ソベルベンニク

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NHK121208放映「巨大戦艦・大和(やまと)を見る」

2012-12-09 17:55:19 | 日記
NHK12月8日放映「巨大戦艦・大和(やまと)」を見る(121209ソベルベンニク、望月喜市)
 沖縄での壮絶な戦いの救援に赴いた巨艦大和。初めから勝ち目は無かった。最高作戦本部での激論では、「この作戦は沖縄救援の見込みがゼロばかりか、大和はミスミス敵の餌食になり、アメリカ軍の士気を益々高揚させるだけだ」という現実論と、「今大和を温存して終戦を迎えたら、巨費を投じて無駄な軍艦を造った責任を問われる、不沈艦大和と宣伝しながら実戦に役立たずの艦であったのか」という「盲目的神風派」が対立したが、「結局勝算なしでも特攻出撃させるべし」という(全員玉砕をすべての戦線で命じた恥ずべき)結論にここでも落ち着いたという。
 4月7日呉の軍港を後に、片道燃料のみを積み(その分、火薬積み込みを増やし?)特攻出撃、九州沖を一路南下沖縄に向かった。この作戦はすべて米国に筒抜けで(暗号戦での敗北、山本五十六機の撃墜も暗号を解読されたため)、艦上攻撃機数百機が手ぐすね引いて待ちかまえていた。大和乗員総数3332名、うち生還したもの276名という。この映画には、大和艦上での凄惨な戦闘場面は全くない。すべて,生還者への訪問インタビューと、各種資料をベースにして物語を組み立てている。生還者の追憶と銃後の寒村の素朴な人情と貧しい生計(養蚕仕事で糧を稼ぐ)、「軍国の母」の切ない思い、生還者への村民の複雑な感情、自分の生存を責める生還者。戦闘場面の描写では、機銃掃射で腹を射ぬかれた将兵は、はらわたをドロリと出し、救急室に担ぎ込んでも、軍医はそこにおいていけ、というのみ、一度にあまり多数の負傷者で、なすすべがなかった。血塗られた甲板、手足をもがれのたうつ水兵、それを高圧水砲で海に押し流す。さらに沈没時の情景の回想は思わず息をのむ思いだ。大和には転覆を防ぐ、数千個の仕切りがあり、海水をその仕切りに適切に注水することでバランスをとる機能があったという。艦載機の波状攻撃で世界に誇る巨砲がすべて一度も発砲できいず、速射砲も真上からの急降下に為すすべがなかった。蜂に襲われた人間のように攻撃されたのだ。いつまでも沈まない巨艦の左舷に集中的に7発の魚雷をぶち込まれ巨体はぐらりと傾き、ぐぐっと沈み始めた。総員退去命令がだされ、海に飛び込むもの、傾いた甲板からづり落ちる者、沈没時の巨大な渦巻きに巻き込まれないため、出来るだけ遠くに泳ぎ出すもの。最後に火薬庫に火が付き天をも焦がす黒煙と火柱が立った。瞬間空が真っ赤に輝いた。爆発で真っ赤に焼けた鉄の破片の輝きだった。次の瞬間、火玉が海上に落下、それに当たった将兵は、次々に海底に消えた。海に飛び込む時、これで助かったという喜びが、よぎったという。
 戦艦大和の悲劇からわれわれは多くの教訓を学ぶべきだ。それが尊い命をささげてくれた将兵へのせめてもの鎮魂である。 もっとも重要な事は、時代の大きな推移をつかみ対処することだ。巨艦・巨砲時代は既に終り、戦闘は戦闘機の時代に入っていた。さらに日本にとって対英米戦、対支戦争のもつ歴史的意義・無意義の冷静な分析と、軍国主義一色の戦時下にあっても、世界の情報をつかみ、日本の進むべき道を真摯に模索する勇気をもつことだ。今度の総選挙も日本の進路を分ける転機になろう。今の情勢では再軍備派が勝つかもしれない。それを乗り越え平和を勝ち取る努力を捨ててはならない。

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