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将来世代の視点に立った、静岡県のフューチャーデザインを!:県議会一般質問(2)

2017-03-30 | 活発!な活動報告
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 昨年12月12日に、通算で6回目となる一般質問を本会議で行いその質問原稿については前回掲載いたしました。それから時間が経ってしまいましたが、県側の答弁と再質問の議事録そして若干の説明を掲載致します。


★1.県人口200万人台に備えるための取り組みについて
(1)「将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定」について


吉林章仁・副知事 県人口二百万人台に備えるための取り組みについてのうち、将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定についてお答えをいたします。

 本県は、本格化する人口減少を克服し将来に向けて持続的な発展を実現するため長期人口ビジョン及び総合戦略を策定いたしまして、その対応に向けた取り組みを推進しております。本県の長期人口ビジョンは国に先駆けて設置した有識者会議からの提言を踏まえ、人口減少を抑制する戦略と人口が減少しても快適で安全な社会を創造する人口減少社会への適応戦略の両面からの取り組みにより、相乗効果の発揮と好循環の確立につなげていくという本県独自の視点に立ったものであります。

 長期人口ビジョンにおいて示されました二〇六〇年に三百万人程度で均衡するとの長期的な展望を背景に、その社会に適応するため今後五年間の取り組みを示す総合戦略にはコンパクトなまちづくりの推進や集落ネットワークの形成促進、インフラ資産の長寿命化の推進、公共施設の総量適正化などを掲げております。これはまさにフューチャーデザインとしての長期人口ビジョンとバックキャスティングの視点からの施策を取り組んだ総合戦略を一体的に策定したものでございます。

 しかしながら、本県の明るい未来を県民の皆様と切り開いていくためには長期人口ビジョンで展望する将来の姿をより一層明確化する必要があります。そうしたことから本年一月に次代を担う若者たちによる県民会議を立ち上げ、人口減少社会に対し将来どのような社会を目指していくのか、未来の主役である若者たちとその戦略について議論を深めているところでございます。

 今後は、将来の世代に加えまして専門家にも参画をいただきながらフューチャーデザインについての検討を深め、最終的に長期人口ビジョンで展望する将来の姿に産業構造や就業環境、社会インフラなどを加えまして、よりわかりやすく県民の皆様にお示ししてまいりたいと考えております。

 こうした長期的な取り組みに加えまして、来年度は後期アクションプランの最終年となりますことからこれまでの若者県民会議での意見を参考に本県の未来の姿をシミュレーションをし、その結果を次期総合計画に的確に反映させることによりまして県民の誰もが幸せと感じ世界から憧れを呼ぶジャパニーズドリームの理想郷づくりに取り組んでまいります。以上であります。

鈴木智再質問 長期ビジョンについて再質問したいと思います。

 昨年よりは前向きな答弁をいただいたかと思いますが、より具体的な答弁をいただきたいと思います。

 先ほど、長期人口ビジョンの話が出てまいりました。私が言っている長期ビジョンというのはあくまでもその長期人口ビジョンに対してどう対応するかというところでございますのでその点をもう少しはっきり言っていただきたいんですが、その長期人口ビジョンでは先ほども話がありましたが二〇六〇年ごろには県人口は二百万人台にも突入するということでございます。つまり人口が二割減るわけですから、単純に考えればそのころまでにインフラも少なくとも二割は減らしていかなければ維持管理はかなり難しくなるということになってしまいます。

 ただ、言うのは簡単ですが例えば道路や水道等を人口減少に合わせて減らすのは決して容易ではありません。だからこそ将来世代の視点に立ってフューチャーデザインとしての包括的で具体的なビジョンをつくり今から備えることが必要だと考えておりますが、再度答弁をいただきたいと思います。

森貴志・政策企画部長 将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定の再質問にお答えいたします。

 長期ビジョンといいますかフューチャーデザインの話でございますけれども、フューチャーデザインとして二〇六〇年に我々は長期ビジョンとしての人口減少のビジョンを持ってございまして、確かにそこはまだ人口減少の話だけでございますので、そこに産業構造、それから就業環境等社会インフラに含めましてですね、その人口ビジョンをより充実させていきたいというのがフューチャーデザインの我々の考え方ですけれども、そのフューチャーデザインそのものにつきましてそれをバックキャスティングで実行していくというこの考え方は、例えば地球温暖化防止とか非常に大きな地球のうねりの中で考え出されたものというふうに聞いてございます。

 確かに、人口減少の問題につきましては大きなうねりの中で減少をいたしますので、実際に減少をとめる施策とそれから減少にあっても適応する社会というのは実現しなければならない。そのために総合戦略というものをバックキャスティングの形で今現在行っているところでございますけれども、期間というのがございまして人口減少の問題につきましては二〇六〇年、長期を今考えて、その中では足りないものをこれから含めて長期ビジョンを充実させていこうというのが一つございます。

 それから、総合計画がまた来年度以降ですね、新たな総合計画を立てるわけですけども、これは大きなめどとして十年間、それも十年先を見据えてバックキャスティングの方法で検討したいというふうに現在考えてございます。以上私どもの考えでございます。以上でございます。


★1(2)「「次代を担う若者たちによる県民会議」の役割と運営の在り方」について

森貴志・政策企画部長 県人口二百万人台に備えるための取り組みについてのうち、次代を担う若者たちによる県民会議の役割と運営のあり方についてお答えいたします。

 次代を担う若者たちによる県民会議は、人口減少社会に対し将来どのような地域を目指していくのかを未来の主役である若者が委員として参画し、みずからが考え意見を交わす場とするために設置したものであります。七月に開催した第二回の会議では、より論点が明確になるよう全体会議の前にグループ討論を実施したところ、委員同士による活発な議論が行われました。委員からは引き続きグループによる議論を深め、若者の望む社会のあり方として県への提言を取りまとめたいという意欲的な申し出をいただいております。

 このため、今後県では委員を中心にワークショップを継続的に開催し、静岡県の理想の未来像についてより長期的な視点に立った検討を進めてまいります。検討に当たりましては議員御指摘によりますフューチャーデザインの考え方に基づき議論を一層深めることができるよう、グループ討論への場に専門家の派遣や先進事例調査をあわせて行ってまいります。さらに将来の経済社会の動向に関する具体的なシミュレーションや分析結果を当会議に提供するなど議論を喚起する工夫を図り、本県の将来ビジョンへの有益な提言をまとめていただけるよう運営方法の充実を図ってまいります。以上であります。


■評価 具体的に県側がどのようなフューチャーデザインとしての長期ビジョンを策定していくのか、現時点では不明です。しかし森部長が答弁した通り、新たな形での若者たちによる県民会議ワークショップがこの2月5日から開始され、その第1回目では、議論のための材料提供として、私が質問で紹介した千葉大学の倉阪秀史教授から、未来シミュレーターで見る静岡県の未来の紹介やデータの提示がありました。詳しくは改めてご紹介しますが、他県ではほとんど見られない取り組みが始まっており大変期待しています。


★2.豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについて
(1)人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進について

村松篤・交通基盤部長 豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについてのうち、人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進についてお答えいたします。

 本格的な人口減少時代を迎え、超高齢化が加速し、また過去に例を見ないような自然災害が発生していることから、これらの課題に総合的に対応するため災害リスクの低い地域に都市機能や住居がまとまって立地する集約型都市構造への転換を進めていくことが重要であります。

 こうした中、平成二十六年五月に都市再生特別措置法が改正され立地適正化計画制度が創設されました。この制度は人口減少社会に適応したコンパクトなまちづくりを推進することを主眼としたものでありますが、防災対策としても有効であり居住や都市機能を災害リスクの低い地域に誘導することで危険性の高い地域からの住みかえが徐々に進み、効率的で利便性が高くかつ災害にも強いまちづくりを実現させることができます。

 このため県では、これまで土木事務所単位で協議会を設置し、コンパクトシティー化の必要性、重要性や防災対策としての有効性を説明するなど市町に立地適正化計画の策定を促してきたところ、十六の市町で計画策定に向けた取り組みを進めており、来年度には四市において計画が策定、公表される見込みとなっております。

 県といたしましては、今後も引き続き市町への情報提供や助言、意見交換などを重ね、災害に強いまちづくりが進むよう取り組んでまいります。以上であります。

鈴木智再質問 防災型土地利用規制についてでございます。

 本当は、防災型土地利用規制について直接御答弁いただきたかったんですが、これはやはり部がまたがってしまうということでまちづくりという方向で御答弁いただきましたけれども、ぜひ深い答弁をいただきたいと思います。というのは先日の我が会派の代表質問に対する答弁もそうでございましたけども規制については国の調査や対応を待つという姿勢がどうしても見られております。ただ御案内のとおり静岡県は皆さん防災先進県と言っているわけでございますからぜひですね、国や他県に先んじて政策を実施するべきだと思っています。

 例えば、断層についてこれ前回質問させていただきましたけども、県独自で調査をしてそして建築基準法第三十九条に基づいて災害危険区域に指定すれば県独自の土地利用規制もできるわけですからぜひとも防災先進県らしい積極的な対策を行うべきだと考えますが、ぜひ知事の答弁をお願いしたいと思います。以上について答弁を求めます。

村松篤・交通基盤部長 人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進についての再質問についてお答えいたします。

 議員の御指摘は国のいろんな法とかそういうものを待たずにということで、県独自でいろいろ進めていったらどうかということが一つございました。現在でもですね、建築や開発等の土地利用の規制につきましては土砂災害特別規制法――土砂法によるものですとか地すべり防止区域、これは地すべり等防止法です。それから急傾斜危険区域、これも急傾斜の法でございますが、それから現在津波対策特別警戒区域というところで新たな法が出ているものもございますが、その中で一定の規制をかけているといったところでございます。

 それから、断層の点について今議会の中でもあった点かと思います。これにつきましては危機管理部長がお答えしてましたけども断層についても特定についてなかなか難しいという話がございました。これらについても徳島県でしたっけ、やっている条例があるというような話も伺っておりますので、いずれにしましてもいろんな規制がですね、危機管理部それからくらし・環境部のほうとも関連がございますのでいろんな関係機関と調整しながら今先生が言った御趣旨を踏まえて検討していくというふうにしていきたいと思います。以上でございます。


■評価  防災型土地利用規制についてはほぼゼロ回答とも言うべき答弁でした。規制を掛けることは、対象となった地域の印象や評判を悪化させることにもつながりかねず、行政側が慎重になるのはある意味やむを得ない部分もあります。しかし、正にフューチャーデザインとして長期的な視点からまちづくりを考えた場合、防災型土地利用規制の推進は不可欠です。今後も引き続き質問等を通じて働き掛けていきたいと思います。


★2(2)「包括的な人口減少・超高齢化社会対策としての「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進」について

川勝平太知事 鈴木智議員にお答えいたします。

 豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについてのうち、包括的な人口減少・超高齢化社会対策としてのいわゆるごちゃまぜの地域づくりの推進についてであります。

 静岡県では、個人が人としての尊厳を持って家庭や地域の中で年齢や障害の有無にかかわらず誰もが住みなれた地域で安心して暮らせる社会を目指し、福祉関係者だけでなくて企業を初めNPO、ボランティア、地域住民などさまざまな方々が福祉活動や住民活動にかかわり支え合う共生の地域づくりを理想とし、それを進めております。

 具体的には、ふじのくに型福祉サービスとして地域の方々だけでなく障害を抱えた方や長寿者の方々が自由に気軽に交流できる居場所、あるいは年齢や障害の有無にかかわらずサービスが受けられる共生型福祉施設を地域に設置するなど垣根のない福祉サービスの提供に取り組んでおります。また自治会や老人クラブなどと連携し地域の支援を必要とされる方々を日常的に見守り支え合う取り組みや、身近にある地域包括支援センターで介護のほか医療や生活保護など複合的な課題に対応できるワンストップ相談を行うなど、ともに支え合う地域づくりを推進しているところであります。

 希望の丘にお触れになりました。希望の丘、平成二十七年四月二十五日にグランドオープンしたわけですが、私はその記念式典に参りましてまことに感心いたしました。病院、介護施設、障害者施設、特別支援学校、保育園、総合相談窓口などさまざまなサービスを提供する施設が一カ所に集まっており、かつ交通の便も非常にいいところに位置しているわけでありましてすばらしいと思いまして、そして先般総合防災訓練を行いましたが、掛川で行いましたときにもここを重点的に視察をさせていただきました。ここでトリアージほか、中東遠の総合病院に持っていく前にこちらで患者さんを、あるいは障害者、あるいはけが者の方々を助けるというようなことが合理的に行われていたわけです。さらに十月非公式ではありますけれども福祉に関心のあるイギリスから――実際はスコットランドでございますけれども御視察がございまして、そのときにも掛川市の御協力を得て私はここのところを見てほしいというふうに推薦した場所が希望の丘でございました。

 議員御指摘のとおり、CCRCこれは高齢者を対象としたものでございますけれども、この長寿をことほがれている方々が小さな子供たちなどと一緒に、かつ病院も近くにあるということ、大変すばらしいもので、これは金沢で始まったシェア金沢からかもしれませんけれども本県の誇るものではないかと、これからのCCRCのモデルにするべきものではないかというふうに思っているところであります。

 この取り組みというのは、ふじのくに型サービスをさらに進めるものでありまして、村上龍さんが言われたんですか、ごちゃまぜとは。なるほど。いろんなものを相和すということですからある意味で日本型と言っていいかと思います。さまざまなものが一緒になって、かつそれぞれの独自性、独自の役割を持ちつつもお互いに支え合うという形、大いなる和と、大和、やまとの言ってみれば福祉サービス拠点として育てていき、またPRしていくべきものであるというふうに思う次第であります。呼び名はともかくといたしまして、こうした議員御提案のごちゃまぜの地域づくりを推進していくことが大事だと考えております。

 本格的な人口減少・超高齢社会が到来する中で、県民の皆様が快適で安心して暮らせる地域を実現するには新しい社会システムを創造するという発想を持って、既存の分野にとらわれず子育て、教育、働き方、福祉、社会インフラなど包括的な観点に立ち、人口減少社会に適応した地域づくりを進めることが重要です。

 県としましては、今後も子供や女性、若者、高齢者、障害者など全ての県民が支え合いながら生き生きと活躍できる豊かな人口減少社会の実現を目指し、よりよい福祉サービスの提供に努めるとともに、議員御提案のごちゃまぜという観点も参考にしながら地域コミュニティーの活性化や多世代の世代を多くまぜた交流の促進、都市機能の集約など地域のさまざまな主体が参画する未来型のまちづくり戦略に市町と一体となって取り組んでまいる所存であります。以上であります。


■評価 具体的に何かが変わるような答弁があったわけではありませんが、川勝知事が「ごちゃまぜの地域づくり」について理解を示したことは大変意味があると思っています。今後の展開が楽しみです。


★3.非現用文書を含む公文書の保存・公開の強化及び徹底について
(1)審議会等の議事録等に係る作成・公開の基準について
(2)歴史的公文書の保存・公開の機能強化について


伊藤篤志・経営管理部長 非現用文書を含む公文書の保存、公開の強化及び徹底についてのうち、審議会等の議事録等に係る作成、公開の基準についてお答えいたします。

 本県では、情報公開制度の充実のため公文書開示制度と情報提供施策の両面から制度を運用しております。情報提供施策のうち政策形成過程における情報を公開する取り組みとして平成十年度から審議会等の議事録を公開しております。

 議事録の作成及び公開の対象となる審議会等には、法律や条例に基づき設置される附属機関だけではなく要綱等に基づき設置される懇話会等の附属機関に準ずる機関も含めており、議事録の作成、公開の方法は情報提供の推進に関する要綱等において定めております。このうち議事録の作成に当たりましては全文筆記または要点筆記のいずれかとしております。いずれの場合でありましても県民への説明責任の観点から審議の内容や経過をわかりやすく記載するよう全庁的に周知徹底を図っているところであり、所管課の恣意的な判断や裁量に委ねられる仕組みとはなっておりません。

 議事録は公開が原則でございます。その上でホームページ上での情報提供につきましては会議終了後一カ月以内の日から公開し、対象審議会等が廃止され一年が経過したものはホームページから削除することとしております。現在活動している審議会等の議事録のホームページ上の掲載期間は当該審議会等の目的、性格や審議の内容等を勘案しまして担当課が適切に判断するべきものと考えておりまして、各課に一任しているところでございます。

