が大きい順に並べてみました。


※平成26年の転入・転出超過数と平成25年10月1日現在の人口との比による都道府県ランキング(鈴木作成)


 この人口比のランキングでは静岡県はワースト21位となり、絶対数ではワースト1位である北海道も、人口が静岡よりも多い543万人ということから静岡よりも下位の24位ということになります。つまり、絶対数でワースト1位、2位を2年連続で記録した北海道や静岡県の状況が突出して悪いというわけではありません。

 また、年代別の流出入の状況を見てみると、静岡県の場合、55歳以上の人口はほぼ全階級で流入超過となっており、静岡県は高齢者にとって比較的住みやすい県であることがわかります。逆に、青森県の場合はほぼ全階級で転出超過となっており、状況は極めて深刻だと言えます。


※主な都道府県の5歳階級転入・転出超過数(平成26年)


 
 いずれにしても、人口の社会的移動については、東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)と福岡県、愛知県、宮城県以外は全て転出超過となっており、日本全体の構造的な問題と考えるべきものです。もちろん、それぞれの県は雇用の確保も含め魅力を高める努力を続けることが必要ですが、転入超過の都県も近い将来人口減少に転じることを考えれば、転出人口を減らし転入超過にすることは容易ではなく、ましてや自然減を上回る転入超過を実現することは極めて困難であると考えるべきでしょう。

 短期的な結果を求めようとすると、どうしても企業誘致や移住促進のために補助金を注ぎ込むばかりになりがちですが、そうした政策やその効果は決して長続きはしません。人口減少が続くことを前提とした仕組みの構築や地域づくりを進め、観光や農林水産業そして、地域が得意とする先端技術に特化した産業の育成など、地域の特色を更に伸ばす政策や事業を地道に続けることこそ必要なのではないでしょうか。

 お読み下さり、ありがとうございます。

 

新発想で明るい人口減少社会を

2015-01-02 | 人口減少問題とDIY主義!

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子供達の為にも持続可能な人口減少社会を創ろう!

「今の暮らしを続けると、2030年には地球2つ分の資源が必要になります。」

 ACジャパンによるテレビCMのメッセージです。また、国連は、地球温暖化を引き起こす二酸化炭素の総排出量が今のままでは30年後には許容量の上限に達してしまうという報告書を昨年11月に公表しました

 日本では、国や自治体も人口減少を何とか食い止めようと必死になっています。しかし、世界の動きはむしろ正反対。人口増加と生活水準の向上に伴う資源消費量や二酸化炭素排出量の増加を早急に食い止め、減らさなければならないという危機意識が徐々に広まっています。

 人口減少と言うと、日本ではどうしてもマイナスイメージに考えがちです。高齢者を支える若者が減り、年金、医療、介護保険制度が成り立たなくなる、街の賑わいが無くなる、モノが売れなくなる等々。しかし、資源・食料・水・エネルギーや地球温暖化、環境負荷の問題から考えれば、人口減少はむしろ望ましい変化です。人口減少は地球環境にとっては「究極のエコ」なのです。しかし環境先進国であるはずの日本が、そうした視点を忘れ、地球温暖化の問題が存在しないかのように人口減少をとにかく停止させることに全力を注ぐ姿勢に、私はどうしても大いなる疑問を感じざるを得ません。

 他の生物が増減を繰り返すように、人口も増減するものです。実際、日本の歴史においても何度か人口は減少しています。また、戦後のベビーブームが落ち着いた頃に示された将来人口推計では、日本の人口は1億人を超えて暫くした後に減少に転じると既に予測されていました。にもかかわらず、人口減少が様々な問題を引き起こしつつあるのは、人口減少に対応できない社会の仕組みがあるからです。問題なのは人口減少ではなく、人口増加が続くことを前提としてきた私達の考えそのものなのです。

 地球が有限な存在である以上、人口増加を前提とした社会や経済の仕組みはいずれ破綻するはずのものと考えるべきです。そうした仕組みや考え方を変える時が、正に今なのです。

 人口減少が続いても成り立つ社会は、地球環境の点から言えば持続可能な社会ということになります。また、人口減少社会の到来は、戦後失ってきたモノを取り戻し、また、蓄積されてきた様々な問題を解決する好機でもあります。昔あった社会のツナガリが再生され、子供から高齢者まで世代を超えて交流し、皆が顔なじみで主役の「懐かしい」地域、川辺や山辺など自然災害の危険がある地域から離れ、ゆとりある住宅に三世代、四世代で支え合いながら暮らすことが普通の社会・・・。子供達や更に先の世代の為にも、そんな持続可能な明るい人口減少社会を一緒に創ろうではありませんか!


