有難う

葬式が済んで手伝いの皆さんが引き上げた後で兄ちゃんが身内の
人に自分が病気で何も出来なかった事を詫びて病院に戻った
後に残ったもんが皆で健さんにご機嫌取りでお酒を進めてきた
家に帰るのだから余り進めないでと頼んで居たが飲めば飲むほど
しきびの事がよみがえり、プラスそれが兄ちゃんが喪主としての
役割が出来てなかったと怒りを今度は兄に持って行き
母を困らせていた、酔って居るのだから泊まって行く様に
言われたが、如何しても帰るとタクシーで帰って来たが車の中で
寝てしまって着いても起きてくれないので社宅の階段を運転手さんと
二人で抱えて上っていたら隣の人が手伝ってくれた、こんなに歩けない程
飲まなくても好いのにとつい愚痴をゆうと（なに、、）と手を挙げたので
運転手さんが抑えてくれた、パンダに成らなくて好かった、、
おつりは好いですとお金を払い、何回も有難うとお礼を言った,
部屋に入り寝ている健さんと裕ちゃんの顔を見ていると
親子パンダが居るぐらいそっくりだった、
健さん、今日は本当にご苦労さん、裕ちゃんお父さんの様な
お酒に飲まれて自分が分からなく成る人にはならないでね。

お父ちゃん堪忍やで

父の葬式の当日に長男の兄は十二指腸潰瘍で入院して居たのを
一時外出で帰って来た、うちも裕ちゃんが風邪気味でご機嫌が
悪いので手が離せずに代わりに健さんが朝から母に頼まれた用事を
嫌がらずに何でも引き受けて走り回っていた、貧乏しながらでも
あの豚小屋の中で町会の役をしたり、福祉の役をしたり
母が色んな事をして居たので、しきびの数が70本位来ていた、
受け付けを町会に人に頼んで居た市会議員の関係、学校の関係
姉ちゃんの旦那さん、結婚はしてないけど次男の良さんそれから
うちの健さんを並べてと初めに言って置いたのでその様に並べられて居たが
後から町会の関係の人のしきびが来た時にその事を聞いて居なかった人が
健さんの分を一番後ろに持って行った
外から帰って来た、健さんが（なんや、これは俺は一番後ろか）と
怒鳴っているのを聞いて吃驚して見に行き係りの人に直ぐに場所を変えて貰った
けど、怒りは収まらず（こんな人を馬鹿にした様な式は止めてしまえ）と
怒りまくって居た、母がなんぼ誤っても聞き入れ無かった、
うちも朝から兄ちゃんの代わりに健さんが色んな用事をしてくれて居るのに
何でこんなに気の悪い事に成ったのと言いながら気を直してと頼んだが
聞かなかった、母が人目も気にせずに手を付いて誤ったのを見て
健さんも黙って納得してくれた、お父ちゃん堪忍やで許してな。

アルバイト

お兄さんが帰ってから健さんの話を聞くと、小さい時から双子と
言われるのが嫌で自分は１才下の弟だと思って来たそうな
母が結婚する時に父と母は７歳違いで（７つ違いは泣き泣きそう）と
昔から言われていたがあーちゃんは違う、６歳違いだから相性は好いと
言っていたのに（なんだ、うちも７つ違いだ、お母ちゃんと同じだ）と
思ったが今更如何することも出来ないので、前を向いて行こうと思い
差し当たり健さんが、前の様に働いて給料が貰えるまでの間、裕ちゃんを
母に預けて心斎橋のビヤーガーデンでアルバイトをした、結婚してから
初めて自由に成った様で、毎日が楽しかった、疲れて居ても帰りには
子供をむかえに行き、退院しても車には乗れなので早く帰って来ている
健さんとも何事も許せる様な優しく、張り合いの有る生活を楽しんでいたが
今度は父が病気で亡くなった、このお葬式でまた健さんがもめた。

一卵性双生児現れる

裕ちゃんが半年位過ぎた頃の夏に今度は健さんが盲腸に成った、
裕ちゃんを抱いて病院に行こうと表に出たら、健さんが立って居るので
吃驚して如何して帰って来たのとゆうと、（あ、ちがう俺は兄貴や）と
言われてなお吃驚した、兄弟は居てるとは聞いていたが
音信不通で、何処におるのか分からんと言っていたのに
こんなにそっくりな顔の人が居るとは思わなかった、病院に行く
バスの中で少し話を聞くと一卵性双生児だと言われた、
映画で見たり話に聞いていたが目の前で見るのは初めてだった
病室に入ってもう一度二人の顔を見て二度吃驚した、
本当に姿、形、声までそっくりで、2年ほど一緒に居てるから
何となく感じが違うと思うけど普通では見分けられないと思う
健さんも（何で兄貴俺が此処に住んでるのが分かって来たのか）と聞いたら
（お前が結婚届けを出したので役場に居る友達が教えてくれた）
と言っていた狐につままれた様に二人の顔を何時までも見比べていた

再就職

裕ちゃんが首も座り、笑う様に成って来て可愛く成ってきた、
病院では余るほど出ていた母乳が1か月で出なくなりミルクを
買ったりするのでお金が安定しない白タクよりタクシー会社に行くと言って
会社勤めをしてくれたけど、今度の会社はタクシーの車を会社から
ローンで買い給料から天引きされるので大きな社宅がありそこに
皆家賃を払って通って居たが、生活はどの人も苦しく夕方話していた
人が夜逃げをして居るのが1週間に1軒は有った、ローンを組んで
電気製品とかを買おうとしてもあのタクシーの人にはお断りだと
言われた位に貧乏で有名だった、車の償却をした人は給料が
良くなるので割と楽にしていた、うちもその口だった、
健さんにお金が無いのだけどとゆうと夜には必ず持って帰って来れた、
従業員皆がしている事だから心配せんでも好いと言っていた
100円持って買い物に行き今日は買わなくても好いといいかっこをして
めざしを買って帰る様な生活から逃げられるなら皆がしている
悪い事をしてもばれなければ好いと思っていた。