誰も来るわけがない店内であーだこーだと悩んでると電話が鳴る。
お取り寄せしたいのですが……と。先ずそのセット数に驚いた。
その上で『未来チケット』というのは一人一枚しか買えないのですか?……いえ、沢山買ってもらえる程嬉しいです!……じゃ○枚を下さい……。当分絶句だった。受話器を置くと涙が流れた。
遠方のお客様……藁をも掴む思いで送った案内状……電話営業での注文に応えて下さるお客様も同様……『人の情け』って奴が身に染みる。
『食べに行きたいのに……行けないから』とこちらをおもんばかっての気遣いの言葉が、そこまでの公共体の理不尽さに対する怒りでコチコチだった心を一気に氷解させて行った。
『ピュア』には力がある。頑ななこころを解きほぐす力がある。
頻度高く会っている訳じゃない。他県故に来店だってそうそう出来る機会はない。
その人の『エンパシー』の力は『これからに向かう勇気』を僕から引き出してくれた。
勇気は自分で出さなきゃ仕方ない。
卑屈で頑なだった心の殻をポンってかち割ってくれたのだった。
僕と共に難題に向かって貰える事は希望を導いた。
『まだ苦しむことが出来るんだ!』……気が付けば重い頭痛は去り……様々なアイデアが頭の中を駆け巡っていたのだった。
僕なんかより尚、困難な医師という職責に追われる中でのこの然り気無いエンパシーの力量にただ只驚いたのだった。