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世界一有名なGreat Waveを極める ~あべのハルカス美術館「北斎」展

2017年10月08日 | 美術館・展覧会

Great Waveが鑑賞者を出迎える

 

 

2017年秋のトップクラスの展覧会は東京巡回がなく関西限定が多い。そんな超目玉の一つ、あべのハルカス美術館で「北斎 -富士を超えて-」が始まった。

 

この展覧会は、ロンドンと大阪の2か所のみ開催、大英博物館から巡回されてきたものだ。葛飾北斎は日本の画家としては世界では最も有名だ。代表作の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は「The Great Wave」として世界で最も有名な絵画作品の一つである。グローバルでは、雪舟でも狩野派でも琳派でも歌麿でもなく、北斎なのだ。

 

展覧会のサブ・タイトルはイギリス展では「beyond the great wave(大波を超えて)」だが、日本展では「富士を超えて」になっている。日欧の関心の違いを見事にとらえたコピーの使い分けだ。

 

出品作は、大英博物館だけでなく世界中の一級の美術館やコレクションから集められている。メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ギメ東洋美術館、V&A美術館、氏家コレクション、太田記念美術館、東博、小布施に残る逸品たち、世界中からこれだけの協力を得られる展覧会は稀有だ。これだけ世界の逸品が揃って鑑賞できる機会はまずないだろう。

 

展覧の構成は、欧米人が好む画家や作品の「背景や思い」を軸に従来の展覧会と差別化しようとしていることが目を引く。日本で一般的な、シンプルな画家の時系列的な順の展示構成ではない。

 

「芥子」は、北斎画ではあまり目にしたことがない。植物だけをモチーフにしている。動きがない植物を、満開に向かって生き生きと躍動している瞬間をとらえている。背景の水色と花びらのピンクの対比がとても美しい。

 

「芥子」大英博物館

 

 

北斎晩年の最高傑作として「濤図」が会場にお披露目している。小布施の祭屋台の天井絵として描かれたもので、タイトルのように波だけがモチーフだ。渦巻のように中心に向かう波のしぶきの先端を、開いた手が何かをつかもうとしているように描いた、北斎ならではの表現だ。北斎当人がどのような思いで描いたのかは今となっては知るべくもないが、「神奈川沖浪裏」のGreat Waveをさらに極めた彼の集大成のように見える。「濤図」はこの展覧会の最大の目玉だと私は思う。

 

上町祭屋台天井絵「濤図」

 

 

あべのハルカスは、東京駅近くに三菱地所が建設予定のビルができるまでは、東京スカイツリーのような塔を除くビルでは高さ300mで日本一だ。展望台からは天気が良ければ大阪や神戸の街並みはもちろん、明石海峡大橋までも一望できる。展望台のカフェではここしかない優雅な時間を過ごせる。

 

 

日本や世界には、数多く「ここにしかない」名作がある。

「ここにしかない」名作に会いに行こう。

 

 

浮世絵研究の第一人者・ハルカス美術館長が名画を切る

北斎の富嶽三十六景も切られる

 

 

あべのハルカス美術館 「大英博物館 国際共同プロジェクト 北斎 -富士を超えて-」展

http://hokusai2017.com/

会期:前期 2017年10月6日(金)~10月29日(日)

   後期 11月1日(水)~11月19日(日)

原則休館日:月曜

※出品作品は、期間中に展示替えされる場合があります。

 

 


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