2009/11/28 FujiSankei Business i.
■悪循環日本 危険水域に 円高、株安、デフレ、財政悪化…
「がけっぷちに立っている」。急激な円高に見舞われた27日朝、日本経団連の御手洗冨士夫会長は、日本経済の現状をこう表現した。円高が加速し、「史上最高値の79円75銭を更新する」との見方も浮上してきた。東京株式市場の平均株価も9000円割れ目前まで一気に急落し、9月中間決算で見られた企業業績の回復基調も吹き飛ばす勢いだ。この日発表された10月の全国消費者物価指数(CPI)はデフレをさらに鮮明にし、「景気の二番底」が急速に現実味を帯びてきた。これに反し、政府の対応は遅く、日本経済は方向感を失う危険な状況に入りつつある。
27日の東京外国為替市場は、対ドルで14年4カ月ぶりの円高水準になった前日をさらに更新し、一時1ドル=84円台まで急騰した。
鳩山由紀夫首相は27日夜、「円高で輸出産業は相当、打撃を受ける。補正を含めて経済対策の検討が必要だ、これならいけるという対策を打ち出したい」と強調したが、市場環境を好転させるような具体策に触れることはなかった。
藤井裕久財務相は朝の閣議後会見で、「G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)で何らかの声明を出すことも対応の一つだ」と述べ、逆に円高対応の困難さをさらけ出した。
市場では「民主党政権の方向性がはっきりしない」(みずほ証券の林秀毅氏)といらだちを募らせる。
円高に歩調を合わせるように、日経平均株価は、前日比301円72銭安の9081円52銭で取引を終えた。週明けに9000円を割るような事態になれば、株価の下落に歯止めが利かなくなる可能性もある。
為替と株という2つの市場の動きに追い打ちをかけるように、この日発表されたCPI(2005年=100)は、物価変動の大きな生鮮食品を除く総合指数が前年同月比2.2%下落し、100.1になった。
8カ月連続のマイナスで、政府の「デフレ宣言」を確認する動きだ。
円高、株安、デフレは企業業績を確実に傷め、給与や雇用にも波及し、さらにデフレを進めるという悪循環をもたらす。
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