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京都 祇園 水辺で花街の情緒を味わう_四条通北 祇園新橋

2019年02月26日 | 城・屋敷・歴史遺産

日本を代表する花街(かがい)の京都・祇園は、四条通をはさんで南北に分かれています。日中の観光では北側はとても静かで、南側のような観光客の喧騒に巻き込まれることはありません。

  • 北側には重伝建に指定された「祇園新橋」地区があり、いにしえの趣を色濃くのこしている
  • 白川沿いにお茶屋風の建物が多くのこされており、花街の情緒が水辺にとてもマッチしている
  • 南側と異なり観光客が少ないため、写真撮影におすすめ


北側は雑居ビルが乱立する夜の街のイメージが強いですが、「祇園新橋」地区だけは別世界です。重伝建で町並が大切に守られているからです。


白川沿い

祇園は江戸時代以来の歓楽街で、八坂神社の門前町として当初は四条通沿いに茶屋ができ始めました。次いで鴨川に近い南北の通りの大和大路沿いにも茶屋ができるようになり、江戸時代の祇園は祇園新橋のある北側の方が歓楽街としては主に栄えていました。南側は建仁寺の境内で、現在のような町は鴨川に近い大和大路沿いを除いてありませんでした。

明治になると四条通南側の建仁寺境内は、女子教育機関として設立された八坂女紅場(やさかにょこうば)の敷地になります。八坂女紅場は現在も四条通南側一帯の土地のオーナーであり、乱開発されることなく整然とした町並を維持してきました。南側一帯の古い町並は、京都市による歴史的景観保全修景地区に指定されています。

四条通南側が花街の中心という現在のイメージは、八坂女紅場によって開発がコントロールされた賜です。八坂女紅場は現在も舞妓・芸妓に芸を教える学校として続いています。

一方北側にはまとまった土地の所有者がおらず、結果的に乱開発が進んで行くことになります。戦後になってわずかに花街の情緒がのこされていた祇園新橋地区の住民が、雑居ビルの林立に危機感を抱いて立ち上がり、行政に町並保存を働きかけます。

1976(昭和51)年には、角館/妻籠/白川郷/萩/産寧坂と共に、日本最初の重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に指定されます。こうして北側では祇園新橋地区だけが昔の町並が保全されるようになりました。

なお重伝建の新橋通の一本北側の新門前(しんもんぜん)通とさらに一本北側の古門前(ふるもんぜん)通は、京都随一の古美術商街です。ジョー・プライスが若冲作品を求めてしばしば訪れた通りで、現在もなんでも鑑定団の鑑定士が店を構えています。祇園新橋地区ほどの町並の整然さはないですが、こちらも京都らしい情緒を味わうことができます。

【公式サイト】京都鴨東古美術会


巽橋

祇園新橋地区の中心は、四条通から三本北側の通り・新橋通が白川を渡る祇園新橋です。ここからは白川南通りや巽橋にも道が伸びており散策道の結節点になっています。角にある辰巳大明神は地域の守護神で、着物姿の女将や舞妓が手を合わせている姿がよく見られます。

川沿いの白川南通りは雑誌のグラビアや結婚記念写真の撮影スポットとしてもよく知られており、しばしば撮影現場に出くわします。京都で川沿いに花街の町並がまとまってのこされているのはここだけです。南側と比べて人が少ないため、歴史を感じさせる町並を背景とした撮影にはうってつけのスポットです。

川沿いの情緒のある建物にはセレクトショップがあったりします。白川南通りから橋を渡って店に入れるようになっています。とても心憎い演出です。


新橋通

巽橋から南に延びる切通しと呼ばれる細い路地や川沿いの白川南通りは無電柱化されているため、ことさら景観が美しくなっています。一本北の新橋通は重伝建に指定されているにもかかわらず、無電柱化がまだ行われていません。新橋通は、1Fは格子、2Fはすだれと、いかにもいにしえの情緒を感じさせる町屋がずらりと並ぶ、見事な景観です。石畳の白と町屋の格子の黒もとてもマッチしています。

京都市として無電柱化の予定も見当たらず、とても残念な気がします。無電柱化ができない特殊な事情があるならば、観光にはとてもやっかいです。


2月は梅も楽しめます。

祇園新橋地区は四条通南側の古い町並よりはかなり小さいですが、水の流れがあることが何といっても魅力です。白川は比叡山から流れ出す自然の川で、祇園新橋地区から東へ流れて鴨川に合流します。京都の魅力を味わうのに、水は欠かせません。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



祇園新橋の近くのお茶屋です

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祇園新橋伝統的建造物群保存地区
【京都市観光協会サイト】祇園新橋伝統的建造物群保存地区

※拝観・見学に条件はありません。いつでも無料で拝観・見学できます。



◆おすすめ交通機関◆

京阪電車「祇園四条」駅下車、7番出口から徒歩3分
阪急京都線「河原町」駅下車、1A出口から徒歩10分

JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
京都駅→地下鉄烏丸線→四条駅(烏丸駅)→阪急京都線→河原町駅

※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄を乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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