景気判断、１１月の街角は急落 動向指数、１０月は上昇

2009.12.8　朝日新聞
■景気判断、１１月の街角は急落　動向指数、１０月は上昇
　内閣府が８日発表した１１月の「景気ウオッチャー調査」の結果は、景気の現状認識を示す指数が急激に落ち込んだ。商店主や中小企業経営者らの声を集めた調査で、景気への不安が強いことを示した。一方、様々な経済指標の動きをまとめた１０月の景気動向指数は、改善が続いた。
　景気ウオッチャー調査は、１１月２５日～３０日に、全国の約１９００人に「街角の景況感」をたずねた。３カ月前と比較した景気の現状判断を示す指数は、前月比７．０ポイント低い３３．９で、マイナス幅は比較可能な２００１年８月以降で最も大きかった。
　２～３カ月先の景気判断を示す指数は、前月比８．３ポイント低い３４．５で、このマイナス幅も最大。地域別でも現状、先行き双方が１１地域すべてでマイナスとなった。内閣府は基調判断を「景気は、下げ止まっていたものの、このところ弱い動きが広がっている」とした。２カ月続けての下方修正だ。
　回答者のコメントからは、物価下落が続く「デフレ」や、冬のボーナス減による消費不振、鳩山政権の経済政策への不安感が根強いことがうかがえる。調査期間中に中東・ドバイの金融危機で株安や円高が進んだ影響も、景況感の悪化につながった可能性がある。
　一方、１０月の景気動向指数（速報）は、景気の現状を示す一致指数（０５年平均＝１００）が前月比１．１ポイント高い９４．３で、７カ月連続の上昇。企業の生産関連の指数や製造業の残業時間、有効求人倍率などが上向いた。内閣府は基調判断を「改善を示している」として、２カ月連続で上方修正した。
　景気ウオッチャー調査は消費者や経営者の心理の動きを反映し、株価や政策の影響も強い。今回は「（１１月２０日の）政府のデフレ宣言に反応した可能性もある」（明治安田生命）との見方もある。一方、景気動向指数は、複数の経済指標の変化率を合成したもので、比較的ぶれが出にくいとされる。