 今後とも、情報提供の推進に関する要綱等に基づきながらホームページ上での情報提供を含めた情報公開制度全体を適切に運用することにより積極的な情報の開示、提供に努め、県行政の透明性を高めてまいります。

 次に、歴史的公文書の保存、公開の機能強化についてであります。

 歴史的に価値ある公文書は県民共有の貴重な財産であり、これを適切に保存し県民の皆様がいつでも利用できるようにすることは県の責務であると認識しております。このため県では、平成三年度から保存期間の満了した公文書を対象に選別作業を開始し、平成二十一年度より順次公開してまいりました。

 本県は、現在単独施設としての公文書館は有しておりませんが、まずは歴史的公文書を適切に保存し県民の皆様の閲覧等に供するという公文書の館機能を他の都道府県と比較して遜色のないよう整備していくことが必要であると考え、機能の充実に向け取り組んでいるところでございます。具体的には歴史的公文書を良好な状態で保存するため、今年度田町文庫に可動式書棚や空調設備を設けて保存機能の強化充実を図っているところでございます。

 今後も、建築基準法に基づく地盤、外壁、屋根の劣化等の点検や文庫内の保存文書の状態の確認を定期的に行いまして、必要な対策を講じるなど適切な維持管理に努めてまいります。

 議員から御指摘をいただきました、想定し得る最大規模の降雨による洪水が発生した場合などの対応につきましては今後検討してまいります。また現状では公開文書数や閲覧者数が少ないことは御指摘のとおりでございまして課題として認識しております。今年度は新たにマンパワーを投入して公開文書数の増加を図っております。さらに閲覧したい文書名など県のホームページから検索して閲覧等申出書を作成できるシステムを開発し、今月一日から運用を開始しております。年内には国立公文書館のホームページでも検索が可能となる予定であります。これにより対象文書へのアクセス機能は格段に向上し、閲覧者の増加にもつながるものと期待しております。

 今後も、公開文書数のさらなる増加に向けまして精力的に作業を進めるとともに、閲覧場所や閲覧の方法、開発した検索システム等について積極的に広報を行い、県民の皆様の利用をさらに促進してまいります。以上であります。

鈴木智再質問 二問まとめて再質問したいと思います。

 まずは、この一番のほうの議事録等にかかわる作成、公開の基準については、一言で言えばこれまで大丈夫だということだと思うんですが、ただ先ほども御指摘しました、これ教育委員会の話になってしまうんですけども中央図書館整備の検討に関する有識者会議については全く教育委員会のホームページに載ってないんですね。先ほど審議会あるいは審議会に準ずる会議等の議事録が載っているという話だったんですが、この点についてどのようにお考えかお答えいただきたいと思います。

 それと、公文書館設置の必要性については最近では天野一先輩が本会議で何度も取り上げてきました。そのたびに正直今のような答弁をですね、経営管理部長――当時の土屋部長もされてましたけども公文書館機能を一層充実させると繰り返し答弁してきたわけですけども、いまだに先ほど指摘したように県の公文書館機能は隣の神奈川県とは雲泥の差があると言わざるを得ないと思っています。

 その理由に、私は公文書は将来世代も含む県民の共有財産であるとの認識が残念ながら県庁内では不十分なのではないかと感じております。財政的な制約が恐らくあったと思いますしこれから検討するとは言われましたけども、公文書を長期的に保存するための施設をわざわざ洪水のおそれがある安倍川のすぐ脇につくるという発想そのもの自体がまさにそうした認識の示唆のあらわれではないかと思っています。また先ほど紹介しました昨年の文化・観光部における件におきましても、公開の是非や公開内容の判断がばらばらだったという背景にはやはりそうした同様の認識不足があるのではないかと考えております。

 川勝知事御自身は、知事室のドアを開けっぱなしにしたり移動知事室ですとか知事広聴会を県内各地で実施しておりまして、その点については私まさに開かれた県政の実現のために努力されているということで評価をいたしておりますけども、ただ残念ながら県庁全体としては私は不十分でないかと思っています。

 いま一度、知事のリーダーシップで積極的、具体的な基準の策定や公文書館機能の抜本的な強化を早急に行うべきと考えますが、ぜひとも知事の再答弁をお願いしたいと思います。以上よろしくお願いします。

伊藤篤志・経営管理部長 非現用文書を含む公文書の保存、公開の強化及び徹底についての再質問にお答えいたします。

 まず、有識者会議等で議事録等の公開がなされていないものがあるということでございますが、こうしたその対応がですね、各部局、各課で徹底していないことは大変申しわけないなと思っています。積極的な情報公開というのは県のスタンスでございますので、こうした対応がなされないようにしっかりと各課、各部のほうに指導してまいりたいと思っています。

 それから公文書館でございますけれども、対応がおくれていたことは事実でございます。そういった中で昨年度方向性を決定しまして少なくとも公文書の保管、そうした公開の機能につきましては新しい建物はつくりませんけれども他県には負けないような遜色のない機能をつくりたいということで本年度からでございます、本年度から施設の整備とともに公開のソフトのインフラ整備をしているところでございます。

 ただ、これも確かに十分ではございません。現在公文書館を整備している都道府県が全部で三十五ございます。これらと比べて歴史的文書を選別している冊数だけでいいますと本県は中位というところでございます。その中で公開冊数につきましては下位から二つということで、非常に議員が御指摘のとおり公開機能が非常に薄いということでございます。

 本年度、そこに向けた非常勤職員でございますけれども職員を増員しまして公開機能に向けた冊数をふやすという努力も進めております。それも決して十分だと思っていませんのでそういった対応をですね、少なくともことしそして来年以降も続ける中でしっかりと県の歴史的文書を良好に保存して、そして県民の方々に利用しやすい形で活用していただくとそういったことにつきましても心がけていきたいと思います。

 その中で、現在教育委員会等におきまして図書館機能の検討をする協議会、懇話会等の中で公文書館の機能も検討されておりますので、そういった検討の状況も見きわめた上で今後の対応を検討してまいりたいと思っています。以上でございます。


■評価
 公文書の保存、公開の強化については前向きの回答を得られませんでしたので、また改めて質問したいと思います。一方、公文書の公開については対応が遅れていることを伊藤部長が認めたことは大きな成果です。歴史的公文書の公開が更に進むよう、引き続き働き掛けていきたく思います。


★4.県情報の集積・発信拠点、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館について


木苗直秀・教育長 県情報の集積・発信拠点であり、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館についてお答えいたします。

 県立中央図書館は、県民のさまざまなニーズにより的確に応えていくことが求められております。そのため東静岡駅南口に計画されている文化力の拠点では広く県民を対象に生涯学習、読書活動の推進等を行い、現在の谷田の施設では落ちついた環境を生かして歴史的資料の保存、公開と調査研究支援事業を行うことが望ましいと考え、それぞれの立地の特色を生かした整備を行う方向で検討を進めております。

 現在、他県の先進的取り組みについて調査を行うとともに、図書館や読書活動の専門家、市町立図書館職員、さらに利用者等を構成員とする有識者会議を設置し、さまざまな見地から意見を伺っているところです。会議の中では市町立図書館資料を含めた歴史的価値の高い資料をデジタル化して保存、公開する機能や静岡県の公文書館的機能、豊富な資料と専門性の高い職員による課題解決型支援機能など時代のニーズに応える新たな機能の必要性について提案を受けております。

 県教育委員会といたしましては、こうした意見を尊重するとともに、今後も引き続き図書館を利用するさまざまな団体の意見も伺い、新しい時代にふさわしい県立中央図書館のあり方についてさらに議論を深めてまいります。以上であります。

鈴木智再質問 まず、先ほど御指摘しました有識者会議の会議録、ホームページ上に全く反映されておりませんので早急にそれを反映していただきたいと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。

 また、今さらに議論を深めていくということでございましたが、先ほど申し上げました半年で結論を出すというのは私は拙速だと思っていますので、ぜひその来年三月までに基本構想案や基本計画案をつくるというスケジュールは見直していただいてさらに時間をかけて検討すべきと思いますが、その点について具体的に御答弁いただきたいと思います。

 また、先ほども御紹介しました神奈川県ではですね、平成二十四年十月に緊急財政政策として横浜と川崎にある二つの県立図書館を統合し一般の閲覧や直接の貸し出しをやめて市町立図書館を通じた貸し出しのみに機能を絞るという案を県が提案したのに対しまして、有志の方々が神奈川県の県立図書館を考える会を立ち上げまして考える会を中心に県民的な議論が盛り上がりました。そしてようやく四年たったんですけどもことしの十月に県の教育委員会は再整備に向けた考え方をまとめたわけでございます。

 ですから、同様に静岡県でも全県的な会議体を設けるなり、あるいは県民の皆さんにそうした会の設置を促して神奈川県のような全県的な議論を行うべきと考えますが、その点についても答弁をお願いしたいと思います。以上についてお願いいたします。

木苗直秀・教育長 有識者による会議ということで検討ということは議論が拙速ではないかというような御質問いただいたんで、それについてお答えさせていただきます。

 有識者会議については今年度は四回を予定しております。会議でいただいた意見を踏まえて基本構想案を策定していく予定でありますが、さらに来年度以降も基本計画案を策定していく上で検討を続けてまいりたいと思います。そのためには必要に応じて有識者会議を継続して意見をいただきながら、よりよい図書館づくりを目指していきたいと考えております。以上です。

鈴木智 要望とさせていただきますが、先ほど触れました有識者会議のホームページの掲載を含めまして、ぜひ本当のこれから目指すべき県立図書館は何なのか考えて、県民の皆さんに考えていただけるような議論を深めていただくことをお願いしまして私の質問を終わります。どうもありがとうございました。


■評価 木苗教育長は慎重に議論していく趣旨の答弁をしましたが、具体的に今後どのように県民を巻き込んだ形で議論を進めていくかは現時点では不明です。そこで、「すずきさとる新聞(すずしん)」最新号でこの質問と同様の趣旨で「県立中央図書館のあるべき姿とは?」と題して採り上げ、3月27日の朝刊に折り込んだり、街頭活動での配布やポスティングを始めたところ、県民の皆さんから電話やメールで賛同のご意見を頂きました。県民的な議論が少しでも盛り上がるよう、広く訴えていきたいと思います。 

 お読み下さり、ありがとうございます。

将来世代の視点に立った、静岡県のフューチャーデザインを!:県議会一般質問(1)

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 12月12日に、通算で6回目となる一般質問を本会議で行いました。

 まず、その時の質問原稿を掲載致します。長文ですがお読み頂ければ幸いです。


 ※質問項目一覧

 ※質問の様子です①


 ふじのくに県民クラブの鈴木智です。分割方式で質問致します。

1.県人口200万人台に備えるための取り組みについて
(1)将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定


 最初に、「県人口200万人台に備えるための取り組みについて」のうち、「将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定」について伺います。

 「Wood Job!」という平成26年に公開された映画があります。大学入試に失敗した主人公が、1年間三重県の山奥の村で林業研修を受け、都会では出来ない様々な経験を通じて成長するという青春ドラマですが、その中に次のようなシーンがあります。

 競りで樹齢105年の木が1本80万円で売れたことを知り、山の木を全部切り出したら億万長者になれる、と主人公は言います。それを聞いた親方たちは「自分が生きとるうちのことしか考えんのか。先祖が植えたもん全部売ったら、次の世代、その次の世代はどうするんや。仕事の結果が出るのはおれらが死んだ後や」と、主人公を諭す、というものです。 

 今後少なくとも数十年間は人口減少・超高齢化が進行し、かつての高度成長期のような経済発展が見込めない時代にいる私たちには、何世代もの先の子孫のことを考えて山や森を守ってきた、林業家のような思想の実践が求められていると考えます。

 例えば、既に巨額な残高があるにもかかわらず、私たちは今もなお県債を発行してインフラ整備等の事業を行なっています。インフラは将来世代にとっても有用であるため負担をお願いしています。しかし、現在、維持管理や新たな整備が行なわれているインフラが、例えば、県人口が200万人台に突入した時の将来世代にとって、維持管理と県債返済のための多額の負担をしてまでも必要なものなのかと言えば、少なくとも、そうした視点での議論は、現時点では不十分ではないでしょうか。

 つまり、現在の課題の克服のために進めているインフラ整備や事業は、将来世代にとっては、財政負担に見合うほどの必要性がない、むしろ迷惑なものになる可能性が出てきているということです。そのため、将来世代の視点にも立ちながら、政策を考え実行することが今まさに必要だと考えます。それには、将来を起点に、今後起こり得る問題を予測し、それらを克服・回避するために、今から何をすべきか議論するという「バックキャスティング」の観点から、「フューチャーデザイン」としての、数十年先を見通した長期ビジョンを作ることが不可欠なはずです。昨年9月の代表質問で同様の趣旨でグランドデザイン策定の必要性を質した際、今後検討するとの回答でしたが、改めて県の決意を伺います。

 
(2)「次代を担う若者たちによる県民会議」の役割と運営の在り方

 次に、「次代を担う若者たちによる県民会議」の役割と運営の在り方について伺います。

 昨年の私の代表質問を受けて設置された「次代を担う若者たちによる県民会議」は今までに2回開催され、どちらも傍聴しました。若者らしい発言が出されるものの、全体的には、我々でも提案できるような内容に留まっていました。先日12月4日に開催された「静岡市わかもの会議」の最終報告会も傍聴しましたが、同様の問題が感じられた内容でした。

 その理由は大きく二つあると思っています。一つは、前述の、長期的な視点がないために、今後深刻化する課題の構造に踏み込めておらず、目前の問題の克服ばかりに議論が終始し、その結果、対処療法的な提案に留まっています。二つ目は、県民会議のメンバーによる議論が継続的ではないために、表面的な内容で終わってしまっているようです。

 そのため、県民会議の役割として、当面は次期総合計画への提言を目指ざしながら、前述のフューチャーデザインとしての長期ビジョンを策定すべきです。既に、岩手県矢巾町ではフューチャーデザインの方法論を用いての「2060年矢巾ビジョン」の策定を進めており大いに参考にすべきです。また、千葉大学では、自治体等と連携して2040年の産業構造、人的資本、住宅、森林、財政等の状況を具体的にシミュレーションし、今後の課題を議論するという「オポッサム」プロジェクトを進めています。県民会議にも大変有益な取り組みだと考えます。

 また、日頃から議論を深めるために、大学教授等の専門家にも加わって頂きながら委員をワーキンググループに分け、時には視察や合宿、ワークショップを開催する等の運営改善が必要だと考えます。県の今後の方針について伺います。


 ※質問の様子です②


2.豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについて
(1)人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進


 次に、「豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについて」のうち、「人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進」について伺います。

 皆さん、平成23年3月11日午後2時46分に発生した地震の名称をご存知でしょうか。「東日本大震災」では実はありません。正確には「東北地方太平洋沖地震」です。「東日本大震災」は、この地震による災害を指す名称です。

 地震等の自然現象の発生を止めることはできません。しかし、震災のような社会現象である災害リスクの最小化は可能ですし、ゼロにすることも目指すべきです。

 災害リスクを、ハザード、被災対象、社会の脆弱性の積の合計と考えた場合、災害リスクを減らすために、現在の私たちは、主に「社会の脆弱性」を最小化するための取り組み、例えば防潮堤や避難施設の整備等を進めています。

 しかし、南海トラフ巨大地震では、想定される被災地域が東日本大震災の数倍、被害規模では10数倍という甚大さを考えれば、十分な支援物資や救援人材が来るまでには、相当の期間を要することが予想されます。また、私の住む中田小学校区の人口は約1万4千人ですが、避難所となる中田小と中田こども園の収容可能人数は1200人程度であることからも明らかなように、避難所は住民の一部しか受け入れられないのが現実です。

 よって、「社会の脆弱性」の最小化だけでなく、中長期的には、「被災対象」となる人口を減らす取り組み、究極的には、「避難する必要がないまちづくり」を進めるべきです。具体的には、土砂崩れ、津波、洪水、火山噴火そして、わが会派の代表質問でも取り上げた、断層のずれによる直下型地震等の恐れがある地域に対する土地利用規制を積極的に推進することが不可欠であると考えます。また、そうした危険性のある地域への定住を抑制する取り組み、例えば、該当地域にある住宅を購入・賃貸する際にはハザードマップの提供を早急に義務化すること等も必要ではないでしょうか。

