「もしもし、御茶ノ水女子第一大学の九条レイカさんですか?僕、農工大の美術部渉外の水野です・・・」
と、レイカの携帯に農工大の水野から電話が来た。
レイカも心なしか緊張気味で、水野に言葉を返す。
「あ、水野さんですか?わたし、お茶女の渉外になった、九条レイカです。よろしくお願いします」
と、レイカも知らず知らず、普段より幾分やわらかい声音で、丁寧に話している。
「先日は飲み会、ありがとうございました。とっても盛り上がって・・・お茶女の女性たち一同、水野さんの盛り上げ方に感心しちゃたんですよ」
と、レイカはやさしく、そう話す。
「いやあ、そうですか?まあ、僕はただ酔っ払うと、その力で、皆を楽しくしちゃうってだけですから。ただの酔っぱらいです」
と、水野は生真面目に言葉を返してくる。
水野は、普段は少し生真面目で、誠実さの溢れる素敵な青年だった。
その彼もお酒を飲むと、たちまち水野ワールドが炸裂した。
明るく楽しく、それでいて、話題はあっちに行ったかと思うと、全然想定しない側から話を持ってきて、縦横無尽、知識は豊富にして、知恵の深いタイプの男性。
手を縦横に広げながらのボディ・ランゲージは、オーバー過ぎず的確で、賢い女性達をたちまち笑顔にする技を持った・・・今まで見たこともない男性だった。
それが農工大の水野ジュンイチ(21)だった。
たくさんの知恵を使って、酔って、楽しくおしゃべりする水野ジュンイチの笑顔は、とっても暖かだった。
その笑顔にたちまちに恋に落ちた、レイカだった。
水野ジュンイチの笑顔がレイカの脳裏に浮かぶ・・・それだけで、レイカは嬉しかった。
「あの笑顔をずっと見ていたい・・・大好き、水野さん・・・」
レイカは心から笑顔になっていた。
「ところで、うちの部長に言われたんですけど・・・農工大とお茶女の今後の発展の為に・・・何が出来るか、九条さんと直接会って、検討しろって言われたんですけど」
と、ジュンイチは言ってくる。
「ええ。わたしもその話を上の人間から聞いています。水野さんさえ良ければ・・・どこかで会って話しません?」
と、レイカは提案する。
「いや、まあ、僕的には全然いいんですけど・・・九条さんの方こそ、大丈夫なんですか?」
と、ジュンイチは生真面目な雰囲気で聞いてくる。
「ええ。大丈夫です・・・日時、いつにしましょうか・・・」
と、レイカは笑顔になりながら、言葉にする。
「いよいよ、彼と二人きりで会えるんだわ・・・」
と、レイカはこころから笑顔になっていた。
数日後の土曜日。渋谷109の地下1階のエレベーターの出口で、レイカはジュンイチと待ち合わせた。
「恥ずかしい話ですけど、僕、大学に入ってから、女性とデートすら、したことがないので・・・東京の待ち合わせ場所、よく知らないんですよねー」
と、ジュンイチは、そういうところは、何一つ隠さず話してくれた。
「あのー、渋谷109は、わかります?」
と、レイカが親切に聞く。
「ええ。さすがに、そこは、わかりますねー」
と、ジュンイチは嬉しそうに話す。
「そこの入り口にエレベーターがあるので、そのエレベーターの地下1階の入り口で、わたしはよく女友達と待ち合わせるので・・・そこでどうですか?」
と、レイカは提案する。
「お、それはいいですね。そこにしましょう」
と、ジュンイチは一も二も無く決めてくれる。
「時刻は10時半・・・約束の時間にピッタリのはずだわ」
と、白のフリルブラウスに淡いピンクのプリーツスカートを合わせ、その上にベージュのフリルトレンチコートを合わせたレイカはベージュのパンプスを合わせていた。
もちろん、ヒールは7センチをチョイスしていた。
「先輩、待ってくださいよー」
と、後ろから歩いてきたのは、レイカの大学の後輩、大学一年生の姫島アイ(19)だった。
ピンクの花柄のワンピース姿に、ピンクのカットソーのトップスを合わせたアイは、さすがに10代のテイストのおしゃれだった。
ピンクのパンプスも合わせて・・・でもヒールの高さが4センチ程で、そこはレイカの勝ちだった。
「アイ、いいかしら?」
と、一階のエレベーターに乗りながら、レイカが聞いてあげると、
