【エルサレム=西田道成】イスラエル軍とイスラム主義組織ハマスの戦闘開始から7日で2か月となった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は6日に公開したビデオ演説で、ハマスのガザでの政治部門指導者ヤヒヤ・シンワル氏の拠点を軍が包囲しているとの認識を示し、「見つけ出すのは時間の問題だ」と強調した。
ネタニヤフ氏は、包囲したのはシンワル氏の「家」と表現した。イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は6日、「シンワルの『家』は(ガザ南部の)ハンユニスだ。テロリストの施設や司令部がある」との見解を示した。具体的な居場所への言及は避けつつ、シンワル氏が地下に潜んでいるとの見方を示し、「我々の仕事はシンワルをとらえ、殺害することだ」と述べた。シンワル氏はハンユニス出身で、10月7日の越境攻撃を立案した主導者とされる。
イスラエル、東エルサレムに「新入植地」承認 NGO
【12月7日 AFP】イスラエルの入植活動を監視するNGO「ピース・ナウ(Peace Now)」は6日、イスラエル当局が1738戸の住宅建設を承認し、その半分から成る「新入植地」はイスラエルが併合を宣言している東エルサレム(East Jerusalem)に新設されると発表した。
これについてピースナウのハギット・オフラン(Hagit Ofran)氏はAFPに対し、「イスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)の紛争が起きていなかったら、大騒ぎになっていただろう。(パレスチナ自治区)ヨルダン川西岸(West Bank)南部と東エルサレム間におけるパレスチナ国家存続にとって、非常に問題のあるプロジェクトだ」と述べた。
ピースナウは声明で、東エルサレムの「グリーンライン(Green Line)」に触れ、新設されるロウアーアクエダクト(Lower Aqueduct)地区の半分はグリーンラインを越えたところに、残り半分はグリーンライン内に位置する」と説明。「ギブアットハマトス(Givat Hamatos)地区とハルホマ(Har Homa)地区の間に位置するこの戦略的な立地は、政治的な観点から特に問題だ」と指摘した。
グリーンラインとは、1948年のイスラエル建国を引き金に翌年、それを認めないアラブ諸国との間で起きた第1次中東戦争の休戦協定で定められた境界線を指す。
この境界線によってエルサレムは東西に分けられ、西エルサレムはイスラエルの統治下に入り、東エルサレムは1967年の第3次中東戦争までヨルダンが統治していた。イスラエルは第3次中東戦争で東エルサレムを占領。その後、併合を宣言したが、国連(UN)は承認していない。
パレスチナ外務省は5日、イスラエルは「国際的な注目がガザ紛争に集まっている事態を利用して、占領下のエルサレムにおける入植地建設を承認している」と批判。「エルサレムを入植地と入植者で埋め尽くし」「周囲のパレスチナ領から切り離す」計画の一部だと糾弾した。
入植活動に反対するNGOイル・アミン(Ir Amin)によると、東エルサレムには現在、パレスチナ人が約30万人、イスラエル人が約20万人住んでいる。
占領地におけるイスラエルの入植活動は国際法に違反している。(c)AFP