フーシェ「昨日は、急きょ店休日にしましたけど休めましたか正純?」
正純「ええと・・・店長、実は私あの・・その・・・」
フーシェ「なるほど。もしかして、もしかすると正純は水戸黄門を見たことがありませんね?」
正純「ちょっと緊張してます。こまめに新聞とかニュースとかは見てるほうなんですが、ちょっと、うっかり八兵衛さんにはお会いしたことがありません。」
フーシェ「もう、そろそろ到着する時間帯なんですが、東京都心からこっちに向かってるそうですよ。どういった交通手段かは存じ上げませんが、あ!来ましたよ。」
うっかり八兵衛「遅くなりました(冷や汗)。お知りになっているとは思いますけども、うっかり八兵衛っていうもんです。いやぁ奈良に来たのはは久しぶりですね。今も日本中を歩いていますよ。」
正純「あのう、うっかりさんはどういった職業のかたなんですか?」
うっかり八兵衛「ああ(ため息)最近の若い人はおいらを知らないんですね。残念至極です。さっそくで悪いですが、みたらし団子なんて置いてませんか?昔にね、水戸黄門っていう時代劇に出てたんですよ・・・」
正純「はぁ、そうなんですか。」と、どこか遠い目をして、宙を見つめている本多正純副店長。
うっかり八兵衛「昔話をしますけどね。ご隠居が日本全国を漫遊してくださった時代は、まだ町民もお百姓さんも人情ってのがありましたよ・・・ところが最近の東京の街を見ましたが、江戸の街は違う明るさがありましたねぇ。まぁいつの時代も深く考え込まないのが1番、おいらはね、飯を食えないぐらいなら死んだほうがマシだって、いつもご隠居に行ってましたよ。最近は変な同人作家に世界に飛ばされるわ、不老不死になるわで・・・・・いい加減にしてほしいもんです。水戸黄門ってのはねぇ、日本国内しか旅をしないのがだいご味なんですから。最近は、みんな原点を忘れてるんじゃないかって言いたいですよ。」と、団子を食いながら、日本酒を呑むうっかり八兵衛。
フーシェ「八兵衛さん今夜はありがとうございました。最近の日本はちょっとばかし荒んでいますから、道中お気をつけて旅を続けてください」
うっかり八兵衛「へい、ちょいと奈良の大仏でも見て、高野山でお参りして、和歌山の山奥でしばらく逗留しますよ。そいじゃ、気が向いたらまた来やすよ。」うっかり八兵衛は悠然とオトラントをあとにした。
フーシェ「さてぇ、今夜は夜も更けましたし閉店ですね。正純、次回のゲストはアイザック・ニュートンさんです」
正純「えっと(苦笑)実はその・・・ニュートンって誰?」
フーシェ「・・・・・・・・・来れば分かりますよねぇ~毎日、毎日が勉強です。大人になっても子どもの時の体験は生かされるものですねぇ~」
正純「はじめてお会いする人はこれで2回目です。心臓に悪いですけど、副店長をご拝命いただきましたから、オトラントの正規社員として恥じぬ対応をいたします。」
フーシェ「ニュートンさんがどういった人物だったのかは、来店される前に基礎知識だけでも覚えてください。これからも、ボチボチ、ゆっくりと、まったりと経営していきましょう。」
今夜も、オトラントは何事もなく過ぎていく。