「はい。レイカ先輩!」
と笑顔で返すアイ。
「なんか、この間の合コンの続きみたいですね。水野さんとまた会えるなんて!」
と、アイもこの間の合コンを楽しんだ口だった。
「行くわよ」
と、笑顔で返すレイカは、エレベーターのボタンを押す。
エレベーターは地下1階へ・・・すぐだ。
扉が開くと、そこにやさしい笑顔のジュンイチがもう待っていた。
「おはようございます。水野さん・・・早くに来ていてくれたんですね」
と、レイカは少し感激気味に話している。
「いやあ、女性は待たしちゃいけないって、じーちゃんに幼稚園の頃から躾けられまして・・・女性にモテるじーちゃんだったもんで・・・」
と、ジュンイチは頭を掻きながら、やさしい笑顔で話してくれる。
ジュンイチは、白いデニムパンツに、白いボタンダウンシャツ、真紅に白い小さな水玉模様のネクタイをし、カーキ色のトレンチコートを着ていた。
足元はピンクの靴下にサイドが赤で、トップが白のデッキシューズ・・・なかなかのおしゃれさんだった。
なにより細身の身体のジュンイチに、レイカは笑顔になった。
「ちょっと待って下さいね。うちの連れが緊張しちゃって、トイレに行っちゃって・・・」
と、ジュンイチは両手を合わせて拝むような姿勢で謝っている。
と、そこへ、
「すいません。トイレ行ってたもんで・・・」
と、農工大一年生の直江ケンタ(18)が走ってくる。
「まあ、電話で言った通り、僕は女性とデートしたことがないんで、店知らないんですよ。恥ずかしいですけど・・・」
と、歩き出した四人は、北向きに歩きながら、笑顔で談笑する。
「店なんか知らなくても、飲み会であれくらい笑わせてくれるんだったら、すぐに彼女出来ちゃうんじゃないですかー」
と、気安いアイが話す。
アイも合コン以来、ジュンイチに懐いてしまった口だ。
「いやあ、アイちゃん、そんな簡単にはいかないよ・・・恋って、そんな簡単に手に入らないものだから・・・」
と、生真面目なジュンイチは、アイの軽口にも真面目に答えている。
「水野さん、これ、アイのいつもの手ですから、そんなに生真面目に返さなくてもいいんですよ」
と、生真面目なジュンイチに好感を持つレイカだった。
「は、はあ・・・どうも僕は真面目すぎるのが玉に瑕なんですよね・・・でも、これ、性格ですから・・・」
と、生真面目なジュンイチは、そんなレイカの言葉に、さらに生真面目になるのだった。
それがさらに微笑ましいレイカだった。
「水野先輩・・・とりあえず、これからどうしましょうか?」
と、ジュンイチの後輩、直江ケンタがジュンイチに聞いている。
「そうだなー。とりあえず、ロフトにでも入りませんか?ちょっと雑貨を見ながら、楽しい時間を過ごしたり・・・どうです?」
と、ジュンイチが提案してくる。
「いいですね。わたしもロフト、大好きなんです」
と、レイカが即、言葉にする。レイカは、そんなジュンイチを応援したくて、仕方ない感情になっていた。
「わたしもロフトだーい好き!」
と、負けじと大きな声を出すアイ。
「じゃ、行きましょうロフトへ!」
と、直江ケンタが言うと、
「なんか、雑貨見ていると、ほっとするんですよね。僕・・・」
と、店を知らないといいながら、いい時間の過ごし方は知っていそうなジュンイチだった。
「あのー、2人きりで会うと、ちょっと気まずいんで・・・慣れてないんですよ。僕、女性と二人きりで会うの・・・」
と、あの時、電話の向こうで言ったジュンイチだった。
「わたしとだと、気まずいですか?」
と、そこは少し聞いてみたレイカだった。
「いや、九条さんだから、気まずいんじゃなくて、女性全般と、あまり、なじみがないもので・・・」
と、ジュンイチはそんな風に言う。
「いや、そのー、僕的に言えば、九条さんと二人きりになれたら・・・そしたら、僕どうなっちゃうか、わからないんで・・・」
と、ジュンイチは素直に話す。
「そうなんですか?」
と、レイカは少し落胆しながら、聞く。
「いやあ、これも、九条さんに不快な思いをさせたくない為で・・・そのー、ほら、二人で会ってて、僕と恋人同士なんて、周りに勘違いされても、九条さんに、悪いし・・・」
