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自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

「テレビ映え」の東京アラートは大阪のマネ?基準なき警戒警報の迷 2020.7.4 5:35  ダイヤモンド編集部 岡田 悟:記者

2020年07月04日 08時38分19秒 | 小池百合子の学歴 嘘
  2020.7.4 5:35  ダイヤモンド編集部              岡田 悟:記者    
  レインボーブリッジを真っ赤にライトアップした「東京アラート」が廃止されて以降、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数は増加傾向で、7月2日以降、2カ月ぶりに100人を超えた。何のためのアラートだったのかとツッコミたくもなるが、実は東京アラートの発令の基準は極めてあいまいだった。太陽の塔などをライトアップした「大阪モデル」のマネだったと指摘されても仕方あるまい。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)  

 真っ赤なレインボーブリッジに人だかり
 新たな基準は分かりにくいと不評

 真っ赤に染まった東京都庁とレインボーブリッジ――。
 新型コロナウイルスへの警戒を呼び掛けるために東京都が5月に発表した「東京アラート」。むしろ、赤く染まったレインボーブリッジを一目見ようと人だかりができるという“副作用”が発生した。
 実は、東京アラートを発する明確な基準はなく、よく分からないまま廃止されてしまった。代わりに都は、「専門家による医療提供体制の分析も含めた評価をする」(小池百合子知事)として、6月30日にコロナの感染拡大状況の新しいモニタリング基準を公表した。
 モニタリング項目として、(1)新規陽性者数、(2)#7119(東京消防庁救急相談センター)への発熱などの相談件数、(3)新規陽性者数のうち接触歴が分からない人数と増加比、(4)検査の陽性率、(5)救急医療の東京ルール(20分以内に救急患者の受け入れ病院が決まらないなどの状況)の適用件数、(6)入院患者数、(7)重症患者数――の7つを設定した。
 ここに医師ら専門家が、状況を総括したコメントを記したものを数値とともに日々、試行期間を経て公表するのだという。
 都内の感染者数は毎日夕方ごろ、「都の関係者によると」とのソースでテレビのニュースで伝えられる。その数は6月中旬以降、40~60人と増加傾向で、7月2日以降は2カ月ぶりに100人を超えた。ただしこの人数の増加は、新宿・歌舞伎町や池袋のいわゆる「夜の街」での感染者とその接触者を集中的に検査しているためであるとし、いわゆる「第2波」のような大規模な感染拡大が始まっているとの認識を都や政府は否定している。
 6月30日夜に緊急記者会見を開いて新たなモニタリング基準を発表した小池知事は、説明の途中で「検査 医療 体制拡充」と書かれた緑色のパネルを掲げて見せた。

Photo by Satoru Okada
 ところが、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長や東京都医師会の猪口正孝副会長ら専門家が同席したにもかかわらず、わずか6人の記者の質問に答えただけで、会見は約40分で終了。小池知事は早々に会場を後にした。
 その後は都総務局、福祉保健局の職員がレクチャーを開催して説明に追われたが、記者からは「基準が複雑で分かりにくい」との指摘が続出。「なぜ都民に浸透していない東京消防庁の相談ダイヤルの件数を使うのか、試行期間中に見直してはどうか」と半ば“注文”に近い質問さえ出た。
 ちなみに新規感染者100人超の速報が流れ全国に衝撃が走った7月2日も小池知事は夕方に緊急会見を開き、大曲、猪口両氏が同席したが、やはり6月30日と同様に40分前後で会見は打ち切られた。
 注意喚起を分かりやすく都民に伝えることは重要だが、複雑な事象を正確に伝えることと矛盾しがちで、そのバランスは確かに難しい。
 そこで、都庁とレインボーブリッジを真っ赤に染め上げる「東京アラート」の一連の経緯を検証していこう。

休業要請基準とアラートは無関係
発令から10日であっさり廃止

 5月15日 東京アラートと、休業要請のSTEP0~3など「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」の骨格を発表
 6月2日  東京アラート発令
 6月11日 東京アラート廃止
 6月12日 休業要請をSTEP2から3に緩和、小池百合子知事が再選出馬を表明
 6月19日 休業要請を全面的に緩和
 6月30日 感染状況の新しいモニタリング基準を発表
 7月2日  都内で107人の新規感染者を確認

 東京アラートの仕組みが発表されたのは5月15日の小池知事の定例記者会見だった。小池知事は「状況の変化を的確に把握し、必要な場合には東京アラートを発動いたします。これは、いろいろな数値について、いい数値が出てきたと思って、昨日のようにまた(新規感染者数が)30人で、逆戻りする場合には、しっかりと皆様にお知らせをするということで、東京アラートを鳴らすことといたします」と話していた。

  一方で都はこの日、6月末に廃止されたモニタリング指標の骨格を公表。
(1)1週間当たりの新規陽性者数、
(2)1週間当たりの新規陽性者のうち接触歴が不明な人の率、
(3)週単位の陽性者増加比、
(4)重症患者数、
(5)入院患者数、
(6)PCR検査の陽性率、
(7)受診相談窓口の相談件数――の7つの指標のうち、事業者への休業要請について、
(1)が20人未満なら緩和、50人以上だと再要請、
(2)が50%未満だと緩和、50%以上だと再要請、
(3)1未満だと緩和、2以上だと再要請――としていた。また、都民の外出自粛、事業者の営業自粛をSTEP0~3に分けて要請する考えも示された。