 こうした「防災型土地利用規制」の推進は、自然災害の危険性が高い周辺地域から安全な中心市街地等への移住を促進することにもなり、人口減少対策としても大変有効なはずです。

 従って、防災型土地利用規制を積極的に進めながら、その前提として、都市計画的な視点から、自然災害、人口減少、超高齢化といった様々な課題に対応できる「まちづくり」を進めるべきと考えますが、県の今後の決意を伺います。


(2)包括的な人口減少・超高齢化社会対策としての「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進

 次に、「包括的な人口減少・超高齢化社会対策としての「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進」について伺います。

 県ではこの度「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想」の枠組みを活用した「伊豆半島生涯活躍のまちづくりビジョン」を策定しました。このビジョンは「移住ありきではない」とはしているものの、いずれはアクティブシニアが県外から移住定住することを想定しています。

 確かに現在は県外からのアクティブシニアの移住定住が一定数あるものの、同様の取り組みが全国各地で進んでいることや、東京圏でも2020年頃から人口減少が始まり、更に2040年頃からは高齢者人口の減少も予測される中、アクティブシニアの移住を当てにした取り組みの実現性や持続性には疑問を持たざるを得ません。

 そもそも移住定住が可能なアクティブシニアは行政の支援をあまり必要としない層です。本来行政が最優先で取り組むべき対象は、家族等の支援すら十分に受けることが出来ない生活弱者ではないでしょうか。例えば、障がい者、貧困に苦しむ子育て世代、年金が十分でない一人暮らしの高齢者等です。

 そうした生活弱者と地域の方々を「ごちゃまぜ」にした街づくりを進めているのが、「Share金沢」で有名な石川県の社会福祉法人佛子園です。これまでのように、子育て支援、障がい者支援、貧困対策、高齢者対策等を縦割りに進めるのではなく、「ごちゃまぜ」というキーワードが象徴するように、包括的な人口減少・超高齢化社会対策として地域づくりを進めることこそが今後は不可欠だと考えます。

 静岡県は「共生」「垣根のない福祉」をキーワードにした「ふじのくに型福祉サービス」を進めていますが、「ごちゃまぜの地域づくり」はそうした福祉の枠を超えたものです。

 作家の村上龍氏は次のような応援メッセージを寄せています。「佛子園の理念・方針は「ごちゃ混ぜ」と表される。似たような意味でよく使われるのは「共生」だが、きまじめな印象になる。同じ街で、障がい者、高齢者、それに子どもたちが、ともに接するのは、当然のことながら簡単ではなく、「きまじめ」では限界があり、ときに何らかの反作用が起こるときもある。必要なのは「きまじめ」ではなく、人間味溢れ、懐深い、ユーモアのようなものだと思う。それに、「やってあげる」「やってもらう」が基本となる福祉は、ともすれば「見返り」や「依存」を生じさせ、破綻することも多い」。

 こうした「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進について、県の今後の方針を伺います。

 以上について、答弁を求めます。


 ※質問の様子です③


3.非現用文書を含む公文書の保存・公開の強化及び徹底について
(1)審議会等の議事録等に係る作成・公開の基準


 次に「非現用文書を含む公文書の保存・公開の強化及び徹底について」のうち、「審議会等の議事録等に係る作成・公開の基準」について伺います。

 審議会等の議事録は政策や方針等の決定に至るまでの過程の記録であり、議論が適切に行われているか随時確認するため、そして、議論の結果がどのように施策に反映されたのか、あるいは何らかの問題が生じた場合の原因を事後的に検証するためにも、議事録を適切に作成し公開することは、納税者や将来世代に対する責任として、極めて重要です。

 しかしながら、昨年、公募型プロポーザル方式による設計者の選定に係る審査会の議事録について、文化観光部の2つの課で開示に関する判断が分かれた例のように、審議会や審議会に準ずる機関の議事録の作成や公開を、どこまですべきかの判断が各課の裁量に任されており、基準は明らかに曖昧です。

 また、ホームページ等での情報提供においても、何をどのようにどの期間掲載するか、そして過去の情報の掲載内容や期間等についても各課が判断しており、積極的な情報提供が行われているとは言い難い状況です。

 例えば、知事記者会見の記録は、現在は川勝知事のものしか掲載されていませんが、これでは歴代知事の会見等をホームページで検索や確認をすることができません。首相官邸のホームページでは歴代首相の記者会見も掲載されており、静岡県も同様にすべきです。

 また、後ほど取り上げる「中央図書館整備の検討に関する有識者会議」についても、教育委員会のホームページには全く掲載されていないようです。これで本当に全県民のための新しい中央図書館が実現できるのでしょうか。

 過去の情報も含め、迅速かつ徹底した情報提供をホームページ上でも行うためにも、例えば、審議会や審議会に準じる機関の議事録等については原則全文筆記により速やかに作成し全面公開することとし、例外的な場合にのみ、要点筆記や、一部もしくは、完全非公開を認めるというような、より具体的、積極的で統一した記録作成・公開基準の策定が必要だと考えますが、県の今後の方針を伺います。


(2)歴史的公文書の保存・公開の機能強化

 次に、「歴史的公文書の保存・公開の機能強化」について伺います。

 歴史的資料も含め、非現用となった公文書を保存する機能は、他の都道府県と比べ貧弱です。例えば、先日視察した神奈川県立公文書館では、貴重な文書が浸水しないよう3階、4階にその殆どが保存され、屋根を二重構造にするという雨漏り対策も行っています。加えて、長期停電への備えとして、貴重な歴史的文書を保存する書庫の室内は停電でも湿度調整ができる木質構造となっています。

 一方、既に35都道府県にある公文書館を持たない静岡県では、将来、歴史的文書として公開される公文書を田町文庫で保存しており、現在、保存機能を高めるための空調工事を行っています。しかし、今年5月に国土交通省が策定した想定最大規模の安倍川洪水浸水想定区域図によれば、隣接の国交省静岡河川事務所より低位置にある平屋の田町文庫は浸水区域に入ってしまっています。また、停電対策や雨漏り対策は実施されていません。このように、静岡県では、歴史的公文書を長期にわたり安全・適切に保存する機能が極めて不十分です。

 加えて、静岡県における平成27年度の歴史的公文書の閲覧者数は僅か11人であり、公開冊数も平成27年度末現在で2,075冊です。一方、神奈川県立公文書館においては、歴史的公文書の閲覧者だけでも27年度295人、公開可能な歴史的公文書は27年度末現在で227,732点であることからも明らかなように、公開についても静岡県は他県より極めて低い水準にあります。

 従って、将来的には公文書館の創設も目指しながら、早急に、歴史的公文書の保存と公開の機能強化を進めるべきと考えますが、県の決意を伺います。 

 以上について、答弁を求めます。


 ※質問の様子です④


4.県情報の集積・発信拠点、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館について

 最後に、「県情報の集積・発信拠点、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館について」伺います。

 教育委員会はこの10月に「中央図書館整備の検討に関する有識者会議」を設置し、基本構想案を検討しています。しかし、この有識者会議は東静岡駅南口に文化力の拠点を整備する構想に引っ張られる形で設置されたものであり、構想の内容や、わずか半年で結論を出すという運営方針を見ても、県民を広く巻き込んでの議論を目指しているようには思えません。

 例えば、東静岡駅南口と谷田に機能が二分される形は、中央図書館にとって本当に望ましい姿なのでしょうか。静岡図書館友の会の皆さんらが危惧するように、機能二分はサービス低下につながる恐れがあり、慎重な議論が必要なはずです。

 そもそも、中央図書館が直面している大きな課題は、老朽化や書庫不足等の物理的な問題だけでなく、人口減少・超高齢化の進展やICT技術の急速な発達、そして市町立図書館が充実してきた時代において、県立図書館が果たすべき役割は何か問われていることです。

 中央図書館の利用登録者の約78%が静岡市民ですが、県民の税金によって運営されている全県民のための図書館である以上、浜松・湖西市民や下田市民にも必要とされるには、どのような役割、機能を果たすべきか。一般県民を巻き込んだ議論が4年近く行われている神奈川県のように、議論を広く深く徹底的に行うべきではないでしょうか。

 現在の基本構想案は、例えば、「新県立中央図書館の目指すべき姿」は3年前に教育委員会内部でまとめられた報告書をほぼ踏襲したものです。前述の公文書館的な機能の追加等、新たな視点もあるものの、新図書館が目指すべきとしている面積や収容能力等は、他の県立図書館の平均値であったり現在のペースで蔵書が増え続けた場合に必要な能力であったりするなど、現在の延長線上で考えられた平均的な図書館構想と言わざるを得ません。

 拙速に半年で結論を出すのではなく、今まで中央図書館を利用したことがない、存在すら知らない県民まで巻き込んだ議論を十分に行って構想を策定することにより、全県民からその存在意義を認められる、静岡県情報の集積・発信拠点を第一に目指すべきです。具体的には、前述の公文書館的な機能に加え、神奈川県立図書館が公文書館等と連携して構築している「神奈川県行政資料アーカイブ」のような、県や市町が作成する電子化された行政資料や公文書をも収集し公開する、正に静岡県に関するあらゆる情報の集積・発信拠点です。そして、隣接の県立大学の図書館や先生方との連携等により、高度な課題解決の支援を行う県民のシンクタンクとしての中央図書館を目指すべきと考えますが、県の今後の方針を伺います。

 以上について答弁を求めます。


 原稿は以上ですが、実際の質問では再質問もしています。答弁内容と一緒に、後日説明したいと思います。

 お読み下さり、ありがとうございます。

「強(したた)かな永世中立国」スイスー県議会海外視察報告

2016-03-07 | 活発!な活動報告
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 昨年の11月8日から17日まで、私は県議会の海外事情調査団の一員としてオーストリア、スイス、イタリア、ドイツを訪問しました。その視察報告書を調査団で作成し県議会ホームページで公開しました。私はスイスのビューレンリンゲン中間貯蔵施設の報告を担当し作成しましたので、当ブログにも掲載致します(※但し、一部修正、加筆しています)。お読み頂ければ幸いです。


※施設の入り口で広報担当のアン・キャスリン・アーナル氏と(平成27年11月12日)。


1 「強(したた)かな永世中立国」スイス

 同じく永世中立を宣言している隣国オーストリアが1970年代末頃から非原発政策を採り続けているのに対し、スイスでは今もなお5基の原子炉が稼動しており、その発電量は全体の約4割(2011年時点で、水力55.8%、原子力39.3%、その他2.9%、新再生可能エネルギー(廃棄物、バイオマスおよびバイオガス、太陽光、風力)2%)を占めている。そうした政策の背景には、永世中立国としての長い歴史によって培われた「強かさ」「自立意識」があると我々は考えている。まずは簡単にスイスの永世中立国としての強かさや原発政策を概観してみたい。

 1815年のウィーン会議で欧州の各国がスイスの永世中立を承認して以来、スイスは、国際紛争に直接巻き込まれることなく永世中立国としての立場を守り続けてきた。第二次世界大戦中にはドイツ軍侵攻の危機に直面したが、1848年から導入されている徴兵制や国内各地に構築した要塞と防御陣地による徹底した国土防衛戦略等により乗り切った。

 第二次世界大戦の終結によりドイツの脅威は無くなったものの、今度は米ソ対立による東西冷戦の狭間に置かれることとなり、防衛体制の維持と強化が続けられた。その一つが、核戦争を生き残るための核シェルターの設置義務化である。1963年に自宅の地下に核シェルターを設置することが法律で義務付けられ、その結果、スイス国内には、現在、住宅、病院、学校といった建物の地下に30万基以上のシェルターと500基余りの公共シェルターがあり、約800万人の全人口の114%を収容することが可能だという。2012年の国民投票で承認された法改正により自宅へのシェルター設置の義務化は緩和されたものの、シェルターを設置しない場合は、自治体に料金を支払い、最寄りの公共シェルターに家族全員分のスペースを確保することが必要となっている。

 こうした核戦争への日頃からの備えは、恐らく、スイス国民の原発政策に対する姿勢にも大きな影響を及ぼしている。1986年のチェルノブイリ原発事故後、スイス国内でも反原発運動が盛んになり、1990年の国民投票では新規原子力発電所建設の10年間凍結(モラトリアム)が賛成多数で承認された。しかし、2003年の国民投票では、新たなモラトリアムや段階的な原子力発電所の閉鎖はいずれも否決されている。

 2011年の福島での原発事故を受け、スイス政府は同年5月に「段階的脱原発」を宣言。その後、2050年までに、原発を新設せず老朽化した原子炉から段階的に廃止する一方、省エネや太陽光発電等の新再生可能エネルギー発電の推進により脱原発を実現するという「エネルギー戦略2050」を発表した。こうした決断の背景には、原発事故に伴う被害や事故処理のためのコストが如何に巨大であるか再認識させられたことに加え、国土が小さい(九州程の大きさ。しかも日本のように海に囲まれているわけではなく、建設可能な川沿いも限られている)スイス国内では原発の新設はそもそも容易でなく、またいずれは核廃棄物の最終処分を進めなければいけないことを考えれば、原発はやがて無くなる発電手段である等の判断があったという。原発に代わるエネルギー源として、ガスや化石燃料による発電も13.5%(2050年)を見込んではいるものの、他国からの輸入に頼る必要がない水力発電や再生可能エネルギーによる発電で残りの86.5%を全て賄うという目標設定は、自立意識の高い永世中立国ならではと言えるかもしれない。


2 ヴューレンリンゲン中間貯蔵施設(ZWILAG)の概要

 スイスの原発や中間貯蔵施設はいずれも大都市から決して遠くないところに存在している。例えば、我々が視察したヴューレンリンゲン中間貯蔵施設(ZWILAG)は、スイス最大の都市チューリッヒから直線距離で30km程(※およそ東京駅―横浜駅間の直線距離)しか離れておらず、そのZWILAGから2km程の所にはスイス最古のベツナウ原発(1号機:稼動開始1969年※現在稼動している原子炉としては世界最古でもある、2号機;同1971年)がある。また、同様に古いミューレベルク原発(同1971年)は、スイスの首都ベルンからわずか15km程(※およそ東京駅―蒲田駅間の直線距離)の所にある(※因みに、東京から最も近い稼働中の原発は東海第二原発で、東京から110km程離れている)。


※首都や大都市の近くにあるスイスの核施設(ライプシュタット原発、ゲスゲン原発もチューリッヒからの距離は50km程(※およそ東京駅―鎌倉駅間の直線距離))


 「中間貯蔵施設」という名称ではあるが、現在、浜岡原発で建設が計画されている中間貯蔵施設(※使用済燃料乾式貯蔵施設)が、専用の金属キャスクに収められた、高レベル放射性廃棄物である使用済み燃料の貯蔵を専らの目的・機能としているのに対し、ZWILAGは複数の目的と機能を持った施設となっている。①使用済み燃料に加え、海外での使用済み燃料の再処理に伴い発生した高レベル廃棄物を含むガラス固化体を収納した金属キャスクの中間貯蔵庫(※約200基のキャスクを収容可能(浜岡原発に建設予定施設の容量は最大キャスク32基)。また施設全体はマグニチュード7の地震に耐えられるように設計されているとのことだったが、日本の施設より想定が低いためか、金属キャスクは床には固定されず、ただ置いてあるだけだった)、②低レベル廃棄物を除染する施設(※放射性物質が除染された後は一般の廃棄物として処理される)、③除染できない低レベレベル廃棄物を1,400度程の高温で溶かし減溶するためのプラズマ・プラント、④低中レベル廃棄物(※日本では放射性廃棄物は低レベル、高レベルの2種類だが、スイスでは、低、中、高の3種類に分類されている)の中間貯蔵庫、⑤高レベル廃棄物の詰め替えや金属キャスクの修理等が遠隔操作で可能なホットセル、が主な施設である。


ヴューレンリンゲン中間貯蔵施設の概観(Cask storage hall:前述①の金属キャスク貯蔵施設、Conditioning plant:同②の除染施設、Plasma plant:同③のプラズマプラント、Storage building for medium-level waste:同④の中レベル廃棄物貯蔵庫、Storage hall:同④の低中レベルの廃棄物貯蔵庫、Hot cell:同⑤のホットセル)


 ZWILAGはスイス国内で原子力発電所を運営する4つの会社の共同出資により設立された会社・施設であり、2001年から操業している。施設で働く職員は約60名。ZWILAGの運営経費は出資割合に応じて出資会社が負担しており、ZWILAG自体に利益や損失は発生しない仕組みとなっている。
 