と、ジュンイチは、焦りながらも、一生懸命話してくれる。
「わたし、悪いなんてひとつも・・・」
と、レイカも必死に食い下がるが、
「だから、お互い後輩をひとり連れて行くことにしましょう。それなら、これが大学と大学のお仕事だって、明確になりますから・・・」
と、ジュンイチは決めてしまう。
「まあ・・・水野さんが、それでいいので、あれば・・・」
と、レイカも渋々ジュンイチの提案を受け入れる。
「いやあ、女性と二人きりなんて、僕の人生的には、まだ、考えられないので、九条さんに迷惑をかけられませんから・・・僕の個人的なことで・・・」
と、生真面目に言うジュンイチだった。
「水野さんは、何事にも、真面目なのね・・・」
と、そんなジュンイチがいじらしいレイカは、そんな風に言葉にする。
「いやあ、そんなこと、ないですけど・・・」
と、ジュンイチは、そんな風に返していた・・・。
「でも・・・なんか、楽しいですね。こんなに美しいお茶女の二人の女性と土曜日を過ごせるなんて・・・」
と、ジュンイチの耳元でこっそり言う直江ケンタだった。
「ん?まあ、そうだけど、あくまで、今日は大学のお仕事だからな。それを忘れるなよ・・・」
と、ジュンイチは言い返す。
「水野さん、真面目すぎなんじゃないですか?いくら何でも・・・」
と、ケンタは不満そうな顔をする。
「だって、女性2人は、あきらかに、デートを楽しむつもりですよ。見てくださいよ、あの笑顔・・・」
と、ケンタに促されて、お茶女の二人を見るジュンイチだった。
「先輩、先輩も水野さん狙いでしょ・・・わたしも負けませんからねー」
と、笑顔で話しているアイだった。
「よし、お手並み拝見・・・わたしも負けないわ」
と、笑顔で微笑むレイカは、ジュンイチの方を見て、さらにやわらかい笑顔になるのだった。
アイも負けじと笑顔でジュンイチを見るのだった。
「ね?」
と、ケンタに言われて・・・少し固まるジュンイチだった。
(つづく)
→前回へ
→物語の初回へ
→「バレンタインまでにすべき10の事」初回へ
→「ラブ・クリスマス!」初回へ
と、レイカの携帯に農工大の水野から電話が来た。
レイカも心なしか緊張気味で、水野に言葉を返す。
「あ、水野さんですか?わたし、お茶女の渉外になった、九条レイカです。よろしくお願いします」
と、レイカも知らず知らず、普段より幾分やわらかい声音で、丁寧に話している。
「先日は飲み会、ありがとうございました。とっても盛り上がって・・・お茶女の女性たち一同、水野さんの盛り上げ方に感心しちゃたんですよ」
と、レイカはやさしく、そう話す。
「いやあ、そうですか?まあ、僕はただ酔っ払うと、その力で、皆を楽しくしちゃうってだけですから。ただの酔っぱらいです」
と、水野は生真面目に言葉を返してくる。
水野は、普段は少し生真面目で、誠実さの溢れる素敵な青年だった。
その彼もお酒を飲むと、たちまち水野ワールドが炸裂した。
明るく楽しく、それでいて、話題はあっちに行ったかと思うと、全然想定しない側から話を持ってきて、縦横無尽、知識は豊富にして、知恵の深いタイプの男性。
手を縦横に広げながらのボディ・ランゲージは、オーバー過ぎず的確で、賢い女性達をたちまち笑顔にする技を持った・・・今まで見たこともない男性だった。
それが農工大の水野ジュンイチ(21)だった。
たくさんの知恵を使って、酔って、楽しくおしゃべりする水野ジュンイチの笑顔は、とっても暖かだった。
その笑顔にたちまちに恋に落ちた、レイカだった。
水野ジュンイチの笑顔がレイカの脳裏に浮かぶ・・・それだけで、レイカは嬉しかった。
「あの笑顔をずっと見ていたい・・・大好き、水野さん・・・」
レイカは心から笑顔になっていた。
「ところで、うちの部長に言われたんですけど・・・農工大とお茶女の今後の発展の為に・・・何が出来るか、九条さんと直接会って、検討しろって言われたんですけど」
と、ジュンイチは言ってくる。
「ええ。わたしもその話を上の人間から聞いています。水野さんさえ良ければ・・・どこかで会って話しません?」
と、レイカは提案する。
