東博で行われた京菓子に関するセミナーを聴いてきたよ。
講師は、
京都の某老舗和菓子店の技術長。
何かしら特別展がある時はいつもこの和菓子店が平成館に出店するから、そのご縁だね。
講演は京菓子の紹介的な30分映画を挟んで、講師のお話。
和菓子の技術というのはその歴史も含めてもう既に芸術の域であることは周知であるけれど、そんな小難しいことは置いといて、技術長のシンプルな情熱が伝わってきて良い講演だった。
講演は15時に終わった。
今日の閉館時間まで3時間あることから、
ボストン展を観ることにした。
17時閉館なら間に合わないので次回にしようと思ってたんだ。
展示品は最初から飛ばす飛ばす!わースゴイ!きゃー見事!の連続。
いやあ、素晴らしいねボストン美術館。
仏教美術から始まり、日本人の漫画好きはこんなとこから!な遣唐使・吉備真備が主人公の「吉備大臣入唐絵巻」とか、刀剣や着物とか、どれもテンション高く鑑賞したよ。
もしも日本にあったら、重文や国宝の指定は確実だろうと思われるものもチラホラ。
若冲も、鸚鵡図と十六羅漢図(のうち4点)があった。
若冲の鳥の絵と人物画を敢えてピックアップして並べるなんて、ニクイことするねえ~。ニヨニヨしちゃう。
会場内は思いのほか空いてたよ。
こないだの北京とか、どうしたんだというくらい。
割と長い開催期間の初っ端にあたる時期でみんな悠長に構えてるのか、外は寒い雨なせいか。
どっちにしろ有難かった。
屏風や襖絵が多いので、人が多いと離れて鑑賞することができないんだよね。
一つの視野に屏風双幅を納める眼福。
今回の展覧会のメインディッシュ、曽我蕭白のコーナーは正に襖絵と屏風の連続。
てか、私、蕭白の作品で大物以外の記憶があまりない・・・
蕭白の絵は、どうも好きになれなくてなぁ。
よく狂気とか異端とかその手の言葉で表現される絵だけど、主張というか灰汁というか気合が強すぎて、その絵を知ろうとがぷり四つを組む前に張り手で倒される感じがする。
近付けないんだよ。
特に人物画は、薄墨の陰影を付けられた顔に“やり過ぎ感”を持ってしまう。
でもまあなんだ、今回の展覧会でちょっと好感度があがったよ。
『商山四皓図屏風』は、たぶん初めて観るデフォルメされた人物画。
気合がいい感じに抜けた蕭白の絵は、ホッとするより驚きの方が強かった。
締めは、今回の展覧会のキービジュアルになっている『雲龍図』。
これはもう想像を遥かに超えて圧巻。
すごい、すごいよ蕭白!
襖絵八面からなる横長の大きな絵をソファに座って、疲労を感じるまで延々と眺める至福。
胴の部分一面が失われているとのことだった(ボストン美術館に収められた時には既になかったそう)が、それが絵の迫力に影響しているほどのことに思えず。
もちろん絵の繋がらなさは分かるけど、「小せえことはいいんだよ!」と手で払う程度の欠損だ。
展示のボリューム感は、正直なところ物足りないかも。
でも、これくらいがちょうどいいとも思うなぁ。
あんまり色々と詰め込まれると頭に残らないものが増えるだけだし、何しろ立ち続けの状態に疲れてしまうんだもの。
※画像は、平成館と本館の間から見えるスカイツリー
これで夕方6時近くとは、日が長くなったなぁ