2021年11月5日 16時00分 (11月5日 16時00分更新)
名古屋大医学部6年の河地利彦さん(24)=愛知県岩倉市=が中心となって執筆したゲノム(全遺伝情報)研究に関わる論文が、欧州分子生物学機構が発行する学術誌「EMBOジャーナル」(電子版)に掲載された。指導に当たった教員は「今回掲載されたのは、研究者でも論文が載ればうれしいと思うほどレベルが高い学術誌。学生の掲載は類いまれな、快挙だ」と称賛。河地さんは「今はほっとしている」と笑顔で話す。 (白名正和)
生物の体内で必要なタンパク質が作られる際、DNAの遺伝情報は、伝達役となるリボ核酸(RNA)に転写(コピー)される。遺伝情報は「エクソン」と呼ぶ複数の領域に存在し、分断されているが、RNAにコピーされる時、遺伝情報がない部分が切り離され、複数のエクソンが一つにつなぎ合わされる。
エクソンの長さはさまざまだが、河地さんは長い領域に着目して研究。世界中の研究者が解析したRNAの情報が記録されたデータベースを基に詳細に分析した。その結果、「SRSF3」という遺伝子が、長い領域のつなぎ合わせを進める役割があると突き止めた。SRSF3は「がん遺伝子」として知られ、研究が進めば、がんの病態解明につなが...
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