「いや、まあ、僕的には全然いいんですけど・・・九条さんの方こそ、大丈夫なんですか?」
と、ジュンイチは生真面目な雰囲気で聞いてくる。
「ええ。大丈夫です・・・日時、いつにしましょうか・・・」
と、レイカは笑顔になりながら、言葉にする。
「いよいよ、彼と二人きりで会えるんだわ・・・」
と、レイカはこころから笑顔になっていた。
数日後の土曜日。渋谷109の地下1階のエレベーターの出口で、レイカはジュンイチと待ち合わせた。
「恥ずかしい話ですけど、僕、大学に入ってから、女性とデートすら、したことがないので・・・東京の待ち合わせ場所、よく知らないんですよねー」
と、ジュンイチは、そういうところは、何一つ隠さず話してくれた。
「あのー、渋谷109は、わかります?」
と、レイカが親切に聞く。
「ええ。さすがに、そこは、わかりますねー」
と、ジュンイチは嬉しそうに話す。
「そこの入り口にエレベーターがあるので、そのエレベーターの地下1階の入り口で、わたしはよく女友達と待ち合わせるので・・・そこでどうですか?」
と、レイカは提案する。
「お、それはいいですね。そこにしましょう」
と、ジュンイチは一も二も無く決めてくれる。
「時刻は10時半・・・約束の時間にピッタリのはずだわ」
と、白のフリルブラウスに淡いピンクのプリーツスカートを合わせ、その上にベージュのフリルトレンチコートを合わせたレイカはベージュのパンプスを合わせていた。
もちろん、ヒールは7センチをチョイスしていた。
「先輩、待ってくださいよー」
と、後ろから歩いてきたのは、レイカの大学の後輩、大学一年生の姫島アイ(19)だった。
ピンクの花柄のワンピース姿に、ピンクのカットソーのトップスを合わせたアイは、さすがに10代のテイストのおしゃれだった。
ピンクのパンプスも合わせて・・・でもヒールの高さが4センチ程で、そこはレイカの勝ちだった。
「アイ、いいかしら?」
と、一階のエレベーターに乗りながら、レイカが聞いてあげると、
「はい。レイカ先輩!」
と笑顔で返すアイ。
「なんか、この間の合コンの続きみたいですね。水野さんとまた会えるなんて!」
と、アイもこの間の合コンを楽しんだ口だった。
「行くわよ」
と、笑顔で返すレイカは、エレベーターのボタンを押す。
エレベーターは地下1階へ・・・すぐだ。
扉が開くと、そこにやさしい笑顔のジュンイチがもう待っていた。
「おはようございます。水野さん・・・早くに来ていてくれたんですね」
と、レイカは少し感激気味に話している。
「いやあ、女性は待たしちゃいけないって、じーちゃんに幼稚園の頃から躾けられまして・・・女性にモテるじーちゃんだったもんで・・・」
と、ジュンイチは頭を掻きながら、やさしい笑顔で話してくれる。
ジュンイチは、白いデニムパンツに、白いボタンダウンシャツ、真紅に白い小さな水玉模様のネクタイをし、カーキ色のトレンチコートを着ていた。
足元はピンクの靴下にサイドが赤で、トップが白のデッキシューズ・・・なかなかのおしゃれさんだった。
なにより細身の身体のジュンイチに、レイカは笑顔になった。
「ちょっと待って下さいね。うちの連れが緊張しちゃって、トイレに行っちゃって・・・」
と、ジュンイチは両手を合わせて拝むような姿勢で謝っている。
と、そこへ、
「すいません。トイレ行ってたもんで・・・」
と、農工大一年生の直江ケンタ(18)が走ってくる。
「まあ、電話で言った通り、僕は女性とデートしたことがないんで、店知らないんですよ。恥ずかしいですけど・・・」
と、歩き出した四人は、北向きに歩きながら、笑顔で談笑する。
「店なんか知らなくても、飲み会であれくらい笑わせてくれるんだったら、すぐに彼女出来ちゃうんじゃないですかー」
と、気安いアイが話す。
アイも合コン以来、ジュンイチに懐いてしまった口だ。
「いやあ、アイちゃん、そんな簡単にはいかないよ・・・恋って、そんな簡単に手に入らないものだから・・・」
と、生真面目なジュンイチは、アイの軽口にも真面目に答えている。
「水野さん、これ、アイのいつもの手ですから、そんなに生真面目に返さなくてもいいんですよ」