 なお、スイス国内にはZWILAGの他に前述のベツナウ原発内にも中間貯蔵施設があり、現在スイス国内で稼動中の5基の原子炉が廃炉になるまでに発生する使用済み燃料は、全てこの2つの施設で貯蔵できるように設計されている。


3 視察を通しての所感

 限られた時間での視察だったが、第一印象としてあったのが、施設全体の警備が日本の施設程ものものしくない(と感じられた)点である。当然ながら、キャスクの貯蔵施設等を見学する際には様々なチェックがあったが、ZWILAGの施設入り口に到着するまでは、厳重に管理されているはずの核関連施設のようには感じられなかった。スイス国内にも反原発運動は存在しているものの、例えば、ドイツや日本等で時折見られるような、使用済み核燃料等の輸送に対する大々的な反対運動はスイスでは見られないという。冒頭に述べたような「核」に対する、ある種の強かさ、あるいは、国や地域の重要事項は国民投票で決めるという直接民主制の仕組みにより、原発を含むエネルギー政策についても冷静に議論する風土があり、故に、ものものしい警備は必要ないのかもしれない。

 しかし、そうしたスイスにおいても紆余曲折が予想されているのが、放射性廃棄物の最終処分場の選定である。処分方法の研究や処分場の選定等は1972年に設立された「放射性廃棄物管理協同組合(NAGRA)」が主体となって進めており、スイス政府は、2011年末に、NAGRAが提案した候補地域6カ所を承認した。その多くはチューリッヒの北、ドイツ国境近くにあり、その中から2020年頃までに1カ所が選ばれるということである。最終的には国民投票にかけられるようだが、最終決定に至るまでの過程やその取組みは、候補地域すら決まっていない日本にとって大いに参考にすべきものだろう。今後のスイスの動向に注目していきたい。


※スイスの原発と浜岡原発の比較。スイスで稼動している原発は全て浜岡原発3号機より古いものである。前述のように、スイス政府は脱原発の方針を決めたものの、あくまでも他国に極力影響されないエネルギー源を確保するため、5基の原子炉はそれぞれ耐用年数(※50年とされているが50年で必ず廃炉と決定しているわけではないようである)まで運転してから廃炉する方針である。また、スイスの原発5基の合計出力は浜岡原発の3、4、5号機の総出力よりも少ないが、そのあり方については、国民投票等を通じて、広く深く議論されているようである。私達もスイスを見習って、冷静かつ建設的にエネルギー政策(放射性廃棄物の最終処分等も含めて)について議論を進める必要がある。


 お読み下さりありがとうございます。

9月28日代表質問原稿(2)

2015-11-07 | 活発!な活動報告
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 前回に続き、9月28日に行なった代表質問の解説として、質問原稿の後半部分を掲載します。是非お読み下さい。

 
※質問項目一覧


5.自死対策について
(1)自死への偏見をなくす取り組み   

 次に、「自死対策について」のうち、「自死への偏見をなくす取り組み」について伺います。

 国内の年間自死者数は、平成15年3万4427人をピークに減少しており、昨年は2万5427人と、ピーク時から9千人の減少となりました。静岡県においても、一昨年の759人から昨年は674人に減少しました。しかし、日本の自死率は、OECD国では韓国に次ぐ第2位となっています。また、15歳から39歳までの死因の1位が実は自死です。大きく報道はされていませんが、県内では、今年も7月までに既に、中学生1名、高校生3名を含めた計11名もの未成年の若者が自死しています。更に、昨年の国内の交通事故死者数4,113名と比べても、未だに極めて深刻な状況であり、抜本的な自死対策が引き続き求められています。

 ある推計によれば、自死遺族の数は日本国内に三百万人とも言われており、交通事故死者数との比較から考えても、自死の問題は、残念ながら、身近な問題であるはずです。しかし、遺族の方が自死について積極的に話したりすることは決して多くはありません。

 そうした背景には、社会に横たわる自死への偏見があると考えます。自死は遺族にとって当然ながら辛く悲しいことですが、遺族の辛さはそれだけでは終わりません。周囲から、自死した本人だけでなく遺族までもが反社会的な罪を犯したかのように見られるだけでなく、自死現場となった賃貸物件の巨額の家賃保証を請求される等の経済的負担が重くのしかかる場合も決して少なくはありません。

 そうした偏見や差別をなくすための取り組みとして、「自らを殺す」と書き「故意による身勝手な死」という反社会的なイメージにつながっている「自殺」ではなく、「追い込まれた末の死」という意味である「自死」という言葉を原則として用いるよう提案します。既に、鳥取県、島根県、宮城県等で同様の取組みが行なわれており、用語の変更は、自死・自殺の問題を県全体で考え直すきっかけともなっています。同様に、静岡県でも、「自死」と呼ぶことを契機として、自死遺族の置かれた状況や偏見にさらされる苦しみについて、県民の間で理解が広がり自死への偏見が無くなるよう、そして、例えば、後ほど取り上げる、いじめによる自死の防止等に向けた議論が堂々と行われるようになるよう、啓発活動を展開すべきと考えますが、自死への偏見をなくす取り組みについて伺います。

(2)薬物によらない治療・対応                     

 次に「薬物によらない治療・対応」について伺います。

 県がかつて推進していた自死対策である「富士モデル」に対する批判のひとつに、「うつ」への対応としての薬物治療への偏重があります。薬物治療は基本的に対処療法に過ぎず、また、薬物の副作用によって却って自死が助長されている問題も多くの専門家から指摘されています。例えば、自死者遺族の集まりである全国自死遺族連絡会が約3年掛けて行った自死遺族への聞き取り調査によれば、1001名の自死者のうち、902名、9割もの方が精神科の治療を受けていました。つまり、精神科治療が十分な効果を挙げていない、更には、むしろ自死の原因となった可能性があるということです。

 先ほども紹介した宮城県では、「うつ」や自死に至る理由、背景を改善するための取り組みとして、弁護士、中小企業診断士、司法書士、心理カウンセラー、僧侶、牧師、自死遺族等の様々な分野の専門家がネットワークを作り、電話での相談や対応に応じる取り組みを行なっています。電話相談そのものは決して珍しくはありませんが、この「みやぎの萩ネットワーク」では、24時間、365日、電話を受けるようになっており、電話に出られなかった場合でも、必ず速やかに折り返しの電話をするという徹底ぶりです。静岡県においても、民間の各分野の専門家の力を活用した、うつや自死につながりかねない様々な要因を取り除くことに焦点をあてた取り組み、薬物によらない対応を積極的に推進すべきと考えますが、県の方針を伺います。


6.いじめ対策について
(1)社会総がかりで行ういじめ対策                   

 次に、「いじめ対策について」のうち「社会総がかりで行ういじめ対策」について伺います。

 去る7月5日に発生した、岩手県矢巾町の中学生、村松亮君のいじめを苦にした自死は、SOS信号が早い段階から出されていたにもかかわらず自死を防げなかった事例として、私達に大きな衝撃を与えました。矢巾町教育委員会の報告書によれば、当該中学校の最近のいじめ件数は「ゼロ」と報告されていました。教育委員会の方針として「いじめゼロ」を掲げたことが、却って、いじめを認知することのハードルを上げ、担任が抱え込んでしまうことにつながり、そのため村松君の自死を防止できなかった可能性があると指摘されています。また、仙台市のある中学生が、いじめを苦に昨年自死した事実が、遺族への配慮の結果、他の生徒や県教育委員会等に1年近く報告されていなかったことがこの8月に明らかとなりました。

 こうした事態を受け、文部科学省は、8月17日に通達を出し、都道府県別のいじめ認知件数に大きなばらつきがあるため、昨年度の認知件数について再調査・報告するよう異例の要請を行ないました。文部科学省の平成25年度調査によれば、国公私立小中高特別支援学校において、生徒千人当たりのいじめ認知件数が最も多いのは京都府(99.8件)です。全国平均は13.4件で静岡県は平均以下の10.9件、京都府の約1割となっています。ちなみに、小学校のみの認知件数では、更にばらつきが大きくなり、京都府が170.3件であるのに対し、静岡県は12.4件と、京都府の方が13.7倍も多くなっています。

 一方、認知件数が多い県ほど、いじめ発見のきっかけが、学校の教職員等による発見の割合が多い傾向にあります。全国平均68.1%に対し、京都府は88.5%であり、静岡県は平均以下の48.5%です。更に、いじめの認知件数の高い県ではいじめが解消されている割合も高い傾向にあり。全国平均は88.1%で、京都府は93.7%であるのに対し、静岡県は平均を下回る74.4%となっています。

 県においては、文部科学省の要請に基づく再調査だけでなく、京都府等のいじめ認知件数の多い府県との違いはどこからくるのか、いじめ防止対策法第二十条が定めるような、調査研究を徹底的に行うべきです。そして前述の文部科学省の通達が述べているように「どの学校においても、一定数のいじめが認知されるのが自然である」ことを認識・前提として、どんな些細ないじめでもより積極的に認知し、学校内外で情報共有する体制を確立するために、いじめ対策の総点検を行なうべきです。例えば、平成25年の静岡県のいじめ認知件数が4529件であるのに対し、警察本部が把握しているいじめ事案件数は、平成24年22件、25年38件、26年45件で、その内、学校から連絡を受けたものは1桁しかありません。果たしてそれで十分な連携と言えるのかどうか、確認すべきではないでしょうか。

 また、いじめによる自死が発生してしまった場合、遺族への配慮は最大限行なわれるべきですが、いじめの問題はいじめを受けた子ども達だけの問題ではないことから、必ず県教育委員会等の関係機関に報告されるべきと考えます。仙台市教育委員会のような対応が県内ではこれまでになかったか、あわせて確認するべきではないでしょうか。

 更に、矢巾町教育委員会の報告書でも明らかなことは、いじめは先生等の大人の目がないところ、例えば、休み時間、給食の準備の間、放課後等で発生しているということです。現在、県では社会総がかりの教育の実現を目指して、コミュニティスクール等の推進を図っています。既に多忙な教職員だけに任せるのでなく、より多くの地域の方々が日頃から学校に出入りし、休み時間や放課後等の時間に校内で子ども達と触れ合うようになれば、より多くの大人の目によりいじめが抑止されることにつながると考えます。こうした、社会総がかりによるいじめ対策も同時に進めるべきと考えますが、教育長の決意を伺います。

(2)スマートフォンの危険性を全県で教える取り組み           

 次に、「スマートフォンの危険性を全県で教える取り組み」について伺います。

 今や小学校低学年でもスマートフォンを持つ子ども達が増えつつあります。一方、スマートフォンがいじめや犯罪の入り口になるケースも増えているように思います。例えば、今月1日、奈良県橿原市で、2年前に女子中学生が自死したのはいじめが原因だったとして、遺族が裁判を起こしました。この事件に関する報告書によれば、無料通信アプリ「LINE(ライン)」上で複数の同級生が悪口を言ったり仲間はずれを行なったりしていました。また、先月、大阪府で2人の中学生が殺害された事件におきましては、スマートフォンやラインで家族や友達と常につながっているという安心感から、2人の中学生は日常的に深夜の外出や外泊を繰り返していたと言われています。

 麻薬や危険ドラッグとは違い、スマートフォンを利用すること自体はもちろん犯罪ではありません。だからこそ、子ども達には早い段階からの指導が不可欠だと考えます。ある中学校の先生から、昔と違い、今の子ども達はライン等で24時間互いにつながっているため、学校生活と家庭生活の切り替えが難しくなっているという話を聞き、中学生の娘を持つ父親として、深く考えさせられました。私もそうですが、今の教職員の方々が子どもの頃にはスマートフォンはありませんでした。ですから、私達大人の想像を超えたことが、子ども達のスマートフォンでは行なわれていると常に認識するべきです。

 そのため、まずは、岡山県のように、全県の小中学校でスマートフォンの利用実態について調査することが必要なはずです。そして、既に行われている薬学講座のように、スマートフォンを持つことの意味や危険性について考え教える講座を全県で実施し、どうしても必要な子ども達が、ルールや危険性等を十分に理解した上でスマートフォンを利用するという状況に変えていくべきと考えますが、教育長の決意を伺います。


7.給食を通しての食育の強化について                  

 次に、「給食を通しての食育の強化について」伺います。

 今月16日に文部科学省が公表した調査によれば、小学生の暴力件数が前年よりも約5%増加し、過去最多の1万1468件となりました。子ども達が「キレやすく」なっている要因の一つとして、多くの専門家が、食生活の乱れによるミネラル不足や孤食を挙げています。また、子どもの貧困問題が深刻化していますが、子ども達にとって給食が唯一の栄養豊富な食事であるという家庭も決して少なくないようです。給食が果たすべき役割はますます大きくなっていると言えます。

 私は先日、給食改革の先進地として、長野県上田市、東京都足立区そして三島市を訪問し調査してきました。いずれの給食改革においても鍵となるのは学校栄養職員、栄養教諭の役割でした。単に学校給食実施基準に基づいて献立を作り調理すればいい、給食を残すのは子ども達の問題というのではなく、給食や食事が如何に重要か、子ども達に直に接して伝えていく役割が求められていると、視察を通じて痛感しました。また、子ども達が給食を食べる様子に、栄養職員の方達が日頃から触れることは、より美味しい献立作りにもつながると伺いました。

 県内では、県費負担の栄養職員に加え各市町負担の職員も配置されており、総数では義務標準法が定める定数を上回っていますが、食物アレルギーへの対応等もあり、他の教職員と同様に、栄養職員も多忙で食育指導が思うように出来ていないというのが実態です。そこで、給食を通しての食育を強化するためにも、栄養職員、栄養教諭の数を更に増やすべきと考えますが、教育長に今後の方針を伺います。

 以上について、答弁を求めます。 


8.UIJターン就職促進について                    

 次に、「UIJターン就職促進について」伺います。

 本県の人口転出超過、特に若者の転出超過対策が喫緊の課題となっている中、県では、首都圏におけるU・Iターン支援の拠点として、昨年7月に「静岡U・Iターン就職サポートセンター」を設置しました。また、県外に進学した本県出身学生のUターン就職の更なる促進を図るため、県は、今月18日に本県初となる就職支援協定を立命館大学と締結したところであり、今後も首都圏等の大学との協定締結が促進されることを強く期待しています。

 ご案内のように、若者の転出超過だけでなく、そもそも日本全体で生産年齢人口の減少が暫く続くことが明らかになっており、このままでは、特に県内の中小企業にとって有能な人材を確保することが益々厳しくなってしまいます。

 そのため、中小企業の人材確保支援として、首都圏等に在住する社会人や学生のUIJターン就職を更に促進することが不可欠と考えますが、今後の取り組みについて伺います。


9.世界遺産富士山に関する情報提供戦略ついて             

 次に、「世界遺産富士山に関する情報提供戦略ついて」伺います。

 富士山の包括的な保存管理や情報提供を行なう拠点として、県は(仮称)富士山世界遺産センターの整備を進めています。しかし、先日の入札不調により、センターの完成の遅れは避けられない状況にあります。現在、費用の圧縮に向けて検討中とのことですが、新国立競技場の設計見直しを巡る混乱のようなことがないよう、納税者であり利用者である県民、そして早期完成を待ち望んでいる地元の皆様に十分ご理解頂ける見直し案の策定を強く要請致します。

 センターのハード整備と同様に重要なことは、センターが行なう事業の中身です。富士山を見に来る利用者の視点に立てば、事業の内容の方がより重要であると言っても過言ではないと考えます。

 来年2月1日までに提出予定の保全状況報告書に記載する必要がある「情報提供戦略」の中では、センターを中心に、「調査・研究の推進及びその成果の反映」そして「顕著な普遍的価値の伝達及び適切な情報提供の実施」が方向性として明示されています。情報提供戦略を着実に進めるため、センターで実施予定の事業のうち、準備が整ったものについては積極的に展開していくべきと考えますが、県の考えを伺います。


10.ユニバーサルデザインに配慮した道路整備について           

 次に、「ユニバーサルデザインに配慮した道路整備について」伺います。

 この6月から道路交通法が改正され、自転車の通行に関するルールや取締りが強化されました。それに伴い、自転車が通行可能な歩道、つまり自転車歩行者道であることを示す表示の数も増えてきてはいますが、実感としてまだまだ不十分だと認識しています。また、道路の左側通行が原則とはいうものの、自転車が安全に通れる路側帯が整備されている道路はごく一部にすぎません。

