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京都・龍谷ミュージアム「近世京都の寺社参詣」 ~ここはコレクション展も必見

2018年07月18日 | 美術館・展覧会

京都・西本願寺の前にある龍谷(りゅうこく)ミュージアムで、特集展示「近世京都の寺社参詣」が始まりました。京都の寺社への参拝者の様子を描いた屏風絵や、ガイドブックとしてベストセラーとなった名所図会(めいしょずえ)からは、江戸時代の観光都市・京都の姿がリアルに伝わってきます。

西本願寺と西本願寺が運営する龍谷大学が所蔵するアジアや日本の仏教美術コレクション展示もとても見応えがあります。仏教の歴史と美術の美しさがとてもよく学べます。見る価値の高いコレクション展です。



特集展示「近世京都の寺社参詣」は、龍谷大学の仏教美術コレクションを展示する「シリーズ展」の一環として行われるものです。シリーズ展は、特別展が行われない夏と春に開催されます。龍谷ミュージアムは常時公開されていないため、定評のある仏教美術コレクションを鑑賞できるのはシリーズ展の開催時に限られます。

地下の入館受付からまずは2Fの展示室を鑑賞します。ここは中国やインドなど、日本以外のアジアの仏教美術が展示されています。インドで起こった仏教がアジアに広がっていく様子を、優れた展示品を見ながら学ぶことができます。

【公式サイトの画像】 主な展示作品

仏像の草創期にパキスタンのガンダーラや北インドのマトゥラーで造られた仏様は、目の彫りが深く鼻が高いインドの人たちの姿で造られていることがやはり印象的です。首都ニューデリーとタージマハルのあるアグラの中間にあるマトゥラーは、古代インド美術の中心都市として知られています。

より北にあって中央アジアやペルシャの影響が強いガンダーラ仏に比べ、インドのほぼ中心にあるマトゥラー仏はインドの土着的な表現に趣があります。ガンダーラとマトゥラー、どちらの方が仏像制作が早かったかは明らかになっていませんが、世界で最も古い仏様の表現は、仏像の魅力を考える上でとても勉強になります。

NHKと共同で実物大に復元された、中国・トルファン郊外にあるベゼクリク石窟寺院の回廊も必見です。11c頃のシルクロードの仏教美術の美しさをバーチャル体験できます。

【公式サイトの画像】 ベゼクリク石窟大回廊復元展示

3Fは日本での仏教の広がりに関する展示室です。ここでは浄土真宗以外の宗派や寺院に関する資料・美術品も豊富に展示されています。

特集展示「近世京都の寺社参詣」では、江戸時代には京都への“旅心”を刺激するような情報がかなり豊富にあったことがわかります。

「洛中洛外図」「東山遊楽図」は屏風絵により、京都の町や祭りの華やかさを伝えています。上流階級が所蔵していたものと考えられますが、見せてもらった来客の何人かが実際に京都に出かけようとする姿が目に浮かんできます。

「都名所独案内図」「西国巡礼細見大全」は旅行ガイドブックです。墨摺版画で大量に制作されたものと考えられ、こちらは庶民でも手に取ることができたでしょう。

東福寺、清水寺、銀閣寺と言った大寺院の境内図も見応えがあります。方広寺大仏のように現存しない堂宇が描かれているのを見ると、江戸時代にタイムスリップしてみたくなります。



入館するとき、帰る時、B1Fの美しい中庭を見るととても心が和らぎます。とても綺麗で、快適に鑑賞できる美術館です。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



江戸時代の京都の旅行ガイド、現代と異なるイメージの名所も


龍谷ミュージアム
シリーズ展2 仏教の思想と文化 ―インドから日本へ―
特集展示「近世京都の寺社参拝」
http://museum.ryukoku.ac.jp/exhibition/ser.html

主催:龍谷大学龍谷ミュージアム、京都新聞
会期:2018年7月14日(土)~8月19日(日)
原則休館日:月曜日
開館(拝観)受付時間:10:00~16:30
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。

龍谷ミュージアム
http://museum.ryukoku.ac.jp/

原則休館日:月曜日、特別展・シリーズ展の非開催期間
【公式サイト】 開館スケジュール

おすすめ交通機関:
JR京都駅から徒歩15分、市バス「西本願寺前」バス停下車徒歩2分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15分
徒歩もしくは、京都駅→市バス9/28/75系統→西本願寺前バス停、
【公式サイト】 アクセス案内
※この施設に駐車場はありません。


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