「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
きのうは、祝日・体育の日でした。秋日和の連休を楽しまれたことと思います。
教室に、「祝日は、わたしが料理をすることに決めています!」という生徒さんがいます。社会人になられてからでしょうか、もう何年か続いているようです。年に何回か、多からず少なからず、家族のために何かを行う、とても良い決まりごとですね。
この体育の日のメニューは、「しょうが焼き・えのきとジャガイモのお味噌汁」だそうです。メニューの選択や調理には高等部での経験も役立っているようです。家族への配慮もあります、「柔らかいものでないとダメなんです。お父さんの歯が悪くなってしまって、痛くなってしまうからです」とのことでした。
前もって授業で、このメニューの材料と分量を表にまとめてみました。さすがに経験を積んでいるので、材料は次々に思い浮かんできます。
「豚肉、それと野菜、レタスかキャベツとトマト!レタスがなかったら、キャベツにします!えのき、ジャガイモ、それからねぎです!味噌汁にはねぎ、これを忘れないで下さい!」、とても張り切っています。
ですが調味料や分量になると、
「しょうが焼きのお味は、何でつけるの?」
「お味?しょうが焼きのお味?・・・お母さんに聞いてみます!」
「お味噌汁のおだしはどうやってとるの?」
「だし?・・・あっ、お湯をわかしてお母さんが袋をひとつ入れます!」
家族の人数に合わせて、分量を表に記入していくことにしました。
「お肉は?」「・・・?」「200gから300gくらいね」
「レタスは?」「・・・?」「大きかったら、2、3枚ね」
「トマトは?」「6個」・・・「6切れ?ならば、1個か2個、ね」
「しょうがは?」「・・・?」「ひとかけ」「ひとかけって、何ですか?」
「えのきは?」「・・・?」「1パック」「1パック!」
「お味噌は?」「・・・?」「大さじ2杯くらい?」「大さじ、2杯!」
「おねぎは?」「・・・?」「少々」「少々!」
単位もいろいろであれば、実にあいまいな表現が多いことにも気づきます。料理には、まさに見当と臨機応変が要求されます。
どちらかと言うと、電車の運賃のようにカチッと決まった数が好きなタイプの生徒さんですが、楽しい料理では、こんなあいまいな数にも対応できそうです。また、「ひとかけ」「少々」、時によっては「お好みで」というますますあいまいな言葉にもじきに馴染んでいくことができるでしょう。
かつて文章題で「足すのか・引くのか」に多少努力した生徒さんですが、料理は生きた数、相対的な数の経験としての絶好の場ですね。
造形リトミック教育研究所
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