適正人口について議論を!

 今の人口が本当に望ましい人口、つまり、適正人口であるのなら、維持のために最大限努力しなければなりません。しかし、静岡県の人口約370万人、日本の人口約1億2700万人は果たして適正人口なのでしょうか。

 どれ位が適正人口なのか、客観的に示すことは、専門家の間でも難しいと現時点では言われています。ですが、皆さんの率直なご意見として、どれ位の人口が適正人口だと考えますか?

 私のブログで「日本の人口はどれくらいが望ましいと考えますか」という設問による選択式のアンケートをお願いしています。既に百名以上の方がご回答下さいました。半数以上は1億人以下、つまり、現在の人口よりも少ない方が良いと答えています。簡単なアンケートですが、私も、戦後間もない頃の人口である8千万人程度の方がむしろ望ましいのではないかと考えています。皆さんは如何でしょうか。

 私のアンケート結果と同様に、今位の人口が良い、いやもっと多い方が良いという方もいるでしょう。であれば、結婚して家庭を築く際に夫婦で何人位子供が欲しいか話し合うように、人口減少問題を考える際にも、まずは適正人口がどれ位なのか国民的な議論を行なうべきではないでしょうか。私は前述のように、8千万人位まで減少しても成り立つ社会を築くことこそがむしろ現実的であり、地球環境問題の解決にも不可欠な選択肢だと考えます。もしも現人口が望ましいということなら、将来人口推計が示すように、出生率が大幅に上昇しても今後少なくとも数十年は人口減少が続く実情を念頭に入れた上で、地球温暖化問題等への対応も含めた対策を講じることが必要になります。

 いずれにせよ、適正人口の議論なしに人口減少は問題だと言うのは、言わば、自分の今の体重が健康上望ましいかどうか考えずに、服が合わなくなるから体重を減らしてはいけないと考えることと同じです。服が合わなくなろうとも太りすぎならやせるべきです。正に、服に体重を合わせるような、社会の仕組みが対応できないから人口減少は問題だという議論はもうやめましょう!既存の考え方に囚われない、新発想による人口減少対策こそ必要なはずです。

 お読み下さりありがとうございます。本年も引き続きよろしくお願い致します。


人のツナガリで夢ある地域:夕張レポート(後編)

2014-08-25 | 人口減少問題とDIY主義!

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人をツナグ、人を支える医療:キュアからケアへ

 財政破綻に伴い,171床あった夕張市立総合病院は19床の診療所となりました。高齢化率が全国の市でトップの45%、そして1人暮らしが多い夕張にとっては、一見、医療破綻とも言うべき事態に思えますが、そんな夕張を「支える医療」が正に支えています。


※夕張市役所内の掲示。1世帯当たりの人口が2人未満であることが分かります。


 市立診療所の所長でもある高木医師は週3回程、自ら運転して訪問診療を行なっています。24時間介護を行なっている介護士とも連携しており、家族の方は、何かあればまず介護士に連絡し、医師の診察が必要な場合には介護士が医師に連絡するという体制になっています。そのため、救急車の出動回数が大幅に減りました。また、病気と「たたかう医療(キュア)」ではなく、生活を「支える医療(ケア)」を訪問診療や予防医療によって進めてきた結果、高齢者1人当たりの医療費も大幅に下がっています。夕張の高齢者は健康になってきているのです。


