規則正しい生活と良質な睡眠が、美容と健康のかなめであることは異論がないでしょう。
先日、明暗のサイクルを感知して体内時計をコントロールする物質メラノプシンを紹介しました。
朝の光は青い-メラノプシンの働き
朝の青い光を浴びて体内時計に朝を知らせて、夜は電気を消してしっかりと眠る-こうすることで体内時計を規則正しく保って、健康な生活を送ることができるわけです。
ところが、飛行機などに乗って海外旅行に行くと、この明暗のサイクルが崩れます。
いわゆる『時差ボケ』(jetlag)ですね。
時差ボケは不愉快ですし、ねずみの実験で死亡率の上昇も見られており、できれば避けたいものです。
時差ボケの治療にはメラトニンがよく用いられます。
メラトニンは体内時計の『夜』の時間帯に体内での分泌が増加するホルモンの一つで、催眠作用があります。
生体内で睡眠を誘発する物質(somnogen)なので、最も『自然』で『良質』な睡眠が得られる、すぐれた睡眠薬と言えます。
(私の恩師も「時差ボケにはメラトニンは良いんだ」と言い、海外出張などの際には愛用していたようです)
(ただし、メラトニンは国内では承認されておらず、国内では手に入りにくい物質です)
また、もともと明暗サイクルと体内時計のズレが時差ボケの原因ですから、明暗サイクルを上手くコントロールする(どういうプログラムが良いのか不明ですが)ことも、メラトニンと並んで時差ボケの解消に役立つようです。
さて、ここからが本題ですが・・・・・・明暗のサイクルというと、夜は『真っ暗』が良いのかと思ってましたが、実はそうではないかもしれないようです。
Dim nighttime illumination accelerates adjustment to timezone travel in an animal model.
この論文によると、「真っ暗」ではなく「月明かり程度の薄暗い明かり」の方が、時差ボケからの回復が早いという実験結果を得ています。
時差ボケからの回復を指標とした動物実験ですが、われわれの普段の生活にも当てはまるかもしれません。
Circadian entrainment and phase resetting differ markedly under dimly illuminated versus completely dark nights.
Circadian effects of light no brighter than moonlight.
さらに、「薄暗い明かり」と「完全な真っ暗」を比較する研究は他にもあって、体内時計にとっては両者がはっきりと違うものであることは確かなようです。
そういうわけで、夜は「雨戸を閉めて真っ暗」ではなくて「カーテンだけで月明かりが入ってくる程度」の方が体内リズムを調子良く保つのに良さそうです。
考えてみれば、大昔の人間は月や星空の元で眠っていたわけですからね・・・・・・われわれの体もそのようにできているのが『自然』かもしれません。
こうして体内リズムをしっかりとつくることで、体内で自然とメラトニンが分泌されます。
メラトニンは、上記のように良質な睡眠に働く他、アンチエイジングの鍵である『抗酸化作用』もあり、また美白作用(そもそも美白剤の研究から発見された)も注目されます。
結論:
朝は黎明の光、昼は自然な太陽の光(ただし紫外線は避けて!)、夜間は星や月の薄暗い光を浴びて、体の内側から美肌を手に入れましょう!
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