江戸川教育文化センター

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都教委が求める教師像とは? ―都教委を告発する③-

2020-08-23 | 随想
例え時間講師とは言え、子どもたちに対しては正規の教員と同様な「先生」としての資質を備えていなければならない。
だからこそ、敢えて都教委が現役を全うした人間に対しても「選考」を行うのであろう。

募集要項の中では「総合的に勘案して選考」するとあるが、そもそも都教委はどのような教員を必要としているかが問題である。
そこで、先に都教委が示した「東京都の教育に求められる教師像」(平成20年10月)という資料を見ると次の4点が挙げられている。

〇教育に対する熱意と使命感をもつ教師・子供に対する深い愛情 ・教育者としての責任感と誇り・高い倫理観と社会的常識
〇豊かな人間性と思いやりのある教師 ・温かい心、柔軟な発想や思考・幅広いコミュニケーション能力
〇子供のよさや可能性を引き出し伸ばすことができる教師 ・一人一人のよさや可能性を見抜く力・教科等に関する高い指導力・自己研さんに励む力
〇組織人としての責任感、協調性を有し、互いに高め合う教師 ・より高い目標にチャレンジする意欲・若手教員を育てる力・経営参加への意欲

若い頃は恥じらいと遠慮もあったが、もう今では躊躇うことなく前記の教師像に十分対応できる自信はある。
特に傍線部は私のために用意してくれたような文言である。
もっとも、こうした驕りともいうべき感覚を都教委が拒んだとしたら、「お主、そこまで読んだか・・・」と考え、「総合的に勘案」されたことにもなるが、はっきり言ってこれまでの都教委(具体的な場面で関わる個々の職員は特定できないが)の姿を見た限りでは、そこまでの見識はないであろう。


都教委は更に「東京都の教員が身に付けるべき力」として、次のようにも述べている。

「社会状況の変化に伴い、学校に求められる期待度も、その内容も大きく広がりました。第一のニーズは、 『学校の教育力の向上』、第二のニーズは、『今日的な課題への対応』です。これらに対応していくためには、 学校を支える一人一人の教員が次の基本的な力を身に付ける必要があります。(以下省略)」

省略した4つは「・学習指導力・生活指導力&進路指導力・外部連携&折衝力・学校運営力&組織貢献力」と一般的な項目を並べて補足説明しているのだが、よくもこんな使い古した用語を並べてもっともな顔をしていられるものだと呆れる。

しかし、翻って考えると、都教委は淡々と俗的な言い表しをしているが、一方では「社会状況の変化」とか「今日的な課題」とか「柔軟な発想や思考」といった文言を並べつつも、他方では「組織貢献力」とか「規範意識の醸成」という一定の枠内での活動を匂わせてもいる。

要は、毒にも薬にもならないような「教師像・身に付けるべき力」ではあるが、ガッチリ守り固めるべくは「現状の東京都の教育」、即ち当局によって雁字搦めにした教育体制を何としてでも守りたいという考えからは一歩も出ていない表現なのだ。
 

さて、深読みすれば何かと問題も感じる教師像や力ではあるが、私は十分に「求められる教師」の資格はあるはずだ。
したがって、都教委はこの基準に照らして私を排除したのではないことも明らかである。

それにしても、都教委という役所は都知事とどのような関係性にあるのだろか?
何故なら、先に二期目の都知事に選ばれた小池百合子氏は「東京大改革の一丁目一番地は情報公開にあり」と言って2017年に東京都情報公開条例を改正したが、この流れを素直に受け取れば、都教委人事部職員課という部署が「(選考の合否に関わる)理由についての問い合わせには答えられません」という文言を記して済まそうとする対応には合点がいかない。

未だ情報公開を申請しているわけではないが、そもそも情報公開は重要だとする都知事の発想と精神が都の役所の随所において実体化させなくてはならないはずだ。

条例の改正理由や内容には「都政の透明性をより一層高めるため」とか「積極的な行政情報の公表・提供」とか「公文書の開示を請求する際の理由記載を不要とし、何人も請求できるよう改正」等が記されている。
つまりは、行政(当然教育行政も含む)が限りなく透明化して主権者に開くことを新しい都政の在り方として示しているのである。

それを踏まえれば、都教委は「合否の理由についての問い合わせ先」を明示するのが筋というものだろう。
一般会社などで採用試験の不合格理由には答えないということは聞いたことはあるが、これは、受験生にしてみれば不安を拡大するだけで意欲には繋がっていかないと思う。
ダメだった理由を知ってこそ次への挑戦が可能なのだから・・・。

都教委も民間に合わせたといえばそれまでだが、少なくとも公務員が行う業務として秘密主義はあってはならない。
明確な理由を示すことによって受験者の身の振り方を助けることになるはずだ。
選考に適うように努めることが可能だからだ。それを全くせずに知らせないというのは、いかに受験者を冒涜したものか考えてみるべきだ。
少なくとも主権者から委託された行政官は・・・。

民主主義国家の行政の在り方は、可能な限り主権者に開かれたものでなければならない。
小池都政もそれを目指したはずなのに、改正条例が施行された数日後には「築地の豊洲移転」に関わる件での情報公開では「のり弁」状態だった。
早々に言っていることとやっていることが食い違ったが、まさか都教委もその轍に従い都合の悪い情報は隠し切る意図があるのだろうか・・・。


<都教委を絶対許さない!>


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2 コメント

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質問があります (すぎ)
2021-02-22 14:07:33
上記URLのページに、
「東京都の教育に求められる教師像」(平成20年10月)の記載がありますが、これはどこかのページに載っているのでしょうか。
返信する
お答えします。 (管理人)
2021-02-22 22:42:58
以下の都教委のホームページです。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/static/kyoinsenko/motomeru_kyoushi.html
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