※愛知県から夕張に来られている高木所長。「現場は大変だが、地道にコツコツやっていくしかない」と言う高木所長に地域医療に懸ける強い意志を感じました。


※患者さんのお宅を訪問する高木所長。ご好意で私も2軒同行させてもらいました。

[Title of Talk] | Hiroyuki Morita | TEDxKagoshima

※夕張の医療について、高橋所長の前任者である森田医師が語っています。



人をツナグ、夕張をツナグ:人は最大の資源

 夕張の将来は明るいと思わせるのは、やはり元気な人達の存在です。東京都職員として夕張に派遣されその後市長となった鈴木直道市長(33歳!)は、人口減少や高齢化が進むことを前提としたまちづくりの先駆者として、市内はもちろん、全国、海外を夕張市のアピールに奔走しています。財政破綻直後の7年前から続いている「ゆうばり再生市民会議」では、破綻後に夕張にUターンした方、高校生の頃から参加している方など夕張を深く愛する人達が、自分達で出来るまちづくりを楽しく続けています。

 9600人程の人口でもしっかりツナガルことが出来れば大きな力になると考え行動している方達です。夕張の夢が、私にははっきりと見えたように感じました。また、静岡県は最優先で夕張市に職員を派遣すべきと改めて感じました。


※私より一回り若い鈴木市長。でも貫禄十分です。私の右後ろに見えるのは、夕張市の(事実上公認?)「ゆるくないゆるキャラ」である「メロン熊」のグッズ。

やらなきゃゼロ!――財政破綻した夕張を元気にする全国最年少市長の挑戦 (岩波ジュニア新書)
鈴木直道
岩波書店
※鈴木市長の本。夕張問題について知りたい方はもちろん、これから政治家を目指す方にもおススメです。


※ゆうばり再生市民会議の皆さん。夕張市への想いを沢山語って下さいました。

 お読み下さり、ありがとうございます。

人のツナガリで夢ある地域:夕張レポート(前編)

2014-08-23 | 人口減少問題とDIY主義!

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今ある資源を最大限活かす:マイナスをプラスに

 「静岡の明日」である夕張市の実態を調査してきました。かつて12万人近くの人口を有した夕張(現在は9600人程)は正に炭鉱ごとに地域が栄えた町。その遺産は市内全域にあります。炭鉱都市の遺産は余りにも重すぎ財政破綻を招きましたが、今はその遺産を最大限活かしたまちづくりが進んでいます。


 炭鉱の歴史は繁栄と悲劇の歴史でした。今はその炭鉱跡から炭層メタンガス(コールベッドメタン:CBM)を採掘する試みが進んでいます。


※北炭夕張新炭鉱跡。昭和56年に死者93名を出す事故が発生。



 夕張市役所周辺には数多くの昔懐かしい映画看板。これも炭鉱で栄えた頃に貴重な娯楽として映画館が多く存在したという歴史を活かしたものです。有名な夕張国際映画祭(正式名称は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」)も市民の手で続けられています。


※映画看板は「夕張本町キネマ街道」に沢山あります。


※私が泊まったホテルシューパロの壁にも。


※郵便局にも。


※映画祭を主宰するNPO法人「ゆうばりファンタ」代表の澤田直矢さんと。本職は建設会社の常務取締役です。


※「ゆうばりファンタ」が指定管理し、映画祭の拠点である「アディーレ会館ゆうばり」。夕張市役所に隣接し、元々は夕張市民会館で大ホール等があるのですが、耐震性に問題があるため、来年の映画祭をもって全面閉館するとのこと。



 今なお数多く存在するのが炭鉱労働者用に作られた炭鉱住宅(炭住)。炭鉱閉山に伴い計5千戸もの炭住を夕張市が買い取り市営住宅として維持してきましたが、老朽化や人口減少に伴って空き家が増え、維持コストは市の大きな負担となっています。そこでコスト削減や地域活性化を目指し、中心部の炭住等を建て替えて住宅地を集約するという人口減少に備えたコンパクトシティ化を進めています。


※こうした炭住が夕張市内の各所にあります。古くて風呂がなかったりするのですが、今なお多くの方が住んでいます。


※新しく建てられた市営住宅。菜園もついています。




 資源は他にも。漢方薬で有名なツムラが夕張工場を建設したのは財政破綻後の平成22年。北海道各地の農場や苫小牧港への交通の良さに加え、日本唯一の財政再生団体である夕張に貢献したいという会社の想いも選定理由にあったとのこと。財政破綻、そして夕張の知名度が資源になった事例です。