 ややこしいのは、(1)~(3)の基準だけでなく、入院者数や重症者数などの医療提供状況も勘案して「総合的に」判断されるというものだった。実際、5月中に(2)(3)が基準を超えたが、感染状況の把握が困難でないとして発令を見送り、6月1日にSTEP1から2に休業要請を緩和している。

 東京アラートが実際に発令されたのは6月2日。同日の新規感染者が34人確認されたことを踏まえ、警戒を呼び掛けるものだった。

 ところがアラートは結局、6月11日に解除され、今後は発令されないとして廃止となった。そして12日には休業要請の基準もSTEP2から3に緩和した。12日の記者会見で小池知事は、新規感染者が減少していたことを念頭に「新しい環境に、新たなステージに入るということから、それにふさわしい体制をつくっていくということになります」と説明。その「新たなステージ」の基準が6月30日に示されたのだ。

アラート再発令の必要性を問われたものの
 記者の質問に答えない小池知事

  だが、「夜の街」への集中検査という要因はあるにせよ、6月中旬以降、1日の新規感染者数が40~60人程度に増加。夜の街ではない職場などの感染者も発生している。6月19日の記者会見では、「昨日の感染者数は集団検査を含まない分で41人だった。いま一度、このアラートを発動する必要性もあると感じる」との報道陣からの質問も出た。

 だが小池知事は、東京アラートの意義について、「都民や事業者に警戒を呼びかけるということについても、これまで、1回、赤いアラートを鳴らせていただいたわけでございますが、そういった際には警戒、アラートは警戒という意味ですから、それを呼びかけてきたわけでございます」と、なぜかアラートを“日本語訳”しただけで、それ以上のことは語っていない。

  その上で「今後、第2波へ備えるという意味で、市中感染が大きく広がっていくことが危惧される状況になった場合には、都民や事業者の皆さまに警戒を呼びかけるという事態も想定されております」としながらも、「現在は指標の内容と同時に、都民の皆さまや事業者に対する呼びかけのあり方についても、改めて専門家の意見もうかがいながら検討しているところで、まずはモニタリングもしっかりと継続し、新しいモニタリングのやり方なども含め、専門家のご意見をうかがいながら進めることになろうかと思います」と述べた。

 要するに、基準の見直しの途中であるとの説明を繰り返しただけで、記者の質問にはまるで答えていないのだ。都民に感染予防の必要性を「しっかりとお知らせをする」と語った東京アラートの意義や目的は、一体何だったのだろうか。

 東京アラートの“伏線”は大阪にあった。大阪府は国の緊急事態宣言発令中の5月8日から独自に休業や外出自粛を見直す「大阪モデル」の運用を開始。こちらは単純に、(1)感染経路不明の新規感染者数が10人未満、(2)PCR検査の陽性率が7%未満、(3)重症患者の病床使用率60%未満――の3条件が7日連続で達成されることを条件とした。

  また達成度合いに応じて11日から、大阪府吹田市の万博記念公園にある「太陽の塔」と、大阪市浪速区にある通天閣を赤、青、黄色にライトアップした。

大阪モデルは数値で機械的に色が変わる
 前知事は選挙戦との関係を指摘

  小池知事が東京アラートを発表したのは5月15日で、レインボーブリッジを普段は虹色にライトアップし、東京アラート発令時には真っ赤に染め上げる計画を示したのは翌週の22日。これでは大阪のマネをしたと指摘されても仕方あるまい。

 ただし大阪モデルでは、(1)~(3)の数値に合わせて機械的に点灯する色が変わるため非常にシンプルだ。東京アラートのように基準が不明なまま発令されるのとは異なる。見た目が単純でも、発令の基準が不明確であったことさえ、都民の多くは理解していなかったのではないか。

 小池知事は、東京アラートを発令から10日しかたっていない6月11日に廃止。12日には休業要請も緩和して経済重視にアクセルを踏み込んだ姿勢を見せたうえで、同日夕方に都知事選への再選出馬を表明した。舛添要一前都知事は6月11日にツイッターで「『東京アラート』解除。明日からステップ3。麻雀店、パチンコ屋、キャバレー、ナイトクラブ、カラオケなども再開。接待を伴う飲食店とライブハウスは18日まで自粛要請。都知事選公示が18日、選挙戦のスタートとタイミングが見事に合っている」と指摘した。

 ライバル都市のマネをし、テレビ映えを狙ってレインボーブリッジを真っ赤に染め上げて都民の危機感をあおったが、休業による都民の経済的なダメージを気にしてか、選挙が近づくと一気に自粛要請の緩和にかじを切る──。そんな小池知事の姿勢が浮かび上がるが、7月5日投開票の都知事選はテレビ討論会も開催されず、議論はあまりに低調である。

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