にきびの治療薬というと、日本ではダラシンゲルやアクアチムクリームなどの外用の抗生剤が用いられてきました。
にきびではアクネ菌が悪さをして炎症を起こすので、抗生剤の外用は的を射た治療ではあるのですが、その効果は限られたものです。
欧米では、にきび治療の第一選択はビタミンA誘導体(レチノイド)が用いられています。
レチノイドには、皮脂の分泌を抑え、角質を剥がす作用があります。
にきびは、皮脂の分泌が亢進して、角栓という角質のフタによって皮脂が溜まることでできてくるので、レチノイドはにきびを根本から治すのにぴったりの薬なのです。
レチノイドはにきびに対してとても有効なのですが、どういうわけか日本ではこれまで健康保険で用いることはできませんでした。
それが、昨年、第三世代の合成レチノイドである『アダパレン』(製品名『ディフェリン』)が日本でも発売され、保険薬価収載されました(健康保険で処方できるようになった)。
喜ばしいことなのですが、私が勤める病院(未だに「院内処方」)では、まだ採用されておらず、処方することができません・・・。
美容医療科では、自費でトレチノインを処方することはできて、今でもそうしているのですが、保険でできるなら患者さんにとってはそちらの方がメリットがありますよね。
トレチノインとアダパレンを比較して、トレチノインの方が優れているという証拠でもあればトレチノインを使い続ける理由になるのですが、後発のアダパレン(何しろこちらは「第三」世代、対するトレチノインは「第一」世代)の方が、ヒリヒリしたりかゆみがでるなどの刺激症状が少なく、化学的に安定ということで、「優れた薬」としてはアダパレンに軍配が上がりそうです。
早いところ、私が勤める病院でも採用してもらいたいものです・・・。
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