※夕張ツムラの正門前で社員の皆さんと。一番右側の方は、藤枝市から単身赴任されている渡辺部長。


※夕張ツムラの工場。後方では生産能力を倍にするための工事が進んでいます。(つづく)


 お読み下さり、ありがとうございます。

6月27日一般質問の解説(2)北海道夕張市への職員派遣について

2014-08-12 | 人口減少問題とDIY主義!
 大変遅くなりましたが、6月27日の一般質問について、3回に分けて解説致します。是非、お読み下さい。

① 北海道夕張市への職員派遣について

問(鈴木) 人口減少・高齢化対策の先進地である夕張市に県職員を派遣することは、財政再生団体の現実や今後あるべき対策について学ぶことにつながる。来年度から派遣すべきではないか。

答(県) 夕張市は、地域再生と財政再建の両立を目指した、市民との協働によるまちづくりに取り組んでおり、学ぶべきところがある。夕張市等の先駆的取組を進める団体への派遣については今後検討する。



解説: メロンで有名な夕張市は、日本で唯一の財政再生団体です。企業で言えば、倒産し、現在再建中の自治体です。そんな夕張市を、政府は、この5月、「地域活性化モデルケース」に選定しました。一度倒産した夕張市は、今では最先端の取り組みを進めているのです。

 夕張市が「倒産した」大きな原因は、まず、急激な人口減です。炭鉱で栄えたピーク時の昭和35年には約11万7千人が夕張市に住んでいましたが、それから半世紀で1割以下の9千7百人程にまで減りました。一方で、炭鉱から観光の町への転換等のために多額の財政支出を行なった結果、膨大な借金を抱えてしまったのです。人口減と借金増という点では、全国の自治体や国も夕張同様の問題を抱えています。つまり、夕張の現実は、静岡、そして日本の明日なのです

 そうした課題先進地である夕張市に職員を派遣することは、夕張市の支援と共に、県にとっても財政再生団体の現実や今後の取り組みについて学ぶことにつながるはずです。正に、被災地である岩手県への職員派遣が、現地の支援だけでなく県の今後の防災にも大いに役立つことと同じです。県内では、既に浜松市と裾野市が夕張市に職員を派遣してきました

 夕張市への派遣については今後検討するとのことですが、まずは自分の目で確かめようと、8月18日から2泊3日で夕張市を調査してきます。後日報告致しますので、ご期待下さい!

 お読み下さり、ありがとうございます。

地域を知る:コーホート分析

2014-08-08 | 人口減少問題とDIY主義!
 先日、地方議員対象のセミナーで、東洋大学の根本祐二教授(インフラ老朽化問題等に関する第一人者)から、地域を知るための「コーホート分析」について教わりました。

 「コーホート分析」というと難しく聞こえるかもしれません。自分も以前はそう思っていましたがそんなことはありません。簡単に説明すれば、ある集団(コーホート:ここでは5歳階級別)の動きに注目した分析です。例えば、0歳から4歳の子供は5年たてば5歳から9歳になりますから、「5~9歳の人口」から「5年前の0~4歳の人口」を差し引けば、その世代の人口の流出入の数がおよそわかります。そしてその数を結んで折れ線グラフにすると、地域の構造が見えてきます。

 本日(8月8日)、県議会の人口減少対策特別委員会が開催されるということで、議論の参考にしようと思い、2005年と2010年の国勢調査のデータを用いて、静岡市、駿河区、長泉町のものを作ってみました。



※静岡市のコーホート図(5細別階級毎に5年間で増減した人数を示したもの)

 静岡市は全体の人口は減少(723,323→716,197)していますが、大学生・就職期(20~24歳)を除けば人口が流入していることがわかります。但し、グラフには載せていませんが、高齢者の減少(基本的に死亡によるものと思われる)が大きいため、全体では人口減となっています。



※駿河区のコーホート図

 その静岡市の一部である駿河区では、実は人口が増えていて(208,055→213,059)、グラフを見ればわかる通り、大学生の世代と子育て世代(30~39歳)の流入が多くなっています。駿河区には大学が多いこと(静大、県立大、英和学院大)と、恐らく、駅周辺に作られたマンション等に子育て世代が転入してきたこと(確信はありませんが)等が背景にあるように思います。但し、45歳以降の世代が流出していることから、駿河区にしばらくいてから転勤や自宅購入等の為に転出、あるいは、高齢者の中には、別に住む子供のところに引っ越すという方もいるのかもしれません。