 本県は日本競輪学校や伊豆ベロドロームを有するなど、自転車競技とはゆかりの深い土地柄です。また、イタリアのフリウリ・ベネチア・ジュリア州と自転車競技を通じたスポーツ交流をこれから進めるところでもあります。

 そのため、最も優先されるべき歩行者に加え、自転車利用者も安全・安心に通行可能な、ユニバーサルデザインに配慮した道路整備を進めることは、超高齢社会を迎えるにあたっての重要課題の一つであるだけでなく、ロードレース等の自転車競技の招致・開催による県経済の活性化にもつながると考えます。そこで、自転車走行可能な歩道表示の明確化等、歩行者や自転車が安心して通行できる自転車通行空間の整備について、県の方針を伺います。


11.県職員におけるワーク・ライフ・バランスの推進について        

 次に、「県職員におけるワーク・ライフ・バランスの推進について」伺います。

 県職員の定数削減が進む一方で、県職員の時間外勤務は増加傾向にあります。昨年度の一人当たりの部局別年間時間外数は対前年比で10.3%増の189.1時間、年間一千時間を超えた職員数は対前年比で13人増の25人で、最高時間は1402時間だったとのことです。

 不断の行財政改革の努力は必要ですが、定数削減が実現しても職員の仕事効率が悪化しては、削減はむしろ逆効果となってしまいます。無駄もしくは不要な事業、業務の廃止や作業の効率化を進めると共に、残業時間平準化を目指した部局の職員定員の弾力的な見直し、再任用職員の更なる活用、そして職員削減計画の再点検などにより、民間企業の模範となるよう、県職員のワーク・ライフ・バランスの推進・実現を図るべきと考えますが、県の今後の方針を伺います。


12.暴力団の資金源を断つ取り組みの強化について              

 最後に、「暴力団の資金源を断つ取り組みの強化について」伺います。

 警察や民間団体の取り組みにより暴力団構成員等の数は減少傾向にあり、昨年度末現在の数は、暴力団対策法施行後、最小になりました。しかし最近では、資金集めのためにオレオレ詐欺等の特殊詐欺に暴力団が直接関与し、一般住民が被害者となるケースが増えているということです。

 先月末頃から、国内最大の指定暴力団山口組のいわゆる分裂騒動が発生しています。県内にも山口組系の暴力団が複数存在しており、警察本部には、山口組分裂騒動に県民が巻き込まれることがないよう、警戒や取り締まりに全力を挙げることをまずは強く要請致します。同時に、一連の分裂騒動は、暴力団の更なる弱体化を目指す好機でもあり、日頃の県民の不安を取り除き、新たな特殊詐欺等の被害者を防ぐためにも、暴力団の資金源を断つ取組みを更に強化すべきと考えますが、警察本部の今後の方針を伺います。

 以上について、答弁を求めます。

 代表質問原稿は以上です(実際の質問では、更に再質問、再々質問をしていますが)。お読み下さり、ありがとうございます。

9月28日代表質問原稿(1)

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 ご報告が大変遅くなりましたが、9月28日に、県議会議員になってから初めての代表質問(本会議での質問としては5回目)を行ないました。

 代表質問とは、文字通り、会派を代表して行なう質問のことです。持ち時間は、一般質問が25分(※自分が発言できる時間。答弁時間は含まない)であるのに対して、代表質問の場合は45分もあり、答弁も含めれば90分から100分ほど掛かります。また、代表質問ができるのは議会ごとに各会派から一人だけですので、扱うテーマは必然的に幅広くなります。更に、代表質問ですので、扱う質問の内容については、他の同僚・先輩議員と話し合いながら決めますので、これまでの一般質問よりも何倍も多くの時間を使って、調査をしたり議論したり質問文を作成したりしました。

 まずは代表質問の報告として、2回に分けて、質問文を掲載致します。長文ですがご覧頂ければ幸いです。

 
※質問項目一覧


平成27年9月定例会 代表質問 鈴木 智

 ふじのくに県議団のすずきさとるです。

 まず、質問に入ります前に、先日の台風18号の影響により、浜松市を中心に冠水、浸水等の被害に合われた方々、そして鬼怒川等の堤防決壊により被災された方々に対し、心からお見舞いを申し上げますと共に、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

 それでは、ふじのくに県議団を代表し、県が直面している重要課題につきまして、分割質問方式にて質問致します。


1 静岡県版総合戦略及び長期人口ビジョンについて
(1)会派提言の総合戦略への反映                    

 最初に、「静岡県版総合戦略及び長期人口ビジョンについて」のうち、「会派提言の総合戦略への反映」について伺います。

 我が会派は、6月議会で示された総合戦略素案について、「総合計画後期アクションプラン」の焼き直しの印象が強く「合計特殊出生率2」「転入超過」を実現するための覚悟が十分に感じられないことから、抜本的な見直しを、去る7月13日に要請しました。具体的には、「合計特殊出生率を現在の1.5から倍の3.0にするくらいの政策を実施しないと2.07には到達しない。周産期前後の環境整備だけでなく、保育料や子どもが独立するまでの教育費、住宅など子育て世帯の経済的負担を軽減するための直接的な財政支援等を検討し、導入すること。」「「2020年に2.07」については現実的な年次目標とすること」「市町総合戦略の策定を支援し県の総合戦略との整合を図ること。」等を提言しました。この度改めて示された総合戦略案では、こうした我々の提言は、どのように反映され、どのように抜本的な
見直しが行なわれたのでしょうか。具体的な説明をお願い致します。

(2)長期人口ビジョンに基づくグランドデザイン             

 次に、「長期人口ビジョンに基づくグランドデザイン」について伺います。

 総合戦略案と共に示された長期人口ビジョンは、本県が目指す将来の姿として、2060年に300万人程度の人口を確保し、2090年以降は290万人程度の安定した人口水準を維持することを掲げています。言い換えれば、仮に2020年に出生率が2.07まで上昇し社会的転出入が0となりその後維持されたとしても、つまり、最大限努力しても、県の人口は今後少なくとも80万人、3割近く減少することは避けられないというのが現在の県の認識だということです。

 そこで、肝心なのは、例えば、290万人まで減った県民が安全、安心に暮らすには、どのような「かたち」の静岡県を築けばいいのか、つまりは、あるべき2090年の静岡県を実現するためのグランドデザインを考え、必要な政策を実行することです。

 人口が3割近く減り、生産年齢人口も当面は減り続けるということは、大幅な税収減も覚悟しなければなりません。一方、高齢化の進行に伴い、社会保障費の大幅な増加が懸念されています。また、今後も南海トラフ巨大地震に備えたハード整備等を続ける必要がある一方、当面は、インフラの老朽化対策に必要なコストが増加します。

 人口や税収が減る以上、行政サービスのコスト削減も避けられません。また、人口が全体で3割も減るということは、市街地、住宅地の集約をある程度は図っていかなければ、賑わいが失われ、存続が出来ない集落や地域が県内各地に出現することになります。

 例えば、昨年7月に国土交通省が発表した「国土のグランドデザイン2050」における試算によれば、このまま推移した場合、静岡県においては、2050年までに居住地の12%が無人化し、33%の地域で2010年より50%以上、人口が減少することが予想されています。

 こうした状況の中で安全、安心な暮らしが出来る静岡県を築いていくには、例えば、スマートシュリンクのような政策がどうしても必要になります。つまり、市街地等を賢く凝集(スマートシュリンク)させることにより、インフラ等の維持管理コストの軽減を図ると共に、地域の賑いを維持しようというものです。平成25年10月に策定された「静岡県都市計画区域マスタープラン方針」でも出てくる考え方です。

 とはいえ、道路や市街地等を整備・拡大することが基本だった従来の都市計画からの大転換であり、各市町や地域住民の同意を得るのは容易ではないでしょう。だからこそ、どのように県全体をスマートシュリンクさせるか、今から検討を開始し、具体的なグランドデザインを描き、各市町や県民と議論し、合意形成を図っていくことが不可欠と考えます。静岡県版総合戦略及び長期人口ビジョンは今議会での議論を経て10月末迄に国に示すこととなっていますが、これで終わりではなく、今後の県民会議等で、県民にとってわかりやすい、長期人口ビジョンに基づくグランドデザインの策定を進めるべきと考えますが、今後の方針について伺います。


2.洪水災害対策について                        

 次に、「洪水災害対策について」伺います。

 この度の台風18号の影響に伴う豪雨により堤防が決壊した鬼怒川の洪水の模様は、正に、東日本大震災での津波災害を思い起こさせるものでした。こうした洪水災害を防ぐ対策として、河川の堤防の強化が急がれますが、現実問題として堤防強化は膨大な経費と時間を要するものです。また、津波と同様に、洪水も完全に防ぐことは不可能であり、ハード面だけでなくソフト面の対策も重要であることは、今回の洪水災害でも改めて認識させられました。

 この11日に開催された県の有識者会議で「津波災害特別警戒区域(オレンジゾーン)」の指定基準案がまとまりました。今回の洪水を受け、洪水災害についても同様の「洪水警戒区域」を設定すべきという意見が専門家から出ています。県におきましては、今回の鬼怒川等での堤防決壊や洪水災害を教訓に、効果的かつ現実的で、人口減少・超高齢社会の到来を見据えた洪水災害対策を改めて確認し、国や市町と連携して進めることが急務だと考えますが、県の方針を伺います。


3.2020年を見据えた観光情報発信力の強化について
(1)観光情報発信力の強化                      

 次に、「2020年を見据えた観光情報発信力の強化について」のうち、「観光情報発信力の強化」について伺います。  

 私達ふじのくに県議団の提案により、昨年10月に「静岡県観光振興条例」が成立しました。国内はもとより海外からより多くの観光客を引き付けることが出来る「観光立県」を目指すことは、わが県にとって、これからの人口減少・超高齢社会を乗り越えるために欠かせない戦略だと考えます。特に、2020年に日本で開催されるオリンピック、パラリンピックは、静岡県を世界に売り込む絶好のチャンスです。

 内閣官房地域活性化伝道師である木下斉(きのしたひとし)氏は、地方の観光地が変わるには、地元関係者だけでなく、いわゆる「よそもの」の関与が欠かせないと主張しています。静岡県の魅力がより客観的にわかる「よそもの」、つまり、他県や他国出身の県内在住者の協力を得て、インターネット等で情報発信していくことは大変効果的であると考えます。

 ある商品を買ったりお店に行ったりする際に、インターネット等の、所謂「口コミ」を参考にする方は大変多いと思いますが、そうした「口コミ」は第三者による、より客観的な評価だからこそ、信頼性があるわけです。同様に、「よそもの」による「口コミ」的な情報発信を、静岡県の観光についても行なうべきと考えます。

 また、妻が外国人ということもあり、外国人の方を案内することが私は多いのですが、実は、本日も、4名のシンガポール人観光客を連れてきておりますが、インターネット等で提供されている外国語の観光案内には、毎年変わる行事の日時や場所等、詳細でタイムリーな情報が殆どありません。そして、日本人による外国語情報には、外国人にとって不自然な表現に聞こえる場合も少なくないようです。現在、外国人観光客が急増していますが、今後は団体客よりも個人旅行者が増えるとも言われています。前述のように、留学生等の県内外国人の皆さんの協力を得ながら、多言語によるタイムリーな情報発信を行なうことも重要と考えますが、今後の観光情報発信力の強化方針について伺います。

(2)観光案内所の魅力向上策                    

 次に、観光案内所の魅力向上策について伺います。

 観光振興条例に基づいてこの6月に報告された「ふじのくに観光躍進基本計画」の実施状況の中で「観光案内所機能の充実」が掲げられています。

 観光案内所は、たまたま通りがかった人でも立ち寄りたくなる場所であるべきと考えますが、東京観光案内所は果たしてそうなっているでしょうか。実際、東京観光案内所がある東京交通会館地下1階には、富山県と和歌山県の観光案内所とサテライトショップがありますが、富山県の昨年度の年間利用者数は491,384人、和歌山県が136,519人です。対して、東京観光案内所は一日平均51人、年間1万8千人程しか利用者はありません。また、東京観光案内所の英語名はgreen-tea plazaとなっていますが、この名称では、お茶に関心がない外国人には敬遠される可能性があるのではないでしょうか。2020年を見据え、観光案内所の抜本的な機能強化も図るべきと考えますが、今後の観光案内所の魅力向上策について伺います。


4.県の魅力を高めるグローバル教育の強化について
(1)県立大学におけるグローバル教育カリキュラムの導入        

 次に、「県の魅力を高めるグローバル教育の強化について」のうち「県立大学におけるグローバル教育カリキュラムの導入」について伺います。

 経営の悪化により閉校となったミネソタ州立大学秋田校の旧校舎等を活用して、秋田県は平成16年に国際教養大学を開校しました。それから10年程しか経っていないにも関わらず、そのユニークなグローバル教育カリキュラムは極めて高い評価を受けており、入試の難易度は東大京大レベルとも言われています。また、既に46の国や地域の174大学と交流提携していることが証明するように、海外からも高評価を得ています。

 世界で通用する優秀な若者を県内で育成するために、県立大学においても同様のグローバル教育カリキュラムの導入を図るべきと考えます。

 また、先週23日の静岡新聞夕刊で、ある金融機関の支店長が「静岡県の競争力向上には留学生の受け入れ増強が必要だが、本県の人口当たりの高等教育機関における外国人受け入れ数は全国で32位と芳しい水準にない」というコラムを書かれていました。私も同感ですが、県立大におけるグローバル教育カリキュラムの導入は、外国人留学生に英語と日本語の両方で学ぶ機会を提供することにもなり、県内留学生の増加にも貢献するはずです。県の今後の方針を伺います。

(2)県立高校における国際バカロレア認定に向けた取り組み        

 次に、「県立高校における国際バカロレア認定に向けた取り組み」について伺います。

 国は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、国際バカロレア認定校等を平成26年の33校から平成32年までに200校以上に増やすことを目指しています。県内では現在、東部の1私立校が認定されていますが、経済的事情に関わらず国際バカロレアカリキュラムに挑戦できる教育環境を県内に整えることは、教育環境や県の魅力の向上、そして経済活性化に不可欠と考えます。

 先日、国内唯一の公立の国際バカロレア認定高校である都立国際高校を視察しましたが、都知事肝煎りのこの事業でも、準備から認定まで丸2年を要しています。特に、バカロレアのカリキュラムで教えることが出来る教員の養成・確保は時間を要するものであり、今から導入の検討を始めたとしても、実現までに3、4年は掛かるのではないでしょうか。

 バカロレア導入については、昨年度の県議会特別委員会でも提言しています。今年の2月議会で、当時の安倍教育長はバカロレア導入について「現場本位のニーズであるかどうか」と答弁をされましたが、ニーズがなければ整備の必要がないというのは余りにも受身であり、そうした姿勢では、若者や若者を抱える家庭は更に県外に流出してしまうと考えます。木苗教育長の決意を伺います。

 以上について、答弁を求めます。(※続く)

 お読み下さり、ありがとうございます。

 

交差点の安全性向上

2014-12-31 | 活発!な活動報告

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 年末の挨拶回りの途中、以前、地元の方から要望を頂き、先日、改良工事が完了した交差点の現場を確認してきました。

 国道1号静清バイパスと生活道路が交差する交差点(逆川交差点)。すぐ脇に物流センターがあり、大型トラックが頻繁に行き交います。しかし、ガードレールがやや道側に張り出していたことから(※下写真内の赤丸の部分)中央に白線が引けない狭い道であり、また信号が感応式であることから、信号がなかなか変わらないと、感知していないのではと考えた車が停止線ぎりぎり、もしくはそれよりも前に出て信号を待つことがあったようです。ただ、それではバイパス側から入ってくる大型車が通れないため、対向車が来た場合には下がる必要があります。実際、私のところに要望が来たのも、後ろに停まっていた車に気が付かず、対向車を通すためにバックして後続車と接触する事故があったからでした。


※改良前の交差点の様子

 要望を受け、県警本部に対応の検討を要請し、県警、国土交通省(国道事務所)、市の担当者、工事業者、そして物流センターの方が現場に集まり対応を協議。私も立ち会いました。その結果、ガードレールの道側に張り出している部分を撤去し、停止線を下げ、道路中央と両脇に白線を引く、感知していることが運転手にも分かるように車を感知した際に「おまち下さい」の表示が出る信号の押しボタンを運転手にも見える方向に向きを変える、等の対応が可能ということになりました。10月の2度の台風の来襲により工事の開始は当初の予定より遅れてしまったものの、短期間での改良工事の完了となりました。


