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作品の質+建物のぬくもり+美しい森 ~ウッドワン美術館

2017年10月24日 | 美術館・展覧会

美術館公式サイトのトップページ、周辺の大自然との調和が美しい

 

 

ウッドワン美術館は、建材メーカーの株式会社ウッドワン(旧社名:住建産業)が所蔵する美術品を展示する美術館だ。広島市内や宮島からクルマで1時間以上はかかるが、近代日本絵画や世界の陶磁器のコレクションで名高い。わざわざ行く価値のある美術館としてご紹介したい。

 

美術館のある広島県廿日市市吉和(はつかいちし・よしわ)は豊かな森林に恵まれた地域で、株式会社ウッドワンにとって発祥の地であることから美術館を開いたようだ。付近には森の魅力を体験できるスポットが多く設けられており、ゆっくり滞在して多様なリゾートを味わえるようになっている。

 

建材メーカーによる美術館だけあって、建物自体が木の魅力を前面に押し出した造りになっている。壁や柱にはふんだんに木が使われており、展示室内もログハウスのように感じさせる。奥深い山の中にあるだけに、木に囲まれて美術鑑賞すると、木のぬくもりを感じて余計にほっとして落ち着ける。

 

 

美術館の壁の木目調も、緑豊かな周辺の景色に合う

 

館のコレクションとしては、何と言っても近代の日本人画家の作品が充実している。洋画では岸田劉生「麗子像」、黒田清輝「木かげ」、小出楢重「少女お梅の像」など、また日本画では上村松園「雪吹美人図」、速水御舟「晩秋の桜」など興味深い作品が多い。著名な近代日本人画家の作品はほぼもれなく所蔵しており、かつその質は高い。

 

またゴッホ「農婦」、ルノワール「婦人習作&花かごを持つ女」、伝周文「四季山水図(重文)」といった、近代日本人画家以外にもきらりと光る名品を所蔵しており、年4回の展覧会の際に他館所蔵作品で構成する企画展と組み合わせて順に展示されている。

 

 

ウッドワン美術館公式サイト「収蔵品紹介」

プルダウンメニューから画家と作品名を選択すれば閲覧できます。

 

 

 

年4回の展覧会は本館で行われるが、新館では常設展としてマイセン磁器、アール・ヌーヴォーのガラス作品、幕末・明治期の薩摩焼を鑑賞できる。マイセン磁器はシノワズリや古伊万里のデザインを模した作品が美しい。また館内のカフェではアンティークのカップでコーヒーを楽しめる。木のぬくもりに包まれながら美しいカップを手に取って味わうコーヒーは、ここでしか体験できない。

 

カフェ・マイセンの木のぬくもり

 

 

 

日本有数の「行きにくいがすごい美術館」は、作品の質、建物のぬくもり、森の美しさ、3つのバランスが取れており、3つのバランスは他では味わえない。2017/11/17~12/24の冬季展では国宝の彦根屏風とそっくりな逸品が公開される。どんな由来の作品なのか楽しみだ。

 

 

日本や世界には、数多く「ここにしかない」名作がある。

「ここにしかない」名作に会いに行こう。

 

 

 

ウッドワン美術館

http://www.woodone-museum.jp/index.html

冬期休館(12月下旬~翌3月上旬)を除く、年4回の展覧会期中のみ開館

展覧会期中は常設展も鑑賞可能

原則休館日:月曜

 

 


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