※長泉町のコーホート図

 最後は、今なお人口増加が続き、出生率も高いことで知られている長泉町です。長泉町も大学生・就職期を除けばほぼ人口は流入か若干の流出です。注目すべきは早期の子育て世代(25から34歳)の流入です。長泉町は出生率が高い(2012年の合計特殊出生率は1.99)のですが、それはこのグラフを見る限り、結婚して子供を産み育てたいと元々考えている世代が、子育てがしやすい長泉町に他地域から流入してきた結果として現れた数字の可能性が高いと考えるべきでしょう。

 つまり、以前から長泉町に住んでいる方が町の政策によって結婚や出産、子育てに目覚めたということであれば、その政策を他の自治体も実行すれば、県全体の出生率を上げることにつながるはずです。しかし、コーホート図や、長泉町の出生率の推移(継続的に上昇しているわけではなく大きな変動あり)を見る限り、そうとは言いにくいと考えられますので、長泉町で出生率が上がっているのだから他の地域でも出来ると考えるのは少し早計ではないかと思います。

 この点については、人口減少対策特別委員会で指摘し、より客観的な分析をするよう要請しました。


※平成26年8月8日 人口減少対策特別委員会

 
 コーホート分析にご関心がある方は、ぜひ、次の根本教授の著書をお読み下さい。

「豊かな地域」はどこがちがうのか―地域間競争の時代 (ちくま新書)
筑摩書房



 お読み下さり、ありがとうございます。


追記:

 国会議員秘書時代の先輩から伺って、埼玉県滑川町のコーホート図も作成してみました。


※滑川町のコーホート図

 人口が増加し続けている滑川町ですが、長泉町とは違い、子育て世代だけでなく、高校生、大学生の世代や、40代、50代も流入しています。池袋から電車で1時間程のところながら自然も豊富ということで、通勤や通学が可能な、東京や周辺のベッドタウンとして発展しているようです。町内もしくは周辺に大きな工場等が出来て転勤してきた人もいるのかもしれません。

積極的平和主義ではなく「明るい人口減少・高齢化社会の実現」で世界貢献を!

2014-05-19 | 人口減少問題とDIY主義!
 「積極的平和主義」の名のもとに、安倍政権は、集団的自衛権の行使が可能になるよう憲法解釈の変更を行なおうとしています

 集団的自衛権行使容認の問題については昨年の参院選の際にも私なりに地域の方々にお話をさせて頂きましたが、今度は、憲法の改正ではなく解釈の変更で行使を可能にしようというのですから、既に多くの方が非難されているように、とんでもない企みと言う他ありません。

 それよりも、日本がすべき世界貢献は、同じく議論が盛んになりつつある人口減少・高齢化社会の問題を克服し、そのモデルを世界に示すことだと考えます。

 名付けて、「明るい人口減少・高齢化社会の実現」です。

 政府の「経済財政諮問会議専門調査会「選択する未来」委員会」は5月13日に「未来への選択」と題した中間報告を公表しました。2012年時点で1.41の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)を2030年までに人口置換水準(人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率の水準。あくまでも子どもを産む世代の人口が均衡する水準)である 2.07にまで上昇させ、それ以降同水準を維持できれば、2060年の人口は約1億600万人となり、2090年半ばに約9700万人にまで減少したところで人口減少が止まるとして、その為に必要な変革・改革の方向性を示しています。

 少子化対策の優等生と言われるフランスは、1994年の合計特殊出生率1.66を2006年に2.0にまで回復させました。2030年までに出生率を2.07に上昇させるには、そのフランスでの「成功例」以上のペースを求められるのですから、極めて難しい目標と言わざるを得ません。しかし、私がこの中間報告に大きな疑問を感じる部分は、そもそもなぜ「1億人」程度の人口の維持を目指すのか、その根拠が明確に示されていない点です。

