その日、地方裁判所ではひとりの連続殺人犯に死刑判決が下されようとしていました。彼は、のべ43人もの人間を殺害し、そのうち十分に裏が取れた32件の殺害と1件の傷害致死の容疑で起訴されています。
彼は、死刑執行で自分の存在が消え去ったあとを想像し、微笑みを浮かべていました。「後悔はない、すべて予定通りだ」。
3月24日から、松山ケンイチと長澤まさみの共演で映画公開される「ロスト・ケア」の原作本を読みました。作者は葉真中顕・・・こう書いて「はまなか あき」と読むそうです。
とても読みやすく、主要人物の目線で章立てされ、時系列で書かれています。
登場人物は検事の大友。この役を映画では長澤まさみが演じます。大友の高校の同級生で介護大手に勤める佐久間、訪問介護センター勤務の斯波、そして犯人である「彼」。その他にも何人か出てきますが、真犯人である「彼」は原作を読んでいてもわからないようになっています。物語が終わる随分前のページで真犯人はわかりますが、映画ではすでに犯人を呈示したうえで、物語を勧めていくそうです。
老人介護というとてもディープで、めちゃ「現在」を表しているテーマだけに、40名以上を殺害した真犯人の真意をどう取るのか、これはもうひとそれぞれですし、もちろん正解などありません。
どんな理由でも「殺人」はいけないのか、時と場合によっては「殺人」も致し方ないのか。。。
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