※現場で対応を協議する担当者の方々


※交差点のビフォー(左)アフター(右)


※信号の押しボタンの向きも変わりました。


 今回の場合は簡単な工事での対応で済んだため、早期に要望が実現されました。しかし、例えば、信号機の新設のような、それなりの予算の獲得や様々な調整が必要な要望については、実現まで長期間を要する、もしくは事実上実現不可能な場合もあります。とはいえ、実際には担当者等と調整してみなければわかりませんので、地元の件でお困りのこと等がありましたら、まずは何なりとご相談下さい。

 2014年も様々な形で大変お世話になり、心から感謝申し上げます。2015年も更に頑張りますので、引き続きのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 お読み下さり誠にありがとうございます。


「静岡県薬物の濫用の防止に関する条例案」

2014-11-29 | 活発!な活動報告

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 衆議院解散・総選挙の実施に伴い、日程が早まった12月議会が11月28日に開会しました。そして、ついに「静岡県薬物の濫用の防止に関する条例案」が県議会に提案されました。

 また、同時に「静岡県薬物の濫用の防止に関する条例案に対する県民意見への対応」も公表されました。私が提出した意見に対しては以下のような回答が示されました。


1. 兵庫県が先日制定した「薬物の濫用の防止に関する条例」(※以下「兵庫県条例」)に近い形の条例の制定を目指していると理解する。兵庫県条例はもとより、他都道府県の条例で良いと考えられる条項を静岡県の条例案の中に最大限取り入れるべきである。

 ⇒回答「各都府県の条例の内容を調査し、運輸業を営む者の責務、知事監視店の指定、警察職員による立入などを、静岡県薬物の濫用の防止に関する条例案に反映いたしました。」


2. 全県を挙げての効果的な規制を行なう意味からも、県の青少年健全育成条例等、薬物濫用防止に関連する他の条例と連携した形での条例制定を目指すべきである。

 ⇒回答「条例(案)骨子に記載いたしましたとおり、この条例は、青少年をはじめとする県民の健康及び安全を守るという目的があります。「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」の趣旨を踏まえ、条文には、営業禁止区域として、学校等の敷地の200メートルの区域内を設定することとしました。」


3. 危険薬物全般を規制できるようにするために、兵庫県条例第10条「(危険薬物の身体使用の禁止)何人も、危険薬物を吸入、摂取その他の方法により人の身体にみだりに使用してはならない。」と同様の条項を条例の中に設けるべきである。

 ⇒回答「県民の責務として、薬物の乱用を防止するよう努めることや薬物乱用防止のための県の施策に協力するよう努めることを規定することとしました。これらの規定を踏まえ、県警や民間の業界団体、地域の方々と協力し、危険ドラッグを所持、使用できない環境の整備に努めてまいります。」


4. 県民に広く認識してもらえるように、知事監視店に対し、店外及び店内に「知事監視店」であることを明記したステッカー等の表示を条例で義務付けるべきである。

 ⇒回答「知事監視店を指定した際には、告示や報道発表等により、広く県民に周知することとします。」


5. 危険薬物を購入する者の氏名、住所、電話番号、年齢の記録及び年齢を証明する身分証等の複写の保存(3年以上)を知事監視店に条例で義務付けるべきである。

 ⇒回答「知事監視店に購入者のリストの作成を義務付けることは、危険薬物の濫用者のリストを作成することであり、危険薬物を販売しようとする者が利用するおそれがあるため、本県の条例には規定しないこととしました。」


6. 危険薬物を販売するに際し、直接摂取等をしないことと共に、直接摂取した場合の危険性を写真等で具体的に表現した説明書(※兵庫県条例第14条(3)でいう「人の身体にみだりに使用されることを防止するために必要な情報」の提供)の交付を知事監視店に条例で義務付けるべきである。

 ⇒回答「知事監視店において危険薬物を販売等する者の義務として、危険薬物の販売等の相手に対して、危険薬物を摂取等しないよう求めることを義務付けることとし、立入調査の際等に、書面を用いた説明等に努めるよう指導してまいります。」


7. インターネットや県外の販売店等から購入した危険薬物に関しても規制できるよう、兵庫県条例第15条「知事監視店販売店以外の者から購入等した者の手続」と同様の条項を条例の中に設けるべきである。

 ⇒回答「県民の責務として、薬物の乱用を防止するよう努めることや薬物乱用防止のための県の施策に協力するよう努めることを規定することとしました。これらの規定を踏まえ、県警や民間の業界団体、地域の方々と協力し、危険ドラッグを所持、使用できない環境の整備に努めてまいります。」※再掲



 以上の回答に疑問点が無いわけではありませんし、条例案の条文の中にも不明な点がいくつかあります。総選挙の直後に厚生委員会がありますので、兵庫県の条例等とも比較しながら論点を整理し、確認したいと思います。


 お読み下さり、ありがとうございます。

 

6月27日一般質問の解説(4)危険ドラッグ規制強化策について

2014-09-15 | 活発!な活動報告

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 6月27日の一般質問についての解説の最後です。是非、お読み下さい。


③ 危険ドラッグ※規制強化策について

問(鈴木) 地元に移転してきた危険ドラッグ店に対し、地域住民が販売自粛要請等を行なっているが、行政による積極的な規制がなければ、地域の取組みも十分な効果を挙げないのではないか。条例を制定し、和歌山県のような「知事監視製品制度」を導入すべきだ。

答(県) 和歌山県等の取り組みの効果と課題を検証しながら、条例制定については検討する。また、不動産業界に対し危険ドラッグ店と判明した場合には契約解除できる条項の導入をお願いする等の取組みを進めていく。

※質問した時点では「脱法ドラッグ」と呼んでいましたが、その後、政府により「危険ドラッグ」に改められましたので、「危険ドラッグ」の呼称を使用します。



解説: 一般質問の3日前の6月24日、近くの店で買った危険ドラッグを吸った男が車で歩道に突っ込み、直前まで友人と食事を楽しんでいた30歳の女性が死亡、7人が重軽傷を負う大変痛ましい事件が池袋駅前で起きました。またその前日の23日には、静岡駅構内の喫茶店で、危険ドラッグを吸ったと思われる男が、突然奇声を上げ他の客に対し椅子を振り回す事件も発生しており、図らずも、タイムリーな質問となってしまいました。

 危険ドラッグとは、覚醒剤よりも危険であるにもかかわらず、違法化が追い付かず、法の網を潜り抜けた製品のことです。池袋での事件でも、男が使用した危険ドラッグからは禁止されている指定薬物が検出されなかったために、危険ドラッグ店は事件に関して罪を全く問われません。また、私の地元にある危険ドラッグ店に対して、自治会や県、県警が既に販売自粛を要請していますが、強制力はなく、池袋での事件後も、同店は営業を続けています。

 そこで一般質問では、地元の取り組みと連携した形で行政による危険ドラッグ規制を強化するために、和歌山県が実施している「知事監視製品制度」等を導入するよう、要請しました。県側は、規制強化に必要な条例の制定については引き続き調査・検討を続けるとしながらも、直ちにできる対策として、危険ドラッグ販売が判明した場合には賃貸契約を解除できる条項を契約書に盛り込むという取り組みを不動産業界と調整しながら進めることを表明しました。全国でも珍しい対策ということで、翌日の新聞で大きく採り上げられました


※静岡新聞記事(平成26年6月28日)


 7月2日に開かれた厚生委員会でも危険ドラッグ対策について1時間かけて質問し、県はアンケートによる県内の実態把握や、より積極的、具体的な情報提供に努めること等を今後の対策として示しました。

 そして、8月26日、県と県警は、全国初の、危険ドラッグの販売目的で店舗を借りられないようにするための協定を、県宅建協会と結びました。対策が一歩前進したのです。

 駿河区内にある2軒の危険ドラッグ店は、いずれも小学校から直線距離で200m程のところにあります。つまり、池袋での事件のような悲劇が子供達に対して起きる危険が、駿河区にも大きく存在しているのです。そうした危険を未然に防ぐための取り組みを、引き続き、地元の方々や行政と連携して進めていきます。皆様におかれましても、監視や情報提供等のご協力を、是非ともお願い致します。


※自治会役員の皆様と共に、地元の危険ドラッグ店に対して2度目の販売自粛要請(平成26年8月1日)


 
※9月に入ってから出てきている危険ドラッグに関する新たな動きについては、後日改めて触れたいと思います。

 お読み下さり、ありがとうございます。

6月27日一般質問の解説(3)CLT(直交集成材)の導入促進について

2014-09-06 | 活発!な活動報告

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 前回から時間が経ってしまいましたが、6月27日の一般質問についての解説の続きです。是非、お読み下さい。


② CLT(直交集成材)の導入促進について

問(鈴木) 国が基準策定を進めているCLT工法は、海外では10階建ての大型木造建築を可能にするなど、県産木材の利用拡大につながるものである。高知県等のようにCLT導入促進のための取り組みを進めるべきだ。

答(県) 県では平成25年度から静岡大学や企業と連携して県産材によるCLTの試作や試験に取り組んでいる。CLTは県の森林資源を更に活用する有望な方法であり、県内生産の可能性についても検討していく。


解説: 通常の集成材はひき板を平行に重ねたものですが、ひき板を直交に重ねて作ったものがCLTです。国が平成28年度の早い段階での基準の策定を目指しているCLTを用いた工法は、既に海外では10階建ての大型木造建築を可能にするなど、これまで、原則として3階建てまでしか木造建築を認めてこなかった建築基準法のあり方を大きく変え得るものです。既に高知県は、そうしたCLTの普及を見越して、市町や森林組合と協力して、岡山県に本社がある企業(銘建工業)の製材工場(高知おおとよ製材)を誘致する等の取り組みを進めています。また、その岡山県は、真庭市や企業、大学等と共同でCLTパネルを使用した全国初の市営住宅を今年中に建設する予定です。


※CLTの見本(高知おおとよ製材にて)


※日本で初めてCLTを構造躯体として使用した建物である高知おおとよ製材社員寮(高知県大豊町)(平成26年6月3日)


 CLTの大きな利点の一つは、構造材としては使いにくかった国産杉の使用を可能にしながらも、十分な耐震性、耐火性、断熱性、遮音性を確保できることです。外国産木材が中心のツーバイフォー工法等とは異なり、CLTは、木材の産出、加工、使用、そしてリサイクルまでの流れを静岡県内で完結させる、つまり、地域内で「おカネ」が循環することを可能にします。正に人口減少時代における地域活性化や循環型社会の実現に相応しい取り組みなのです。また、CLTパネルはプレハブのように短期間での組み立てが可能なため、後で建て替える必要がない緊急時の災害住宅への活用も大いに期待できるはずです。

 更に、現在、有志の方達により「駿府城天守閣」再建に向けた市民運動が盛り上がりつつありますが、かつてのように忠実に木造建築で再建するには、希少になっている大径木・長大材の確保や耐震性の問題も解決しなければなりません。CLTはその有力な答えにもなるのではないかと思っています。

 お読み下さり、ありがとうございます。

脱法ドラッグ:今そこにある現実の危険を防ぐ

2014-07-05 | 活発!な活動報告

脱法ドラッグは子供達のすぐ隣にある危険


※平成26年6月27日一般質問


 6月27日の一般質問で、脱法ドラッグの規制強化を主張しました。折しも、その3日前の24日、近くの店で買った脱法ドラッグを吸った男が車で歩道に突っ込み、直前まで友人と食事を楽しんでいた30歳の女性が死亡、7人が重軽傷を負う大変痛ましい事件が池袋駅前で起きました。またその前日の23日には、静岡駅構内の喫茶店で、脱法ドラッグを吸ったと思われる男が、突然奇声を上げ他の客に対し椅子を振り回す事件も発生しており、図らずも、タイムリーな質問となってしまいました。

 その名の通り、脱法ドラッグとは、覚醒剤よりも危険であるにもかかわらず、違法化が追い付かず、法の網を潜り抜けた製品のことです。池袋での事件でも、男が使用した脱法ドラッグからは禁止されている指定薬物が検出されなかったために、脱法ドラッグ店は罪を全く問われません。また、私の地元にある脱法ドラッグ店に対して、自治会や県、県警が既に販売自粛を要請していますが、強制力はなく、池袋での事件後も、同店は営業を続けています。

 そこで一般質問では、地元の取り組みと連携した形で行政による脱法ドラッグ規制を強化するために、和歌山県が実施している「知事監視製品制度」等を導入するよう、要請しました。県側は、規制強化に必要な条例の制定については引き続き調査・検討を続けるとしながらも、直ちにできる対策として、脱法ドラッグ販売が判明した場合には賃貸契約を解除できる条項を契約書に盛り込むという取り組みを不動産業界と調整しながら進めることを表明しました。全国でも珍しい対策ということで、翌日の新聞で大きく採り上げられました


※静岡新聞1面記事(平成26年6月28日)


※静岡新聞記事(同)


※中日新聞記事(同)


※読売新聞記事(同)



 7月2日に開かれた厚生委員会でも脱法ドラッグ対策について1時間かけて質問し、県はアンケートによる県内の実態把握や、より積極的、具体的な情報提供に努めること等を今後の対策として示しました。

 駿河区内にある2軒の脱法ドラッグ店は、いずれも小学校から直線距離で200m程のところにあります。つまり、池袋での事件のような悲劇が子供達に対して起きる危険が、駿河区にも大きく存在しているのです。そうした危険を未然に防ぐための取り組みを、引き続き、地元の方々や行政と連携して進めていきます。皆様におかれましても、監視や情報提供等のご協力を、是非ともお願い致します。

 お読み下さり、ありがとうございます。

6月27日一般質問の解説(1)「明るい人口減少・高齢化社会」、CLT、脱法ドラッグ規制・・・

2014-06-29 | 活発!な活動報告
 6月27日に、議員になってから4回目、今の任期中では最後となる予定の一般質問を行ないました。いつものように各質問に対する解説を何回かに分けて行ないますが、まずは質問原稿を掲載致します。長文ですがお読み頂ければ幸いです。


※質問事項


※着ているのは「ふじのくにシャツ「武襯衣(むしゃ)」」です(平成26年6月27日)。



 ふじのくに県議団の鈴木智です。分割方式で質問致します。


1.「明るい人口減少・高齢化社会」実現のための取り組みについて

(1)慎重かつ長期的な財政見通しの策定


 最初に、「明るい人口減少・高齢化社会」実現のための取り組みについてのうち、慎重かつ長期的な財政見通しの策定について伺います。

 県の当初予算案と共に示される「財政の中期見通し」は、前提として、内閣府が試算した経済成長率を用いています。これまで、内閣府の試算では、今後の経済が順調に回復・成長した楽観的なシナリオと、そうではない慎重なシナリオ等、2つ以上のケースを想定しています。過去の県の中期見通しでは、平成21年22年は、順調回復と底ばい継続の2つのシナリオを、23年から25年までは、内閣府の試算の中でも、より慎重なシナリオを前提にしてきました。

 ところが、今年の中期見通しでは、内閣府の、より楽観的な「経済再生ケース」を試算の前提にしています。基本的な考え方として、財政の見通しを試算する際には、より慎重な想定をすべきではないでしょうか。例えば、人口が殆ど減少していない大阪府は、今年の中長期試算では、内閣府の、より慎重な「参考ケース」を用いています。既に急激な人口減が始まっている静岡県は、どうして大阪府よりも楽観的なのでしょうか。

 更に問題なのは、今年の中期見通しが前提としている「経済再生ケース」は、実現可能な前提というよりも、政府が目標としている経済成長率の達成を前提とした楽観的なものである点です。「経済再生ケース」では、平成25年度から34年度の平均の実質成長率を2.1%としていますが、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によれば、平成25年から34年の10年間で、合計440万人以上、約3.5%の人口減少と、約3.1%の生産年齢人口の割合の低下が予想される中で、そうした高い成長率の実現は実に困難であると考えます。

 ちなみに、元日本銀行副総裁で、現在、内閣府の「「選択する未来」委員会」の会長代理である岩田一政氏が理事長を務める公益社団法人日本経済研究センターが作成した「中期経済予測最終報告」では、労働力人口の減少等も反映した結果、平成23年から27年の平均の実質成長率は1.0%、28年から32年は0.9%、33年から37年では0.7%となっています。