 恐らく、大変厳しい目標とはいえ、2030年までに2.07の達成というのは決して不可能ではなく、また、目標、目安として切りがいいというのが「1億人」の理由でしょう。しかし、今回の「中間報告」のような、人口減少が続くと大変だからとにかく早急に減少を食い止めなければならないという議論は、視野がとても狭いものにしか私には思えてなりません。

 例えば、目標通りに日本の人口が2060年に1億人程度になったとします。世界に目を転じれば、その頃には100億人弱の人口が地球上にいると推計されています。現在の約70億人から30億人も増えているのです。世界的には、食料、水、エネルギー等の争奪戦が今後ますます激化すると共に、地球温暖化等の環境問題も深刻化することが現時点では残念ながら予想されますが、「人口減少は危機だ」と言い続ける日本は、そうした世界的な問題の解決に、果たして十分な役割を果たすことが出来るのでしょうか。


「明るい人口減少・高齢化社会の実現」は
究極の「省エネ」対策


 前述のように、私は、「人口が大幅に減少し、社会が高齢化しても、明るく暮らすことが出来る」ことを、人口減少・高齢化の最先端にある日本が世界に示すことが、正にこれから深刻化する様々な地球的課題の解決に最も役立つと考えます。なぜなら、「明るい人口減少・高齢化社会の実現」は究極の「省エネ」(※エネルギーだけでなく、食料や水等についても)対策だからです。

 現在の日本の場合は、中国の「一人っ子政策」のような言わば強制的な形をとることなく少子化そして人口減少が進んでいますが、地球温暖化等の問題を考えれば、現在人口増加が続いている国々に、政策的な人口増加の抑制そして人口減少を要請することが今後は必要となってくるでしょう。その際、日本が先例として「明るい人口減少・高齢化社会」のモデルを示すことが出来れば、そうした要請も説得力を持つはずです。

 集団的自衛権等の安全保障問題では国際的な議論をするのに、国内的な議論や視点にどうしても終始してしまうのが人口減少・高齢化の問題です。人口減少・高齢化が本当に悪影響しかもたらさないのであればそれでも良いかもしれません。しかし、これまでの人口増加・経済高成長の時代が必ずしも良いことばかりではないことを考えれば、一言で言えば、戦後の時代に失ってきたものを取り戻せる可能性が大いにあるのがこれからの人口減少・高齢化時代です。その対応如何によっては、日本は世界の範となって「歴史を作り」重要な世界貢献も出来るのですから、早急に、長期的かつ世界的視野から、「明るい人口減少・高齢化社会」の実現を目指して取り組むべきです。大変大きな課題ですが、私もその答えを見つけるべく、今年度、県議会に設置された人口減少対策特別委員会等で、しっかり議論していきたいと考えています。また、5月31日開催の、川勝知事をお招きしての私の県政報告会でも参加者の皆さんと意見交換が出来ればと思っています。

 お読み下さり、ありがとうございます。

生ゴミ減で借金減!(1)

2014-04-06 | 人口減少問題とDIY主義!
 「風が吹けば桶屋が儲かる」のような?DIYに挑戦します。名付けて「生ゴミ減らして借金減らそう!」。生ゴミ減→ゴミ処理費減→自治体借金減→税金減→個人の支出(借金)減…という構図です。

 私達が出す家庭ゴミの処理には、莫大な税金が投入(静岡市では年間80億円以上!)されています。静岡市のデータによれば、一人1日あたりのゴミの量は約1kgで、そのうち可燃ゴミは900g弱、その4割の360g程が生ゴミです。ゴミ1kg処理するのに約45円掛かっていますので、生ゴミを8割減らすことが出来れば、4人家族で年間2万円近い税金(0.36kg×0.8×4人×365日×45円≒18,922円)の削減に貢献できることになります

 では、どうやって生ゴミを減らすのか。ブログ『地球にやさしい生ごみの減らし方』を参考に「段ボールコンポスト」を自作していきます。家にあるものを最大限活用しますが、どうしてもない土の材料である「ピートモス」と「もみ殻くん炭」を早速地元のホームセンターで購入しました。


※くん炭(左)25リットル 798円 ピートモス 20リットル 730円 
他に買う必要は現時点ではなさそうです。


 今後どうなるか、乞うご期待!ブログで随時報告します。

 お読み下さり、ありがとうございます。

学校で学ぶ子供達の為に、今、行動を:コミュニティ・スクールで、楽しい学校=楽しい地域!

