くもり空の下で……

アルコールとギャンブル。依存症からの回復と成長を目指しながらの日々の雑感を発信。趣味の渓流釣りなども公開しています。

オッサン

2017-02-17 17:04:07 | 日記
以前の記事でも少し紹介したけれど、
私には父親の代わりになってくれているような人がいる。




私の実の父親はすでに10年以上前に他界している。
実の父親もある意味スゴい人だったので、また機会があれば書こうと思っているけれど、今日は私にとって父親代わりであるこの
『オッサン』について少し書こうと思う。







このオッサンとの出会いは私が高校生だった頃………



私が高校生だった頃、父と母は離婚をした。
母は3人の息子たちを育ててゆくために生命保険のセールスの仕事をしていた。
またそれとは別に夜はカラオケスナックでアルバイトをしながら私たち兄弟3人を育ててくれていた。

そこで母はこのオッサンにナンパされ恋仲となり、付き合いはじめたようだった。
当時は名も知れたナンパ師だったオッサン。
カラオケの名手。

あだ名は
『日替わり定食』
毎日連れている女性が違うから……というのがあだ名の由来。

女性に優しい男はモテる………
そんな言葉を地で行くような人だった。




私はというと、その頃せっかく入学できた高校にもロクに行かず、毎日ゲームセンターやパチンコ屋などをウロウロしているヤンキー高校生だった。
ちょうどその当時に流行っていたビーバップハイスクールのトオルやヒロシに憧れながらも、なりきれていない中途半端なヤンキー高校生だった。

母とオッサンがいい仲なのは知ってはいたけれど、私はそんな二人のことを許してもいなかった。
いつも顔を合わせればイライラしていて敵対心丸出し。オッサンと顔を合わせることはあっても、口を利くことなどほとんどなかった。




オッサンにも家庭があり、母とは言わば「不倫」の関係……


世間的にも認めてなどもらえるはずない関係ではあるものの、二人の関係は続いていった。





そんな中…ある日私がバイクで事故を起こした。

400ccバイクに乗り、時速140㎞でダンプカーに激突。
かろうじて命に別状はなかったものの、救急車で運ばれ緊急入院。
左半身を強打。左腕は骨折。しかも割り箸のように折れた骨は皮膚を突き破り、剥き出しの状態になっていたようだった。
開放性骨折。



年末の寒い日だった。


通報を受けた母とオッサンが現場へ飛んできてくれた。
私は左腕を吊るされベッドから起き上がることすら出来ず、メシもトイレも寝たままの状態で済ませなくてはならなかった。

母はボロボロと泣いていた。

そしてオッサンはそんな母と身内以外は面会禁止になる時間を過ぎてもずーっと私に寄り添ってくれていたようだった。
そして母が面会に来れない日であっても、毎日オッサンは私の様子を診に面会にきてくれた。
私は約3ヶ月の入院を終え、無事に退院することができた。





そのころから私のオッサンに対する態度が変わってきたと母は言っていた。







………あの頃から30年近く経った………

現在母は72歳。

オッサンは84歳。




いままでに


『もう別れた💢』





…………などと、そんな言葉を母から飽きるほど聞いてはきたが、未だにそんな些細な喧嘩を繰返しながらも二人の仲は続いている。





30年以上の不倫の関係………





世間的にはもちろん認められるはずなどない関係であったとしても、なかなか30年以上続けて行ける人は稀ではないかと思う。

オッサンから金銭的な援助を受けたことはほとんど無い。
しかし母にとって、また私にとってもこのオッサンの存在が、今までどれ程私たちの精神的な支えになってもらっていたのかは計り知れない。




『オレの真似できるヤツはいねーよ。』



…………それがオッサンの口癖。








先日そんなオッサンが手術をした。






脳腫瘍……


幸い悪性のものではないらしいが、放っておけばどんどんと大きくなるらしく取ったほうが良いらしい。
しかし全身麻酔を施し、頭を切ることに対して年齢的にもリスクもある。
このままにしておいて寿命を迎えるか。
それともリスクを承知の上で手術をするのか。

オッサンは家族とも相談した結果、自ら手術をすることを決めた。

84歳………








手術から二日後………
母から電話があった。






『やっと集中治療室から一般病棟に移った。だからやっと電話くれたよ。良かった。心配で携帯ずっと握りしめていたけど、ご飯も喉を通らなかったよ。』






…………と、今にも泣きそうな声で私に報告してくれた。






母もいくら30年の付き合いとはいえオッサンとは家族ではない。

いくら心配していても、お見舞いにすら行くこともできない関係。。。


当然そんなことは二人が一番よく解っているはず。




いつまで続くのかは解らないけれど、二人とも長生きしてほしい。




この先も二人で一緒の墓に入ることなどは決してないだろう。




けれど、

母とオッサン…………
二人がそんなちっぽけな関係ではないことを私は知っている。
いつまでも、仲良く、喧嘩してください。