と、生真面目なジュンイチに好感を持つレイカだった。
「は、はあ・・・どうも僕は真面目すぎるのが玉に瑕なんですよね・・・でも、これ、性格ですから・・・」
と、生真面目なジュンイチは、そんなレイカの言葉に、さらに生真面目になるのだった。
それがさらに微笑ましいレイカだった。
「水野先輩・・・とりあえず、これからどうしましょうか?」
と、ジュンイチの後輩、直江ケンタがジュンイチに聞いている。
「そうだなー。とりあえず、ロフトにでも入りませんか?ちょっと雑貨を見ながら、楽しい時間を過ごしたり・・・どうです?」
と、ジュンイチが提案してくる。
「いいですね。わたしもロフト、大好きなんです」
と、レイカが即、言葉にする。レイカは、そんなジュンイチを応援したくて、仕方ない感情になっていた。
「わたしもロフトだーい好き!」
と、負けじと大きな声を出すアイ。
「じゃ、行きましょうロフトへ!」
と、直江ケンタが言うと、
「なんか、雑貨見ていると、ほっとするんですよね。僕・・・」
と、店を知らないといいながら、いい時間の過ごし方は知っていそうなジュンイチだった。
「あのー、2人きりで会うと、ちょっと気まずいんで・・・慣れてないんですよ。僕、女性と二人きりで会うの・・・」
と、あの時、電話の向こうで言ったジュンイチだった。
「わたしとだと、気まずいですか?」
と、そこは少し聞いてみたレイカだった。
「いや、九条さんだから、気まずいんじゃなくて、女性全般と、あまり、なじみがないもので・・・」
と、ジュンイチはそんな風に言う。
「いや、そのー、僕的に言えば、九条さんと二人きりになれたら・・・そしたら、僕どうなっちゃうか、わからないんで・・・」
と、ジュンイチは素直に話す。
「そうなんですか?」
と、レイカは少し落胆しながら、聞く。
「いやあ、これも、九条さんに不快な思いをさせたくない為で・・・そのー、ほら、二人で会ってて、僕と恋人同士なんて、周りに勘違いされても、九条さんに、悪いし・・・」
と、ジュンイチは、焦りながらも、一生懸命話してくれる。
「わたし、悪いなんてひとつも・・・」
と、レイカも必死に食い下がるが、
「だから、お互い後輩をひとり連れて行くことにしましょう。それなら、これが大学と大学のお仕事だって、明確になりますから・・・」
と、ジュンイチは決めてしまう。
「まあ・・・水野さんが、それでいいので、あれば・・・」
と、レイカも渋々ジュンイチの提案を受け入れる。
「いやあ、女性と二人きりなんて、僕の人生的には、まだ、考えられないので、九条さんに迷惑をかけられませんから・・・僕の個人的なことで・・・」
と、生真面目に言うジュンイチだった。
「水野さんは、何事にも、真面目なのね・・・」
と、そんなジュンイチがいじらしいレイカは、そんな風に言葉にする。
「いやあ、そんなこと、ないですけど・・・」
と、ジュンイチは、そんな風に返していた・・・。
「でも・・・なんか、楽しいですね。こんなに美しいお茶女の二人の女性と土曜日を過ごせるなんて・・・」
と、ジュンイチの耳元でこっそり言う直江ケンタだった。
「ん?まあ、そうだけど、あくまで、今日は大学のお仕事だからな。それを忘れるなよ・・・」
と、ジュンイチは言い返す。
「水野さん、真面目すぎなんじゃないですか?いくら何でも・・・」
と、ケンタは不満そうな顔をする。
「だって、女性2人は、あきらかに、デートを楽しむつもりですよ。見てくださいよ、あの笑顔・・・」
と、ケンタに促されて、お茶女の二人を見るジュンイチだった。
「先輩、先輩も水野さん狙いでしょ・・・わたしも負けませんからねー」
と、笑顔で話しているアイだった。
「よし、お手並み拝見・・・わたしも負けないわ」
と、笑顔で微笑むレイカは、ジュンイチの方を見て、さらにやわらかい笑顔になるのだった。
アイも負けじと笑顔でジュンイチを見るのだった。
「ね?」
と、ケンタに言われて・・・少し固まるジュンイチだった。
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