2014-01-30 | 人口減少問題とDIY主義!
「地域と共にある学校づくり」を進めましょう!

 県議会議員になってから深く関心を持つようになったものの1つが「コミュニティ・スクール」です。それまでは、カタカナ用語のせいか、「コミュニティ・スクール」にはどこか取っ付きにくい、小難しいものを感じていました。恐らく、そういうイメージを持たれている方は決して少なくないと思います。

 コミュニティ・スクールとは「学校運営協議会」が置かれた学校のことで、平成16年の法改正によりその設置は可能となりました。平成25年4月1日現在で、コミュニティ・スクールは全国に1570校ありますが、「後進県」である静岡県には、平成26年1月末現在、まだ5校しかありません。



コミュニティ・スクールのイメージ(文部科学省『コミュニティ・スクール パンフレット』より)

 学校運営協議会という用語にも難しさを感じる方は少なくないでしょう。その目的は、文字通り、学校の運営について、教育委員会から任命された保護者や地域の方が一定の責任と権限を持って意見を述べることを通じて「地域(コミュニティ)と共にある学校づくり」を進めることです。つまり、学校と地域と保護者・住民が一緒になって学校の運営について考え話し合うことを保障した仕組みが学校運営協議会であり、コミュニティ・スクールという制度や考え方自体は、決して難しいものではありません

 むしろ「学校の問題は地域の問題」として、保護者はもちろん、地域の方々も教職員と一緒になって学校のあり方について考え協力し合うのは当然のことだと思います。なぜなら、例えば、通学路や学校周辺の安全が損なわれることは、同時に、地域が危険になることも意味するからです。また、いじめ等で学校が荒れれば、その学校に子供を行かせたくない家庭は他に引っ越すようになりますから、結果として地域の衰退につながります。逆に「通学路等も含めて安全な学校=安全な地域」「楽しい学校=楽しい地域」と言っても過言ではないのですから、「地域と共にある学校づくり」を私達は進めるべきと考えます

 しかしながら、静岡県教育委員会の調査(下表)でも明らかなように、静岡県では、学校、地域、住民の関係は希薄になってきており、「地域と共にある学校づくり」が進んでいるとは言えない状況です。また、本年度の全国学力テスト小6国語Aで静岡県は全国最低となりました「地域と共にある学校づくり」が学力も向上させることは全国で実証されています。そこで昨年12月10日の一般質問で「県は具体的な目標値と独自の支援策を掲げてコミュニティ・スクールの導入に努めるべき」と提言しました


 
※学校・地域・住民の関係は、ますます希薄化

 私達大人は、新しいことをするのにどうしても慎重になってしまいます。莫大な費用が掛かるのなら拙速なことはできません。しかし、コミュニティ・スクールそのものはあくまでも学校づくりの仕組み、話し合いの場に過ぎません。慎重な余り何も出来ないまま子供達の卒業を迎えるのではなく、今すぐ行動することが私達大人の義務だと考えます。

 今こそ、コミュニティ・スクールの可能性を、私達大人同士で考えようではありませんか!結果としてコミュニティ・スクールが実現しなかったとしても、積み重ねた話し合いや努力は、きっと別の形での「地域と共にある学校づくり」につながるはずです!

 お読み下さり、ありがとうございます。

12月10日一般質問の解説(4)コミュニティ・スクール導入促進のための取り組みについて

2014-01-29 | 人口減少問題とDIY主義!
 昨年12月10日の一般質問の報告と解説の最終回です。どうぞお読み下さい。


 ※平成25年12月11日 静岡新聞記事


③ コミュニティ・スクール導入促進のための取り組みについて

問(鈴木) コミュニティ・スクールの導入により、学力向上、いじめや不登校防止、教師の多忙化解消、地域の活性化や防災力強化等の効果が期待できる。学校を身近に感じる人や地域の教育活動に積極的に参加した人の割合は目標を大きく下回っており、コミュニティ・スクール後進県である静岡県は、具体的な目標値と支援策を掲げてコミュニティ・スクールの導入に努めるべきではないか

