愛子さま19歳に…苦難を乗り越えた皇后雅子さま「母の愛」の軌跡
令和の天皇陛下が126代天皇として皇位継承をしてから1年7ヵ月月。天皇皇后両陛下のお人柄は、そのお言葉や行動からもにじみ出て、私たちを魅了してきた。そんな両陛下に愛を注がれて育てられた愛子内親王が、12月1日、19歳のお誕生日を迎えられた。
【写真】天皇陛下と雅子妃の愛が溢れてる…ご誕生から19歳になる今までの愛子さま
雅子さまについては、漫画家で小説家の折原みとさんが多くの資料を読み、「漫画家が見た雅子妃」という連載でバッシングのことも含めて詳しく伝えてきた。メディアとしても、国民としても、雅子さまを苦しめてしまったバッシングから目を背けず、その背景をきちんと認識し、同じようなことを繰り返さないことが大切だと感じさせられる。
前回の記事では、雅子さま「心の病」に苦しんだ背景をお伝えした。今回は写真とともに愛子さま出産のときにさかのぼり、雅子さまを中心に、両陛下の愛子さまへの愛を振り返ってみたい。
ご成婚から8年目の出産
2001年12月1日午後2時43分。 まさに「待望の」赤ちゃんが誕生した。当時の皇太子殿下のご長女・愛子さまである。 両陛下が結婚されたのが1993年6月9日のこと。皇太子殿下33歳、雅子さま29歳のときだった。今でこそ早いほうともいえるが、厚生労働省の「人口動態統計」によると、当時の結婚平均年齢は男性28.4歳、女性26.1歳(2019年は男性31.1歳、女性29.4歳)。結果、外交官として積み上げたキャリアを生かし、新しい皇室の形を作ろうとされていたそばから、雅子さまは「お世継ぎ包囲網」に悩まされることになってしまった。 妊娠・出産までの雅子さまのご苦労は、折原さんの連載第3回「漫画家も思わず涙…雅子さまを苦しめた『国家的マタハラ』」第4回「不妊治療に流産も…漫画家も絶句した、雅子妃出産までの『いばらの道』」に詳しい。 雅子さまは周囲のプレッシャーと不妊治療を含めたお世継ぎ問題とで苦しみながらも、無事に出産した。しかし産後2003年に帯状疱疹を発症、体調不良と闘いながらようやく2004年に専門医の治療を受け、同年7月に「適応障害」という心の病だと発表されたのだ。
産後、心の病になる比率の多さ
2002年4月、生後3ヵ月の愛子さまを抱いてお宮参りで笑顔を見せる雅子さま Photo by Getty Images
子育ては、ただでさえ予測不可能なことばかりだ。国立成育医療研究センターの研究成果発表によると、2016年までの2年間で産後102名の自殺者がいたという。それほど産前産後は心ももろくなる。しかし2001年出産直後から「次は男の子を」をいう声が出ていたばかりか、12月11日には当時の宮内庁長官が会見でこのようにも発言していた。「秋篠宮さまのお考えもあると思うが、皇室の繁栄を考えた場合、3人目のご出産を強く希望したい」……これでは心が弱るのも当然ではないだろうか。 2005年12月9日には「東宮職医師団見解」が公表され、病名と治療方針、現在のご病状、環境面のストレスなどについて、詳しい報告書が出された。平成22年度の東宮職医師団見解にはこのように書かれている。 「当時の妃殿下のご病状の程度は,精神的・身体的エネルギーが低下されてお住まいからお出になることもできないほどに深刻なものでした。そうしたご病状に関しまして,東宮職医師団は,妃殿下の受けてこられたストレスが大きいことによるものと判断しました」 病気と闘いながら、雅子さまはバッシングまで受けていた。その中で愛子さまに愛情を注いでいらしたのだ。
小学校のときの登校問題も超えた理由
そこにさらなる追い打ちをかけたのが、愛子さまの登校問題だった。これについては折原みとさんの連載「愛子さまの登校問題…漫画家が感銘を受けた、雅子妃「母としての覚悟」に詳しく書かれているが、簡単にお伝えしよう。 愛子さまが学習院初等科2年生の2010年2月下旬のこと。突然愛子さまが学校に行くのが怖いと不登校気味になった。そして同年3月5日から、雅子さまのお付き添い登校が始まる。それは1年7カ月に及び、2泊3日の校外学習へも付き添って行かれた。その校外学習を境に、愛子さまは再びご自分ひとりで登校できるようになったのだ。 このとき「病気なのに付き添いができるのか」というバッシングまであったが、雅子さまはご自身がどのように思われるかということより、一番に愛子さまのことを思い、きちんと自分の足で学校に行くことができるように支え続けた。この見守りと寄り添いが、今現在大学生となっている愛子さまにつながっていることは間違いない。 文部科学省の発表によると、愛子さまが登校に問題を抱えた2010年、小学生の不登校児童は2万2463人だった。そして2018年には4万4841人。特にここ数年は右肩上がりに増加している。不登校の問題は、どんな子にも起こりうることで、何よりも子どもに寄り添うことが解決の糸口になる。学校に行くたくないという思いを抱えた時間が成長の一環として過ぎさり、そこから自分の足で社会に出られる子が多くいるが、不登校が続いて引きこもりになってしまうなど、うまく社会に出ることができないでいる子どもも3割近くいると言われている。
今年の10月、学習院大学文学部日本語日本文学科に進学された愛子さまが、初めてキャンパスに訪れた際、その堂々とされたお姿を拝見して、嬉しく感じた人は多かったのではないか。
「半年遅れではありますが、今日キャンパスを実際に訪れ、先生方や学生の皆さんにお会いできることを嬉しく思います。大学では新しい知識を得たときに感じられる喜びを大切にしながら、様々なことに取り組院で行ければと思っております。また、新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、みなさまが普段通りの生活や活動ができることを心より願っております」
しっかりとしたその口調、そして配慮のあるお言葉。ああ、両陛下の愛情が、愛子さまを健やかに育んでいらしたのだなと改めて感じるのではないだろうか。