 県には独自の将来人口推計があるのですから、政府の楽観的な見通しを鵜呑みにするのではなく、もう一つの「参考ケース」や、民間の予測も取り入れながら、人口減少や高齢化の影響も加味した、慎重かつ現実的な中期見通しを、来年度の予算編成に当たっては策定すべきと考えますが、今後の方針を伺います。

 加えて、昨年の一般質問でも述べましたが、10年以上の長期見通しも早急に策定すべきです。例えば、大阪府では、独自の「財政運営基本条例」に基づいて、20年間の中長期試算を行なっています。

 また、欧米諸国は、50年から75年程度の長期財政推計を定期的に公表しているのに対し、わが国はこれまでそうした取り組みを行なってきませんでした。しかし、今年の4月28日、財務省の財政制度等審議会が、平成72年度までの長期財政推計を公表しました。

 5年間の中期見通しであれば、楽観的ケースと慎重ケースでも大差がないかもしれませんが、10年、20年ともなれば、大きな差が出てきます。将来人口推計は正にそうです。中期見通しだけでは、将来予想される問題から目をそらし、抜本的な対策の先延ばしにつながりかねません。今後の厳しい財政状況を乗り切るには、行政サービスの縮減や増税等が避けられませんが、それには県民や企業の理解を今から得ておくことが重要です。そのためにも、長期の財政見通しを早急に策定すべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。



(2)「明るい人口減少・高齢化社会」の実現を目指した長期ビジョンの策定


 次に、「明るい人口減少・高齢化社会」の実現を目指した長期ビジョンの策定について伺います。

 県の有識者会議の委員になる予定の増田寛也氏らによる「日本創成会議」は、先月5月8日に公表した提言の中で次のように述べています。

「人口減少問題には、長期的かつ総合的な対応が不可欠である。このため、例えば 20 年間程度を視野においた「長期ビジョン」を策定し、それに基づき、子育て支援だけでなく、産業・雇用、国土形成、住宅、地方制度など総合的な取組を内容とする「総合戦略」を推進していくことが適当である。」

 長期ビジョンは、まずは国が策定すべきものです。しかし、日本創成会議は、「地域によって人口をめぐる状況は大きく異なり、施策の内容も変わってくる。「地域の問題は、地域で決める」という考え方のもとで、地域自らも長期ビジョンを早急に策定すべき」とも述べています。国の長期ビジョンを待っていては、更に対応が遅くなります。一昨年の一般質問で紹介した大阪府の「人口減少社会白書」は、そうした長期ビジョンの策定につながる取り組みです。また次に紹介する北海道夕張市では、全国で始めて、20年後に人口が半減することを前提とした「夕張市まちづくりマスタープラン」を、市民と協働して策定しています。静岡県も、前述の長期財政見通しの策定と同時並行で、他のモデルとなるような長期ビジョンの検討を直ちに始めるべきです。

 更に、長期ビジョンの策定にあたっては、3つのメッセージを明確に打ち出すことが不可欠と考えます。1つは、将来人口推計が示すように、少なくとも今後数十年間は、人口減少は決して止まらないという現実です。2つ目は、関連しますが、数十年間は人口が減少し続ける以上、現在の人口、もしくは、それに近い人口の実現を、近い将来の目標として目指すことは、非現実的だという現実です。

 そして3つ目は、「人口減少や高齢化が進むと大変だ。だから何とか止めよう」という「夢のないメッセージ」ではなく、「人口減少や高齢化が進んでも、社会の仕組みや価値観を変えていけば、明るい人口減少・高齢化社会は実現できる」という積極的なメッセージです。なぜなら、一昨年の一般質問でも述べましたが、人口減少社会の到来は決して負の影響ばかりでなく、わが国が、戦後、経済的には豊かになる一方で失ったものを取り戻す、大きなチャンスにもなり得るからです。

 また、人口減少問題は国内的な議論に終始しがちですが、世界に目を転じれば、既に人口は70億人を超え、今なお、4.5日毎に百万人の割合で増加しています。米国のジャーナリスト、アラン・ワイズマン氏は著書『滅亡へのカウントダウン』の中で、人口爆発に直面する現代において、知的で教育水準の高い日本は、「限界を超えない範囲で安全かつ賢明に暮らすことへの転換」へと世界を導く、最初の国になると述べています。人口減少・高齢化社会の現実や変革の必要性と共に、人口減少は多くの健全な利点や本当の豊かさをもたらし得ることを説明し、「夢のある」メッセージを打ち出すことができれば、静岡県の将来に希望を持ち、「静岡県で結婚して子どもを産み育てよう」という若者がむしろ増えるのではないでしょうか。

 県は既に部局長からなる「人口減少問題対策会議」を設置し、来月22日には「人口減少対策に関する有識者会議」を立ち上げます。そうした会議で、以上の3つのメッセージを込めた、「明るい人口減少・高齢化社会」の実現を目指すための長期ビジョンを策定すべきと考えますが、今後の方針を伺います。


滅亡へのカウントダウン(上): 人口大爆発とわれわれの未来
アラン・ワイズマン
早川書房

滅亡へのカウントダウン(下): 人口大爆発とわれわれの未来
アラン・ワイズマン
早川書房

Countdown: Our Last, Best Hope for a Future on Earth?
Alan Weisman
Back Bay Books



(3)北海道夕張市への職員派遣について


 次に、北海道夕張市への職員派遣について伺います。

 「明るい人口減少・高齢化社会」を静岡県に実現するための取り組みとして、県の優秀な職員を夕張市に派遣することを提案致します。何故なら、前述のように、人口減少を前提としたまちづくりプランを策定し、「明るい人口減少・高齢化社会の実現」を目指している対策先進地が、正に夕張市だからです。

 夕張市は、日本で唯一の財政再生団体です。企業で言えば、倒産し、現在再建中の自治体です。そんな夕張市を、政府は、この5月、「地域活性化モデルケース」に選定しました。一度倒産した夕張市は、今では最先端の取り組みを進めているのです。

 夕張市が「倒産した」大きな原因は、まず、急激な人口減です。炭鉱で栄えたピーク時の昭和35年には約11万7千人が夕張市に住んでいましたが、それから半世紀で1割以下の9千7百人程にまで減ってしまいました。一方で、炭鉱から観光の町への転換等のために多額の財政支出を行なった結果、膨大な借金を抱えてしまったのです。人口減と借金増という点では、全国の自治体や国も同様の問題を抱えています。つまり、夕張の現実は、静岡、そして日本の明日なのです。

 そうした課題先進地である夕張市に職員を派遣することは、夕張市の支援と共に、県にとっても財政再生団体の現実や今後の取り組みについて学ぶことにつながります。正に、岩手県への職員派遣が、現地の支援だけでなく県の今後の防災にも大いに役立つことと同じです。県内では、既に浜松市と裾野市が夕張市に職員を派遣してきました。県も来年度から派遣すべきと考えますが、見解を伺います。

 以上について、答弁を求めます。



※平成26年6月27日一般質問



2.県産木材の利用拡大と大型木造建築の普及につながるCLT(直交集成板)の導入促進について


 次に、県産木材の利用拡大と大型木造建築の普及につながるCLT(直交集成板)の導入促進について伺います。

 国が平成28年度の早い段階での基準の策定を目指しているCLT工法は、既に海外では10階建ての大型木造建築を可能にするなど、これまで、原則として3階建てまでしか木造建築を認めてこなかった建築基準法のあり方を大きく変え得るものです。既に高知県は、そうしたCLTの普及を見越して、市町や森林組合と協力して、岡山県に本社がある企業の製材工場を誘致する等の取り組みを進めています。また、その岡山県は、真庭市や企業、大学等と共同で、CLTパネルを使用した全国初の市営住宅を今年中に建設する予定です。

 CLTの大きな利点の一つは、構造材としては使いにくかった国産杉の使用を可能にしながらも、十分な耐震性、耐火性、断熱性、遮音性を確保できることです。外国産木材が中心のツーバイフォー工法等とは異なり、CLTは、木材の産出、加工、使用、そしてリサイクルまでの流れを静岡県内で完結させる、つまり、地域内で「おカネ」が循環することを可能にします。また、CLTパネルはプレハブのように短期間での組み立てが可能なため、後で建て替える必要がない緊急時の災害住宅への活用も大いに期待できるはずです。

 こうした理由から、県もCLTの導入に向けた取り組みを市町や企業等と連携して進めるべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。



3.草薙総合運動場新体育館における長期利用を見据えた取り組みについて


 次に、草薙総合運動場新体育館における長期利用を見据えた取り組みについて3点伺います。

 先日、建設中の新体育館を視察しました。屋根を支える256本の天竜杉集成材の柱は、実に力強くて美しい「芸術品」でしたが、完成後は、一般の方は直接触れることが出来ないと伺いました。県産木材の利用促進のためにも、天竜杉集成材の素晴らしさを直接感じてもらうことは重要なはずです。完成後も見本ではなく、実際の柱を直接触れることができる区画を常設すべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。

 次に、東日本大震災では、天井の耐震性が問題となり、昨年7月には県の富士水泳場で天井材が落下する事故も発生しました。そこで、県産木材を多く使用した斬新なデザインの新体育館における、天井等の耐震性や耐火性を長期間確保するための取り組みについて具体的に伺います。

 また、今後更に厳しい財政が予想される以上、新体育館においても、極力低コストの維持管理や補修によって、より長く安全に使用することが不可欠です。現在、グランシップでは、外壁の落下に伴う改修工事が8億5千8百万円も掛けて行われていますが、その高所作業費だけでも1億円以上掛かっています。新体育館も斬新なデザインであるが故に、特に外壁の維持管理や補修はかなり大掛かりな作業になるのではと危惧しています。そこで提案ですが、外壁のチェックや補修を容易にするために、例えば、可動式のラダーを今から取り付けては如何でしょうか。グランシップでの失敗の教訓を踏まえた、今後の新体育館の維持管理の簡易化やライフサイクルコスト低減化の取り組みについて具体的に伺います。

 以上について、答弁を求めます。



4.公共の福祉を守るための脱法ドラッグ規制強化策について


 最後に、公共の福祉を守るための脱法ドラッグ規制強化策について伺います。

 私の地元で、今年の2月から、脱法ドラッグ店が営業を始めました。この店は昨年まで同じ駿河区内の別の場所にありましたが、近隣住民から販売自粛を求められ、その後、現在地に移転してきました。

 地元では、自治会役員の皆様が立ち上がって署名を集め、4月5日には脱法ドラッグ店に販売自粛を要請、私も同行致しました。しかし、同店は現在も販売を続けています。

 私の地元の取り組みは、先月5月28日にNHK番組「あさイチ」が放映した「脱法ドラッグ特集」でも紹介されました。危険な脱法ドラッグを無くしていくには、まずは、地域の取り組みが不可欠です。しかしながら、脱法ドラッグ店が別の地から移転してきたことからも明らかなように、行政による積極的な規制もなければ、地域の取り組みも十分な効果を挙げにくいと考えます。

 そこで、和歌山県独自の「知事監視製品制度」のような規制を静岡県も行なうよう、強く要請致します。和歌山県では、知事の強いリーダーシップの下で「薬物の濫用防止に関する条例」を平成24年12月に施行し、独自の「知事監視製品制度」を実施しています。全てが条例の効果ではありませんが、条例制定前に和歌山県内に2軒あった脱法ドラッグ店は、現在では0となっています。

 和歌山県の担当者によれば、「知事監視製品制度」を導入する際に苦労したのは「違法ではない脱法ドラッグを規制することは、憲法が保障する経済活動の自由を侵害する可能性がある」という原則論との調整でした。同様の議論は静岡県でもあるでしょう。確かに、経済活動の自由は保障されなければなりません。しかし、あくまでも「公共の福祉」に反しない範囲内であるべきです。次々と新製品が登場するために「指定薬物」の指定が追い付かず違法となっていないのが脱法ドラッグですが、逆に「安全である」と科学的に証明されているわけではもちろんありません。むしろ、覚せい剤よりも強力で危険なのが最近の脱法ドラッグです。

 例えば、お酒は、飲み方を誤れば健康を害し周囲に多大な迷惑を掛けることから法律で規制されていますが、殆どの方は、安全に楽しくお酒を飲んでいます。一方、「お香」「ハーブ」などと称して売られている脱法ドラッグは、実際には、直接吸引など危険な方法で使用されています。その結果、使用した本人が蝕まれるだけでなく、偶然近くにいた人達が、場合によっては子ども達が、幻覚等の中毒症状による交通事故や殺傷事件に巻き込まれる危険があるのです。

 事実、大きく報道されましたが、3日前の24日、脱法ドラッグを吸った男が車で歩道に突っ込み、直前まで友人と食事を楽しんでいた30歳の女性が死亡、7人が重軽傷を負う大変痛ましい事件が池袋駅前で起きました。またその前日の23日には、静岡駅構内の喫茶店で、脱法ドラッグを吸ったと思われる男が、突然奇声を上げ、他のお客に対し椅子を振り回す事件も発生しています

 この5月に厚生労働省が公表した全国調査結果によれば、0.4%の人が脱法ドラッグの経験があるということです。つまり、静岡県内でも1万5千人近い脱法ドラッグ経験者がいる可能性があります。また、昨年3月に同じく厚生労働省が公表した中学生対象の全国調査によれば、0.2%の生徒が脱法ドラッグ経験者です。つまり、静岡県内では2百人もの中学生が、既に脱法ドラッグを経験している可能性があるのです。

 地元の駿河区には2軒の脱法ドラッグ店がありますが、どちらも、小学校から直線距離で2百メートル程しか離れていません。危険は子ども達のすぐ隣にあるのです。

 池袋での事件のような悲劇が県内で起きてからでは遅すぎます。公共の福祉を害する脱法ドラッグを無くすために、地域との連携強化に加え、和歌山県型の条例を早期に導入すべきと考えますが、今後の脱法ドラッグ規制強化策について、県の本気の答弁を求めます。


 質問原稿は以上です。今回もテーマごとに質問と答弁を行なう分割方式で質疑を行なったため、「以上について、答弁を求めます」という言葉が入っています。

 お読み下さり、ありがとうございます。

全会一致における討論の意義とは?