答(県) コミュニティ・スクールには教育環境を整えるだけでなく、地域を再生する力、創造する力もある。学力テストの問題も、地域、家庭、学校、県民総がかりで取り組む必要があるが、言葉だけきれいでも総がかりにはならない。総がかりで取り組むための一つのばねとしてもコミュニティ・スクールの活用は非常に大事であり、積極的に導入すべきと考えている。市町の教育委員会と問題意識を共通化する作業を通じて、コミュニティ・スクール導入の取り組みを具体化していきたい


 
※委員長就任後初めて本会議で答弁した加藤文夫・静岡県教育委員会委員長(平成25年12月10日)

 ※平成25年12月11日 静岡新聞記事


解説: 国は昨年6月に閣議決定した「教育振興基本計画」の中で、「保護者や地域住民の力を学校運営に生かす「地域とともにある学校づくり」により、子供が抱える課題を地域ぐるみで解決する仕組みづくりや、質の高い学校教育の実現を図る」ことを目的に、平成28年度までにコミュニティ・スクールを全公立小中学校の1割、約3千校に拡大することを目指しています。

 しかし、静岡県内にはコミュニティ・スクールは全部で5校(平成26年1月現在。うち1校は市立高校)しかなく、計779校ある公立小中学校(平成25年5月1日現在)の1%にも達していません

 コミュニティ・スクールの導入促進は現在策定中の県総合計画次期基本計画で新たに掲げられていますが、市町の教育委員会に遠慮しているのか、具体的な導入目標数や期日は示されていません。目標値がない計画で客観的な総括が出来るはずもありませんので、具体的な目標値を立てるべきと主張しました。また、コミュニティ・スクールが実現したとしても軌道に乗るまでには特に学校側に大きな負担が掛かる恐れがありますので、県独自の財政的、人的支援策も併せて実施するよう主張しました。

 教育問題に関する答弁は、教育委員会事務局の代表である教育長が通常は行ないます。しかし私は、より積極的な回答を期待して、加藤文夫・教育委員会委員長による答弁を要求しました。加藤委員長(昨年10月に就任)はかつて株式会社Z会代表取締役社長を務めた方であり、昨年10月28日の教育委員会定例会で、次のような、民間企業経営者らしい発言をされていたからです。


 「民間の会社経営では、業界最下位の会社は来年には潰れて社員は失業する。それが業界最下位の意味である。県単位で最下位ということは、「明日はもうない」ということである。「きれいな授業」「楽しい授業」など先生には思い入れがあるのかもしれないが、「会社を立て直すためには何をすべきか」を考えると、法律違反にならない限りは、何でもやらなければならない。仮に我々教育委員が取締役で事務局が執行役員だとすると、我々は「執行委員全員に辞めてもらい、代わりに秋田県から執行委員を連れてきて秋田県のやり方を導入してもらう」ということを決定しなければいけないという危機的な状況である。一語一語の刺激的な言葉を自分の悔しさとして、それを背負って現場の先生方に努力していただくことが一番大事なことである。

 また、先ほどから「具体的」という言葉が何回も出ているが、事務局の提案はまだ抽象的であると感じる。では何が具体的かといえば、例えば「全学校で最低限これをやっていただく」と伝え、期限を区切って実行してもらうことである。これは抽象的ではない。ただ、学校ごとに個別性があるので、個別に考えていただくことも大切である。しかし、個別性を優先すると「考えています」「対応しています」で終わってしまうので、まずは全県下でやらなければいけないことを県教育委員会で決定して「これを必ずいつまでにやってください」と指示し、その上で「個別の問題を洗い出して個別に何をやるかをそれぞれの学校が申し出る」、そして「やったかどうかを確認する」、それが具体的ということである。事務局の提案では、言葉だけの具体性のように感じる。



 早速、加藤委員長は、今年1月10日の教育委員会定例会「コミュニティ・スクールに対する想いが県と市町では一致していない。我々の意図を浸透させる必要がある。鈴木議員の質問に対し誠実に対応して欲しい」と述べ、県教育委員会事務局に取り組み強化を指示しました。私もコミュニティ・スクール促進に向け、2児の父親として、地域でも自ら行動していきます。ご理解、ご協力をお願い致します!

 お読み下さり、ありがとうございます。