2014-03-28 | 活発!な活動報告
 ご報告が遅くなりましたが、2月議会の最終日(3月19日)に、会派を代表して討論を行いました。


※3月19日 本会議場にて


 その討論の原稿については文末に掲載しますので是非ご一読頂きたいのですが、19日の討論ではその一部を割愛せざるを得ませんでした。

 何故なら、討論の途中で、議長から、私の発言が「討論の範囲を超えている」と注意を受けてしまったからです。

 今回の討論に臨むにあたり、自分としては、賛成の理由を羅列するよりも、議案に関連する問題点を指摘することに重点を置きました。何故なら、全ての議員、会派が賛成する、つまり全会一致で可決される状況の中で、他会派と似たような賛成理由を細かく述べるのは余り意味がないと考えるからです。

 会派を代表しての討論ですので、原稿については、予め、会派の政調会長に確認してもらいました。原稿を読んで頂ければわかりますが、その内容は今の政府に対する批判も含まれています。ですから、自民党の議員から野次が飛んでくることは予想していましたが、議長から注意を受けるとは、もちろん想定していませんでした。

 そこで、後日、改めて討論とは何か確認してみました。


※討論の留意事項(議会事務局資料)


 資料にもありますが、討論のそもそもの目的は、他の議員にも同調してもらえるように、議案に対する賛否とその理由を述べることです。ですから、賛否の理由もそれなりに述べる必要は本来あるのですが、実際には、その討論を聞いてから賛否を変えるということは通常はありません。特に、議案に対する賛否が割れることは今の静岡県議会では殆どありません(川勝知事が誕生してからこれまでに賛否が分かれた案件は僅か2件しかありません)ので、会派の立場や意見を明確にする以上に賛否の理由を述べる必要はないのです。ですから、私は、県当局に対し問題点を指摘することによって会派の考え方を示そうと試みました。

 しかしながら、通常の討論に比べ、賛成理由よりも問題点を指摘する部分が多くその内容も細かかったために、あたかも反対討論のように聞こえてしまったようです。議会での議論を活発にするにはむしろその方がいいと今でも思うのですが、議長の指示には従わなければなりませんので、急遽、その場で原稿の一部を変更、省略しました。

 以下に、一部「幻」となってしまった討論の原稿を掲載致しますので、ご一読の上、ご意見等を賜れば幸いです。
 


私は、ふじのくに県議団を代表して、
今定例会に提出されました全ての議案に賛成の立場から、
特に三つの議案に関して意見を申し上げ、討論致します。

まず始めに、第1号議案「平成26年度静岡県一般会計予算」に関して
意見を申し上げます。

平成26年度の一般会計予算案の総額は、
前年度比3.6%増の1兆1802億円で、
平成14年度の当初予算1兆1920億円に次ぐ、
過去10年間では最大規模のものとなっています。
地震津波対策アクションプログラム2013の着実な実行の為に
関連事業費として前年度比で100億円増の444億円を計上、
少人数教育の強化の為に
本年度に引き続き県単独措置として45人の教員を確保したり、
本年度より更に多い115名の非常勤講師を配置したりするなど、
来月から実行される次期基本計画に基づいた
「富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくり」の総仕上げに不可欠な
予算案と言うべきものであり、
我が会派の予算要望を大いに反映した編成となっています。

その一方で、予算案と共に示された「財政の中期見通し」によれば、
平成26年度末の県債残高は、
過去最多の2兆7303億円に達する見込みとなっています。
景気は持ち直しつつあるとは言え、
県内経済の先行きは依然として不透明であると同時に、
将来人口推計が示すように、
少なくとも今後数十年間は人口減少と高齢化が急速に進むことから、
当面は厳しい財政状況が続くことを前提に
県政を運営していかなければならないと考えます。しかしながら、
そうした慎重かつ長期的な見通しに基づいて
県当局が財政運営を行なっているかと言えば、
疑問を呈さざるを得ません。なぜなら、例えば、
前述の「財政の中期見通し」が必ずしも適切なものとは言えないからです。

毎年度の当初予算案と同時に示される「財政の中期見通し」では、
その試算の前提として、内閣府が試算した経済成長率を用いています。
内閣府の試算では、今後の経済が順調に回復・成長した、
言わば楽観的なシナリオと、そうではない慎重なシナリオ等、
2つ以上のケースを想定しています。
過去の県の財政の中期見通しでは、
平成21年と22年は、順調回復と底ばい継続の、2つのシナリオを、
平成23年から昨年までは、
内閣府の試算の中でも、より慎重なシナリオを前提に置いてきました。

ところが、今年の財政の中期見通しでは、
内閣府の、より楽観的な「経済再生ケース」を試算の前提にし、
税収が大幅に伸びることを想定しています。
基本的な考え方として、財政の見通しを試算する場合には、
より慎重で控えめな想定をするべきではないでしょうか。
なぜなら、楽観的な経済再生シナリオを前提に試算し、計画したものの、
経済再生が前提通りに実現しなかった場合、
財政再建は更に遠のくこととなりますが、
逆に、慎重なケースを前提にし、想定以上の成長が実現した場合には、
財政再建計画を前倒しすることが可能になるからです。

ちなみに、大阪府が今年2月に示した「財政状況に関する中長期試算」では、
内閣府の、より慎重な「参考ケース」を用いています。
またお隣山梨県の「財政の中期見通し」では平成27年度の県税収入については
消費税増税に伴う増額分を反映させていますが、
平成28年度以降の県税は全く増えないという、
実に慎重な前提に基づいて試算を行なっています。

こうした点に加え、更に指摘すべきは、今回の中期見通しが前提としている、
内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」そのものが、
極めて楽観的である点です。
例えば、1月28日の日本経済新聞のコラム「大機小機」は、
この内閣府の試算について「議論の突っ込みどころ満載の資料だ。
中でも前提としている経済の姿がかなり楽観的であるのが目に付く」
と厳しく批判しています。

この記事が指摘していますように、
県の中期見通しの前提ともなっている「経済再生ケース」は、
客観的に実現可能な前提というよりも、
政府が目標としている経済成長率の達成を前提としたものです。
「経済再生ケース」では、
平成25年度から34年度の平均の実質成長率を2.1%としていますが、
国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によれば、
平成25年から34年の10年間で、合計440万人以上、
約3.5%の人口減少と、
約3.1%の生産年齢人口の割合の低下が予想される中で、
そうした高い成長率の実現は、本当に現実的と言えるのでしょうか。
ちなみに、同じ日経新聞記事が紹介している
「公益社団法人日本経済研究センター」、
元日本銀行副総裁で、現在、政府の「「選択する未来」委員会」
の会長代理である岩田一政氏が、その理事長を務めていますが、
当センターが作成した、平成37年度までの「中期経済予測最終報告」では、
労働力人口の減少等も織り込んだ結果として、
平成23年から27年の平均の実質成長率は1.0%、
平成28年から32年は0.9%、
平成33年から37年では0.7%となっています。

県では、昨年10月に独自の将来人口推計を策定しているのですから、
政府の楽観的な見通しを、疑うことなくそのまま前提に置くのではなく、
もう一つの「参考ケース」や、民間の予測も大いに取り入れながら、
人口減少や高齢化の影響も十分に加味した、慎重かつ現実的な中期見通しを、
県当局は、改めて示すべきです。
加えて、昨年12月議会の一般質問でも提言致しましたが、
10年以上の長期見通しについても早急に策定すべきです。
例えば、先程紹介した大阪府では、独自の「財政運営基本条例」に基づいて、
予算審議や計画的な財政運営の参考のために、
平成46年までの20年間を見通した中長期試算を行なっています。
県当局も同様の取り組みに早急に着手するよう、強く要請致します。

次に、第101号議案
「静岡県工業用水道及び水道の使用料等に関する条例の一部を改正する条例」
に関して意見を申し上げます。

この条例改正は、中遠工業用水道の料金引き上げ等を行なうものですが、
全ての受水企業から同意が得られていることから、
我が会派は賛成を致します。

しかしながら、
同じく料金の引き上げを検討している湖西工業水道事業に関しては、
まだ全ての受水企業から同意が得られていないことが示すように、
工業用水道事業そして企業局における経営改善努力は
決して十分とは言えないと考えています。
例えば、浜松市は、平成23年度に水道専門のサービス会社等の協力の下で
「公共下水道における包括的民間委託・公共施設等運営権活用検討事業」を
行なっています。
同様に、県の企業局も、民間の最先端の知見を活用しながら、
スケールメリットが発揮される形での包括的民間委託や
指定管理者制度の導入等のコスト削減策を
早急に検討・実行すべきと考えますが、企業局はこれまで
積極的に取り組んできたのでしょうか。
また、そもそも、企業局の工業用水道事業の使命は、
工業用水の安定供給や管路の維持管理ではなく、
産業インフラの整備により県内産業の振興に資することであるはずです。
そうした広い観点から、県全体の産業政策として、
低廉で安定した工業用水の供給等に取り組むよう、
企業局を始めとする県当局には、強く要請致します。

最後に、第114号議案
「富士山静岡空港旅客ターミナルビル等の県有財産の取得」に関連して
意見を申し上げます。

富士山静岡空港につきましては、今定例会におきましても
本会議や常任委員会で活発な議論が行われました。
特に、先程、委員長から報告がありましたように、空港の年間搭乗者数を
次期基本計画の最終年度までに85万人にするという目標について、
下方修正すべきという意見が企画文化観光委員会から出されました。
私が所属する建設委員会でも議論しましたが、
こうした意見が出てくる大きな理由は、
85万人の搭乗者を獲得するまでの道筋や政策が
私達県民、とりわけ、現時点では静岡空港を利用していない個人や
企業の声を反映した形にはなっていないことだと考えます。
20億円以上の県税を投入してターミナルビルを取得すると共に、
更に巨額の費用をかけて行なうターミナルビルの増改築の
具体的な目的や設計内容、そして、
増改築が完了するまでの今後4年間の取り組みが、
現在は空港を利用していない個人や企業にとっても
大変魅力的でわかり易いものになるよう、
県当局は、来月に新設される空港振興局を中心に、
一層の危機感を持って、全力で取り組むべきです。

以上、全ての議案に賛成の立場から意見を申し上げました。
毎年編成する予算では、少しの変化には対応が可能です。しかし、
毎年の予算編成で対応し切れなかった変化が積み重なれば、
もはや何ともし難い事態がいずれ到来することになってしまいます。
今は丁度、卒業式シーズンです。
今朝も、私の地元の小学校から、元気な6年生が巣立って行きました。
県当局におかれましては、将来人口推計に基づいた
長期的かつ慎重な財政推計を行なうことにより、近い将来、
どのような事態が起こりうるのか十分想定した上で、
私たちに続く世代に、何とか、良い形で静岡県を引き継げるように、
今後の財政運営や各種の施策の推進に取り組まれますよう重ねて強く要望し、
賛成討論と致します。議員の皆様の満場の賛同をお願い致します。
ご清聴ありがとうございました。

 お読み下さり、ありがとうございます。

記者さんの鋭い目と耳

2014-03-18 | 活発!な活動報告
 明日の19日で2月議会は閉会となります。予算案や総合計画の次期基本計画案そして富士山静岡空港やリニア中央新幹線等、いつにもまして重要案件が数多くあり、そして私の場合は明日閉会日での討論もあるということで、それらのための調査や議論で大変忙しかった議会でした。

 特に、所属する建設委員会では、本年度最後の委員会ということもあり、持ち時間である1時間を使い切る形で質問致しました。

 持論として「議員は質問して何ぼ」と考えている自分としては、もちろん、単なる事実確認ではなく、おかしい、変えるべきと思われる事項について、少しでも前向きな回答を当局側から引き出せるように常に心掛けると共に(ですから、内容によっては、委員会が開催される度にしつこく同じ案件について質問をする(質問の仕方は当然変えますが)こともあります)県民の皆様にも関心を持ってもらえるように、新聞やニュース番組で採り上げてもらえるような質問内容にすることも同時に意識しています。

 ただ、当然ながら、記事やニュースにしてもらうことは容易なことではありません。それだけの内容でなくてはいけませんし、そもそも、県議会を取材する記者さんは各社1~2名程ですから、特に同時に7つ開催される常任委員会を全て取材することは物理的に無理です。ですから、記者さんは、予め、ニュースになる議論が行われそうな委員会を予想してそこに張り付くようにしています。

 今回の建設委員会審議では、傍聴する記者さんはあまりいなかったのですが、そんな中、3月13日の中日新聞の記事を見たときは、「この記者さんやるな!」と強く感心してしまいました。

 
※3月13日 中日新聞記事

 大変手前味噌ながら、私の質問に関する記事です。磐田市にある県道豊田竜洋線の改良工事に際し、買収予定地の物件撤去を確認しないまま県の担当者が支払いをしてしまった件で、これまでにも9月定例会12月定例会の建設委員会と決算特別委員会で採り上げてきました。この件に関して、県の監査委員から監査報告が出され、文書管理のあり方等について指摘されたことから質問致しました。

 記事にありますように、県の担当者は改良事業が完了していないにもかかわらず、管理規則に従って、作成から5年以上経った文書を機械的に破棄していました。しかし、監査委員の指摘を受け、今後は、事業や案件が完了しないうちは5年以上たっても廃棄しないこと等を、担当者は私の質問に対し表明しました。

 些細な方針転換のように映るかもしれませんが、文書や記録の保存と公開は民主主義の根幹にかかわる問題であり、今回の決定は大変重要なものだと考えます。当時は良かれと判断したことも、後になって問題となることは十分ありうるのですから、どうしてそうなったのか後から検証できるようにしておくことは民主主義における行政の基本的な責任だと考えます。全ての書類の原本を保存しておくのは場所をとることにもなりますが、現在は、PDFファイルのような電子化も簡単にできるのですから、たとえ、保存期間が過ぎたとしても、重要な書類は電子化して保存すべきとも建設委員会では指摘致しました。

 それにしても、この質疑を記事に取り上げた記者さんは、大変鋭い目と耳の持ち主だと、重ねて手前味噌ながら思います。今後も、こうした記者さんの目や耳に留まる議論をしていきたいと思いますし、明日の討論もそうなるよう頑張ります!

 お読み下さり、ありがとうございます。

議会閉会日に討論します:企業局は民間の知見を積極的に活用せよ!

2014-03-15 | 活発!な活動報告
 昨日(3月14日)は、会派有志で、さいたま市と飯田橋を訪れ県政課題のための調査・ヒアリングを実施しました。



 写真は上下水道施設の運営管理の受託事業やコンサルティング等を行なっているウォーターエージェンシー社と関連企業のジャパンウォーター(JW)社両社の社長ら幹部の方からのヒアリングの様子です。企業側に裁量が与えられる形で管理業務を受託させてもらえれば自治体が行なうよりも大幅にコストを削減することが可能だが、実際には、自治体の現場担当者による事細かな仕様書のために、なかなかコスト削減が出来ないこと、日本の上下水における水処理技術は世界最高レベルだが、他国では日本ほどレベルの高い水処理は必要とされない(例えば、飲み水はペットボトルのものを買うから、水道水は加熱調理や洗濯等に十分なレベルで良い等)ため、日本の技術をそのまま輸出することは困難(例えば、インドネシアで下水処理を受託した際、アメリカの低い基準をわざわざ用いたとのこと)等、大変興味深いお話を、2時間以上にもわたって伺うことが出来ました。

 また、浜松市では、既にJW社等の民間の方に委員として参加してもらい、上下水道における官民連携について既に検討を開始していると初めて伺ったのは正に「灯台下暗し」でした。開会中の2月議会には工業用水の料金を引き上げるための条例改正案が提案されており、今回の視察の目的も工業用水のあり方等の課題について手掛かりを得ることにありました。

 我が会派としては、工業用水等を管轄する企業局は、値上げの前に、民間の最先端の知見も積極的に取り入れながら、コスト削減のためのあらゆる努力をすべきと考えています。議会最終日の3月19日に、私は会派を代表して討論(議案の採決に際し、議案に対する会派の賛否とその理由等について会派を代表して述べること。質問とは違い、県当局からの答弁はない)する予定ですが、そうした点についても強く指摘したいと考えています。お時間がありましたら是非、19日の本会議ネット中継(生中継だけでなく録画中継もあります)をご覧下さい。

 お読み下さり、ありがとうございます。

12月10日一般質問の解説(3)静岡県の国際力強化のための取り組みについて

2014-01-14 | 活発!な活動報告
 12月10日一般質問の続きです。

 ※平成25年12月10日 一般質問


② 静岡県の国際力強化のための取り組みについて

問(鈴木) シンガポールと台湾の海外駐在員事務所の役割は一層重要となってきており、県内市町から職員を派遣してもらうことも含め、更なる体制の強化を図るべきだ。また昨夏に知事がモンゴルを訪問した際、モンゴル側から要請があったモンゴル事務所の設置についても早急に実現すべきだ

答(県) 県と市町の地域外交は必ずしも十分に意思疎通が図られて行なわれているわけではないので、今後は市町との連携に努めながら地域外交を展開したい。モンゴルとの関係については、現在、日本の文化・習慣にも精通している現地在住の人材を連絡員として配置する方向で調整している


※平成25年12月11日 静岡新聞記事

 ※平成25年12月11日 中日新聞記事


解説: TPP交渉の進展等に見られるように、今後、経済面での国際交流は更に加速することが予想されます。また、人口減少が少なくとも数十年は続くのですから、海外との交流の強化なくして日本経済や日本企業が生き残ることは一層難しくなると考えています。

 しかしながら経済協力開発機構(OECD)の「図表でみる教育2013年版」によれば、海外で学ぶ日本人学生数は、2005年の62853人から2011年には38535人にまで大きく減っています。ちなみに、日本の人口の半分もいない韓国の留学生数は約13万9千人です。またOECDの加盟国ではありませんが、日本の人口の約11倍の中国の留学生数は約19倍の72万3千人です。これでは、日本が世界での経済競争に勝てるはずもありません。

 そこで持論として、県が更に地域外交を強化し、県内企業や県内の生徒・学生等の国際交流や海外進出を後押しすることが静岡県の発展には不可欠であると、事ある毎に主張しています。厳しい財政状況の中で地域外交や海外事務所の体制を強化することに疑問を呈する意見もありますが、成長著しい東南アジアやモンゴル等との交流に投資せずに一体何処にするのかと率直に思います。

 お読み下さり、ありがとうございます。